熱傷や凍傷は、日常の生活の中でも起きやすい皮膚損傷のひとつです。
看護師として働いていると、病棟での湯たんぽ低温熱傷や、術中・術後の電気毛布による熱傷、あるいは冬季の末梢循環不全をもつ患者さんへの凍傷リスクなど、さまざまな場面でこのリスクに直面します。
この記事では、熱傷・凍傷リスク状態の看護計画について、看護目標・観察項目・ケア内容・患者指導に分けてまとめました。
実習中の看護学生さんにも、現場で復習したい看護師さんにも役立てていただけたら嬉しいです。
熱傷・凍傷とはどういう状態か
まず基本をおさえておきましょう。
熱傷とは、熱によって皮膚や皮下組織が損傷を受けた状態のことです。
熱傷の深度はI度・II度・III度に分類され、I度は表皮のみの発赤・疼痛、II度は水疱形成、III度は全層壊死で痛覚も失われます。
受傷面積の評価には9の法則や5の法則(小児用)が用いられ、広範囲熱傷では循環血漿量の減少による熱傷ショックが生じることもあります。
凍傷は、寒冷によって末梢組織が凍結・壊死する状態です。
I度は皮膚の発赤・浮腫、II度は水疱形成、III度は壊死・壊疽へと進行します。
糖尿病性末梢神経障害や末梢動脈疾患をもつ患者さんは、感覚が低下しているため自覚症状が出にくく、発見が遅れがちです。
なぜ看護計画が大切なのか
熱傷や凍傷は、発生してしまうと治療が長期化し、患者さんの生活の質を大きく下げてしまいます。
また、感染から敗血症に移行するリスクもあり、軽視できない状態です。
リスクがある段階で予防的な看護計画を立てることが、看護師として果たすべき大切な役割です。
高齢者・糖尿病患者・末梢循環障害のある患者さんは、温度刺激に対して鈍麻になりやすく、事故が起きやすい状況にあります。
ベッド上安静で自分で体位変換できない患者さんも、同様のリスクがあります。
看護目標
長期目標
入院中および退院後の生活を通して、熱傷・凍傷を発生させることなく安全に過ごすことができる。
短期目標
熱傷・凍傷リスクに関わる危険因子(感覚障害・末梢循環不全・認知機能低下など)を患者さん自身が理解し、言葉で説明できる。
医療スタッフとの協力のもと、湯たんぽ・電気毛布・冷却器具などの安全な使用方法を実践できる。
皮膚の異常(発赤・腫脹・水疱・白色変化など)を早期に発見し、医療者へ報告できる。
観察項目
観察項目では、患者さんの状態を広く把握することが大切です。
以下の点をしっかり観察しましょう。
皮膚の状態の観察
発赤・腫脹・水疱・びらん・色調変化(白色・暗紫色など)の有無を毎日観察します。
湯たんぽや電気毛布が当たっていた部位、骨突出部(踵骨・外果など)は重点的に見ます。
皮膚の乾燥・菲薄化・弾力低下も、損傷リスクを高める因子です。
感覚機能の評価
糖尿病性末梢神経障害、脊髄損傷、脳卒中後遺症などによる感覚鈍麻の程度を把握します。
モノフィラメント検査・振動覚検査など、神経学的評価の結果も確認しましょう。
末梢循環の評価
足背動脈・後脛骨動脈の触知、皮膚温、毛細血管再充満時間(2秒以内が正常)を観察します。
冷感・チアノーゼの有無も、末梢循環の状態を把握するうえで重要です。
認知機能・自己管理能力の評価
高齢者や認知症患者さんは、危険を自ら察知して回避する力が低下していることがあります。
改訂長谷川式スケールやMMSEの結果、日常生活での行動パターンも観察の参考にします。
使用中の医療機器・保温器具の確認
湯たんぽの温度・タオル包みの有無・使用時間、電気毛布の温度設定と使用時間を毎回記録します。
術中使用の加温ブランケットなども確認対象です。
バイタルサインと全身状態
体温・血圧・脈拍を観察し、末梢循環への影響がないかを判断します。
熱傷が発生した場合は、熱傷面積と深度の評価、体液喪失による循環血漿量減少がないかも合わせて確認します。
ケア項目
保温器具・加温機器の適切な管理
湯たんぽは60℃以下の湯を使用し、必ず厚手のタオルで二重に包んで使用します。
皮膚から10cm以上離した位置に置き、1〜2時間ごとに位置を変えます。
感覚障害のある患者さんには、湯たんぽの使用そのものを避けることが安全です。
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電気毛布は弱設定を基本とし、就寝中は電源を切るかタイマー使用を徹底します。
体位変換・ポジショニング
長時間同一部位への圧迫・温熱刺激が重なると、低温熱傷が起きやすくなります。
2時間ごとの体位変換を実施し、骨突出部にはウレタンフォームやゲルパッドを使用してクッションを設けます。
皮膚保護・スキンケア
乾燥した皮膚は損傷を受けやすいため、入浴後や清拭後に保湿剤を塗布します。
皮膚が菲薄化している高齢者やステロイド長期使用患者さんへは、粘着テープの直接貼付を避けます。
術中・術後の皮膚管理
全身麻酔下の手術では、患者さんが術中に皮膚への刺激を自覚できません。
加温ブランケットと皮膚の間に必ず布を挟み、直接接触を避けます。
術後は使用部位の皮膚を必ず観察し、発赤・水疱の有無を確認します。
凍傷が疑われる際の初期対応
凍傷が生じた場合、患部を40〜42℃のぬるま湯に20〜30分浸漬する復温処置を行います。
摩擦やマッサージは組織損傷を悪化させるため、絶対に行いません。
水疱はできるだけ破らないようにし、滅菌ガーゼで保護して医師へ報告します。
患者・家族への指導項目
熱傷・凍傷のリスクについての説明
感覚が鈍くなっているため、熱さや冷たさを感じにくい状態にあることを、患者さん自身が理解できるようわかりやすく説明します。
気づかないうちに皮膚が傷ついていることがあると、具体的な事例を使って説明すると理解されやすいです。
日常生活での注意点の指導
湯たんぽや電気毛布の安全な使い方、使用を避けるべき場合について説明します。
入浴時の湯温は40℃前後を目安にし、手でお湯の温度を確認してから入るよう指導します。
冬場の外出時は手袋・靴下・防寒具を着用し、末梢部を冷やさない工夫をするよう伝えます。
セルフチェックの方法
毎日の入浴・清拭のタイミングで、足の裏・踵・趾間などを鏡を使って確認する習慣をつけるよう指導します。
発赤・腫れ・水疱・黒ずみなどの異常を発見した際は、自分で判断せずに早めに医療機関を受診するよう伝えます。
家族への協力依頼
患者さん一人では皮膚の変化に気づきにくい場合、家族にも観察を手伝ってもらえるよう説明します。
独居の高齢者や認知機能が低下している患者さんの家族には、保温器具の管理を一緒に行うよう具体的にお願いします。
看護計画を立てる際のポイント
熱傷・凍傷リスク状態の看護計画は、患者さんの個別性をしっかり反映させることが大切です。
糖尿病があるから感覚障害がある、認知症があるから自己管理が難しいという背景を踏まえて、その患者さんに合った観察・ケア・指導の内容を選んでいきます。
また、看護計画は一度立てたら終わりではなく、患者さんの状態変化に合わせてこまめに見直すことも大切です。
リスクが高い時期(手術後・安静度が上がった時・新たに保温器具を使い始めた時など)には、計画の内容を再確認する習慣を持ちましょう。
よくある臨床場面での注意点
低温熱傷のリスクは見落とされやすい
低温熱傷は、44〜50℃程度のやや温かい熱源に長時間接触することで起きます。
湯たんぽや電気あんかは、ちょうどいい温度でも長時間当てることで真皮深層まで損傷が及ぶことがあります。
睡眠中は気づかないため、就寝前に位置を変える・外すなどの対策が必要です。
術中熱傷は術後に発見されることが多い
全身麻酔中の患者さんは自分で訴えることができません。
手術室看護師と病棟看護師が連携して、術後の皮膚観察を行う必要があります。
術後の申し送りの際に加温器具の使用部位を必ず伝える体制を整えることが大切です。
末梢循環不全患者さんへの凍傷リスクは冬季に高まる
慢性腎不全・糖尿病・閉塞性動脈硬化症の患者さんは、末梢循環が低下しています。
冬季の外出時に手袋を忘れた、靴が濡れたまま過ごしたなど、日常のちょっとしたことから凍傷が起きることもあります。
退院指導で冬の過ごし方を具体的に話しておくことが、退院後の安全につながります。
まとめ
熱傷・凍傷リスク状態の看護計画は、患者さんの感覚障害・末梢循環状態・認知機能・生活背景を総合的に評価したうえで立案することが大切です。
観察項目では皮膚状態・感覚機能・循環状態・使用機器を継続的に確認し、ケアでは保温器具の適切な管理・体位変換・スキンケアを丁寧に行います。
指導では、患者さんと家族が退院後も自分でリスクを把握して行動できるよう、具体的でわかりやすい言葉で伝えることが大切です。
看護計画の目的は熱傷・凍傷を一度も起こさないことです。
リスクのある患者さんを見逃さず、チームで連携しながら安全な療養環境を整えていきましょう。
この記事が、看護計画を立てる際の参考になれば嬉しいです。








