看護実習で最初につまずくのが、ゴードンの11パターンの中でも第一番目にある「健康知覚・健康管理パターン」のアセスメントです。
「何を書けばいいのかわからない」「どこまで書けば十分なのか」と悩む看護学生はとても多いです。
この記事では、健康知覚・健康管理パターンのアセスメントの書き方を、具体的な記述例とあわせてわかりやすく解説します。
看護診断の選び方から情報収集のポイント、記録のコツまでまとめているので、実習の記録作成にそのまま役立てられます。
健康知覚・健康管理パターンとは
健康知覚・健康管理パターンは、ゴードンの機能的健康パターンの中でも最初に取り上げられる評価領域です。
ここでは、患者さんが自分の健康状態をどのように捉えているか、また病気に対してどのような管理行動をとっているかを広く評価します。
この領域のアセスメントが看護計画全体の土台になるため、情報収集の段階からしっかりと取り組む姿勢が大切です。
健康知覚とは「患者さんの認識・理解」、健康管理とは「実際の行動」です。
この2つを区別して考えることが、アセスメントの質を高める第一歩になります。
アセスメントを始める前に看護診断を決める
情報収集を進める前に、まずどの看護診断に焦点を当てるかを決めることで、集めるべき情報が明確になります。
健康知覚・健康管理パターンでよく選ばれる看護診断は以下のとおりです。
非効果的健康自主管理は、治療計画を日常生活にうまく取り入れられていない状態を指します。
成人転倒転落リスク状態は、転倒の可能性が高い状況にある患者さんに用いる診断です。
誤嚥リスク状態は、嚥下機能が低下している患者さんで優先される診断です。
これらを患者さんの状態に照らし合わせながら、最も優先度の高い診断を選んでいきます。
カルペニートの診断ハンドブックを使う場合
カルペニートの診断ハンドブックを使うときは、健康知覚・健康管理パターンに対応する以下の診断から選びます。
健康管理に関する診断として、非効果的健康維持行動、非効果的健康自主管理、健康自主管理促進準備状態などがあります。
損傷・リスクに関しては、誤嚥リスク状態、窒息リスク状態、成人転倒転落リスク状態、身体外傷リスク状態などが選択肢になります。
高齢者に関しては、高齢者虚弱シンドローム、高齢者虚弱シンドロームリスク状態が重要な診断です。
家族や地域に関しては、非効果的家族健康自主管理、非効果的地域健康管理なども対応する診断として挙げられます。
NANDA-Iを使う場合
NANDA-I看護診断では、第1領域のヘルスプロモーションからアセスメントに合った診断を選びます。
健康自己管理に関する診断として、健康自己管理不良、健康自己管理不良リスク状態、健康自己管理促進準備状態があります。
日常生活の管理に関しては、健康維持行動不良、家事行動不良、運動習慣促進準備状態なども視野に入れます。
ヘルスリテラシーに関しては、ヘルスリテラシー不足、ヘルスリテラシー不足リスク状態、ヘルスリテラシー促進準備状態があります。
高齢者に特有の診断として、高齢者フレイルシンドローム、高齢者フレイルシンドロームリスク状態なども選択肢として押さえておくことが大切です。
具体的なアセスメントの書き方
健康に対する認識の評価
患者さんが自分の健康状態をどのように捉えているかを確認することが出発点です。
「今の体の状態について、どのようにお感じですか?」という問いかけから始め、患者さん自身の言葉で語ってもらいます。
病気がある場合は、その病気についてどの程度の重さで捉えているか、治療の必要性をどのように考えているかも評価の対象です。
患者さんの健康観や、これまでの健康に対する姿勢は、看護計画の方向性を決める重要な情報になります。
記述例としては、「患者さんは自身の高血圧について、症状がないため大したことはないと話しており、定期受診の必要性に対する認識が薄い状態にある」のように記載します。
疾患に関する理解度の評価
患者さんが自分の疾患について、どの程度正しく理解しているかを評価します。
確認する内容は、病名・原因・主な症状・治療方法・今後の見通しなどです。
誤った理解や情報の不足がある場合は、それが健康管理にどのような影響を与えているかを分析します。
疾患の理解度は、治療への取り組みや自己管理の質に直接関わるため、丁寧に評価することが必要です。
記述例としては、「患者さんは2型糖尿病の診断を受けているが、食事療法と血糖値の関係については理解できていないと話しており、知識の不足が自己管理の妨げになっていると考えられる」のように記します。
受診行動と医療機関の利用状況
定期的な健康診断を受けているか、症状が出たときに適切に受診しているかを確認します。
かかりつけ医の有無、最終受診日、受診の頻度などを記録します。
予防接種の接種状況や、歯科検診の受診状況なども健康管理を評価する指標になります。
受診を妨げている要因がある場合は、その内容も評価の対象です。
記述例としては、「患者さんは高脂血症の既往があるにもかかわらず、仕事が忙しいことを理由に3年以上受診していない状態にある。自覚症状がないため問題ないと考えており、受診行動につながっていない」のように記します。
服薬管理の状況
処方された薬を正しく飲めているかどうかを評価します。
薬の種類・服用時間・飲み方を正確に理解しているかを確認します。
飲み忘れや自己判断での中断がないか、副作用の知識と対処方法の理解度も重要な評価項目です。
お薬手帳の活用状況や、複数の医療機関を受診している場合の薬の管理状況も確認します。
記述例としては、「降圧薬が処方されているが、副作用が怖いという理由で自己判断で服用を中断していることがある。薬の必要性や副作用への対処方法についての理解が不十分な状態と考えられる」のように記します。
生活習慣の評価
食事・運動・睡眠・休息などの基本的な生活習慣を評価します。
喫煙や飲酒の習慣がある場合は、その量・頻度、健康への影響についての認識を確認します。
規則正しい生活を送れているか、ストレスをうまく管理できているかも重要な評価項目です。
生活習慣病のリスク因子がある場合は、それに対する自覚と対策の有無も評価します。
記述例としては、「1日20本の喫煙習慣が20年以上続いており、健康への影響は理解しているが、やめられないと話している。禁煙に向けた具体的な行動はまだ取れていない状態にある」のように記します。
転倒転落リスクの評価
成人転倒転落リスク状態は、健康知覚・健康管理パターンでよく選ばれる看護診断の一つです。
歩行の状態、バランス能力、筋力、視力、聴力などの身体機能を評価します。
転倒の既往、めまいやふらつきの訴え、療養環境の安全性なども確認します。
転倒予防に対する意識や、実際に行っている予防行動も評価の対象です。
記述例としては、「患者さんは下肢筋力の低下と夜間のめまいがあり、過去1年間に2回の転倒歴がある。夜間トイレへの移動時に一人で歩いており、転倒転落のリスクが高い状態と考えられる」のように記します。


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誤嚥リスクの評価
誤嚥リスク状態は、高齢者や意識レベルの低下した患者さんで優先される診断です。
嚥下機能の評価、食事中のむせや咳の有無、食事の様子を観察します。
口腔内の状態、歯の有無、義歯の使用状況なども確認します。
食事形態の工夫や、食事姿勢への配慮ができているかも評価します。
記述例としては、「患者さんは脳梗塞後遺症による左側の口腔内感覚低下があり、食事中にむせが頻繁に見られる。水分摂取時にも咳が出ており、誤嚥性肺炎のリスクがある状態と考えられる」のように記します。
自己管理能力の評価
非効果的健康自主管理や健康自己管理不良は、治療計画を日常生活にうまく取り入れられていない状態を指します。
服薬の遵守状況、食事療法や運動療法の実施状況、定期受診の継続性などを評価します。
自己管理を妨げている要因が、知識不足なのか、意欲の問題なのか、経済的な事情なのかを分析することが大切です。
患者さんの価値観や優先していること、サポート体制なども考慮した総合的な評価が必要です。
記述例としては、「患者さんは糖尿病の食事療法の必要性は理解しているが、外食が多い職業柄、実践が難しいと話している。知識はあるものの環境的な障壁があり、自己管理が十分に行えていない状態と考えられる」のように記します。
ヘルスリテラシーの評価
ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を正しく理解し、自分の生活に活かす力のことです。
健康に関する情報をどこから得ているか、その情報を正しく判断できているかを確認します。
インターネットや書籍などの活用状況、情報の真偽を見極める力も評価の対象です。
医療者からの説明を理解し、疑問があれば質問できる力があるかどうかも重要な視点です。
記述例としては、「患者さんはインターネットで調べた情報をもとに、処方薬とは別のサプリメントを自己判断で服用していることがわかった。医療情報の正確な判断が難しい状態にあり、ヘルスリテラシーの向上が必要と考えられる」のように記します。
高齢者特有の評価項目
高齢者フレイルシンドロームは、加齢にともなう心身の機能低下が進んでいる状態を指します。
体重の減少、疲れやすさ、活動量の低下、筋力低下、歩行速度の低下などを評価します。
認知機能の変化、社会への参加状況、栄養状態なども広く評価します。
フレイルの予防や回復に向けた取り組みができているかどうかも確認します。
記述例としては、「患者さんは過去6ヶ月で体重が3kg減少しており、外出の頻度も月に数回程度まで低下している。筋力低下と疲労感の訴えもあり、フレイルが進行している状態と考えられる」のように記します。
情報の統合と分析
集めた情報を整理し、患者さんの健康知覚と健康管理の特徴を分析します。
健康に対する認識と実際の行動が一致しているかどうか、健康管理における強みと課題を明確にすることが大切です。
健康管理を妨げている要因や、改善の余地がある領域を特定します。
たとえば、糖尿病の患者さんで食事療法の必要性は理解しているにもかかわらず、実際には制限できていない場合は、「非効果的健康自主管理」という看護診断が導かれます。
知識と行動のずれがある場合は、その背景にある要因まで掘り下げて分析することで、より精度の高いアセスメントになります。
看護診断の決定
情報収集とアセスメントの結果をもとに、適切な看護診断を決定します。
診断名・関連因子・診断指標を明確に記載します。
成人転倒転落リスク状態の場合は、関連因子として下肢筋力の低下やバランス障害、診断指標として歩行時のふらつきや転倒歴などを記載します。
誤嚥リスク状態の場合は、関連因子として嚥下機能の低下や意識障害、診断指標として食事中のむせや咳の頻発などを記載します。
家族の健康管理能力の評価
患者さん本人だけでなく、家族の健康管理に対する理解と協力体制も評価します。
家族が患者さんの疾患や治療について理解しているか、適切なサポートができているかを確認します。
家族の健康管理能力が不十分な場合は、非効果的家族健康自主管理や家族健康管理不良という診断も考慮します。
記述例としては、「妻は患者さんの糖尿病について理解はあるが、食事管理の方法がわからず、毎食の献立で悩んでいると話している。家族への栄養指導の必要性があると考えられる」のように記します。
記録を書くときのポイント
主観的情報では、患者さんの言葉をそのまま引用することで、健康観や病気に対する認識を正確に伝えます。
客観的情報では、観察した行動や測定値を具体的に記載します。
評価の根拠を明確にし、なぜその看護診断に至ったのかを論理的に説明できるようにします。
時系列に沿った情報整理も、変化の把握に役立ちます。
実習でよくある間違い
健康知覚と健康管理を区別せずに混在させて書いてしまうことが多いです。
知覚は「患者さんの認識・理解」、管理は「実際の行動」として明確に分けて記述しましょう。
また、看護師目線だけの評価になりがちですが、患者さん自身の視点を反映させることが重要です。
患者さんの価値観や生活背景を考慮したアセスメントが、実践的な看護計画につながります。
見出し番号や箇条書きに頼りすぎず、情報を文章としてつなげて記述する練習も積んでいきましょう。
個別性を反映させる
年齢・性別・職業・経済状況・家族構成など、患者さん固有の背景を考慮します。
文化的背景や信仰も、健康観や健康管理の行動に影響を与えることがあります。
こうした個別性をアセスメントに反映させることで、より実践的で効果的な看護計画につながります。
「この患者さんだからこそのアセスメント」を意識することが、記録の質を大きく左右します。
リスク診断の重要性
健康知覚・健康管理パターンでは、リスク診断が多く選ばれます。
成人転倒転落リスク状態、誤嚥リスク状態、窒息リスク状態などは、問題が表れる前に予防的に介入するための診断です。
リスク因子を正確に評価し、優先順位をつけて対応することが、患者さんの安全を守る上で大切です。
リスク診断を選んだ場合は、なぜそのリスクが高いと判断したのか、その根拠となる情報を明記するようにします。
まとめ
健康知覚・健康管理パターンのアセスメントは、看護過程の出発点となる重要な評価領域です。
カルペニートやNANDA-Iから適切な看護診断を選び、患者さんの健康観と実際の健康管理行動を多角的に評価します。
疾患の理解度・服薬管理・生活習慣・転倒リスク・誤嚥リスク・自己管理能力など、広い視点からの情報収集が必要です。
集めた情報を統合して分析することで、根拠のある看護診断を導き出すことができます。
患者さんの個別性を反映させ、その人の強みを活かした看護介入につながるアセスメントを目指しましょう。








