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看護計画

非効果的呼吸機能リスク状態とは?看護計画の立て方を徹底解説

この記事は約7分で読めます。

看護学校や病院の実習で、「非効果的呼吸機能リスク状態」という看護診断に戸惑った経験はないでしょうか。

この診断名は、呼吸のメカニズムが何らかの原因で妨げられるリスクがある状態を指しており、呼吸器疾患はもちろん、術後患者や神経疾患の患者さんにも幅広く適用されます。

今回は、看護計画の立て方や具体的な観察項目・ケア・指導の内容まで、実習で今すぐ使えるレベルで解説していきます。


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非効果的呼吸機能リスク状態の定義と背景

まず、この看護診断の意味をしっかりと理解するところから始めましょう。

非効果的呼吸機能リスク状態(Risk for Ineffective Breathing Pattern)とは、一言でいうと「今は問題がなくても、何らかの原因によって呼吸のパターンが乱れる可能性がある状態」のことです。

呼吸は、横隔膜や肋間筋などの呼吸筋、気道の開通性、肺胞でのガス交換、中枢神経系による呼吸調節など、さまざまな要素が正常に機能することで成り立っています。

これらのうちどれか一つでも障害が起きると、換気量の低下、呼吸回数の異常、呼吸補助筋の過度な使用、低酸素血症(SpO₂の低下)などが生じる可能性があります。

臨床の現場では、この診断は非常によく見られる診断の一つです。

特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)・喘息・肺炎・術後状態・脊髄損傷・意識障害・薬物の影響などを抱える患者さんに対して使われることが多く、実習でも頻繁に出合う場面があります。


なぜこの看護診断が重要なのか

呼吸は生命維持に直結する生理機能です。

換気が十分に行われない状態が続くと、血中酸素分圧(PaO₂)の低下や二酸化炭素分圧(PaCO₂)の上昇が起き、最悪の場合は呼吸不全や呼吸停止に至るリスクがあります。

「まだ問題が起きていないから大丈夫」ではなく、リスクを早期に察知して予防的なケアを行うことが、看護師としての大切な役割です。

実習中に患者さんの呼吸状態の変化を見逃さず、早めに対処できるかどうかが、看護の質を大きく左右します。


関連因子・危険因子を整理しよう

看護計画を立てるうえで、関連因子と危険因子の整理は欠かせません。

以下のような要因がある患者さんは、この看護診断の適用を検討してみましょう。

神経・筋肉系の問題

呼吸中枢がある延髄や橋への障害、横隔神経麻痺、筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの神経筋疾患では、呼吸を調節する仕組みそのものが障害されます。

気道・肺の問題

COPDや喘息では気道が狭くなり、肺炎では肺胞が滲出液で満たされ、ガス交換が十分に行われにくくなります。

術後・安静に伴う問題

術後の疼痛があると、患者さんは痛みを避けるために浅い呼吸になりがちです(疼痛による呼吸抑制)。

また、長期臥床では横隔膜の動きが制限され、無気肺のリスクが高くなります。

薬物・化学物質の影響

オピオイド系鎮痛薬や鎮静薬の使用は、呼吸中枢を抑制し、呼吸数の低下や換気量の減少をもたらすことがあります。

心理・身体的ストレス

不安や疼痛は呼吸パターンを乱し、過換気症候群や息苦しさの訴えにつながることもあります。


看護目標

看護計画の中心となる目標を、長期目標と短期目標に分けて設定します。

長期目標

患者さんが安定した呼吸パターンを維持し、日常生活の中で呼吸困難なく過ごせる。

短期目標

短期目標は、長期目標へ向けた段階的な達成項目として設定します。

短期目標① 呼吸回数が1分間に12〜20回の正常範囲内で安定する。

短期目標② 経皮的酸素飽和度(SpO₂)が95%以上を維持できる。

短期目標③ 患者さん自身が効果的な深呼吸・腹式呼吸・口すぼめ呼吸の方法を理解し、実践できる。


看護計画の具体策

看護計画は、観察計画・ケア計画・指導計画の3つに分けて立案します。

観察計画(何を観察・確認するか)

患者さんの呼吸状態を正確に把握するために、以下の項目を確認します。

呼吸数・リズム・深さを毎回のバイタルサイン測定時にチェックします。

呼吸が速すぎたり(頻呼吸:20回/分以上)、遅すぎたり(徐呼吸:12回/分以下)しないかを確認します。

SpO₂(経皮的酸素飽和度)の値をパルスオキシメーターで確認します。

90%以下になった場合はすぐに報告・対応が必要です。

呼吸補助筋(胸鎖乳突筋・斜角筋など)の使用の有無を観察します。

補助筋を使っているということは、それだけ呼吸に努力を要している証拠です。

呼吸音を聴診し、正常な肺胞音が聴取できるか、または喘鳴・捻髪音・断続性ラ音などの異常音が聴かれないかを確認します。

口唇・爪床のチアノーゼ(末梢循環不全や低酸素を示すサイン)の有無を観察します。

患者さんの主観的な息苦しさの訴えにも必ず耳を傾けます。

呼吸困難感は数値に出る前に本人が感じていることが多く、患者さんの言葉が大切なサインになります。

意識レベルの変化も見逃せません。

低酸素状態が進むと、最初は不穏・興奮として現れることもあります。

喀痰の性状(量・色・粘稠度)や自力排痰の状況も観察項目に加えます。

気道内に痰が貯留すると換気を妨げる要因になります。

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動脈血ガス分析(ABG)の結果が得られる場合は、PaO₂・PaCO₂・pH・HCO₃⁻の値を確認し、呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスがないかを把握します。

ケア計画(何をするか)

患者さんの呼吸を楽にするために、以下のケアを実施します。

体位の工夫として、ファウラー位(上半身を30〜90度に挙上した体位)を基本にします。

横隔膜が下がりやすくなり、換気量が改善します。

必要に応じてオルソプネア体位(起座位)を取ることも有効です。

医師の指示のもと、酸素療法を行います。

酸素マスクや鼻カニューレを用いて適切な流量・濃度で酸素を投与し、SpO₂や呼吸状態の変化を注意深く確認します。

排痰援助として、吸入療法や体位ドレナージ、必要に応じた吸引を実施します。

気道クリアランスを高めることが換気改善につながります。

術後の患者さんに対しては、疼痛管理を適切に行い、浅い呼吸になることを防ぎます。

鎮痛薬使用後は、逆に呼吸数が低下しすぎていないか確認することも大切です。

安静度に応じて早期離床を進めます。

座位・立位・歩行を段階的に実施することで、肺の膨らみが改善し、無気肺の予防につながります。

加湿器や吸入療法を活用し、気道の乾燥を防ぐことも有効です。

乾燥した気道は痰が固まりやすく、排出が困難になります。

指導計画(何を教えるか)

患者さん自身が呼吸管理に参加できるよう、わかりやすく説明・指導します。

腹式呼吸・口すぼめ呼吸の練習を行います。

口すぼめ呼吸は特にCOPDの患者さんに有効で、気道内圧を高めることで気道の虚脱を防ぎ、呼気をゆっくり出せるようになります。

インセンティブスパイロメトリー(IS)の使い方を指導します。

これは目盛り付きの呼吸訓練器具で、ゆっくり深く息を吸う練習ができます。

術後の肺合併症予防にも効果的です。

息苦しさを感じたときの対処法を事前に説明します。

「まず座って体位を整える」「呼び出しボタンを押してナースを呼ぶ」といった具体的な行動手順を伝えておくことで、患者さんが一人でパニックにならず対処できるようになります。

喫煙している患者さんへの禁煙指導も看護師の大切な役割です。

喫煙が気道粘膜や繊毛運動に影響を与えることを丁寧に説明し、禁煙の意義を理解してもらいます。

感染予防として、手洗いの習慣やマスクの着用について説明します。

呼吸器感染は非効果的呼吸機能リスクをさらに高める要因になるため、日常的な予防行動が大切です。


実習でよく出合う場面別のポイント

看護学生の実習中には、いくつかの典型的な場面でこの診断を使うことになります。

それぞれの場面での観察のポイントを押さえておきましょう。

術後患者さんの場合

術後は全身麻酔の影響が残っていることが多く、咽頭・喉頭の反射が鈍くなっていることがあります。

覚醒直後から術後2〜6時間が特に注意が必要な時間帯です。

呼吸音の聴診、SpO₂のモニタリング、意識レベルの確認を定期的に行い、異常を早期に察知することが求められます。

COPDの患者さんの場合

COPDの患者さんは、もともと肺の過膨張(エアートラッピング)があるため、呼気が十分に出せない状態です。

高濃度の酸素投与はCO₂ナルコーシスを引き起こすリスクがあるため、酸素流量の管理は特に慎重に行う必要があります。

口すぼめ呼吸の指導と、ゆっくりとした呼気を意識させるケアが効果的です。

意識障害・神経疾患の患者さんの場合

意識レベルが低下している患者さんでは、気道を自分で保持する力が弱くなっています。

舌根沈下による気道閉塞が起きやすいため、側臥位の保持や気道確保の準備が重要です。

吸引が必要なケースも多く、タイミングを逃さない観察が大切です。


看護記録への記載のポイント

看護計画を立てたら、実施した内容と患者さんの反応を記録に残すことが大切です。

呼吸数・リズム・SpO₂などの数値は客観的なデータとして必ず記録します。

患者さんの主観的な訴え(「少し楽になった」「まだ息が苦しい」など)もそのまま記録します。

実施したケア(体位変換・排痰援助・口すぼめ呼吸の練習など)の内容と時刻、そのあとの呼吸状態の変化を記録します。

問題がなかったことも記録に残すことで、継続的な観察の流れが伝わります。


まとめ

非効果的呼吸機能リスク状態は、患者さんの命に関わる可能性もある重要な看護診断です。

この診断を正しく理解し、観察・ケア・指導の3つの視点から丁寧に看護計画を立てることが、安全で質の高い看護につながります。

実習中は「今の呼吸は正常か?」という視点を常に持ちながら患者さんと接することが、看護師としての観察力を磨く第一歩です。

ぜひ今回の内容を参考に、自分なりの看護計画を作り上げてみてください。

患者さんの呼吸が安定し、安心して過ごせるよう、一緒に頑張りましょう。

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