はじめに
みなさん、こんにちは!今日は、看護の現場でよく出会うICG試験について、できるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。難しい医学用語はなるべく避けて、実践で使える知識を中心にお伝えしていきますね。多くの看護師さんが最初は戸惑うかもしれませんが、基本をしっかり理解すれば、決して難しい検査ではありません。
ICG試験の基本知識
ICG試験は、患者さんの肝臓の機能を評価するための重要な検査です。この検査では、インドシアニングリーン(ICG)という緑色の色素を使用して、肝臓がどのくらい効率よく働いているかを調べます。私たちの体の中で、肝臓はとても大切な働きをしています。食べ物の栄養を処理したり、体に入ってきた毒素を解毒したり、タンパク質を合成したり、胆汁を作ったりと、まさに体の化学工場といえる存在なのです。この肝臓の働きが悪くなってしまうと、様々な健康問題が引き起こされる可能性があります。そのため、早期発見と適切な治療のために、この検査が重要な役割を果たしています。
検査の実施手順
検査を始める前には、まず患者さんの体重を正確に測定する必要があります。これはICGの投与量を計算するために欠かせません。また、バイタルサインのチェックも重要で、患者さんの状態を把握しておくことが安全な検査につながります。必要な物品としては、ICG製剤、注射器、採血用具などを準備します。そして何より大切なのが、患者さんへの丁寧な説明と同意取得です。
実際の検査では、体重1キロあたり0.5ミリグラムのICGを静脈注射します。注射は通常、肘の静脈から行い、30秒以内で完了させます。その後、15分後に最初の採血を行います。もし15分値が15%以上の場合は、さらに30分後と45分後にも採血を行います。採血は反対側の腕から行うのが一般的です。これは、ICGを注入した側の血管では正確な値が測定できない可能性があるためです。
検査結果の評価について
ICG検査の結果を評価する際には、ICG停滞率という値を使用します。正常値は15分値で10%以下とされています。10%から15%の場合は境界域として扱い、15%以上の場合は異常値として判断されます。この値が高くなるほど、肝臓の機能低下が疑われます。
高値を示す代表的な病態としては、肝硬変、慢性肝炎、肝がん、胆汁うっ滞、急性肝炎などがあります。ただし、これらの診断は ICG検査の結果だけでなく、他の検査結果や臨床症状と合わせて総合的に判断されます。
患者さんへの説明と観察
患者さんへの説明は、検査の不安を和らげるために非常に重要です。検査の目的から始まり、具体的な実施方法、予想される不快感や副作用、検査にかかる時間などを、分かりやすい言葉で丁寧に説明していきます。特に、緑色の薬を使用することで尿の色が一時的に変化する可能性があることなども、あらかじめ説明しておくと患者さんの不安軽減につながります。
検査中は患者さんの様子を注意深く観察する必要があります。気分不良の有無、注射部位の状態、バイタルサインの変化、アレルギー反応の有無などに気を配ります。特に注射直後の数分間は、アレルギー反応の可能性があるため、十分な観察が必要です。また、採血のタイミングを正確に守ることも、信頼性の高い検査結果を得るために重要です。
検査後のケアと注意点
検査後は、まず採血部位の止血をしっかりと確認します。内出血や腫れが生じていないかもチェックします。患者さんには水分を十分に摂取するよう促します。これは、体内に投与されたICGの排出を促進するためです。また、検査当日は激しい運動を控えめにするよう指導します。
合併症への対応
ICG検査で起こりうる合併症としては、主に局所反応と全身反応があります。局所反応としては、注射部位の痛みや内出血、発赤・腫脹などが挙げられます。全身反応としては、めまいや吐き気、まれにアレルギー反応が起こる可能性があります。
アレルギー反応が疑われる場合には、迅速な対応が必要です。すぐにバイタルサインを測定し、医師に報告します。救急カートの準備や酸素投与の準備も行います。また、血管迷走神経反射が起きた場合は、患者さんを臥床させ、下肢を挙上させます。このような緊急時の対応手順を、常に頭に入れておく必要があります。
検査が必要となる主な疾患とその特徴
肝硬変は、肝臓の線維化が進行し、組織が硬くなってしまう病気です。アルコールの過剰摂取や肝炎ウイルスが主な原因となります。慢性肝炎は、肝臓の炎症が長期間続く状態で、ウイルス性肝炎が代表的です。定期的な経過観察が必要となります。
肝がんは、肝臓にがん細胞が発生する病気です。特に肝硬変の患者さんは、定期的な検査でがんの早期発見に努める必要があります。胆汁うっ滞は、胆汁の流れが阻害される状態で、黄疸の原因となることがあります。
看護師の役割と実践のポイント
ICG検査における看護師の役割は多岐にわたります。検査前の準備から、検査中の患者さんのケア、検査後のフォローアップまで、一連の流れを安全に管理することが求められます。特に重要なのは、患者さんの不安を理解し、適切な説明とケアを提供することです。
また、医師や臨床検査技師との連携も重要です。検査の時間管理や結果の記録、次の診療への申し送りなど、チーム医療の要として的確に対応する必要があります。さらに、緊急時の対応手順も把握しておく必要があります。
最新の知識と今後の展望
医療の世界は日々進歩しており、ICG検査に関する知見も更新され続けています。例えば、2016年4月には「原発性胆汁性肝硬変」という病名が「原発性胆汁性胆管炎」に変更されました。このような新しい情報もしっかりとキャッチアップしておく必要があります。
また、検査技術の進歩により、より正確で安全な検査方法が開発されつつあります。私たち看護師も、これらの新しい知識や技術を積極的に学び、より質の高い看護ケアを提供できるよう努めていく必要があります。
おわりに
ICG検査は、肝機能を評価する上で非常に重要な検査です。この検査を通じて得られる情報は、患者さんの治療方針を決定する上で貴重な指標となります。私たち看護師は、検査の意義を理解し、安全かつ正確な検査の実施をサポートすることで、患者さんの治療に貢献することができます。この記事で学んだ知識を、ぜひ日々の看護実践に活かしていただければ幸いです。