医療安全の講義でP-mSHELLモデルを習ったあと、レポート課題を前にして手が止まってしまう。
そんな看護学生さんは、あなただけではありません。
七つの要素に分けなさいと言われても、どの情報をどの箱に入れればいいのか迷いますよね。
患者さんの認知機能は患者の欄なのか、それとも環境の話なのか。
そんな細かいところでつまずいたまま、白紙の画面と向き合って夜が更けていく。
この記事では、P-mSHELLモデルの七要素の意味をひとつずつ整理したうえで、評価してもらえる事例分析レポートの書き方まで順番に解説します。
読み終えるころには、手元の事例を七つの箱に振り分けられる状態になっているはずです。
医療安全のレポート、提出まであと何日ですか
事例の整理から七要素への振り分けまで、現役の看護師が個別にサポートします。
相談だけでも大丈夫です。締め切りが近い方はその旨をお伝えください。
先に結論から。P-mSHELLモデルは事故を人のせいで終わらせないための地図
P-mSHELLモデルとは、医療現場で起きた事故やヒヤリハットの背景を、七つの要素に分けて洗い出すための枠組みです。
ここでいちばん大事なのは、ミスをした人を責めるためのツールではないという点です。
疲れていた、確認を忘れた、で分析を終わらせてしまうと、次に同じ状況に置かれた別のスタッフがまた同じことをしてしまいます。
だから七つの箱に情報を並べて、その人を取り巻いていた条件を目に見える形にします。
そうすると、変えられるのは人の気持ちではなく、手順や機器や配置のほうだと分かってきます。
七要素は、患者、管理、ソフトウェア、ハードウェア、環境、当事者、周囲の人、の七つ。
それぞれの頭文字を並べたものがP-mSHELLという名前です。
この図のとおり、行為をした看護師は中心に置かれます。
その周りを手順や機器や環境が囲み、さらに外側から病院の管理体制と患者さんの状態が影響を与えている。
もとは航空業界で使われていたSHELLモデルが土台になっていて、そこに医療ならではの視点として患者と管理を加えたものがP-mSHELLモデルです。
飛行機の事故調査から生まれた考え方が、そのまま病棟の与薬事故の分析に使えるというのは、少し不思議で面白いところですね。
七つの要素を、ひとつずつ整理する
要素の名前だけ覚えても、レポートは書けません。
それぞれの箱に何を入れるのか、キーワードで持っておくと迷いが減ります。
P 患者。その人の側にある条件を書く
患者さんの病状、認知機能、理解力、不安の強さ、言葉の壁。
こうした条件は、事故が起きるかどうかに大きく影響します。
認知症のある方が服薬の時間を忘れてしまう。
不安が強くて処置を拒む。
日本語が母語ではない方に説明が伝わらない。
患者さんの条件を書くことは、患者さんを責めることではありません。
その条件に合わせて、こちらの関わり方を変えるための材料として並べます。
m 管理。病院という組織の側の話
夜勤帯の人員が最小限で、ダブルチェックをしたくてもできない。
新しい輸液ポンプが導入されたのに、使い方の研修がないまま運用が始まった。
インシデントレポートを出すと責められる雰囲気があって、小さな出来事が報告されない。
ここは学生さんが書きにくい箇所ですが、実習で見た勤務表や病棟の様子を思い出すと書けます。
S ソフトウェア。形のないルールや手順
ソフトウェアという言葉から電子カルテを想像しますが、この枠にあるのはもっと広い範囲です。
看護手順、業務基準、マニュアル、チェックリスト、記録の書き方。
与薬手順が改訂されたのに周知が行き届かず、古いやり方のまま実施してしまった。
急変時のマニュアルが分厚すぎて、いざというときに開く時間がない。
H ハードウェア。触れる物すべて
薬剤のアンプルの形が似ている。
人工呼吸器のアラーム音がシリンジポンプの音と紛らわしい。
ベッド柵の固定が甘くて外れてしまう。
物の側に原因があるときは、注意して見るという改善策ではなく、物そのものを変える改善策が書けます。
E 環境。空気も雰囲気もここに入る
夜間の照明が暗くてラベルの文字が読めない。
処置室が狭くて、二人が同時に動くとぶつかる。
ナースステーションの電話が鳴りやまず、集中できない。
物理的な環境だけでなく、職場の人間関係の空気もこの箱に入れます。
L 当事者。行為をした本人の状態
経験が浅くて手技に自信がない。
連続勤務で疲れていた。
受け持ちが増えて焦っていた。
ここに書く内容は反省文になりやすいので注意が必要です。
気をつけますで終わらせず、なぜその状態になったのかを一段掘り下げてください。
L 周囲の人。チームの側の話
申し送りで大事な情報が抜けていた。
医師の口頭指示があいまいなまま実施した。
先輩に確認したかったけれど、忙しそうで声をかけられなかった。
当事者と周囲、どちらもLですが、レポートでは分けて書きます。
混ぜて書くと減点されやすい箇所なので気をつけてください。
| 記号 | 要素 | 見るポイント | レポートでの書き出し例 |
|---|---|---|---|
| P | 患者 | 病状・認知機能・不安・言葉 | A氏は認知症があり、氏名の確認に応じることが難しい状態であった |
| m | 管理 | 人員・教育・報告体制 | 夜勤帯は看護師二名の配置で、二人での確認を行う時間の余裕がなかった |
| S | ソフトウェア | 手順・マニュアル・記録 | 患者確認の手順が病棟内で統一されていなかった |
| H | ハードウェア | 機器・容器・設備 | 輸液ボトルのラベルは文字が小さく、判読しにくい仕様であった |
| E | 環境 | 照明・音・広さ・雰囲気 | 消灯後の病室は照度が低く、手元での確認が難しい状況であった |
| L | 当事者 | 知識・技術・疲労 | 当該看護師は連続勤務の四日目で、疲労の蓄積があった |
| L | 周囲の人 | 申し送り・連携・関係性 | 申し送りでは注意すべき点滴に関する情報が伝えられていなかった |
七つの箱に事例を振り分ける練習用シートを無料でお渡ししています
分析の進め方は、この順番でぶれません
要素の意味が分かっても、いきなり書き始めると途中で迷子になります。
手順を決めておくと、どんな事例でも同じ流れで処理できます。
最初の段階でやることは、起きた出来事をそのまま時系列に並べることだけです。
この時点では原因を考えません。
次に、並べた事実をひとつずつ七つの箱に入れていきます。
ひとつの事実が二つの箱にまたがることもありますが、その場合は両方に書いて構いません。


圧倒的に早い
プロが作った参考例があれば、それを見て学べます
✓ 一から考える時間がない → 見本で時短
✓ 完成形の見本で理解したい → プロの実例
✓ 自分の事例に合わせた例が欲しい → カスタマイズ可
参考資料提供|料金19,800円〜|5年の実績|提出可能なクオリティ
そして背景を掘り下げます。
なぜという問いを二回重ねると、レポートの深さが一段変わります。
照明が暗かった、なぜ暗いままだったのか、消灯後の照度を上げる仕組みがなかったから、というふうに進めます。
事例で練習してみる。夜勤帯の点滴の取り違え
実際の事例で、七要素への振り分けを見てみましょう。
課題でよく出される与薬事故のパターンです。
夜間、A氏に対して、本来はB氏に投与するはずの点滴を投与してしまった。
この一文から、七つの箱を埋めていきます。
図のように並べると、この事故が一人の看護師の不注意で起きたのではないことが見えてきます。
七つの条件がたまたま同じ夜に重なっていた。
ひとつでも欠けていれば防げた可能性がある、という見方が医療安全の考え方です。
続いて改善策です。
要素ごとに一つずつ作ると、抜け漏れがなくなります。
| 要素 | 背景の要因 | 改善策 | 時間の目安 |
|---|---|---|---|
| P 患者 | 氏名を自分で伝えられない | ベッドサイドの表示を大きくし、リストバンドで照合する | すぐできる |
| m 管理 | 夜勤帯に二人での確認が難しい | 夜間でも確認できる人員配置に見直す | 時間がかかる |
| S 手順 | 患者確認の方法が統一されていない | 病棟共通の確認手順を作成し、周知する | すぐできる |
| H 機器 | ラベルが読み取りにくい | 氏名の文字を大きくし、色分けを取り入れる | すぐできる |
| E 環境 | 消灯後の照度が低い | 手元灯を各ベッドに配置する | すぐできる |
| L 当事者 | 連続勤務による疲労 | 勤務表の組み方と休憩の取り方を見直す | 時間がかかる |
| L 周囲の人 | 申し送りで情報が抜けた | SBARの様式を使って伝える項目をそろえる | すぐできる |
この表のように、すぐできる対策と時間がかかる対策を分けて書くと、実行できるレポートとして評価されやすくなります。
人員配置の見直しは今日からできませんが、手元灯を置くことは今夜からできますよね。
よくある失敗。この四つを避けるだけで評価が変わります
原因を人の不注意で締めくくってしまう
いちばん多い失敗です。
看護師の確認不足が原因である、と書いて終わると、そこから先の改善策が気をつけるしか出てきません。
確認できなかったのはなぜか、という問いに進むと、手順や配置の話に自然とつながります。
七要素のうち書けない箱をとばしてしまう
管理やハードウェアの欄が空白のまま提出されるレポートをよく見かけます。
情報が足りないときは、この点は資料からは分からなかったが、確認できれば背景として考えられる、と書けば大丈夫です。
改善策が精神論になっている
意識を高くもつ、注意深く行う、といった表現は改善策として評価されません。
誰が、いつ、何をするのかが読み取れる文章に書き換えてください。
当事者と周囲の人を混ぜて書いてしまう
どちらもLなので混同しやすいところです。
行為をした本人のことは当事者、それ以外のスタッフとの関わりは周囲の人。
この線引きだけ守れば迷いません。
提出前のチェックリスト
- 七つの要素すべてに、事例の事実がひとつ以上書けているか
- 事実の記述と、自分の考察が段落で分かれているか
- 当事者のLと周囲のLを、別の項目として立てているか
- 改善策が、気をつける以外の言葉で書かれているか
- すぐできる対策と、時間がかかる対策を分けているか
- 改善策が、要素の分析と対応しているか
- 患者さんや職員が特定される情報を消してあるか
- 誤字と敬体常体の混在を読み返して直したか
最後の項目は見落とされがちですが、実習記録や医療安全レポートでは大事な部分です。
実在の患者さんや病棟が分かる記述は、提出前にすべて置き換えてください。
P-mSHELLモデルについて、よく届く質問
SHELLモデルとP-mSHELLモデルは何が違うのですか
もとになったSHELLモデルは、機械を操作する人を中心に置いた枠組みです。
医療では、そこに患者さんという相手がいて、病院という組織の管理体制もあります。
その二つを加えたものがP-mSHELLモデルだと考えてください。
七つすべてを埋めないと減点されますか
課題の指示によりますが、埋める前提で作られている枠組みです。
情報が不足している要素は、分からなかった点として書き添えると誠実な分析になります。
患者さんの要因を書くのは失礼な気がします
その感覚はとても大切です。
ただ、患者さんの条件を書く目的は責めることではなく、その条件に合わせて医療者側の関わりを変えるためです。
患者さんの状態を前提として受け止めたうえで、こちらの仕組みをどう整えるかを考えるのがこのモデルの使い方です。
改善策はいくつ書けばいいですか
要素ごとに一つずつ書くのがおすすめです。
七つの要素に対して七つの改善策があると、分析と対策がきれいに対応します。
レポートで行き詰まったときの相談先
NCS看護キャリアサポートセンター、通称カンサポでは、看護学生さんの課題や記録のお手伝いをしています。
十五年以上の運営実績、八百件以上の支援経験があり、情報漏洩は一度もありません。
匿名でのやり取りに対応しているので、学校や実習先に知られる心配なくご相談いただけます。
医療安全の分野でお手伝いしている内容
- P-mSHELLモデルを使った事例分析の組み立て
- インシデントレポートとヒヤリハット報告の書き方
- KYTや5S活動をテーマにした課題の整理
- 実習記録に書く医療安全の視点の掘り下げ
- 提出前の文章の添削と構成の見直し
- 看護研究や文献検討の進め方の相談
まとめ
P-mSHELLモデルは、事故を七つの視点に分けて背景を洗い出す枠組みです。
患者、管理、ソフトウェア、ハードウェア、環境、当事者、周囲の人。
この七つに分けて考えると、一人の不注意に見えた出来事が、いくつもの条件が重なった結果だったことが見えてきます。
覚えるべき順番は、事実を並べる、七つに分ける、背景を掘る、改善策を作る、実施して見直す、の五つです。
この流れさえ手に入れば、どんな事例が課題で出されても同じやり方で処理できます。
そして、この枠組みは試験のためだけのものではありません。
臨床に出てからヒヤリとした場面に出会ったとき、自分を責める前に七つの箱を思い出してほしいのです。
変えられるのは、あなたの性格ではなく、あなたを取り巻く仕組みのほうです。
その視点をもてる看護師が、現場を少しずつ安全にしていきます。
医療安全レポートのサポート窓口
事例の整理、七要素への振り分け、改善策の文章化まで個別にお手伝いします。
締め切りが迫っている方も、まずは状況をお聞かせください。
十五年以上の運営実績/八百件以上の支援経験/情報漏洩ゼロ
LINE ID は @977jgyje です。匿名のままご相談いただけます。








