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看護計画

出血過剰リスク状態の看護計画|出血を防ぐための観察とケアの実際

この記事は約6分で読めます。

手術後の患者さんや抗凝固薬を服用している患者さんと関わるとき、「この人、出血が止まらなかったらどうしよう」と不安になった経験はないだろうか。

出血は、適切なタイミングで気づいて対処できれば防げることも多い。

看護診断のひとつである「出血過剰リスク状態」は、何らかの理由で出血が起きやすい、あるいは出血が止まりにくい状態にある対象者に用いる診断名だ。

今回は、出血過剰リスク状態とは何か、そしてその看護計画をどう立てるかについて、実習でも使いやすい形でまとめた。


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出血過剰リスク状態とは

出血過剰リスク状態とは、内出血・外出血を問わず、通常より出血量が多くなるリスクがある状態をいう。

単に傷口から血が出るという意味だけでなく、体内での出血(消化管出血・脳出血・術後の内部出血など)も含めた広い概念だ。

北米看護診断協会(NANDA-I)では、この状態をもたらすリスク因子として、抗凝固薬や抗血小板薬の使用、血液疾患、外傷、術後状態、肝機能障害、播種性血管内凝固症候群(DIC)などが挙げられている。

出血過剰リスク状態の怖さは、実際に出血が始まるまで気づきにくいことがある点だ。

だからこそ、リスクを事前に把握し、出血が起きる前に予防的なケアを行うことが看護師の役割として特に重要になる。


出血過剰リスク状態が見られやすい場面

この診断は、以下のような対象者に用いられることが多い。

術後早期の患者さんは、創部からの出血やドレーンからの排液量に注意が必要だ。

抗凝固薬(ワルファリン・ヘパリンなど)や抗血小板薬(アスピリン・クロピドグレルなど)を服用している患者さんは、軽微な刺激でも出血が止まりにくくなる。

血小板減少症や肝硬変、白血病などの血液・肝臓疾患のある患者さんも、凝固因子の産生が低下しているため出血リスクが高い。

また、透析患者さんや長期ステロイド使用中の患者さんも、血管壁の脆弱性から出血しやすい状態にあることがある。

妊娠中・産後の患者さん、内視鏡検査や血管カテーテル処置後の患者さんなども対象になりやすい。


アセスメントのポイント

出血に関わる既往歴・内服薬を確認する

現在服用している薬剤の中に抗凝固薬・抗血小板薬が入っていないかを確認する。

過去に手術後の出血が多かった、歯科治療で血が止まりにくかったなどのエピソードも重要な情報になる。

血液データを把握する

血小板数、プロトロンビン時間(PT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、フィブリノゲンなどの凝固系データを確認する。

ヘモグロビン値やヘマトクリット値の低下は、すでに出血が起きているサインである可能性がある。

出血のサインを身体所見から確認する

皮膚の紫斑・点状出血・血腫の有無、眼球結膜の出血、歯肉からの出血、鼻血の頻度などを観察する。

尿の色(血尿)、便の色(黒色便・血便)、嘔吐物の色(吐血)なども出血のサインとして見落とさない。

バイタルサインの変化を見逃さない

出血が進行すると、血圧低下・脈拍増加・冷汗・顔面蒼白・意識レベルの低下などが現れる。

こうした変化は出血性ショックの初期サインであることがあるため、バイタルサインの変化には鋭敏に反応する必要がある。


看護目標

【長期目標】

対象者が入院期間中および退院後も、出血を起こすことなく安全に日常生活を送ることができる。

【短期目標】

① 対象者の血液データや身体所見に出血のサインが認められず、バイタルサインが安定した状態を保つことができる。

② 対象者が出血リスクを高める行動(転倒・強い力のかかる動作など)を理解し、日常生活の中で自ら気をつけることができる。

③ 対象者が出血のサイン(皮膚の変色・血尿・黒色便など)に気づいたとき、すぐに看護師や医師に伝えることができる。


具体的な看護計画

観察計画

バイタルサインを定期的に測定し、変化を見逃さない。

血圧・脈拍・呼吸数・体温・意識レベルを定期的に確認する。

血圧低下や脈拍増加が見られた場合は、出血性ショックの初期である可能性を念頭に置いてすぐに報告する。

皮膚・粘膜の出血サインを毎日観察する。

全身の皮膚に新たな紫斑・点状出血・血腫が生じていないかを確認する。

口腔粘膜・歯肉・眼球結膜への出血所見も見落とさない。

排泄物の性状を確認する。

尿の色(赤色・茶褐色の変化)、便の色(黒色便・暗赤色便)、嘔吐物の色(コーヒー残渣様・鮮血)を毎回確認する。

異常があった場合はすぐに記録し、医師に報告する。

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術後・処置後の創部やドレーンを観察する。

創部のガーゼ汚染の程度と速度、ドレーン排液の量・色・性状を時間ごとに確認する。

血液データの変化を把握する。

血小板数・凝固系データ・ヘモグロビン値・ヘマトクリット値の推移を確認し、異常値が出た場合は医師と共有する。


ケア計画

出血を誘発する行為を予防する。

採血・点滴ルート確保・注射後は、十分な時間をかけて圧迫止血を行う。

体位変換や清拭の際は、皮膚に強い摩擦をかけないよう丁寧に行う。

転倒・転落を防ぐ環境を整える。

ベッド周囲の床に物が散らかっていないか確認し、必要に応じて転倒防止マットや手すりを活用する。

夜間のトイレ歩行時は、必要に応じて付き添いや歩行補助具を検討する。

口腔ケアを丁寧に行う。

硬い歯ブラシの使用を避け、柔らかいブラシや洗口液を使って歯肉への刺激を最小限にする。

抗凝固薬・抗血小板薬の管理を適切に行う。

処方された薬剤の投与量・投与時間を正確に守り、飲み忘れや過剰投与が起きないよう管理する。

血液データと照らし合わせながら、薬剤の効果と副作用を観察し、異常があれば医師に伝える。

出血が起きた際の初期対応を迅速に行う。

外出血が見られた場合は、清潔なガーゼや布で圧迫止血を行いながらすぐに医師へ報告する。

内出血が疑われる場合は、バイタルサインの変化を継続して確認しながら緊急対応の準備を整える。


教育・指導計画

対象者に出血リスクの理由をわかりやすく説明する。

「今飲んでいる薬は血が固まりにくくする効果があるため、少しの傷でも出血が長引くことがあります」と、対象者が理解しやすい言葉で伝える。

日常生活での注意点を具体的に伝える。

転倒しやすい場所(風呂場・夜間の廊下など)への注意、硬い歯ブラシの使用を避けること、爪を短く切ること、きつい衣類を避けることなど、生活の場面に合わせた具体的な説明を行う。

出血のサインに気づいたらすぐに知らせるよう伝える。

「皮膚に青あざが急に増えた」「尿が赤っぽい」「便が黒い」「頭痛や視野の変化がある」などのサインが出たときは、すぐに看護師や医師に伝えるよう説明する。

薬の自己中断をしないよう伝える。

抗凝固薬・抗血小板薬は、自己判断で飲むのをやめると血栓が生じるリスクがあるため、必ず医師に相談してから判断するよう説明する。

家族にも出血時の対応方法を説明する。

外出血が起きたときは慌てず清潔なもので押さえること、内出血が疑われるときはすぐに医療機関を受診することを、家族にもわかりやすく伝える。


実習でよくある疑問

出血しているかどうか、どうやって早く気づくの?

外から見えない内出血の場合、最初に現れるのはバイタルサインの変化と対象者の自覚症状であることが多い。

血圧が少しずつ下がってきた、脈が速くなってきた、対象者が「なんか体がだるい」「気分が悪い」と話し始めたときは、出血を疑う視点を持つことが大切だ。

数値の変化が小さくても、前の測定値と比べる習慣をつけることで早期発見につながる。

抗凝固薬を飲んでいる患者さんの採血はどうすればいい?

通常の採血と手順は変わらないが、抜針後の圧迫止血をしっかり長めに行うことが重要だ。

最低でも3〜5分は圧迫を続け、止血を確認してからテープを貼るようにする。

対象者に「自分でも少し押さえていてください」と伝えることも効果的だ。


まとめ

出血過剰リスク状態は、予防的な視点を持って関わることが最も大切な看護診断のひとつだ。

看護師に必要なのは、出血が起きてから慌てるのではなく、リスクを早期に把握して先手を打つ観察力と判断力だ。

観察計画・ケア計画・教育指導計画をバランスよく組み合わせ、対象者が安全に療養生活を送れるよう支えていきたい。

実習中は、バイタルサインや検査データの変化を前の値と必ず比べる習慣をつけることから始めてみてほしい。

その小さな気づきの積み重ねが、出血を防ぐ看護の力になる。

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