看護実習で「患者を間違えたらどうしよう」「針刺し事故が怖い」「薬の投与ミスをしないか不安」と心配していませんか?
この記事では、看護学生が知っておくべき医療安全の基礎から実践的な事故防止策まで、実習で本当に役立つ情報を分かりやすく解説します。
この記事は以下のような人におすすめ!
- 看護実習を控えている看護学生
- 医療安全について基礎から学びたい方
- インシデント・アクシデントを防ぎたい新人看護師
- 医療事故の実例と対策を知りたい方
この記事を読めば、実習での不安が軽減され、患者の安全を守る看護師としての基本的なスキルが身につきます。
医療安全で最も重要なこと
医療安全において最も重要なのは、「人は間違いを犯すもの」という前提に立ち、システム全体で安全を確保することです。
完璧な人間はいません。重要なのは個人を責めることではなく、ミスが起こりにくい環境を作り、万が一ミスが起こっても患者に害が及ばないようなシステムを構築することです。
医療安全の基礎知識
医療安全とは?
医療安全とは、医療の質の向上を図り、患者および医療従事者の安全を確保するための組織的な取り組みです。
重要な用語の違い
ヒヤリハット・インシデント・アクシデントの区別
ヒヤリハット:
- 患者に実害はないが「ヒヤリ」「ハッ」とした出来事
- 例:患者確認時に別の患者のカルテを持参したが、投薬前に気づいた
インシデント:
- 医療従事者の行為により患者に何らかの障害が発生した事例
- 軽微な障害~中等度の障害まで
- 例:転倒により打撲したが、治療の必要なし
アクシデント(重篤な有害事象):
- 患者に重篤な障害や死亡をもたらした事例
- 例:薬剤の過量投与により重篤な副作用が発生
医療事故の現状
日本の医療事故報告件数(2023年):
- 医療事故報告:年間約400-500件
- ヒヤリハット報告:年間数十万件
- 実際の発生数:報告の10-100倍と推定
主要な事故の種類:
- 薬剤関連事故(約30%)
- 転倒・転落事故(約20%)
- 医療器具関連事故(約15%)
- 患者取り違え事故(約10%)
- 手術関連事故(約10%)
患者取り違え事故の防止
なぜ患者取り違えが起こるのか?
主な原因
- 思い込み:「いつものあの患者」という先入観
- 確認不足:リストバンドを見ずに声かけのみ
- 似た名前:同姓や類似した名前の患者の存在
- 環境要因:騒がしい環境、時間に追われている状況
高リスク場面
- 夜勤時・交代時
- 緊急時
- 多床室での処置
- 認知症患者の対応
- 小児患者の対応
確実な患者確認方法
フルネーム+生年月日の確認
正しい確認方法:
- 患者に名乗ってもらう:「お名前をおっしゃってください」
- リストバンド確認:フルネーム・生年月日・患者ID
- ダブルチェック:必要時は2人で確認
NGな確認方法:
- 「○○さんですね?」(誘導質問)
- リストバンドを見ずに声かけのみ
- 顔を見ただけでの判断
リストバンド確認のポイント
確認項目:
- 氏名(漢字とフリガナ)
- 生年月日
- 患者ID番号
- アレルギー情報
注意点:
- リストバンドの汚損・破損確認
- 付け替え・取り外しの禁止
- 複数のリストバンド装着時の確認
実習での患者確認チェックリスト
- [ ] 病室入室前にカルテで患者情報確認
- [ ] 患者に「お名前をおっしゃってください」と確認
- [ ] リストバンドで氏名・生年月日・患者IDを確認
- [ ] 投薬・処置前に再度確認
- [ ] 不明な点があれば指導者に確認
- [ ] 認知症等で応答困難な場合は必ず指導者と確認
薬剤関連事故の防止
薬剤事故の主要パターン
処方段階での間違い
- 薬剤名の類似による処方ミス
- 用量・用法の間違い
- 禁忌薬剤の処方
- アレルギー薬剤の処方
調剤段階での間違い
- 類似薬剤の取り違え
- 用量計算ミス
- 配合禁忌の見落とし
- ラベル貼付ミス
投与段階での間違い
- 患者取り違え
- 投与時間・間隔の間違い
- 投与経路の間違い
- 投与速度の間違い
6Rの原則(Right Patient, Right Drug, Right Dose, Right Route, Right Time, Right Documentation)
1. Right Patient(正しい患者)
- 患者確認の徹底
- リストバンドとカルテの照合
- 患者からの名乗り確認
2. Right Drug(正しい薬剤)
- 薬剤名の確認(商品名・一般名)
- 類似薬剤との区別
- アレルギー歴の確認
3. Right Dose(正しい用量)
- 処方量と調剤量の確認
- 計算間違いの防止
- 小児・高齢者の用量調整
4. Right Route(正しい投与経路)
- 内服・注射・外用の区別
- 血管内・筋肉内・皮下の確認
- 投与部位の適切性
5. Right Time(正しい時間)
- 投与時間の確認
- 投与間隔の遵守
- 食前・食後の区別
6. Right Documentation(正しい記録)
- 投与後の確実な記録
- 副作用・効果の観察記録
- 残薬・廃棄の記録
ハイリスク薬剤の管理
特に注意が必要な薬剤
インスリン:
- 単位間違い(U(単位)をmLと間違える)
- 種類の取り違え(速効性・中間型・持効性)
- 投与タイミングの間違い
抗凝固薬(ワルファリン・ヘパリン):
- 用量間違いによる出血リスク
- 定期的な血液検査の必要性
- 食事・他剤との相互作用
KCl(塩化カリウム):
- 高濃度による心停止リスク
- 必ず希釈して使用
- 投与速度の厳守
麻薬・向精神薬:
- 厳重な保管管理
- 使用量の記録
- 廃棄時の立会い
実習での薬剤安全チェックリスト
- [ ] 処方箋と薬剤の照合確認
- [ ] 患者のアレルギー歴確認
- [ ] 6Rの原則に基づく確認
- [ ] 投与前のダブルチェック
- [ ] 投与後の効果・副作用観察
- [ ] 正確な投与記録
- [ ] 疑問点は必ず指導者に確認
針刺し事故の防止と対応
針刺し事故の現状と感染リスク
発生状況
- 看護師の約70%が職業経験中に針刺し事故を経験
- 年間約6万件の針刺し事故が発生(推定)
- 実習生の事故も年間数千件発生
感染リスク
HIV感染リスク: 約0.3% HBV感染リスク: 6-30%(HBVキャリアの場合) HCV感染リスク: 約1.8%
針刺し事故の主要原因
使用中の事故
- 針を患者に刺す際の事故
- 採血・点滴中の患者の体動
- 不適切な針の持ち方
使用後の事故
- リキャップ時の事故(最も多い)
- 廃棄容器への投棄時
- 針の分離作業時
- 清拭・片付け時
廃棄容器関連
- 容器の8分目を超えた使用
- 不適切な廃棄方法
- 廃棄容器の移動時
針刺し事故防止策
基本的な予防策
リキャップの禁止:
- 使用済み針は絶対にリキャップしない
- ワンハンド技法の習得
- 安全器材の積極的使用
安全器材の使用:
- 安全機能付き注射針・採血針
- 針なし接続システム
- 自動安全機構付きデバイス
適切な廃棄:
- 廃棄容器は8分目まで
- 使用後は直ちに廃棄
- 廃棄容器を患者に近い場所に設置
作業環境の整備
- 十分な照明の確保
- 作業スペースの整理整頓
- 急がない・慌てない
- 疲労時は無理をしない
針刺し事故発生時の対応
直後の対応(5分以内)
- 流水で洗浄:傷口を圧迫せず流水で洗い流す
- 出血促進:軽く圧迫して出血を促す
- 消毒:アルコール系消毒薬で消毒
- 記録:事故の状況を記録
報告と検査(30分以内)
- 指導者・師長への報告
- 医師の診察
- 血液検査:HBs抗原・抗体、HCV抗体、HIV抗体
- 感染源患者の検査(同意が得られれば)
追跡検査と予防処置
HBV予防:
- HBワクチン接種
- HBIG(免疫グロブリン)投与
HCV予防:
- 定期的血液検査(6ヶ月間)
- 特異的予防法なし
HIV予防:
- 必要時:予防的抗HIV薬投与(72時間以内)
- 定期的血液検査(6ヶ月間)
実習での針刺し事故防止チェックリスト
- [ ] 作業前の環境確認(照明・スペース)
- [ ] 安全器材の適切な使用
- [ ] リキャップの絶対禁止
- [ ] 廃棄容器の適切な使用
- [ ] 患者の体動に注意
- [ ] 疲労時は指導者に相談
- [ ] 事故発生時の対応手順確認
転倒・転落事故の防止
転倒リスクの高い患者
高リスク患者の特徴
高齢者:
- 筋力低下・バランス能力低下
- 服薬による副作用(ふらつき)
- 認知機能低下
術後患者:
- 麻酔の影響
- 創部痛による動作制限
- 点滴・ドレーン類の装着
薬剤の影響:
- 降圧薬・利尿薬(起立性低血圧)
- 睡眠薬・精神安定剤(眠気・ふらつき)
- 鎮痛薬(眠気・めまい)
転倒リスクアセスメント
評価項目
- 年齢・性別
- 既往歴(転倒歴・骨折歴)
- 認知機能・意識レベル
- 運動機能・筋力
- 服薬状況
- 環境要因
リスクスコア評価
低リスク(0-2点): 標準的な注意 中リスク(3-5点): 注意深い観察 高リスク(6点以上): 厳重な監視
転倒予防策
環境整備
病室環境:
- ベッド周囲の整理整頓
- 適切な照明(夜間は足元灯)
- 滑りにくい床材・履物
- 手すりの設置
ベッド管理:
- 適切なベッド高(最低位)
- ベッド柵の適切な使用
- ストッパーの確実な固定
患者指導
- 無理をしない動作
- ナースコールの使用
- 履物の適切な選択
- 服薬の副作用説明
実習での転倒予防チェックリスト
- [ ] 患者の転倒リスク評価
- [ ] 病室環境の安全確認
- [ ] ベッド周囲の整理整頓
- [ ] 適切な履物の確認
- [ ] ナースコールの使用指導
- [ ] 移動時の付き添い・見守り
- [ ] 服薬後のふらつき確認
感染対策と院内感染防止
標準予防策(スタンダードプリコーション)
基本概念
すべての患者の血液・体液・分泌物・排泄物を「感染性がある」として取り扱う予防策
適用場面
- すべての患者ケア
- 血液・体液への接触可能性がある場合
- 損傷のある皮膚・粘膜への接触
- 汚染された器具・環境への接触
手指衛生の実践
手指衛生の5つのタイミング
- 患者に触れる前
- 清潔・無菌操作前
- 血液・体液曝露リスク後
- 患者に触れた後
- 患者周辺環境に触れた後
手洗い方法
流水と石鹸による手洗い:
- 15-30秒間の十分な洗浄
- 指先・爪の間・手首まで
- ペーパータオルで完全に乾燥
アルコール製剤による手指消毒:
- 3-5ml を手のひらに取る
- 手が乾くまで15-30秒間すり込む
- 目に見える汚れがある場合は石鹸と水で洗浄
個人防護具(PPE)の適切な使用
PPEの種類と使用場面
手袋:
- 血液・体液への接触時
- 損傷皮膚・粘膜への接触時
- 汚染された器具・環境への接触時
マスク:
- 飛沫感染のリスクがある場合
- 咳・くしゃみをする患者のケア時
- 無菌操作時
ガウン・エプロン:
- 衣服の汚染が予想される場合
- 大量の血液・体液への曝露リスク時
ゴーグル・フェイスシールド:
- 顔面への血液・体液の飛散リスク時
PPE着脱の正しい手順
着用順序:
- 手指衛生
- ガウン
- マスク
- ゴーグル
- 手袋
脱衣順序:
- 手袋(表面を触らずに脱ぐ)
- ガウン(内側を触りながら脱ぐ)
- 手指衛生
- ゴーグル
- マスク
- 手指衛生
実習での感染対策チェックリスト
- [ ] 手指衛生の5つのタイミング遵守
- [ ] 適切なPPEの選択・着脱
- [ ] 血液・体液への曝露予防
- [ ] 針刺し事故の防止
- [ ] 医療廃棄物の適切な分別
- [ ] 清潔・不潔の区別
- [ ] 患者の感染症情報確認
インシデント発生時の対応
発見時の初期対応
最優先事項
- 患者の安全確保:生命に関わる場合は救命処置優先
- 被害拡大防止:同様事故の連鎖を防ぐ
- 関係者への報告:指導者・医師への迅速な報告
報告すべき内容
- 発生日時・場所
- 関与した患者・職員
- 発生状況の詳細
- 患者への影響
- 実施した対応
インシデントレポートの書き方
記載のポイント
客観的事実を記載:
- 5W1H(いつ・どこで・だれが・なにを・なぜ・どのように)
- 推測や憶測は避ける
- 時系列で整理
感情的表現を避ける:
- 「うっかり」「つい」等の表現は使用しない
- 事実のみを簡潔に記載
- 責任追及的な表現は避ける
記載例
良い例: 「○月○日14:00、A病室の○○氏(80歳男性)に対し、血糖降下薬(グリメピリド1mg)を投与した。15:00に患者より「気分が悪い」との訴えがあり、血糖測定を実施したところ60mg/dLであった。医師に報告し、ブドウ糖投与により血糖値は改善した。」
悪い例: 「うっかり薬を間違えて投与してしまい、患者の具合が悪くなってしまった。」
再発防止策の検討
システム要因の分析
- 教育・訓練は十分だったか
- 手順・マニュアルは適切だったか
- 環境・設備に問題はなかったか
- 人員配置は適切だったか
改善策の立案
- 個人レベルの改善
- システムレベルの改善
- 教育・研修の実施
- 環境・設備の改善
実習で特に注意すべきポイント
実習前の準備
知識の習得
- 基本的な医療安全知識
- 実習先の安全方針・マニュアル
- 緊急時の連絡体制
- 基本的な看護技術の復習
心構え
- 「わからないことは必ず確認する」
- 「一人で判断しない」
- 「疲れた時は無理をしない」
- 「報告・連絡・相談を心がける」
実習中の安全行動
基本的な行動原則
確認の徹底:
- 患者確認の確実な実施
- 手技の前に指導者と確認
- 使用物品・薬剤の確認
報告・連絡・相談:
- 些細なことでも報告
- 判断に迷ったら相談
- 変化があれば即座に連絡
無理をしない:
- 体調不良時は申し出る
- 技術に不安があれば相談
- 時間に追われても慌てない
よくある実習での危険場面
患者確認不足
危険な場面:
- 多床室で隣の患者に処置
- 認知症患者で反応が曖昧
- 夜勤時の薄暗い環境
対策:
- 必ずリストバンド確認
- 不明時は指導者と確認
- 照明を適切に使用
薬剤取り扱い
危険な場面:
- 類似薬剤の取り違え
- 用量計算の間違い
- アレルギー歴の未確認
対策:
- 6Rの原則を厳守
- 計算は必ずダブルチェック
- 事前にアレルギー歴確認
感染対策不備
危険な場面:
- 手指衛生のタイミング間違い
- PPEの不適切な着脱
- 清潔・不潔の混同
対策:
- 5つのタイミングを意識
- 着脱手順を事前に確認
- わからない時は止まって確認
実践で使えるチェックリスト集
日常的な安全確認チェックリスト
勤務開始時
- [ ] 体調確認(疲労・体調不良なし)
- [ ] 受け持ち患者の基本情報確認
- [ ] 患者のアレルギー・禁忌事項確認
- [ ] 当日の予定・処置内容確認
- [ ] 緊急時連絡先の確認
- [ ] 必要物品の準備・点検
患者ケア時
- [ ] 患者確認(フルネーム・生年月日・ID)
- [ ] リストバンドとカルテの照合
- [ ] 手指衛生の実施
- [ ] 必要なPPEの着用
- [ ] 使用物品・薬剤の確認
- [ ] 手技前の指導者確認
勤務終了時
- [ ] 患者の状態変化の確認
- [ ] 実施ケアの正確な記録
- [ ] 物品の片付け・補充
- [ ] インシデント発生の有無確認
- [ ] 申し送り事項の整理
薬剤投与時安全チェックリスト
投与前確認
- [ ] 処方箋の確認(患者名・薬剤名・用量・用法)
- [ ] 患者のアレルギー歴確認
- [ ] 禁忌・相互作用の確認
- [ ] 薬剤の外観・期限確認
- [ ] 投与経路・時間の確認
- [ ] 指導者とのダブルチェック
投与時確認
- [ ] 患者確認(フルネーム・生年月日)
- [ ] 薬剤の最終確認
- [ ] 投与方法・速度の確認
- [ ] 患者への説明
- [ ] 投与中の患者観察
投与後確認
- [ ] 効果・副作用の観察
- [ ] 正確な記録(時間・用量・経路)
- [ ] 残薬・空容器の適切な処理
- [ ] 患者の状態変化確認
- [ ] 次回投与時間の確認
よくある質問(FAQ)
Q1. 実習でミスをしてしまった場合、どうすればよいですか?
A. まず患者の安全を最優先に考え、直ちに指導者に報告してください。隠そうとせず、正直に状況を説明することが重要です。ミスは学習の機会でもあります。指導者と一緒に原因を分析し、今後の予防策を考えましょう。
Q2. 針刺し事故を起こしてしまいました。どうすればよいですか?
A. 直ちに以下の手順で対応してください:
- 傷口を流水で洗浄し、軽く圧迫して出血を促す
- アルコール系消毒薬で消毒
- 指導者・師長に報告
- 医師の診察を受ける
- 血液検査を実施
- インシデントレポート作成
時間が重要なので、まず応急処置と報告を最優先に行ってください。
Q3. 患者確認で、患者が別の名前を名乗った場合はどうすればよいですか?
A. 患者の応答だけで判断せず、必ずリストバンドを確認してください。認知症や意識レベル低下により、正確に応答できない場合があります。リストバンドと処方箋等を照合し、疑問があれば指導者に確認しましょう。
Q4. インシデントレポートには何を書けばよいですか?
A. 以下のポイントを客観的事実として記載してください:
- 発生日時・場所
- 関与した人物
- 発生状況(5W1H)
- 患者への影響
- 実施した対応 感情的な表現や推測は避け、事実のみを簡潔に記載しましょう。
Q5. 実習中、指導者がいない時に緊急事態が発生したらどうすればよいですか?
A. 直ちに最寄りの看護師に声をかけ、必要に応じて医師を呼んでください。学生一人で判断・対応してはいけません。緊急事態では、まず患者の安全確保が最優先です。落ち着いて、周囲の医療スタッフの指示に従ってください。
まとめ
医療安全において最も重要なのは、「人は間違いを犯すもの」という前提に立ち、システム全体で安全を確保することです。
この記事で紹介したポイントをまとめると:
患者確認 では、フルネーム・生年月日・リストバンドによる確実な確認を徹底する
薬剤安全 では、6Rの原則に基づく多重チェックで事故を防止する
針刺し防止 では、リキャップ禁止と安全器材使用で感染リスクを最小化する
転倒予防 では、リスクアセスメントと環境整備で患者の安全を守る
感染対策 では、標準予防策と適切な手指衛生で院内感染を防止する
インシデント対応 では、隠さず報告し、システム改善につなげる
看護学生の皆さんにとって、実習は不安なことが多いかもしれません。しかし、正しい知識と技術を身につけ、「わからないことは確認する」「一人で判断しない」という基本姿勢を持てば、安全なケアを提供できます。
完璧な人間はいませんが、チーム全体で患者の安全を守ることはできます。この記事で学んだ知識を実習で活かし、将来、患者から信頼される看護師を目指してください。
実習で心がけたい3つの基本姿勢
1. 「わからないことは必ず確認する」
知ったかぶりは最も危険な行為です。疑問や不安があれば、恥ずかしがらずに指導者に確認しましょう。
2. 「一人で判断・行動しない」
学生の間は、どんな小さなことでも指導者と一緒に行うことが原則です。単独行動は避けましょう。
3. 「報告・連絡・相談を徹底する」
些細な変化でも報告し、判断に迷ったら相談する習慣をつけましょう。コミュニケーションが安全の基盤です。
医療安全は継続的な学習
医療安全は一度学べば終わりではありません。医療技術の進歩とともに新たなリスクも生まれ、安全対策も常に進化しています。
看護師になってからも、定期的な研修参加、最新ガイドラインの確認、同僚との情報共有を通じて、安全に関する知識とスキルを向上させ続けることが重要です。
患者中心の医療安全
最後に忘れてはいけないのは、医療安全の目的は「患者の安全と安心」であることです。技術や手順も大切ですが、患者一人ひとりを大切に思う気持ち、患者の立場に立って考える姿勢が、真の医療安全につながります。
皆さんが将来、患者から「この看護師さんがいてくれて安心」と言われる看護師になることを心から願っています。
関連記事
- [看護実習の基本|実習前に知っておきたいポイント]
- [感染対策の実践|標準予防策と手指衛生のすべて]
- [看護技術の基本|安全で確実な技術習得のコツ]
参考文献・関連サイト
- 厚生労働省「医療安全対策について」
- 日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」
- 日本看護協会「看護職の安全な業務遂行に向けて」
- 医療安全全国共同行動「いのちをまもるパートナーズ」
実習で使える医療安全アプリ・サイト
- 日本医療機能評価機構「ヒヤリ・ハット事例検索」
- 医薬品医療機器総合機構「医薬品安全性情報」
- 感染症情報センター「感染対策マニュアル」
この記事が、看護学生の皆さんの安全な実習と、将来の看護実践に役立つことを願っています。患者の安全を守る看護師として、共に学び続けていきましょう。









