尿閉リスク状態にある患者さんのケアで悩んでいませんか。 術後や高齢の患者さんに尿が出にくい状態が起きて、どう対応すればいいのか迷っている看護師や、実習で尿閉リスクのある患者さんを受け持っている看護学生は、少なくないと思います。
この記事では、尿閉リスク状態にある患者さんに対する看護計画を、エビデンスに基づいて詳しく解説していきます。 評価の方法や援助の手順、指導のポイントまで、そのままケアに活かせる内容にしているので、ぜひ読んでみてください。
この記事が役に立つのは以下のような方です。 外科病棟や泌尿器科で尿閉リスクの患者さんをケアする看護師や、実習で術後患者さんを受け持つ看護学生などです。
尿閉とは
まず基本的なところから確認していきましょう。 尿閉とは、膀胱に尿が溜まっているのに排出できない状態のことです。 尿が出ないことで膀胱が大きく張って、下腹部の痛みや不快感が起きてきます。
尿閉には急性と慢性の2つのタイプがあります。 急性尿閉は、急に尿が全く出なくなる状態で、強い痛みや苦痛を伴うことが多いです。 慢性尿閉は、少しずつ尿が出にくくなっていき、膀胱に残る尿の量が増えていく状態です。
尿閉を放置すると、膀胱や腎臓に負担がかかり、腎機能の低下や尿路感染症などの合併症が起きる可能性があります。 そのため、早めに気づいて対応していくことが大切です。
なぜ尿閉になるのか
尿閉になる原因は、いくつかのものが重なって起きていることが多いです。
手術や麻酔の影響で尿閉が起きやすくなります。 全身麻酔や脊髄麻酔を受けた後は、膀胱の動きや感覚が鈍くなることがあり、尿が出にくくなりやすいです。 術後は特に注意して観察していく必要があります。
前立腺肥大症は、男性の尿閉の原因として多いものです。 前立腺が大きくなると、尿道が圧迫されて尿が出にくくなります。 高齢の男性患者さんでは、この点を確認しておくことが大切です。
薬の副作用も尿閉の原因になることがあります。 抗コリン薬や抗ヒスタミン薬、オピオイド系の痛み止めなどは、膀胱の収縮を弱める作用があるため、尿が出にくくなることがあります。 患者さんが使っている薬を確認して、尿閉との関連を見つけていくことが必要です。
神経の障害も尿閉の原因になります。 脊髄損傷や糖尿病性神経障害などがあると、膀胱の神経が影響を受けて、尿が出にくくなることがあります。
そのほかにも、ストレスや不安も尿閉に関わることがあります。 入院や手術への不安が強いときは、精神的な緊張が膀胱の動きに影響することがあります。
尿閉リスク状態の見つかり方
尿閉リスク状態にある患者さんは、以下のような状態のときに気づくことが多いです。
手術後の患者さんや、前立腺肥大症の既往がある患者さんは、尿閉になりやすいです。 また、尿が出にくい薬を使っている患者さんや、神経の障害がある患者さんも、尿閉リスクが高くなります。
アセスメントの際には、排尿の頻度や量、最後に排尿した時間、下腹部の張り感や痛み、使っている薬などを確認していくことが大切です。
尿閉リスク状態の看護目標
ここでは、看護計画の中で使えるような目標を設定していきます。
長期目標
患者さんが尿閉になる原因を理解し、自分でも予防策を続けられるようになり、正常な排尿パターンに戻れる。
短期目標
排尿が規則的にできるようになり、膀胱に尿が溜まりすぎない状態を維持できる。
患者さんが尿意を感じたときに、すぐにトイレに行けるようになる。
下腹部の張り感や痛みがなくなり、排尿時の苦痛が軽減される。


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観察のポイント
ここでは、尿閉リスク状態にある患者さんを観察していくときに確認すべき項目を紹介しています。
排尿の状態を確認する
排尿の回数や量、最後に排尿した時間を記録していきます。 尿の色や性状も確認して、濁りや血が混じっているかどうかも見ていきましょう。 尿が濁っている場合や血が混じっている場合は、尿路感染症などの合併症が起きている可能性があるので、医師に報告していくことが必要です。
膀胱の状態を観察する
下腹部の張り感や痛みがあるかどうかを確認します。 触診や打診で膀胱の大きさを確認し、膀胱が張っているかどうかを把握していきます。 膀胱が張っている場合は、尿が溜まっている可能性が高いので、早めに対応していくことが大切です。
尿意の有無を確認する
患者さんが尿意を感じているかどうかを確認します。 尿意がないのに膀胱が張っている場合は、神経の障害や麻酔の影響が考えられます。 尿意の有無を確認することで、尿閉の原因を見つけていくことができます。
全身の状態を確認する
バイタルサインを測定して、発熱や血圧の変化がないかを確認します。 尿路感染症が起きている場合は、発熱や頻脈などの症状が出ることがあります。 また、腎機能の低下が起きていないかも確認していくことが大切です。
薬の使用と副作用を確認する
使っている薬の種類と副作用を把握しておくことが大切です。 抗コリン薬やオピオイド系の痛み止めなどは尿閉になりやすい薬なので、特に注意していきましょう。 尿閉が起きている場合は、医師と薬の見直しについて相談していくことも必要です。
援助のポイント
ここでは、尿閉リスク状態にある患者さんに対する援助の手順を紹介していきます。
自然排尿を促す
患者さんが自分の力で排尿できるよう、環境を整えていくことが大切です。 トイレまで歩ける患者さんは、トイレでの排尿を促していきます。 歩けない患者さんは、ポータブルトイレや差し込み便器を使って、できるだけ座った姿勢で排尿できるよう援助していきます。
排尿を促す工夫を行う
排尿を促すための工夫として、以下のような方法があります。 温かいタオルを下腹部に当てることで、膀胱の筋肉がリラックスして排尿しやすくなります。 また、流水音を聞かせることで、尿意を促すことができます。 手を温かい水につけることも、排尿を促す方法として効果があります。
水分摂取を促す
十分な水分を摂ることで、尿の量が増えて排尿しやすくなります。 1日あたり、できる限り8杯以上の水や飲み物を摂るよう促していきます。 ただし、心不全や腎不全などで水分制限がある患者さんは、医師の指示に従って水分量を調整していくことが必要です。
プライバシーを守る
排尿はプライバシーに関わることなので、患者さんが安心して排尿できるよう配慮していくことが大切です。 カーテンを閉めたり、個室を使ったりして、患者さんが落ち着いて排尿できる環境を作っていきましょう。
導尿を行う
自然排尿が難しい場合や、膀胱が張りすぎている場合は、医師の指示に従って導尿を行います。 導尿は無菌操作で行い、尿路感染症を予防していくことが大切です。 導尿後は、排尿の量や性状を確認して記録していきます。
膀胱訓練を行う
慢性的に尿閉になりやすい患者さんには、膀胱訓練を行うことが効果的です。 決まった時間にトイレに行くようスケジュールを立てて、膀胱の機能を回復させていきます。 最初は2時間ごとにトイレに行き、少しずつ間隔を延ばしていく方法が一般的です。
医師に報告していく
尿閉が続いていて改善しない場合や、下腹部の痛みが強くなっている場合は、医師に報告していくことが大切です。 尿路感染症や腎機能の低下が起きている可能性もありますので、早めに報告していくことが必要です。
指導のポイント
尿閉リスク状態の患者さんや、その家族には、尿閉になりやすい原因や対策について説明していくことが大切です。
尿閉になる原因について説明する
なぜ尿閉になるのかを分かりやすく説明していくことで、患者さん自身も対策を考えやすくなります。 手術や麻酔の影響、薬の副作用、前立腺肥大症などの関係を、患者さんに合わせた言葉で説明していきましょう。
セルフケアのポイントを伝える
尿閉になりやすい状態を防ぐためのポイントを患者さんに伝えていきます。 尿意を我慢しない、十分に水を飲む、リラックスして排尿するなどの具体的なポイントを伝えていきましょう。 退院後も続けられるような習慣になるよう指導していくことが大切です。
尿閉になった場合の対処法を伝える
万一尿閉になった場合にも、自分でできる対策を知っておくことが大切です。 温かいタオルを下腹部に当てる方法や、流水音を聞く方法などを説明していきましょう。 下腹部の痛みが強くなった場合や、全く尿が出ない場合は、すぐに医療機関に行くよう伝えておくことが大切です。
薬の影響について説明する
使っている薬が尿閉に関わることがある場合は、その点を説明していくことが大切です。 勝手に薬を止めたりせず、尿が出にくいと感じたら医師や薬剤師に相談するよう伝えていきましょう。
家族にも説明していく
家族にも尿閉になる原因や対策について説明していくことが大切です。 家族が患者さんの排尿の状態に気をつけてくれると、尿閉を早めに見つけることができます。 患者さんが尿意を我慢しないよう、家族にも伝えておくことが大切です。
まとめ
尿閉リスク状態にある患者さんのケアは、原因を見つけて、自然排尿を促す工夫や環境調整、必要に応じた導尿などを組み合わせて対応していくことが基本です。 観察やアセスメントを続けながら、患者さんに合わせた看護計画を立てていくことが大切です。 尿閉は放置すると腎機能の低下や尿路感染症などの合併症が起きるので、早めに対応していくことが重要です。 この記事で紹介したポイントを活かして、尿閉リスク状態にある患者さんに対する看護ケアに取り組んでいってください。








