目的
- 高血圧症や低血圧症の診断指標
- その他の循環器疾患に罹患している場合の経過観察
- 血圧の変動要因や血圧に影響する生理的因子の分析
- 降圧薬や昇圧薬など薬物療法の効果の判断指標
- 血圧の左右差、上下肢差から弁疾患や動脈瘤、大動脈縮窄症などの診断指標
触診法をする目的・理由
触診法では最高血圧のみが測れる。それによって次回聴診法でで血圧を測る際、水銀をどれくらいまで上げるかの目安(最高血圧より+20mmHg程上げる)を知ることが出来る。
手順 手技 方法
- 血圧計の点検をする(水銀血圧計を水平において水銀コックを開き、圧力を加えないとき、水銀の上面が0点に戻っていることを確認する)
- 200mmHgくらいを送気し、弁を閉じたとき水銀が2mmHg以上降下しないことを確認する
- 弁を開けてそう気球のねじ(排気弁)を緩めたとき、速やかに水銀が0点に戻ることを確認する
- 患者に説明し、血圧測定前の確認をする
- 患者を仰臥位にし、測定する側の上肢を心臓の高さにする
- 測定側の寝衣の袖を肩のあたりまでたくし上げ、手掌を上に向ける
- 血圧計を倒れない位置に置く
- マンシェットのゴム嚢の中央が上腕動脈の真上に、マンシェットの下縁が肘窩の2~3cm上になるように片手でゴム嚢の位置を固定し、もう片方の手でマンシェットを上腕に這わせるようにしながら巻く
- 血圧計の水銀コックを開いて「ON」に送気球のねじが閉じていることを確認する
触診法
- 左手で橈骨動脈を触知しながら右手で送気球を押し、脈が触れなくなるまでゴム嚢の内に空気を入れる
- 脈拍が触れなくなったら、さらにその点から約2mmHgずつ水銀を下げる
- 水銀が下がるにつれて脈拍が触れたときの目盛りを読み、収縮期血圧(最高血圧)とする
- 送気球の排気弁を全開にして手早く空気を完全に抜く
- マンシェットをはずし、患者の寝衣、寝具を整える
- 血圧計を傾けて水銀を水銀槽に全部入れ、水銀コックを「OFF」にする
- 測定値、測定部位を記録する
聴診法
- 肘窩部に右手の示指・中指・環指を当て、脈拍の拍動を確かめた後、左手で聴診器の膜型を当てて、イヤーピースを耳に当てる
- 送気球を小刻みに押して送気し、触診法の値より約20mmHg程度高いところまで水銀柱を上げる
- 水銀柱の目盛りを読みながら脈拍ごとに2mmHgの速さで下がるようにゆっくり排気弁を開放してゆく
- 水銀が下がるにつれて血管音の聞こえた目盛りを読み、収縮期血圧(最高血圧)とする
- さらに排気を続け、血管音が聞こえなくなったときの目盛りを拡張期血圧(最高血圧)とする
- 送気球の排気弁を全開にして素早く空気を抜く
- マンシェットをはずし、患者の寝衣、寝具を整える
- 血圧計を傾けて水銀を水銀槽に全部入れ、水銀コックを「OFF」にする
- 測定値、測定部位を記録する
注意点 留意点
- 血圧は興奮、不安などの精神状態、寒冷などの気候的条件などにより変動するため、その影響をなるべく除外するように配慮する。
- マンシェットは年齢、体格に適した幅のものを選択する
- 初診時の測定では平常よりも高い値を示すことがあるので留意する
- 測定部位は心臓と同じ高さにする
- ゴム嚢の中央が上腕内側にくるようにし、マンシェットの下縁が肘関節から2~3cm上になるように巻く
- 上腕部が肌着などで圧迫されないようにする
- マンシェットをゆるすぎず、きつすぎないように巻く。測定部位とマンシェットの間に1~2本の指が入る程度とする
- マンシェットで長時間圧迫すると、患者に苦痛を与え、また測定値が不正確になるので注意する
- 正確を期するために2回以上測定し、測定値の取り方を明記する
- ほかのバイタルサインとともに、患者の状態を総合的に把握する
観察項目 観察ポイント
- めまい、頭痛などの確認
- 前回測定値または前一週間の測定値を把握しておき、その値よりどう変化しているか確認
- 高血圧は術後の痛みなどによるものの可能性もあるため、他の症状やバイタルを確認
- 左右差を確認する
- 測定前に何か動作をしていたか確認
正常値
血圧 正常値 一覧表 | 上の血圧 | 下の血圧 |
至適血圧 | 119まで | 79まで |
正常値 | 120~129 | 80~84 |
正常高値 | 130~139 | 85~89 |
Ⅰ度高血圧 | 140~159 | 90~99 |
Ⅱ度高血圧 | 160~179 | 100~109 |
Ⅲ度高血圧 | 180以上 | 110以上 |
随伴症状
高血圧の随伴症状
頭痛 眩暈 耳鳴り 肩凝り 手足のしびれ 頭重感 不眠 心悸亢進 悪心・嘔吐 食欲不振 倦怠感 顔面紅潮
低血圧の随伴症状
頭重感 頭痛 眩暈 動悸 あくび 耳鳴り 肩凝り 不眠 手足の冷え 食欲不振 胃部不快感 悪心 嘔吐 精神力や活力の減退 昜疲労性 倦怠感 起床困難 心気的傾向