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看護師・看護学生のための肝炎完全解説:検査値の見方から看護まで

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はじめに

こんにちは。今日は看護師さんや看護学生の皆さんに、肝炎について分かりやすく解説していきます。肝炎は日本でも多い病気ですが、種類も多く、検査値の見方も複雑です。でも、基本をしっかり理解すれば、そんなに難しくありません。順を追って説明していきますね。

肝炎って何?基礎から理解しよう

肝炎は、簡単に言うと肝臓に炎症が起きている状態です。私たちの体の中で、肝臓は「化学工場」のような働きをしています。食べ物の消化を助けたり、体に有害な物質を解毒したり、タンパク質を作ったりと、とても重要な仕事をしています。

この肝臓が炎症を起こすと、まるで工場が故障したように、いろいろな問題が起きてきます。原因はいくつかありますが、主なものは以下の3つです。

ウイルス感染:A型、B型、C型などの肝炎ウイルスによるもの。
お酒の飲みすぎ:アルコールによる肝臓の障害。
自己免疫:体の免疫システムが自分の肝臓を攻撃してしまう状態。

肝炎の種類:3つの重要なタイプ

肝炎は大きく3つのタイプに分けられます。

急性肝炎

急性肝炎は、突然始まり、比較的短期間で経過する肝炎です。風邪のように急に発症し、適切な治療と休養で多くの場合は2-3ヶ月で治ります。主な症状は、疲れやすい、食欲がない、黄疸(皮膚や目が黄色くなる)などです。

劇症肝炎

急性肝炎の中でも特に重症なタイプです。肝臓の細胞が急激に壊れていくため、とても危険な状態です。意識障害などの重い症状が出ることもあり、緊急の治療が必要です。

慢性肝炎

6ヶ月以上続く肝炎を慢性肝炎と呼びます。特にB型やC型肝炎ウイルスによるものが多いです。症状はあまり目立たないことが多く、気づかないうちに進行していることもあります。

[続く – 検査値の見方や具体的な看護ケアについて詳しく解説していきます]

重要な検査値:何を見る?どう判断する?

肝炎の検査で最も重要なのは、以下の検査値です。

重要な検査値:何を見る?どう判断する?

肝炎の検査で最も重要なのは、以下の検査値です。

AST(GOT)とALT(GPT)

これらは肝臓の細胞が壊れると血液中に出てくる酵素です。AST、ALTともに通常は40 IU/L以下が正常ですが、肝炎になるとぐんと上昇します。

数値の上がり方によって、おおよその状態が分かります:
500 IU/L以上:急性肝炎の可能性が高い
1000 IU/L以上:かなり重症
2000 IU/L以上:劇症化の可能性あり

ちなみに、ASTはALTに比べて心臓や筋肉にも多く含まれています。そのため、ALTの方が肝臓の状態をより正確に反映すると覚えておくと良いでしょう。

γ-GTP(ガンマ-ジーティーピー)

お酒の飲み過ぎによる肝臓への影響を見るのに重要な検査値です。正常値は男性で80 IU/L未満、女性で30 IU/L未満です。この値が高いときは、まずアルコールの影響を疑います。

肝炎ウイルスの検査

ウイルス性肝炎を調べるための検査も重要です。主なものを見ていきましょう。

B型肝炎の検査

HBs抗原:現在B型肝炎ウイルスに感染しているかどうかを調べます。
HBs抗体:過去の感染や予防接種による免疫があるかを調べます。
HBc抗体:過去に感染したことがあるかを調べます。

C型肝炎の検査

HCV抗体:C型肝炎ウイルスに感染したことがあるかを調べます。
HCV-RNA:現在ウイルスが増殖しているかを調べます。

患者さんへの説明のポイント

検査結果を患者さんに説明する際は、以下のような説明が効果的です。

「AST、ALTという検査は、肝臓の細胞が壊れると数値が上がります。今回の検査では〇〇という値になっていて、肝臓に炎症が起きている可能性があります。でも、適切な治療を受ければ、多くの場合は良くなっていきますよ。」

看護のポイント:実践的なアプローチ

急性期の看護

急性肝炎の患者さんには、まず十分な安静が必要です。体を休めることが最も重要です。食事は消化の良いものを中心に、少しずつ摂取します。

特に注意が必要なのは、黄疸と意識状態の変化です。皮膚や目の色が黄色くなってきたり、様子がおかしくなってきたりしたら、すぐに医師に報告しましょう。

慢性期の看護

慢性肝炎の患者さんには、生活習慣の改善が重要です。特に以下の点に注意して指導します。

食事療法:バランスの良い食事を心がけます。特に、タンパク質は適度に摂取し、脂っこい食事は控えめにします。

飲酒:アルコールは完全に控えめにする必要があります。「少しなら大丈夫」という考えは危険です。

運動:激しい運動は避け、ウォーキングなど軽い運動を勧めます。

感染予防

B型・C型肝炎は血液を介して感染します。そのため、以下の点に注意が必要です:

  • 歯ブラシや剃刀の共用は避ける
  • 傷口は必ず消毒して包帯で覆う
  • 血液が付いたものの取り扱いには十分注意する

まとめ:臨床で活かせるポイント

肝炎の看護で特に重要なポイントは:

  1. 検査値の正しい理解と解釈
  2. 早期発見・早期対応の重要性
  3. 適切な生活指導
  4. 感染予防の徹底
  5. 合併症の予防

これらの知識を活かして、より良い患者ケアにつなげていきましょう。肝炎は適切な管理と治療で十分にコントロール可能な病気です。私たち看護師の役割は、患者さんの回復を支援し、より良い生活を送れるようサポートすることです。

日々の観察とケアを通じて、患者さんの異変にいち早く気付き、適切な対応ができるよう、しっかりと知識を身につけていきましょう。また、患者さんの不安や疑問に丁寧に答え、心理的なサポートも忘れずに行っていきましょう。

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