妊娠中の出血は、妊婦さんにとって大きな不安の原因となる症状の一つです。看護学生として、妊娠中の出血が示す可能性のある状態やその対処法を理解しておくことは非常に重要です。このブログでは、妊娠中の出血に関連する主な疾患や症状について、わかりやすく解説します。
【流産】
流産は、妊娠22週未満で妊娠が中断される状態を指します。流産には、妊娠12週未満に起こる「早期流産」と、妊娠12週以降22週未満に起こる「後期流産」の二つのタイプがあります。全妊娠の10〜15%が流産であり、その80%が早期流産です。
症状
流産の主な症状は、下腹部痛と性器出血です。下腹部痛は子宮の収縮によるもので、流産が進行すると痛みと出血が増加し、胎児やその付属物が排泄されると症状が軽減します。後期流産では、下腹部痛が陣痛に似た痛みを伴い、分娩と同様の進行を示します。ただし、頚管無力症の場合、明らかな下腹部痛はなく、子宮口の開大や破水が生じることがあります。
【早産・切迫流産】
早産は、妊娠22週から37週未満に分娩が起こる状態を指します。特に妊娠32週未満の早産は、新生児の予後に大きな問題を含むことが多いです。早産は全妊娠の6〜7%に発生します。
症状
早産や切迫流産の症状には、子宮収縮や性器出血が挙げられます。内診や経膣超音波検査によって、子宮頚管の開大や短縮が確認されることがあります。妊娠22週から36週6日までの期間に、下腹部痛や性器出血、前期破水などの症状とともに規則的な子宮収縮が見られる場合は、早産の兆候とされます。
処置
早産や切迫流産の場合、安静が重要です。さらに、子宮収縮抑制薬(塩酸リトドリンや硫酸マグネシウムなど)や抗菌薬、蛋白分解酵素阻害薬(ミラルリット)などが使用されることがあります。
【子宮外妊娠】
子宮外妊娠とは、受精卵が子宮以外の場所に着床し発育する状態を指します。全妊娠の0.5〜1%が子宮外妊娠であり、そのうちの98%が卵管外妊娠です。特に卵管膨大部や采部での妊娠が多く見られます。
症状
子宮外妊娠の主な症状は、下腹部痛と出血です。妊娠が進行するにつれて、これらの症状が悪化する可能性があり、早期に医療機関での診断と処置が必要です。
【前置胎盤】
前置胎盤は、胎盤が子宮下部に付着し、内子宮口を覆う状態です。胎盤が内子宮口を覆う程度により、前置胎盤、一部前置胎盤、辺縁前置胎盤に分類されます。
症状
前置胎盤では、痛みを伴わない突然の出血が特徴です。この出血は少量から中等量で繰り返し起こることがあります。前置胎盤が診断されている場合、内診により大出血が起こるリスクがあるため、超音波での診断が確定している場合には内診を避けることが重要です。
【常位胎盤早期剥離】
常位胎盤早期剥離は、正常に付着している胎盤が妊娠または分娩中に胎児が娩出される前に子宮壁から剥離する状態です。この状態は、母体と胎児に重大な影響を与える可能性があります。
症状
主な症状には、突然の下腹部痛と持続的な子宮収縮があります。これらの症状は、胎盤剥離の程度により異なりますが、重症の場合、DIC(播種性血管内凝固症候群)を引き起こす可能性があり、母体死亡率や児周産期死亡率も高くなります。
【胞状奇胎】
胞状奇胎は、妊娠中に受精卵の異常により胎盤の絨毛細胞が異常増殖する状態です。正常な妊娠と同様にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)が検出されますが、胞状奇胎には侵入奇胎や絨毛癌といった悪性度の高いものも存在します。
症状
症状には、無月経、妊娠兆候、妊娠悪阻、子宮の腫大などが見られます。これらの症状が見られた場合、早期に医療機関での診断と対応が必要です。
【子宮破裂】
子宮破裂は、妊娠または分娩時に子宮が破裂する状態を指し、産婦や胎児にとって非常に危険です。子宮破裂には、不全子宮破裂と全子宮破裂の2種類があります。
症状
症状は、破裂の程度によって異なりますが、過強陣痛により産婦が激しい痛みを訴え、頻脈や呼吸促迫、不安状態となることが特徴です。子宮破裂が起こると、陣痛が消失するものの、大量出血によりショック状態が急速に進行し、胎動や胎心音が停止することがあります。このような症状が見られた場合は、速やかに帝王切開を行う必要があります。
妊娠中の出血は、母体と胎児にとって重大な問題を引き起こす可能性があります。看護学生として、これらの状態を理解し、早期発見と適切な対応ができるように準備しておくことは非常に重要です。このブログが、皆さんの学習の一助となり、将来の臨床実践に役立つことを願っています。