小児看護実習で川崎病の患児を受け持つことは、多くの看護学生が経験します。
川崎病は全身性血管炎であり、循環器系への影響、急性期症状、発達段階への配慮など、複雑なアセスメントが必要です。
ヘンダーソンの14の基本的欲求を使った看護過程では、各欲求について何をアセスメントすべきか、どのような看護の方向性を導き出すかが求められます。
この記事では、川崎病の幼児に対するヘンダーソン看護過程のアセスメントポイントを、14項目ごとに詳しく解説します。
小児看護実習で使える具体的な情報収集の視点、分析のポイント、看護の方向性をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
川崎病の基本を理解する
ヘンダーソン看護過程を展開する前に、川崎病の基本を理解しておく必要があります。
川崎病は後天性心疾患であり、全身性血管炎です。
主な症状として、発熱、両側眼球結膜の充血、口唇の紅潮、いちご舌、発疹、四肢末端の変化、頸部リンパ節腫脹があります。
合併症として、冠動脈瘤が最も重要です。
急性期には、発熱、炎症反応の上昇、循環動態の変化が見られます。
これらの知識を踏まえて、各欲求のアセスメントを行います。
正常に呼吸する
川崎病は後天性心疾患であり全身性血管炎なので、循環への影響は呼吸項目でアセスメントします。
まず、患児の呼吸・循環機能の発達について一般論を述べます。
幼児期の呼吸器系、循環器系の形態的・機能的特徴を理解します。
次に、患児の呼吸、循環に関してどのような問題があるかを評価します。
患児の循環の状態を急性期症状、川崎病との関連から知識と情報を使いアセスメントします。
入院時のバイタルサインとして、脈拍、呼吸、SpO2の測定値を確認します。
検査データとして、胸部X線、心臓超音波検査、心電図モニター、血液データを評価します。
WBC、ESR、CRPなどの炎症マーカーの正常値と比較します。
病態からの呼吸・循環動態をアセスメントし、看護の方向性を導き出します。
問題を改善するための看護や具体的ケアについて考えます。
適切に飲食する
このニードでは、栄養、水分出納を評価します。
幼児にとって適切な食事摂取量であるかを判断します。
入院前との変化として、食事時間、回数、摂取方法、身長、体重、カウプ指数を確認します。
検査データとして、TP、Alb、Hbなどを評価します。
輸液による水分量として、体内に取り込まれる量を確認します。
幼児期の排泄機能を不感蒸泄と感蒸泄から捉えます。
不感蒸泄は皮膚、口腔からの蒸発です。
感蒸泄は排尿、排便です。
幼児期の基本的生活習慣からの飲食行動の自立度を評価します。
摂取行動などを確認します。
入院後の環境から成長発達にどのような影響があるか考えます。
食事摂取量に影響を及ぼす因子があるかを評価します。
身体的機能、心理社会的発達の視点から考えます。
咀嚼・嚥下機能障害、口腔内の状況、精神的ストレスなどです。
川崎病では、口腔内の症状として口唇の紅潮、いちご舌があり、食事摂取に影響します。
あらゆる排泄経路から排泄する
このニードでは、排泄機能、排泄習慣を評価します。
幼児期の排泄行動として、トイレトレーニング含む基本的生活習慣の獲得状態や自立度を踏まえた視点で捉えます。
排泄習慣の変化、排泄習慣形成の必要性があるかを評価します。
排泄に影響を与える因子があるかを確認します。
入院や急性期症状、安静度が排泄にどのように影響を与えているかを考えます。
排泄回数、性状、量、尿意、便意、発汗を確認します。
outバランス、食事、水分摂取状況も評価します。
血液データとして、BUNを確認します。
尿検査として、ケトン体、尿沈渣を評価します。
身体の位置を動かし、良い姿勢を保持する
このニードでは、活発に身体や手指を動かすことを評価します。
幼児期に活発に身体を動かすことの意義を理解します。
幼児期は運動機能が急速に発達する時期であり、活動を制限することは発達に影響します。
幼児期前期の運動機能として、粗大運動、微細運動の発達因子があるかを評価します。
急性期症状、床上安静、輸液療法から運動機能への影響因子があるかを確認します。
川崎病の急性期には、安静が必要な場合があります。
しかし、過度の安静は運動機能の発達を妨げます。
安静度と発達のバランスを考えた看護が必要です。
睡眠と休息をとる
このニードでは、睡眠、休息の習慣やパターンを評価します。
幼児にとって睡眠と休息をとることができるかを確認します。
睡眠時間、就寝、起床時間、寝つき、睡眠習慣の変化などです。
安眠、安楽を妨げる因子はないかを評価します。
痛み、苦痛、不安、精神的緊張、環境の変化、運動とバランスなどです。
川崎病の症状や環境の視点からアセスメントします。
発熱、発疹、リンパ節腫脹などの症状が睡眠に影響します。
また、入院環境の変化、見知らぬ医療者、医療行為なども不安要因です。
アセスメントした内容から看護上の問題と睡眠の援助を考えます。
適切な衣服を選び、着脱する
このニードでは、衣服の選択、着脱の自立度を評価します。
発熱、不感蒸泄増大などから必要な衣服の選択を考えます。
川崎病の急性期には、高熱が続くことがあります。
発汗が多い場合、吸湿性の良い衣服が必要です。
活動制限などから着脱に必要な視点で考えます。
輸液ラインがある場合、着脱しやすい衣服が望ましいです。
体温を生理的範囲内に維持する
このニードでは、体温調節機能を評価します。
体温が正常範囲内であるかを確認します。
体温、呼吸数、脈拍数、血圧など他のバイタルサインへの影響を評価します。
発汗、食欲、水分出納、脱水などの随伴症状も確認します。
川崎病による急性期症状から体温についてアセスメントします。
川崎病では、5日以上続く発熱が主要症状の一つです。
体温に影響を及ぼす要因として、環境、発達段階などを考えます。
生理機能特徴を踏まえてアセスメントします。
幼児は体温調節機能が未熟であり、環境温度の影響を受けやすいです。
身体を清潔に保ち、皮膚・粘膜を保護する
このニードでは、清潔保持、皮膚・粘膜の状態を評価します。
身体の清潔は保てているかを確認します。
入浴、洗髪、口腔ケア、陰部の状況、清潔習慣との比較です。
幼児期の新陳代謝の特徴や川崎病の急性期症状から皮膚と口腔の清潔の必要性を考えます。
川崎病では、発疹、口唇の紅潮、いちご舌などの皮膚・粘膜症状があります。
清潔行動の自立度を評価します。
基本的生活習慣の獲得と自立の視点で入院前と入院後の情報から考えます。
清潔保持の必要性が高まる因子があるかを確認します。
易感染性、皮膚の状態などです。
状況からどのような看護や看護ケアが必要か考えます。
環境の危険因子を避ける
このニードでは、安全、感染予防を評価します。
危険回避に対する知識や行動、安全教育の必要性はないかを確認します。
家族も含めて評価します。
幼児期の危険や安全の認知機能はどうかを考えます。
環境に危険なものはないか、転倒、転落の危険性はないかを評価します。
輸液ラインがある場合、転倒のリスクが高まります。
感染の危険性はないかを確認します。
入院そのものが及ぼす精神的影響も評価します。
環境変化、見知らぬ医療者、医療器具、医療行為などです。
幼児は環境の変化に敏感であり、不安や恐怖を感じやすいです。
自分の感情・欲求・恐怖・気分を表現して他者とのコミュニケーションを持つ
このニードでは、コミュニケーション能力を評価します。
幼児のコミュニケーション方法として、言語能力はどうかを確認します。
2歳児の言語発達の特徴を理解します。
幼児は感情、欲求、恐怖をどのように表現して相手とコミュニケーションをとっているかを評価します。
看護師、医療スタッフに自分の欲求、関心、希望などを表出しているかを確認します。
幼児は言語で十分に表現できないため、泣く、ぐずる、表情、身体の動きなどで示します。
これらの非言語的コミュニケーションを読み取る必要があります。
遊びやレクレーションに参加する
このニードでは、遊びの重要性を評価します。
幼児期の遊びの意義を理解します。
幼児期の遊びの種類や遊びと社会性から考えます。
入院前の発達段階に適応した遊びが出来ていない状況とその原因をアセスメントします。
症状や治療上の制限のある中で発達を促す遊びの必要性を考えます。
川崎病の急性期には、安静が必要な場合があります。
しかし、遊びは幼児の発達に不可欠です。
ベッド上でできる遊び、短時間の遊びなど、工夫が必要です。
学習し、発見し、好奇心を満足させる
このニードでは、学習能力、理解度を評価します。
正常な発達や健康を導くような学習についての知識の程度、理解度、意欲を確認します。
看護計画への参加度、計画を実行するうえでの困難の有無などです。
この事例の場合、母親、家族などを評価します。
幼児自身の理解度は限られているため、家族の理解と協力が重要です。
好奇心の満足は、遊びやレクレーションのアセスメント内容に含みます。
まとめ
ヘンダーソンの14の基本的欲求を使った川崎病の小児看護過程は、複雑ですが重要な学習です。
川崎病の病態、急性期症状、循環器系への影響を理解した上で、各欲求をアセスメントします。
幼児期の発達段階、基本的生活習慣の自立度、入院環境の影響も考慮します。
各欲求について、何が問題で、何が影響因子で、どのような看護が必要かを論理的に導き出します。
小児看護実習では、患児だけでなく、家族への支援も重要です。
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