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ESDとは何か?内視鏡的粘膜下層剥離術の基礎知識

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内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection、ESD)は、食道、胃、大腸の早期がん治療に使用される手法です。この治療法は、内視鏡を用いて消化管内の粘膜層および粘膜下層を剥離し、病変を一括して切除します。2006年に胃がん治療で保険適用となり、その後食道や大腸にも適用範囲が拡大されました。従来の内視鏡的粘膜切除術(EMR)では対応できなかった大きな病変の一括切除が可能となりました。


ESDの適応対象

1. 食道 食道におけるESDの絶対適応は「がんの浸潤が粘膜固有層までに留まるもの」です。相対適応として「がんの深さが粘膜筋板に達したものや、粘膜下層200μmまでに留まるもの」がありますが、これらにはリンパ節転移の可能性が残ります。粘膜切除が周囲の四分の三以上に及ぶ場合には、狭窄のリスクがあるため注意が必要です。

2. 胃 胃がんのESD適応は、腫瘍の大きさ、組織型、深さ、潰瘍の有無に基づいて決定されます。絶対適応は「がんが粘膜層に留まり、腫瘍径が2cm以下、潰瘍を伴わない分化型がん」です。また、条件を満たす場合には腫瘍径が大きくても適応となることがあります。

3. 大腸 大腸におけるESDの適応は「腫瘍の大きさが2~5cmまでの一括切除が可能な腺腫または早期がん(深さが粘膜下層1000μmまでに留まるもの)」です。治療前にがんの深さを正確に確認することは難しいため、最終的な適応は切除後の病理診断によって決まります。そのため、治療前に適応と判断されても治療後に追加手術が必要となることがあります。


ESDの利点

ESDの最大の利点は、身体への侵襲が非常に少ない点です。従来の外科手術では臓器ごと切除が必要でしたが、ESDでは病変部のみを切除するため、臓器の機能をほぼ温存できます。また、一括切除が可能なため、がんの進行度を正確に評価でき、再発のリスクも低減されます。


ESDの入院期間

入院期間は患者の状態や病変の大きさ、治療部位によって異なりますが、一般的には数日から1週間程度です。


内視鏡治療前の管理

1. 抗血栓薬の休薬 ESD、ポリペクトミー、EMRは「出血高危険度の消化管内視鏡」に分類されるため、治療前には抗血栓薬を中止する必要があります。

2. 絶飲食 治療前日の21時以降は絶食となります。飲水は治療直前まで許可されますが、固形物やジュース、アルコールは控える必要があります。

3. 腸管処置 治療前には下剤による腸管処置を行います。具体的には、前日夜にピコスルファートナトリウム(ラキソベロン)を服用し、当日朝には腸管洗浄液(ニフレック)を内服します。それでも残渣がある場合はグリセリン浣腸を行います。

4. 末梢静脈路確保 鎮痙薬や鎮静薬、鎮痛薬を投与するために末梢静脈路を確保します。鎮痙薬としてブチルスコポラミン(ブスコパン)やグルカゴン(グルカゴンGノボ)を投与します。ブスコパンが禁忌の場合はグルカゴンを使用します。

5. 鎮静・鎮痛薬 大腸内視鏡は痛みを伴うことが多いため、ベンゾジアゼピン系鎮静薬やオピオイド系鎮痛薬を投与することがあります。鎮静薬を投与する場合は、呼吸抑制に注意が必要です。


治療後の合併症

1. 穿孔 ポリペクトミー、EMR、ESDにおける穿孔の発生率はそれぞれ異なりますが、ESDでの発生率が最も高いです。腹痛があれば腹膜刺激症状の有無を観察し、穿孔が疑われる場合は緊急に血液検査、腹部X線検査を行います。

2. 出血 出血の発生率は手法によって異なります。頻回な血便やHbの2mg/dL以上の低下があれば出血と判断し、緊急に内視鏡で止血を行ったり、必要に応じて輸血を行います。


退院指導

1. 遅発性穿孔 治療後24時間以内に起こることが多いですが、まれに24時間以降にも発生する遅発性穿孔の可能性があります。退院後に強い腹痛があれば、早急に受診するよう指導します。

2. 出血 出血は術後3日以内に発生することが多いですが、7日以降にも発生することがあります。退院後に血便が生じた場合は、早急に受診するよう指導します。多少便に血が混じる程度の少量の出血は問題ないことを伝えることも重要です。


看護学生の皆さん、ESDについての理解を深め、臨床での実践に役立ててください。もし、ESDに関する宿題やレポートで困った時は、看護学生宿題代行サービスまでご連絡ください。

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