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ヘンダーソンの看護観に基づくアセスメントの演習

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事例: 83歳の男性のアセスメント

事例として、83歳の男性が認知症と診断されていることが報告されています。

この症例の臨床判断を以下に示していますので、統合(単独あるいは複数)して、基本的欲求の未充足状態の診断を考えてみましょう。


臨床判断

  1. 夜間の排尿回数が増え、睡眠が十分に取れていない。
  2. 高齢による下肢の筋力低下とふらつきがある。
  3. 歩行器を使用してトイレに行くが、間に合わず失禁することがある。
  4. 妻や子どものことが気になり落ち着かない。
  5. 入院環境に慣れず、退院を強く希望している。
  6. 家族の面会が少なく、食欲がない。
  7. 食欲減退が続き、体重が減少している。
  8. 夜間の徘徊が多く、転倒防止のため夜間は個室にいる。
  9. 治療に集中できず、早く退院したがる。

基本的欲求の未充足状態の診断

精神障害に対する看護のかかわりは、2つの視点から考えることができます。

1つは、疾患そのものによる精神機能障害に基づいた生活力の低下が引き起こす生活障害です。

2つめは、この生活障害に伴って生じる社会的不利益です。

ヘンダーソンの看護観に基づいた精神看護は、こうした生活障害および社会生活障害に働きかけ、どのような手助けを必要としているか、生活の自立に向けて患者と共に考えるものです。

生活という概念の幅は広いですが、ここではその人がその人らしく社会の中で生きていくための手だてと考えています。


臨床判断の統合

以下に、臨床判断を統合して基本的欲求の未充足状態の診断を示します。

: 転倒による外傷のリスクがある
: 可動運動の機能低下により尿失禁が発生している
: 家族の面会が少ないことによる食欲不振で体重減少が見られる
: 夜間の排尿回数が多いことにより睡眠が十分に取れない
: 治療環境に慣れず、治療効果を高めることができない


基本的欲求の未充足状態の診断

いの診断: 2, 3, 7
ろの診断: 1, 2, 3, 8
はの診断: 4, 6, 7
にの診断: 1
ほの診断: 4, 5, 6, 9


情報収集 (アセスメント)の様式

看護過程を展開するためには、患者の情報を必要とします。

個人情報保護法が制定され、看護に必要な情報の取り扱いについて規定されていますが、看護学生の実習に関わる患者の個人情報の取り扱いはまだ明確になっていないため、現状は実習施設や教育施設の独自運営でまかなわれていることが多いようです。

学生が取り扱う患者の個人情報については、実習中はもちろん、修了後も細心の注意が必要です。


まとめ

この事例では、83歳の認知症の男性が抱える基本的欲求の未充足状態を評価し、適切な看護計画を立てることが重要です。

患者の心理的な支援を行い、家族との関係を改善するための具体的な援助が必要です。

看護師は、患者の不安や悩みを理解し、適切なサポートを提供することで、患者の生活の質を向上させることができます。

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