病態
種々の原因により心臓が全身の臓器の需要に対する十分な血液を供給できなくなった状態。心機能低下によるものを低拍出性心不全(大半の心不全)、全身臓器の需要の増大によるものを高拍出性の心不全(貧血、甲状腺機能亢進症など)という。
症状
自覚症状
- 呼吸困難(安静時、労作時、夜間発作性、起坐呼吸)
- 咳嗽、喀痰(ピンク状の泡沫痰が特徴)
- 浮腫
- 消化器症状(悪心、嘔吐、便秘、食欲不振など)
身体所見
視診
チアノーゼ、網状皮斑、浮腫、腹水、顔色不良、冷汗、頻呼吸、頚動脈怒張
触診
四肢冷汗、浮腫、肝腫大、腹水、頻脈、不整脈
聴診
肺湿性ラ音、Ⅲ音、Ⅳ音、心雑音、頻脈、不整脈、腸蠕動音の低下
検査・診断
心電図検査、胸部X線検査、血液検査、動脈血液ガス分析、ホルター心電図、心エコー 心臓核医学検査、冠動脈造影法、血行動態検査(スワンガンツカテーテル)、CT、MRI
治療
治療の基本は原因の治療と誘因の除去となる
- 安静
- 酸素投与(必要時挿管し、人工呼吸管理)
- 水分制限
- 食事療法
- 薬物療法
急性期
ルート確保の上以下の投与
- ループ利尿薬(ラシックス)の投与
- 血管拡張薬(ニトロール)の持続投与
- 塩酸モルヒネ(不安の軽減、鎮静、末梢血管拡張薬による前負荷軽減)
- カテコールアミン製剤
慢性期
- ループ利尿薬の経口投与
- カリウム保持性利尿薬の経口投与
- ジギタリス製剤
- ACE阻害薬
- 硝酸薬