精神看護学実習を前に不安で買った参考書
看護学生だった私が精神看護学実習を3週間後に控えた頃、他の領域とは全く違う精神看護の難しさに戸惑っていました。
身体的な観察だけでなく、患者さんの心理状態や対人関係まで含めたアセスメントが必要だと聞き、どうやって記録を書けばいいのか途方に暮れていたんです。
そんな時、Amazonで星4.0の評価を見つけた『全人的視点にもとづく精神看護過程 第2版』。
2,860円という価格は学生の私には安くありませんでしたが、精神実習を乗り切るためには必要だと思って購入しました。
レビューにはアセスメント例が分かりやすいという声や、記録が楽に進められたという評価があり、これで何とかなるだろうと期待していたんです。
しかし実際に精神実習が始まると、この本だけでは到底対応できない現実に直面することになりました。
結局、別の資料を探したり、先輩や指導者に頼ったりする日々が続きました。
この本の本当に評価できる点
まず公平を期すために言っておきますが、この本は精神看護を学ぶ上で非常に価値のある教材です。
統合失調症、抑うつ障害、アルコール使用障害、摂食障害、認知症、発達障害と、精神実習で出会う可能性の高い6つの疾患の事例が収載されています。
特に素晴らしかったのは、ゴードンの機能的健康パターンを精神看護に応用したアセスメントガイドです。
11のパターンそれぞれについて、精神看護における観察のポイントが具体的に示されていて、何を見ればいいのかが分かりやすかったです。
全人的視点という考え方も、精神看護の本質を理解する上で非常に勉強になりました。
患者さんを疾患だけで見るのではなく、生活者として全体的に捉えるという視点は、看護観を形成する上で大きな影響を受けました。
事例展開も段階を追って丁寧に説明されていて、看護過程の流れが理解しやすかったです。
基本情報から始まり、アセスメント項目と視点、アセスメントの結論、関連図、課題抽出、看護計画まで、一連のプロセスが示されています。
精神看護における看護診断の考え方や、NANDAを使った看護問題の立て方も基本的なレベルでは理解できました。
急性期から回復期、退院に向けた場面まで、時期別の看護過程も学べて有意義でした。
試験対策や事前学習の際には、この本を何度も読み返して理解を深めることができました。
精神看護の基礎知識を固めるという意味では、本当に良い教材だと思います。
しかし実習記録を書く段階で直面した厳しい現実
ところが、いざ精神実習が始まって記録を書こうとすると、次々と問題が明らかになっていったのです。
学校独自のフォーマットには全く対応していない
最大の問題は、この本の記録形式と私の学校の記録用紙が全然違ったこと。
私の学校では情報収集シートがA3サイズで、ゴードンの11パターンに加えて、精神症状の詳細な記録欄、薬物療法の記録、社会資源の活用状況など、項目が細かく指定されていました。
しかし本に載っている事例は、もっと簡略化されたコンパクトな形式でした。
アセスメントの記載方法も、私の学校が求める詳細さとは大きく異なっていたのです。
精神看護特有の対人関係のプロセスレコードの書き方も、本では詳しく触れられていませんでした。
実習初日に指導者から記録用紙を渡された時、本と全然違うフォーマットを見て不安になったことを今でも覚えています。
結局、この本の事例を参考にしようと思っても、どこに何を書けばいいのか分からず、実習病棟の看護師さんに何度も質問することになりました。
正常範囲の事例が中心で実際の患者さんと乖離がある
本書に収載されている事例は、比較的状態が安定している患者さんが中心です。
しかし実習では、急性期で症状が激しい患者さんや、複数の問題を抱えた複雑なケースを受け持つことも少なくありません。
私が受け持たせていただいた患者さんは、統合失調症に加えて糖尿病と高血圧を持ち、さらに家族関係にも深刻な問題を抱えていました。
幻聴や妄想が強い急性期の患者さん、自殺念慮が強い抑うつ状態の患者さん、暴力のリスクがある患者さんなど、様々な状況があります。
身体合併症を持つ精神疾患患者さんへの看護は、本書では十分にカバーされていません。
実習で受け持った患者さんが本の事例と異なる場合、結局は別の資料を探さなければならず、この本だけでは対応できませんでした。
アセスメントの文字数が全く足りない
本に書かれているアセスメントは、要点が簡潔にまとめられていますが、学生の記録としては不十分でした。
実習記録で求められる詳細さとは、比較にならないほどの差があります。
本では1つのアセスメント項目が5〜8行程度で済まされていますが、私の学校では最低でも20〜30行、重要な項目では1ページ以上書くことを求められました。
たとえば、患者さんの発言1つをとっても、その背景にある心理状態、疾患との関連、対人関係への影響、看護介入の必要性まで、詳細に記述する必要がありました。
患者さんの一言一句を記録し、その意味を深く考察することが求められたのです。
本のレベルでは、実習で求められる深さには全く到達できませんでした。
検査データや正常値の記載が不十分
精神疾患の患者さんでも、血液検査や画像検査のデータは重要です。
特に向精神薬を服用している患者さんは、肝機能や腎機能、血液像などのモニタリングが必須です。
しかし本には、こうした検査データの記載が少なく、正常値も示されていません。
実習記録では、すべての検査データに正常値を併記し、異常値には下線を引いて、その意味を考察する必要がありました。
薬物血中濃度や副作用のモニタリングについても、もっと詳しく知りたかったです。
身体面のアセスメントが薄いため、精神症状と身体症状の関連を考察する際に困りました。
アセスメントの根拠となるエビデンスが薄い
本書のアセスメントを読んでいて最も感じたのは、根拠となるエビデンスの不足です。
実習記録では、なぜそう判断したのかという根拠を、文献を引用して明確に示す必要がありました。
精神医学の教科書、看護理論の文献、研究論文など、具体的な出典を明記することが求められたのです。
しかし本のアセスメントは、どの文献を参照したのかが不明確で、そのまま参考にすることができませんでした。
私は実習指導者から、すべてのアセスメントに文献の引用を入れるよう厳しく指導されました。
なぜこの症状がこの疾患で起こるのか、その病態生理やメカニズムを、教科書のページ数まで示して説明する必要があったのです。
結局、DSM-5や精神医学の教科書、看護理論の本などを読み漁ることになりました。
看護理論の活用が不十分
実習で驚いたのが、看護理論を用いたアセスメントが必須だったことです。
ペプロウの人間関係論、トラベルビーの人間対人間の看護論、オーランドの看護過程論など、精神看護に関連する理論を用いて患者さんを理解することが求められました。
治療的関係の構築プロセスを、理論に照らし合わせて説明する必要があったのです。
しかし本書では、こうした看護理論への言及が少なく、理論を活用したアセスメントの書き方が学べませんでした。
理論的枠組みのないアセスメントは、単なる観察記録に過ぎないと指導者から指摘されました。
患者さんとの関わりを理論的に説明し、看護介入の根拠とする必要があったのです。
プロセスレコードの書き方が分からない
精神看護実習で最も重要なのが、プロセスレコードです。
患者さんとの会話を逐語的に記録し、そのやり取りを分析する作業ですが、本書ではこの書き方が詳しく説明されていません。
患者さんの言葉、自分の返答、その時の感情、考えたこと、評価と課題まで、細かく記録する必要がありました。
しかし本には、プロセスレコードの具体例や書き方のポイントがほとんど載っていなかったのです。
私はプロセスレコードの書き方が分からず、実習前半は何度も書き直しを命じられました。
治療的コミュニケーション技法の活用や、非治療的な関わりの分析など、高度なスキルが求められたのです。
PES形式での看護問題の記述が不明確
看護診断の基本であるPES形式についても、本書では十分に説明されていません。
PESとは、Problem、Etiology、Symptomsの略で、看護問題を構造化して記述する方法です。
私の学校では、看護問題は必ずPES形式で記載することが求められました。
しかし本の事例では、PES形式が明確に示されていない部分もあり、どう書けばいいのか分かりませんでした。
精神看護特有の看護問題、例えば社会的孤立や非効果的対処などを、PES形式でどう表現するのか、もっと詳しく知りたかったです。
看護計画の具体性が欠けている
本に載っている看護計画も、学生の記録としては抽象的すぎました。
実習では、いつ・誰が・何を・どのように実施するのかを明確に記載する必要があります。
観察項目だけでなく、観察の頻度、時間帯、患者さんへの声かけの内容、評価基準まで求められました。
例えば、患者さんとの面談は毎日何時から何分間、どんなテーマで話すのか、具体的に計画する必要がありました。
しかし本の事例では、そこまでの具体性はありませんでした。
精神看護特有の関わり方、例えば境界線の保ち方や、治療的距離感の取り方なども、もっと詳しく知りたかったです。
なぜ市販の参考書では精神実習記録が書けないのか
精神実習を経験して、私は重要な事実に気づきました。
精神看護実習の記録様式は、施設や学校によって極めて大きく異なるのです。
ゴードンを使う学校もあれば、ヘンダーソンを使う学校もあります。
ストレングスモデルを重視する実習もあれば、病理モデルで展開する実習もあります。
私の学校では、患者さんの強みに焦点を当てたリカバリー志向の看護過程が求められましたが、本書はどちらかというと問題志向型でした。
市販の参考書は、あくまで一般的な内容を扱っているだけで、あなたの学校の教育方針や実習施設の特性には対応していないのです。
2,860円という金額を払っても、実際の記録を書く段階で使えないという厳しい現実があります。
同じ統合失調症の患者さんでも、学校によってアセスメントの視点や記録の書き方が全く違うことを、私は身をもって知りました。
学生時代の私が本当に必要としていたサポート
私自身、この本だけでは不安で、結局は先輩や実習病棟の看護師さんに何度も相談しました。
でも、先輩も実習や国試勉強で忙しく、看護師さんも業務があって時間を取ってもらうのが心苦しかったです。
指導教員からの指摘は厳しく、プロセスレコードを何度書き直したか分かりません。
記録を書くのに毎晩深夜1時2時までかかり、睡眠時間は3時間程度。
患者さんとの関わりよりも記録に追われる日々で、これが本当に看護なのかと疑問に思うこともありました。
卒業してから知って本当に悔しかったのが、個別対応型の精神看護過程支援サービスの存在です。
後輩たちがこのサービスを使っていると聞いて、学生時代の私にも教えてほしかったと心から思いました。
このサービスの素晴らしい点は、あなたの学校専用のフォーマットに合わせて、実習記録の書き方を具体的にアドバイスしてくれること。
ゴードンでもヘンダーソンでも、ストレングスモデルでも問題志向型でも、どの枠組みにも対応しています。
情報収集からアセスメント、プロセスレコード、看護計画、実施・評価まで、一貫してサポートしてもらえます。
何より、あなたの受け持ち患者さんの状況に応じた、完全オーダーメイドの支援が受けられるのです。
市販の参考書では絶対に得られない、実践的で即戦力になるアドバイスがここにはあります。
学校独自の評価基準を熟知したサポートなので、指導者から高評価をもらえる記録が書けるようになります。
検査データの記載方法、エビデンスに基づいたアセスメント、看護理論を活用した考察、PES形式での看護問題の記述まで、トータルでサポートしてもらえるのです。
プロセスレコードの書き方や、治療的コミュニケーション技法の活用方法も教えてもらえます。
精神症状と身体症状の関連をどう考察するか、薬物療法の評価をどう記録するか、社会資源の活用をどう計画するか。
こうした実習で本当に必要なスキルが、個別指導で身につきます。
まとめ:学生時代の私から精神実習を控える後輩たちへ
精神看護の参考書は、理論を学んだり試験対策をするには本当に良い教材です。
この『全人的視点にもとづく精神看護過程 第2版』も、精神看護の基礎を学ぶには優れた一冊だと思います。
しかし、実習記録を完成させるには明らかに力不足なのです。
2,860円の本を買っても結局実習では使えなかったという私と同じ経験をしてほしくありません。
あなたの学校、あなたの実習施設、あなたの受け持ち患者さんに合わせた看護過程を一緒に作り上げていく。
そんな寄り添い型のサポートこそが、精神実習を乗り切る最良の方法だと、卒業した今だからこそ強く感じます。
記録に追われて患者さんとの治療的関係構築が疎かになってしまう前に、効率的な学び方を選択してください。
個別サポートを利用すれば、実習で評価される記録が書けるようになり、自信を持って患者さんと向き合えるようになります。
精神看護実習は、他の領域とは全く異なる難しさがあります。
その負担を少しでも軽くして、本来の目的である患者さんとの治療的コミュニケーションに時間を使えるようにしませんか。
学生時代の私が一番欲しかったのは、参考書ではなく、私の学校の記録用紙に合わせた、私の患者さんに合わせた、具体的で実践的なアドバイスだったのです。
あなたには、私のような遠回りや苦労をしてほしくありません。







