ゴードンの11の機能的健康パターンを使った看護過程は、多くの看護学生が苦戦する課題の一つです。
特に、神経疾患であるパーキンソン病の事例では、どのパターンにどのような影響が出るのか、何を評価すればいいのかが分かりにくいです。
パーキンソン病は、運動症状だけでなく、栄養、排泄、認知、心理社会面など、多岐にわたる影響を及ぼします。
この記事では、パーキンソン病の患者に対するゴードン看護過程のアセスメントポイントを、11のパターンごとに詳しく解説します。
情報収集の視点と分析・解釈の視点を明確に分けて説明しますので、実習や課題に役立ててください。
パーキンソン病の基本を理解する
ゴードン看護過程を展開する前に、パーキンソン病の基本を理解しておく必要があります。
パーキンソン病は、脳の黒質におけるドーパミン神経細胞の変性により起こる神経変性疾患です。
主な運動症状として、振戦、筋固縮、無動・寡動、姿勢反射障害があります。
これらの症状により、日常生活動作に大きな支障が出ます。
また、非運動症状として、認知機能障害、自律神経症状、精神症状なども現れます。
ホーン・ヤールの重症度分類により、病期を評価します。
これらの知識を踏まえて、各パターンのアセスメントを行います。
健康知覚・健康管理パターン
このパターンでは、生活することに視点をおき、穏やかに過ごすための健康管理を考えます。
情報収集の視点として、これまでの健康管理状況について本人は健康管理にどのような意識を持っているのか、受療行動が適切に行えているのか、生活習慣、入院治療に対する説明の内容と理解状況を確認します。
分析・解釈の視点として、まず疾患病態生理を確認し進行状況はどうかを分析します。
療養者や家族が病気や治療についてどのように考えているか、また介護負担がどれくらいのものなのかを評価します。
健康の維持増進に向けて消極的にする原因は何があるかを考えます。
パーキンソン病は進行性の疾患であるため、本人や家族が病状の進行をどう受け止めているかが重要です。
また、人生の最終段階にある人の健康管理を考える視点も必要です。
栄養・代謝パターン
このパターンでは、パーキンソン病が栄養状態に及ぼす影響を知り、食生活の変調が生命にどう影響するか理解します。
情報収集の視点として、身長・体重・BMI、食事摂取状況、水分摂取状況、栄養状態、経管栄養の受け入れ状況、誤嚥の有無を確認します。
分析・解釈の視点として、疾患からの症状が栄養にどのような影響を及ぼすのかを考えます。
パーキンソン病では、嚥下障害により誤嚥のリスクが高まります。
筋固縮により咀嚼や嚥下の動作が困難になることもあります。
栄養・水分の摂取方法について適切な方法であるか、必要な栄養・水分摂取ができているかを評価します。
栄養の吸収・代謝に機能的・生理的な変化から予測されることは何かを考えます。
体重減少が見られる場合は、摂取量の不足か、代謝の亢進かを判断します。
排泄パターン
このパターンでは、排泄パターンを知り、適切な排泄方法を考えます。
情報収集の視点として、通常の排便パターン、回数、性状、不快感の有無、通常の排尿のパターン、排便コントロール上の問題はないかを確認します。
分析・解釈の視点として、排泄機能が生体に与える影響を考えます。
パーキンソン病では、自律神経障害により便秘や排尿障害が起こりやすくなります。
在宅における排泄方法は適切かを評価します。
運動症状により、トイレまでの移動が困難になることもあります。
そのため、排泄環境の調整や補助具の使用が必要かを判断します。
活動・運動パターン
このパターンでは、運動症状における弊害が心身にどのような影響があるか、現在の状態・状況との関連性について理解します。
情報収集の視点として、パーキンソン病の神経伝達障害が筋肉神経機能の障害が活動にどう影響するのか、ADLの自立度はどうか、資源の活用や治療などにより安全と活動運動の拡大や危険性についてどうかを確認します。
分析・解釈の視点として、パーキンソン病の運動症状の特徴を知りどのような動作が困難か判断します。
振戦により細かい作業が困難、筋固縮により動作が緩慢、姿勢反射障害により転倒リスクが高いなどを評価します。
セルフケア機能が生活の質にどのような影響を与えているのかを考えます。
ホーン・ヤールの重症度分類の示す意味を理解します。
重症度によって、どの程度の介助が必要か、どのようなリハビリテーションが適切かが変わります。
睡眠・休息パターン
このパターンでは、睡眠・休息が不十分であると身体への影響はどうか理解します。
情報収集の視点として、睡眠と休息に影響を与えている環境、人・物・空間・病気・障害などやその度合いはどうかを確認します。
分析・解釈の視点として、睡眠と休息に与える心理的不安や疾患からの影響はどうかを考えます。
パーキンソン病では、振戦や筋固縮により夜間の体位変換が困難になることがあります。
また、薬の副作用や精神症状により不眠が生じることもあります。
家族は十分な休息と睡眠を確保できているかも重要です。
在宅療養では、家族の介護負担が大きく、睡眠不足に陥りやすいです。
家族構成員の生活パターンが睡眠や休息に影響を及ぼしていないかを評価します。
認知・知覚パターン
このパターンでは、本人の意思と家族の思いを考え、本人の苦痛を軽減できるケアを考えます。
情報収集の視点として、パーキンソン病が及ぼす認知機能や知覚への障害、本人の認知機能の状況、本人の認知機能を家族はどのように受け止めているのかを確認します。
分析・解釈の視点として、パーキンソン病の症状や内服薬の副作用により認知機能がどのように変化するのかを考えます。
パーキンソン病では、進行に伴い認知機能障害が出現することがあります。
また、抗パーキンソン病薬の副作用で幻覚や妄想が生じることもあります。
本人の意思決定を家族はどのように捉えているのかを評価します。
認知機能が低下している場合、本人の意思をどう尊重するかが課題になります。
本人の苦痛を緩和する看護とその方法の指導も重要です。
自己知覚・自己概念パターン
このパターンでは、人生の最終段階にある人の自己概念の変容について理解します。
情報収集の視点として、医師からの説明の理解の程度、予後の受け止め方、パーキンソン病と診断されてからの思い、ボディイメージの変化を確認します。
分析・解釈の視点として、自分に対して、自分のボディイメージに対してどう思っているかを考えます。
パーキンソン病の運動症状により、できないことが増えていくことで、自己概念が変化します。
意思決定が可能な状況を判断することも重要です。
死を意識した人の心理を理解し、その人らしさを支える看護を考えます。
役割・関係パターン
このパターンでは、死を意識した上での家族間の役割関係について理解します。
情報収集の視点として、家族間のコミュニケーション、家族の疾患・社会資源に関する知識の有無、フォーマル・インフォーマルサポートの有無を確認します。
分析・解釈の視点として、家族の中で役割を遂行する意欲や行動が取れているかを考えます。
パーキンソン病の進行により、本人が担っていた役割が遂行できなくなることがあります。
介護に必要なケアの具体的な方法を提供できる状況や環境にあるかを評価します。
本人の選択と本人、家族の心構えが成立しているのかも重要です。
セクシュアリティ・生殖パターン
このパターンでは、成長発達段階と特徴を理解します。
情報収集の視点として、性別・年齢、発達段階、疾患が性的機能に変化をもたらしているかを確認します。
分析・解釈の視点として、病気や治療故に性的機能が障害されているかを考えます。
パーキンソン病では、運動症状や自律神経症状により性機能に影響が出ることがあります。
家族が介護することに疲れきって、うつ状態になっていないかも評価します。
介護負担が大きくなると、家族関係にも影響が出ます。
コーピング・ストレス耐性パターン
このパターンでは、危機理論やストレス・コーピング理論を活用し、患者の状況を理解します。
情報収集の視点として、本人・家族のストレスに対する対処方法、自分の感情や考え・困っていることを表出しているか、今の状況に立ち向かっているかを確認します。
分析・解釈の視点として、発達課題や状況課題に対してどんな反応を示しているかを考えます。
防衛的か、否認か、代償反応か、問題解決的反応かを評価します。
家庭管理の状況から、心の疲弊や反応の低下などがないか確認し、ストレス状態が危険な状態になっていないかを判断します。
家族間での心の交流が保てない状況になっていないかも重要です。
価値・信念パターン
このパターンでは、意思決定を支えるためにどのような情報が必要かを考え、家族の思いを満たすエンドオブライフケアを考えます。
情報収集の視点として、今までの生き方、趣味、信仰、本人・家族の意思表示はできているか、意思決定を支えるものは何かを確認します。
分析・解釈の視点として、信仰や生き方などその人の基盤となるものは何かを考えます。
本人家族の意思決定の機会は作られているのか、本人と家族でACPに関するズレは生じていないか、本人の意思が尊重されているのかを評価します。
パーキンソン病は進行性の疾患であるため、早い段階からACPについて話し合うことが重要です。
アセスメントのまとめ方
パーキンソン病のゴードン看護過程では、11のパターンすべてに影響が出る可能性があります。
しかし、すべてのパターンを同じ深さでアセスメントする必要はありません。
患者の状態や実習の目的に応じて、優先度の高いパターンを重点的にアセスメントします。
例えば、運動症状が顕著であれば、活動・運動パターンを詳しくアセスメントします。
在宅療養中であれば、役割・関係パターンやコーピング・ストレス耐性パターンも重要です。
エンドオブライフ期であれば、価値・信念パターンを丁寧にアセスメントします。
まとめ
パーキンソン病のゴードン看護過程では、疾患の特徴を理解した上で各パターンをアセスメントします。
運動症状だけでなく、非運動症状、心理社会的側面、家族への影響も評価します。
情報収集の視点と分析・解釈の視点を明確に分けることで、論理的なアセスメントができます。
疾患特有の影響を理解し、患者の個別性を捉えた看護を考えることが重要です。
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