はじめに
准看護師として働きながら正看護師を目指す道のりは、決して平坦ではありません。
特に通信制で学習を進める場合、仕事と家庭を両立させながらの勉強は想像以上の困難を伴います。
今回は、アラフィフの主婦が正看護師を目指して奮闘する実体験を通じて、通信制看護教育の現実とゴードンの11項目の学習について詳しく解説します。
通信制で正看護師を目指す現実
働きながら学ぶ挑戦
准看護師として実務経験を積みながら正看護師資格を取得する道は、多くの看護職者にとって重要な選択肢です。
特に通信制課程は、現職を続けながら学習できる貴重な機会を提供しています。
しかし、実際の学習は想像以上に過酷で、家庭と仕事の両立を図りながらの勉強は相当な覚悟が必要となります。
年齢を重ねてからの挑戦
40代、50代になってから新たな資格取得に挑戦することは、体力的にも精神的にも大きな負担となります。
しかし、看護の現場で長年培った経験と知識は、学習において大きなアドバンテージとなることも事実です。
実務経験と理論の融合こそが、通信制学習の醍醐味でもあります。
ゴードンの11項目とは
看護アセスメントの基本枠組み
ゴードンの11項目は、アメリカの看護理論家マージョリー・ゴードンが提唱した看護診断のための機能的健康パターンです。
これは看護師が患者の健康状態を体系的に評価するための重要なツールとして、世界中の看護教育で採用されています。
11項目の詳細内容
健康認識・管理パターンでは、患者の健康に対する認識や健康管理行動を評価します。
栄養・代謝パターンでは、食事摂取状況や代謝機能の状態を把握します。
排泄パターンでは、排便・排尿の状況や関連する問題を評価します。
活動・運動パターンでは、日常生活動作や運動能力を評価します。
睡眠・休息パターンでは、睡眠の質や休息の取り方を把握します。
認知・知覚パターンでは、認知機能や感覚機能の状態を評価します。
自己認識・自己概念パターンでは、患者の自己理解や自尊心を評価します。
役割・人間関係パターンでは、社会的役割や対人関係を把握します。
性・生殖パターンでは、性的健康や生殖機能に関する問題を評価します。
ストレス対処パターンでは、ストレスへの対処方法や適応能力を評価します。
価値・信念パターンでは、患者の価値観や信念体系を理解します。
ヘンダーソンとの違い
看護理論の比較
看護学生の多くが戸惑うのが、ヘンダーソンの14項目とゴードンの11項目の使い分けです。
ヘンダーソンは患者の基本的ニーズに焦点を当てているのに対し、ゴードンは健康問題を機能的パターンで捉える視点を提供しています。
どちらも看護過程における重要なアセスメントツールですが、アプローチ方法に違いがあります。
紙上事例演習の重要性
ペーパーペイシェントでの学習
通信制看護教育では、紙上事例演習が重要な学習方法として採用されています。
実際の患者ではなく、紙上の事例を通じて看護過程を学習することで、様々な疾患や状況に対する理解を深めることができます。
特にうつ病などの精神疾患の事例は、身体疾患とは異なる複雑なアセスメントが要求されます。
繰り返し学習の必要性
一つの事例を何百回も読み込むことで、患者の状態を多角的に理解する能力が養われます。
最初は理解できなかった症状の関連性や看護問題の優先順位も、繰り返し学習することで明確になってきます。
この過程は時として精神的に負担となることもありますが、看護師として必要不可欠な思考プロセスを身につける重要な訓練です。
学習継続のコツ
モチベーション維持の方法
通信制学習では、自己管理能力が成功の鍵となります。
定期的な学習スケジュールを設定し、小さな目標を設定して達成感を得ることが重要です。
また、同じ目標を持つ仲間との情報交換は、孤独感の軽減とモチベーション維持に大きく貢献します。
家族のサポートの重要性
家族の理解とサポートは、学習継続において欠かせない要素です。
家事分担の見直しや勉強時間の確保について、家族としっかりと話し合うことが必要です。
子育て中の場合は特に、効率的な時間管理と家族の協力が不可欠となります。
実務経験の活用
現場経験と理論の融合
准看護師として積み重ねてきた実務経験は、理論学習において大きなアドバンテージとなります。
実際の患者ケアで経験した事例と教科書の内容を結び付けることで、より深い理解が可能になります。
現場で疑問に感じていたことが、理論学習を通じて明確になる瞬間は、学習の大きな励みとなります。
職場での活用
学習した内容を実際の職場で実践することで、理論と実践の統合が図られます。
ゴードンの11項目を意識した患者アセスメントを行うことで、より体系的で的確な看護判断が可能になります。
これは患者ケアの質向上にも直結する重要な成果です。
経済的サポートの活用
奨学金制度の重要性
通信制看護教育には相応の費用がかかるため、奨学金制度の活用は重要な選択肢です。
日本看護協会や各都道府県、医療機関などが提供する奨学金制度を積極的に活用することで、経済的負担を軽減できます。
放送大学の単位認定や各種認定試験の合格も、奨学金給付の条件となることが多いため、計画的な学習が必要です。
長期的な投資として
正看護師資格取得にかかる費用は、将来的な収入向上やキャリアアップを考慮すると、長期的な自己投資として捉えることができます。
初期費用は大きいものの、資格取得後の給与アップや昇進の可能性を考慮すれば、十分に回収可能な投資と言えるでしょう。
挫折しそうになった時の対処法
困難な時期を乗り越える
学習過程では必ず困難な時期が訪れます。
ゴードンの11項目が理解できない、事例演習が進まない、といった壁にぶつかることは珍しいことではありません。
そのような時こそ、初心を思い出し、なぜ正看護師になりたいと思ったのかを再確認することが重要です。
サポート体制の活用
学校の教員やクラスメート、職場の同僚など、周囲のサポート体制を積極的に活用しましょう。
一人で抱え込まず、分からないことは素直に質問し、経験者のアドバイスを求めることが成功への近道です。
まとめ
准看護師から正看護師への道のりは確かに困難ですが、決して不可能ではありません。
ゴードンの11項目の習得は看護師として必要不可欠なスキルであり、繰り返し学習することで必ず身につけることができます。
通信制という学習方法は、働きながら学ぶ人々にとって貴重な機会を提供しています。
家族のサポート、経済的な計画、そして強い意志があれば、年齢に関係なく新たな挑戦を成功させることができます。
多くの先輩たちが歩んできたこの道を、あなたも歩み続けることで、きっと目標を達成できるはずです。








