矛盾や行き詰まりを克服するための新たなステージ
学問の進化は、矛盾や行き詰まりを克服し、さらに広く洗練された理論を構築することで実現してきました。このサイクルを繰り返すことで、多様な学問分野が誕生してきたのです。
現代においては、地球環境問題、戦争、生命倫理など、1つの学問分野だけでは解決できない複雑な問題が増えています。これらの問題に対処するためには、各学問分野の境界を越えて協力する新しい「学問のネットワーク」が必要とされています。
探求心がもたらす研究の意義
研究は、人間の探求心という本能に根ざしています。過去から現在、そして未来にわたるコミュニケーションを通じて人々が情報を交換し、人類が直面する様々な問題に対処していくための重要な手段です。
研究の目的を理解しよう
研究が人間の探求心に基づいていることを理解した上で、その目的を確認してみましょう。
- 物事や人間の事象をより広く深く理解するための活動。
- 自然界や人間世界の現象を言葉や記号を用いて理解しようとする方法。
- 疑問や問題を解決するために、科学的方法を用いて系統的に探求するプロセス。
研究の意義と過去の知識の再検討
研究は、過去にわかっている事柄を再検討し、改良や洗練を図ることを含みます。例えば、既存の文献で良いとされるケアを実践し、その効果を確認することや、さらに新しいケア方法を提案することが研究の一部です。
過去の知識には、伝統、権威、借用、試行錯誤、個人的経験、ロールモデルとメンターシップ、直観、推論、そして研究が含まれます。これらの知識が現代でも有効であれば、新たな研究の必要性は少ないかもしれません。しかし、現実には看護の現場で直面する健康問題は過去の知識だけでは解決できないことが多いのです。
研究テーマの見つけ方
研究を行うためには、研究テーマが必要です。テーマは現在の状況と望ましい状況とのギャップから生まれます。このギャップが問題や課題となり、研究のテーマとなります。
研究の起こり:「種」の発見
研究テーマを見つけるためには、日常の中で気になったことや疑問に思ったことを記録しておくことが重要です。例えば、実習中や看護ケアの中で気づいた小さな疑問でも、ノートに書き留めておきましょう。
具体的な状況とともにメモすることで、後にその疑問が研究テーマに発展する可能性が高まります。例えば、「終末期の家族ケアが気になる」というメモには、その時の状況や感じたことを詳細に記述しておくと良いでしょう。
研究テーマの成長
研究テーマは「種」から「樹木」へと成長させる必要があります。適切な時期に適切な土壌や水分が与えられることで、テーマは成長し、具体的な研究計画へと発展します。
看護研究の実践
看護研究は、看護の知識と技術を深め、患者ケアの質を向上させるための活動です。研究を通じて新しい知識や技術を得ることで、看護師はより効果的なケアを提供することができます。
研究のステップ
- 問題の発見とテーマの設定:日常の看護実践で気づいた疑問や課題をテーマとして設定します。
- 文献レビュー:過去の研究や文献を調査し、現在の知識を確認します。
- 研究計画の立案:研究の目的、方法、対象などを詳細に計画します。
- データ収集と分析:実際にデータを収集し、分析します。
- 結果の報告と共有:得られた結果を報告し、他の看護師や医療従事者と共有します。
看護研究の重要性
看護研究は、以下の点で重要です。
- 患者ケアの質の向上:研究によって得られる新しい知識や技術は、患者ケアの質を向上させます。
- エビデンスに基づく実践:科学的根拠に基づいた看護実践を行うことで、最適なケアを提供します。
- 問題解決能力の向上:研究を通じて問題解決能力が向上し、看護師としてのスキルが高まります。
- プロフェッショナルの成長:研究に取り組むことで、看護師としての専門性が高まり、プロフェッショナルとして成長します。
未来の看護研究
現代の看護研究は、複雑な問題に対処するために、各学問分野の協力が必要とされています。地球環境問題や生命倫理の問題など、単一の学問分野だけでは解決できない課題に対して、学問のネットワークが形成されつつあります。
研究は人類の探求心に根ざし、過去と現在、未来を通じたコミュニケーションによって発展してきました。看護師や看護学生として、研究の重要性を理解し、積極的に研究活動に取り組むことが求められます。
結論
看護研究は、看護の発展と患者ケアの質の向上に不可欠な活動です。研究を通じて得られる新しい知識や技術は、看護実践において重要な役割を果たします。看護師や看護学生として、研究の意義を理解し、積極的に研究活動に取り組むことで、より質の高い看護ケアを提供し、人々の健康と福祉に貢献することができるでしょう。
皆さんも、日常の看護実践で感じた疑問や課題を大切にし、研究の「種」を見つけて育てていきましょう。そして、未来の看護を共に創造していくために、研究活動に積極的に参加してください。