ヘンダーソンの看護観を構成する2つの考え方
ヘンダーソンの看護観は、患者が健康を維持し、回復し、必要に応じて平和に死を迎えるための行動を援助することを中心に構築されています。以下に、彼女の看護観を構成する2つの考え方について説明します。
1. 看護師の独自機能
(1) 看護師の第一義的な責任
ヘンダーソンは、看護師の第一義的な責任を「病人であれ健康人であれ各人が、健康あるいは健康の回復（あるいは平和な死）に資するような行動をするのを援助すること」と定義しています。具体的には、以下のような援助が含まれます。
- 患者の日常生活のパターンを保つ援助: 患者が活気を欠き無為な状態から抜け出せるような活動を与え、健康的な生活パターンを取り戻す手助けをします。
- 患者の自立を支援する援助: ハンディキャップと戦う患者や、死にゆく患者が「生活の流れ」を持ち続けるのを助けます。
医師や看護師、その他の関係職種が患者の治療・援助・働きかけの質と量を決定し、チーム全員が患者を中心に治療や援助を行うことが重要です。精神科医療では、精神科医、看護師、精神保健福祉士（ソーシャルワーカー）、臨床心理士、作業療法士、薬剤師、栄養士などがチームを構成し、それぞれの力が効果的に働くことで患者を自立へと導き出します。
2. 基本的欲求の充足力と限界のアセスメント
基本的欲求の充足力と限界
看護を実践するには、患者の日常生活において自立できていない部分を明らかにする必要があります。これを「基本的欲求の充足力と限界のアセスメント」と言います。具体的には以下の4つの要素があります。
- 力の不足: 例として、被害妄想があり食事を摂ることが困難な患者が挙げられます。
- 意志力の不足: 例として、社会参加に希望を失い自室に引きこもる患者が挙げられます。
- 知識の不足: 例として、達成不可能な職業選択を希望し、それが容易に実現できると考えている患者が挙げられます。
- 回復に限界がある: 例として、終生の病院生活を余儀なくされる患者が挙げられます。
まとめ
ヘンダーソンの看護観に基づく看護実践は、患者の基本的欲求を充足するための援助を提供し、患者ができるだけ自立できるよう支援することにあります。このような理念を持って看護を行うことで、患者の生活の質を向上させることが可能です。
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