事例: 54歳の女性のアセスメント
事例として、54歳の女性が診断名は気分障害であり、悲観的で心配性な性格であることが報告されています。
夫とは早くに死別し、その後一人で3人の子ども(長男、次男、長女)を育てました。
3人の子どもは自立してそれぞれ生計を立てています。
この事例から「コミュニケーション」の部分の記録を抜粋し、情報収集から情報の解釈・分析および臨床判断に至る過程を考えてみます。
基本的欲求の充足力と限界のアセスメント
項目: コミュニケーション
基本的欲求に基づいた生活状態
この女性は一人で自室にいることが多く、他の患者との関わりを避ける傾向があります。
受け持ち看護師との対話では、視線を合わせず話すことが多く、内容が不明瞭なことがあります。
病室内で同室者たちが話しているのを聞いても、「何を話しているのか全然わからない、ついていけないわ」と言っています。
キーパーソンは息子であり、子どもや孫のことを心配していますが、面会者はほとんどいません。
入院時に長男が手続きに来て以来、面会はありません。
本人から家族への連絡もなく、子どもが面会に来ないことについて「私はもう役に立たないから、子どもたちに見捨てられたんだわ」と話しています。
受け持ち看護師がそばにいると、不安や悩みを打ち明けることができ、コミュニケーションには支障はありません。
アセスメントチャート
看護の必要性
援助の様式
- 自立している
- 自立できているが、見守りを必要とする
- 必要に応じて手助けを必要とする
- 不足の部分だけ手助けする
- 全面的に手助けする
基本的欲求の充足力への援助
- 強化
- 補填
- 保持増進
基本的欲求の充足力と限界
- 意志力の充足力が不足している
- 力(体力)の充足力が不足している
- 知識の充足力が不足している
- 回復に限界がある
手助けに必要とする資源
- 心理的、社会的、福祉的資源
援助の様式として「自立できているが、見守りを必要とする」となります。
これは、手助けをしてくれる人がいないと安心できないレベルです。
本人は家族の面会がないことや子どもの育て方が悪かったと悲観していますが、内面では家族のサポートを求めています。
病室内の他の患者との会話を拒んでいますが、看護師がそばにいることで安心しています。
このことから、基本的欲求の未充足と限界は「意志力にもとづいた行為や行動が希薄な状態にある」とアセスメントできます。
基本的欲求の充足力と限界をふまえた解釈・分析
子どもは自立し遠方で生計を立てているため、入院前から一人暮らしであった。
老いての一人暮らしは寂しさもあり、入院している現在も子どもや孫のことを心配している。
家族の面会はなく、面会がないことを本人は「見捨てられた」と考え、不安になって悲観している。
本人はうつ状態にあり、他者と交流することを拒否し、時折一人にして欲しいと言うこともあるが、受け持ち看護師がそばにいるときには不安や悩みを打ち明ける。
これは基本的欲求に基づいた生活状態の項目「コミュニケーション」に関連し、一人でいることによる寂しさではなく、家族の愛を必要としている。
よって、家族の面会がないことを悲観していると考えられる。
本人が拒否しない限り、寂しさや不安が少しでも軽減できるようそばに寄り添うことも必要である。
まず、本人の誤った子どもたちに対する気持ちが回復できるよう手助けが必要となる。
臨床判断
以上から、臨床判断は次のようになります。
家族の面会のないことによる心の痛み
まとめ
この事例では、基本的欲求の充足力と限界を評価し、適切な看護計画を立てることが重要です。
患者の心理的な支援を行い、家族との関係を改善するための具体的な援助が必要です。
看護師は、患者の不安や悩みを理解し、適切なサポートを提供することで、患者の生活の質を向上させることができます。
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