看護学生が老年看護実習や在宅看護実習で必ず学ぶのが、介護保険施設です。
特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院という4種類の施設があり、それぞれ役割が異なります。
しかし、名前が似ていて、どの施設が何を目的としているのか、看護師の役割はどう違うのかが分かりにくいです。
この記事では、介護保険施設の4種類それぞれの特徴、看護師の役割、人員配置基準、対象者の違いを詳しく解説します。
実習や課題で介護保険施設について学ぶ際に、ぜひ参考にしてください。
介護保険施設とは何か
介護保険施設とは、介護保険法に基づいて設置された施設です。
要介護認定を受けた高齢者が、介護サービスを受けながら生活する場所です。
65歳以上が人口全体の29.1パーセントを占めており、日本は超高齢化社会です。
さらに2025年には、団塊の世代800万人全員が75歳以上になります。
このような背景から、介護保険施設の役割はますます重要になっています。
介護保険施設には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院の4種類があります。
それぞれの施設は、目的、対象者、提供するサービス、人員配置基準が異なります。
特別養護老人ホームの特徴
特別養護老人ホームは、通称、特養と呼ばれます。
特養は、常時介護が必要で在宅での生活が困難な高齢者が入所する施設です。
対象者は、原則として要介護3以上の高齢者です。
特養の目的は、終の棲家として、生活の場を提供することです。
医療的ケアよりも、日常生活の介護に重点が置かれます。
看護師の役割は、健康管理、服薬管理、医療的ケアの提供、急変時の対応などです。
特養では、介護職員が中心となり、看護師は医療面をサポートする立場です。
人員配置基準は、入所者3人に対して介護職員または看護職員1人以上です。
介護老人保健施設の特徴
介護老人保健施設は、通称、老健と呼ばれます。
老健は、病院と自宅の中間的な施設です。
対象者は、要介護1以上で、病状が安定しており、リハビリテーションを必要とする高齢者です。
老健の目的は、在宅復帰を目指したリハビリテーションと医療ケアの提供です。
入所期間は原則として3ヶ月から6ヶ月程度で、在宅復帰を前提としています。
看護師の役割は、医療的ケア、健康管理、リハビリテーションの支援、在宅復帰に向けた指導などです。
老健では、医師が常勤で配置されており、医療体制が整っています。
人員配置基準は、入所者3人に対して介護職員または看護職員1人以上です。
また、医師、理学療法士、作業療法士なども配置されています。
介護療養型医療施設の特徴
介護療養型医療施設は、医療の必要性が高い要介護高齢者のための施設です。
対象者は、要介護1以上で、長期療養が必要な高齢者です。
介護療養型医療施設の目的は、医療と介護の両方を提供することです。
しかし、介護療養型医療施設は、2024年3月末で廃止されました。
現在は、介護医療院への転換が進められています。
介護医療院の特徴
介護医療院は、2018年に新設された施設です。
介護療養型医療施設の転換先として位置づけられています。
対象者は、要介護1以上で、長期療養が必要な高齢者です。
介護医療院の目的は、長期療養のための医療と日常生活の支援を一体的に提供することです。
介護医療院は、Ⅰ型とⅡ型に分かれます。
Ⅰ型は、重篤な身体疾患を有する者や身体合併症を有する認知症高齢者を対象とします。
Ⅱ型は、Ⅰ型よりも容態が安定した者を対象とします。
看護師の役割は、医療的ケア、健康管理、終末期ケア、生活支援などです。
介護医療院では、医師が常勤で配置されており、充実した医療体制が整っています。
人員配置基準は、Ⅰ型では入所者6人に対して看護職員1人以上、Ⅱ型では入所者6人に対して看護職員1人以上です。
4施設の比較表
各施設の特徴を比較表でまとめます。
特別養護老人ホームは、要介護3以上、終の棲家、介護中心です。
介護老人保健施設は、要介護1以上、在宅復帰、リハビリ中心です。
介護療養型医療施設は、2024年3月末で廃止、医療と介護です。
介護医療院は、要介護1以上、長期療養、医療と生活支援です。
このように、各施設の目的と対象者が異なります。
看護師は、各施設の特徴を理解し、適切な看護を提供する必要があります。
人員配置基準の重要性
多くの介護保険施設の人員配置基準は、3対1の比率になっています。
つまり、入所者3人に対し、最低1人の介護職員または看護職員を配置する必要があります。
介護施設が適正なケアを提供するためには、一定数以上の人員確保が必要です。
人員配置基準に沿った十分な人員確保によって、想定外のトラブルを防ぎ、万が一事故などが発生しても早期発見と迅速な対処ができるように体制を整えておくことが求められています。
しかし、現実には人員不足が深刻な問題となっています。
人員不足によるサービスへの影響、安全管理上の体制整備の不十分さが課題です。
看護師の役割の明確化
介護保険施設では、看護師の役割を明確化することが重要です。
医療行為に伴う責任所在の不明確さが問題になることがあります。
看護師、介護職員、医師それぞれの役割を明確にし、連携体制を構築する必要があります。
例えば、痰吸引などの医療的ケアは、看護師が行うべき業務です。
しかし、人員不足により、介護職員が一定の研修を受けて行うこともあります。
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このような場合、誰がどこまで責任を持つのかを明確にする必要があります。
情報共有による質の向上も重要です。
看護師、介護職員、医師が定期的にカンファレンスを行い、利用者の状態や課題を共有します。
高齢者の最期を迎える場所
最期を迎える場所に関する希望で最も多いのは自宅です。
ついで、医療施設です。
しかし、実際の死亡場所は病院が最も多いです。
この希望と現実のギャップには、いくつかの理由があります。
自宅で最期を迎えたいという希望があっても、家族の介護負担、医療体制の不足、急変時の対応への不安などから、病院での看取りが選ばれることが多いです。
介護保険施設、特に特別養護老人ホームや介護医療院では、施設内での看取りを行うことも増えています。
看護師は、本人や家族の希望を尊重し、その人らしい最期を支える役割があります。
エリクソンの発達段階と高齢者看護
高齢者看護では、エリクソンの発達段階理論が重要です。
老年期の発達課題は、自己統合対絶望です。
自己統合とは、これまでの人生を振り返り、受け入れることです。
絶望とは、死を受け入れられず、様々な衰えに対して恐怖を抱く状態です。
80歳代は、人生を回顧する時期です。
大きな世の中や人類の秩序や意味の伝承と自分自身の人生を統合することが課題です。
看護師は、高齢者が自分の人生を肯定的に振り返り、自己統合を達成できるよう支援します。
傾聴、共感、尊重の姿勢が重要です。
認知症・高齢者ケアの倫理
認知症または高齢者ケアをするにあたって忘れてはいけないことがあります。
それは、すべて見抜かれているということです。
認知症・高齢者の方は、言葉ではうまく伝えられない場合でも、感受性が高く、行動ではっきりと示します。
医療・介護の現場で、介護者、病院の看護師、施設の職員からよく聞かれる言葉があります。
それは、何々してあげる、何々しちゃだめなどの言葉です。
もし自分が同じような言葉を使われたら、どう思うでしょうか。
子ども扱いされた、馬鹿にされたと不愉快になるはずです。
看護師は、高齢者を一人の大人として尊重し、適切な言葉遣いを心がける必要があります。
介護施設での安全管理
介護保険施設では、安全管理上の体制整備が重要です。
高齢者は、転倒、誤嚥、感染症など、様々なリスクを抱えています。
人員不足により、十分な見守りができないこともあります。
看護師は、リスクアセスメントを行い、事故予防策を講じる必要があります。
また、万が一事故が発生した場合の対応手順を明確にしておくことも重要です。
家族への報告、医師への連絡、記録の作成などを迅速に行います。
隠蔽は絶対にしてはいけません。
事故を隠蔽すると、信頼を失うだけでなく、法的責任を問われる可能性もあります。
医師・看護師・介護職との連携
介護保険施設では、医師、看護師、介護職、リハビリ職など、多職種が連携してケアを提供します。
それぞれの専門性を活かし、利用者に最適なケアを提供することが重要です。
医師との連携体制の構築も欠かせません。
特養では医師が常勤でない場合もあるため、嘱託医との連携が重要です。
老健や介護医療院では、医師が常勤で配置されており、医療的な判断を仰ぎやすいです。
介護職との連携では、日常生活の情報を共有し、健康状態の変化を早期に発見します。
定期的なカンファレンスを開催し、情報共有を徹底します。
実習で学ぶべきポイント
老年看護実習や在宅看護実習で介護保険施設に行く際、以下のポイントを学びます。
まず、施設の種類と目的を理解します。
特養、老健、介護医療院のどれに該当するのかを確認します。
次に、人員配置基準と実際の人員体制を確認します。
3対1の配置基準が守られているか、看護師と介護職の役割分担はどうなっているかを観察します。
また、利用者の特徴を把握します。
要介護度、疾患、ADL、認知機能などを評価します。
看護師の役割と業務内容を観察します。
医療的ケア、健康管理、多職種連携、家族への対応などを学びます。
さらに、高齢者の尊厳を守るケアが実践されているかを観察します。
言葉遣い、プライバシーへの配慮、意思決定の支援などです。
まとめ
介護保険施設には、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院の3種類があります。
それぞれ目的、対象者、提供するサービスが異なります。
特養は終の棲家、老健は在宅復帰、介護医療院は長期療養です。
看護師は、各施設の特徴を理解し、適切な看護を提供する必要があります。
人員配置基準を守り、多職種と連携し、高齢者の尊厳を守るケアを実践します。
2025年問題を控え、介護保険施設の役割はますます重要になります。
看護学生は、実習や課題を通じて、介護保険施設について深く学びましょう。
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