肝炎とは?
肝炎は、肝臓の炎症によって肝臓の機能が低下した状態のことです。肝臓は体の中でとても大事な役割を果たしているため、その機能が低下すると体にさまざまな影響が出ます。肝炎は急性肝炎、劇症肝炎、慢性肝炎の3つに分類されます。
肝炎の種類
急性肝炎 急に肝臓にダメージが加わり、肝細胞が壊れて炎症を起こします。症状が急激に現れるのが特徴です。
劇症肝炎 急性肝炎がさらに進行し、肝細胞が広範囲に壊れてしまう状態です。非常に重篤な症状が出ることがあります。
慢性肝炎 6ヶ月以上にわたって肝機能が低下し続ける状態です。ウイルス感染が長期間続くことが原因の一つです。
肝炎の主な検査
肝炎を診断するためには、いくつかの血液検査が行われます。以下に代表的なものを紹介します。
AST(GOT)とALT(GPT) これらの酵素は肝臓や心臓、筋肉などに多く存在し、これらの組織が壊れると血液中に増加します。急性肝炎ではASTやALTが大きく上昇し、慢性肝炎では中程度の上昇が見られます。
γ-GTP 肝細胞が壊れると数値が上昇します。アルコール性肝炎や慢性肝炎の診断に使われます。
肝炎ウイルスマーカー ウイルス性肝炎の診断には、ウイルスマーカーが重要です。例えば、B型肝炎ではHBs抗原やHBc抗体、C型肝炎ではHCV抗体やHCV-RNAなどがあります。
肝炎の診断と検査
肝炎を診断するためには、以下の検査を行います。
チモール混濁反応(TTT) 肝臓の障害を確認するための検査です。
硫酸亜鉛混濁反応(ZTT) こちらも肝臓の状態を把握するための検査です。
肝炎ウイルスの種類と検査
肝炎ウイルスにはいくつかの種類があり、それぞれのウイルスマーカーを使って感染の有無や状態を確認します。
A型肝炎ウイルス(HAV) 過去の感染を示すIgG型HA抗体や、現在の感染を示すIgM型HA抗体があります。
B型肝炎ウイルス(HBV) 感染の有無を示すHBs抗原や、過去の感染を示すHBc抗体などがあります。
C型肝炎ウイルス(HCV) HCV抗体やHCV-RNAを使って感染を確認します。
検査値の見方
ASTとALT 急性期には500~1000U/L以上に上昇し、劇症肝炎では2000U/L以上に上昇することもあります。慢性肝炎の場合は50~200U/L程度で変化します。
γ-GTP 肝細胞が壊れると数値が高くなります。男性では79U/L以上、女性では48U/L以上が異常とされます。
肝炎の検査のポイント
検査を行う際には、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 急性期ではASTがALTより高くなることが多い。
- 回復期ではALTがASTより高くなることが多い。
- 慢性肝炎ではALTがASTより高いことが多いが、アルコール性肝炎では逆になることが多い。
ウイルス性肝炎の検査の流れ
ウイルス性肝炎の検査は、以下のステップで行われます。
- 問診:患者さんの症状や病歴を確認します。
- 血液検査:ASTやALT、γ-GTP、ウイルスマーカーなどを測定します。
- 追加検査:必要に応じてTTTやZTTなどを行います。
肝炎の治療
肝炎の治療は、原因や状態によって異なります。以下に一般的な治療方法を紹介します。
- 急性肝炎:安静にして体力を回復させることが重要です。場合によっては入院が必要です。
- 劇症肝炎:集中治療が必要で、場合によっては肝移植が検討されます。
- 慢性肝炎:抗ウイルス薬やインターフェロン療法などが行われます。
まとめ
肝炎は肝臓の機能が低下する病気で、急性、劇症、慢性の3つに分類されます。診断にはASTやALT、γ-GTPなどの血液検査が重要で、ウイルス性肝炎の診断にはウイルスマーカーを使います。肝炎の治療は原因や状態によって異なりますが、早期発見と適切な治療が重要です。