はじめに
皆さんこんにちは。今回は、手術の歴史と最新の手術方法について、看護師・看護学生の皆さんにもわかりやすく説明していきたいと思います。手術室で働く機会のある看護師さんにとって、手術の基礎知識を理解することはとても大切です。
手術の歴史 – 昔の手術から現代まで
昔の手術は、現代とは全く異なる方法で行われていました。1800年代までは麻酔もなく、患者さんは痛みに耐えながら手術を受けていました。この時代の手術は、感染症のリスクも高く、多くの患者さんが術後の合併症で命を落としていました。
手術が大きく変わったのは、1846年にエーテル麻酔が発明されてからです。麻酔の登場により、患者さんの痛みを和らげながら、より丁寧な手術ができるようになりました。その後、1867年にリスターが消毒法を確立し、手術による感染症のリスクも大きく下がりました。
開腹手術からの進化
従来の開腹手術は、お腹を大きく切開して手術を行う方法でした。この方法には以下のような特徴があります。まず手術後の痛みが強く、患者さんは長期間の安静を強いられました。また、大きな傷跡が残るため、美容面での負担も大きかったのです。さらに、手術部位が大きいため、感染のリスクも高くなります。
看護師として知っておくべき重要なポイントは、開腹手術後の患者さんケアです。術後の痛みコントロールや、早期離床の支援が重要になってきます。また、大きな手術創があるため、創部の観察とケアも欠かせません。
内視鏡手術の革新
現代の手術で大きな進歩の一つが内視鏡手術です。内視鏡手術は、お腹に小さな穴を数個開け、そこから細い器具とカメラを入れて行う手術方法です。この手術方法により、患者さんの負担は大きく軽減されました。
内視鏡手術のメリットは数多くあります。まず、手術創が小さいため、術後の痛みが少なくなります。そのため、患者さんの回復も早くなります。また、出血量も従来の開腹手術と比べて少なくなります。看護師として覚えておきたいのは、内視鏡手術後は早期離床が可能という点です。
血管内手術の発展
血管内手術も現代医療の大きな進歩の一つです。この手術は、足の付け根や手首の血管から細い管(カテーテル)を入れて行う手術です。主に心臓や脳の血管の治療に使われます。
血管内手術の特徴は、体の表面を大きく切る必要がないことです。そのため、患者さんの体への負担が少なく、回復も早いのが特徴です。看護師として知っておくべきポイントは、術後の安静度管理と穿刺部位の観察です。
センチネルリンパ節ナビゲーション手術について
センチネルリンパ節ナビゲーション手術は、特に乳がん手術で革新的な進歩をもたらしました。センチネルリンパ節とは、がん細胞が最初に転移する可能性の高いリンパ節のことです。この手術方法では、色素や放射性同位元素を使って、センチネルリンパ節を特定します。
看護師として重要なのは、術前の放射性同位元素注入時の患者さんへの説明と支援です。また、手術後のリンパ浮腫予防の指導も重要な役割となります。この手術により、従来のように腋窩リンパ節を全て取る必要がなくなり、患者さんの術後のQOL(生活の質)が大きく改善されました。
脳神経外科手術の最新技術
脳神経外科領域でも、手術技術は日々進化しています。特に注目すべきなのが「覚醒下手術」です。これは、患者さんが意識がある状態で脳の手術を行う方法です。手術中に患者さんと会話をしながら、脳の重要な機能を温存することができます。
看護師として知っておくべきことは、覚醒下手術中の患者さんへの声かけやコミュニケーションの重要性です。患者さんの不安を和らげ、安心して手術を受けられるよう支援することが求められます。また、術中の体位管理も重要な看護業務となります。
ナビゲーション手術システムの活用
現代の手術室では、コンピューター支援による手術ナビゲーションシステムが活用されています。これは、術前のCTやMRIの画像を基に、手術中のガイドとして使用するシステムです。特に脳神経外科や整形外科の手術で多く使用されています。
看護師として重要なのは、手術機器の準備と管理です。ナビゲーションシステムを使用する手術では、機器のセッティングやキャリブレーションが必要となります。また、術中の機器トラブルにも迅速に対応できるよう、基本的な知識を持っておく必要があります。
チーム医療としての手術看護
現代の手術は、医師だけでなく、様々な職種が関わるチーム医療として行われています。手術室看護師は、チームの重要なメンバーとして、手術の安全性と質の向上に貢献します。
具体的な役割としては、以下のようなものがあります。まず、手術に必要な器械や器具の準備と管理です。また、術中の患者さんの状態観察や、清潔野の維持も重要な業務です。さらに、手術チームのコミュニケーションを円滑にする役割も担っています。
最新の手術室における感染対策
手術室での感染対策も、年々進化しています。空気清浄システムや手術器具の滅菌方法など、様々な面で改良が重ねられています。看護師として特に注意すべきは、手術時手洗いの徹底と清潔操作の遵守です。
まとめ
手術技術は日々進歩しており、患者さんにとってより安全で負担の少ない治療が可能になってきています。看護師として、これらの進歩について理解を深めることは、より質の高い看護ケアを提供するために重要です。特に手術室看護師は、最新の手術技術や機器について常にアップデートした知識を持ち、チーム医療の一員として患者さんの安全な手術に貢献することが求められます。
今後も手術技術は進化し続けるでしょう。私たち医療者も、その進歩に遅れることなく、知識と技術を磨いていく必要があります。そして何より、患者さん一人一人に寄り添い、安心して手術を受けていただけるよう、心のこもった看護を提供していきたいものです。








