注意点・留意点
- カニューレは挿入も浅く、粘膜への刺激が少ないが、外れやすいので注意する
- カニューレは毎日交換する
手順・手技・方法
- 酸素吸入器を準備し、点検する
- 中央配管の場合は酸素流出口のキャップをはずし、アダプタを配管口に差し込み、固定する
- 患者や家族に酸素療法について説明し、安心して吸入が出来るようにつとめる
- コルベン(加湿器)の滅菌蒸留水は1日1回交換する。また、下限水位以下にならないように蒸留水を補充する。コネクティングチューブは週一回交換する。
- 連結管の先にカニューレを接続する
- 酸素の流出状態を確かめる
- カニューレを両鼻腔に挿入し、両方の耳かけを患者のサイズに合わせて耳にかける
- カニューレをテープで固定する
- 酸素を指示された量まで少量ずつ確かめながら流す。酸素流量は4~6L/分で吸入濃度は35~45%になる
- しばらく患者および酸素の流量状態を観察し、異常のないことを確かめる
- ナースコールを患者の枕元に置いて、異常が生じたら直ちに看護師を呼べる状態にして退室する
酸素ボンベ使用の場合の準備の仕方
- 酸素ボンベを架台に取り付ける
- 酸素ボンベの開閉口を一度、瞬間的に開いてごみを払い、調子をみる
- 流量計をボンベに取り付け、スパナで正しい位置にしっかり固定する(最近は手で回せるものも増えてきている)
- 流量計の開閉口を閉じたままボンベの開閉口を徐々に開く
- 圧力計のメモリを読み、酸素の残量を確認する(残圧が5MPa以下の場合は交換したほうが良い)
- 酸素流量計のダイヤルを回して流量を設定する
- 移動手段に合わせて、酸素架台を使用する(車いすやストレッチャーには酸素架台が付いているものがある)
観察項目・観察ポイント
- バイタルサイン
- 動脈血液ガスの変化
- 呼吸状態(呼吸数、呼吸様式、チアノーゼの有無)
- 舌根沈下
- 気道内分泌物の状態
- 正しい装着がされているか
- 指示通りの流量が投与されているか
- 流量計、加湿器、チューブなどの接続部のゆるみがないか
- チューブが患者の体やベッド柵にはさまれて折れ曲がっていないか
- 鼻腔粘膜にびらんができていないか、チューブと皮膚の接触部の観察(ガーゼや包帯などで工夫)
- 口鼻腔の乾燥や口渇の観察
- 原則的には腹腔内臓器が胸郭を圧迫しないようにファーラー位かセミファーラー位とする
- 呼吸困難に伴う身体的症状
経鼻カニューレ使用の利点と注意点
利点
- 患者の快適性:マスクと比較して会話や食事が容易
- 長期使用の適性:比較的長期間の使用に適している
- 低流量での効率的な酸素供給:必要酸素濃度を効率的に提供できる
注意点
- 鼻腔の乾燥:適切な加湿が重要
- 鼻腔粘膜の刺激:定期的な観察と適切なケアが必要
- 酸素流量の制限:高流量の酸素投与には不適
患者教育のポイント
- 装着方法の指導:患者自身で正しく装着できるよう指導
- 酸素療法の重要性の説明:治療の必要性と利点を理解してもらう
- 安全性の確保:火気使用の危険性や転倒リスクについて説明
- 日常生活での注意点:入浴時や睡眠時の対応について指導
まとめ
経鼻カニューレによる酸素療法は、多くの患者にとって効果的で快適な方法です。しかし、適切な使用と継続的な観察が重要です。看護師は、患者の状態を常に把握し、機器の正しい操作と管理を行うとともに、患者教育にも力を入れることが求められます。適切な看護ケアにより、患者の QOL を維持しながら、効果的な酸素療法を実施することができます。