看護記録の基本:SOAP・FOCUS・DARの違い
看護記録にはいくつかの形式があります。病院や施設によって採用している形式が異なるため、自分の職場で使われている形式を把握しておくことが大切です。
| 形式 | 特徴 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| SOAP | 主観・客観・評価・計画の4要素で記録する最もポピュラーな形式 | 急性期・入院患者の経過記録 |
| FOCUS | 焦点・経過・反応・計画で記録する形式 | 慢性期・リハビリ・在宅看護 |
| DAR | データ・行動・反応の3要素で記録する形式 | 訪問看護・在宅ケア |
| 経時記録 | 時系列で起きたことをそのまま記録する形式 | 手術・急変時・救急 |
SOAP形式のテンプレート&例文(場面別)
バイタル・身体症状系
発熱
疼痛(術後)
呼吸苦
血圧高値
起立性低血圧
食事・栄養・排泄系
食欲不振
嚥下障害
便秘
下痢
尿閉
精神・心理系
術前不安
抑うつ傾向
せん妄
転倒・安全系
転倒発生後
転倒リスク(予防的記録)
服薬・治療管理系
服薬自己中断
インスリン自己注射指導
退院支援・生活指導系
退院前指導(糖尿病)
退院後の自己管理指導(高血圧)
家族への指導
FOCUS記録のテンプレート&例文
FOCUS記録は「F:焦点」「D:データ」「A:行動」「P:計画」で構成されます。慢性期・リハビリ・在宅での記録に向いています。
F:疼痛
D:NRS6/10、右膝関節痛、リハビリ時に増強
A:医師へ報告、鎮痛剤投与、アイシング実施
P:リハビリ前後のNRS評価継続、増強時は即報告
F:歩行能力の改善
D:平行棒内歩行10m可能、ふらつきあり
A:PT指示のもと歩行器歩行訓練実施
P:歩行距離・安定性を記録継続
F:褥瘡リスク
D:仙骨部発赤(消退あり)、ブレーデンスケール14点
A:2時間ごとの体位変換実施、除圧クッション使用
P:体位変換継続、皮膚状態の観察強化
F:血糖コントロール
D:空腹時血糖180mg/dL、食後2時間240mg/dL
A:医師へ報告、インスリン追加投与
P:4回血糖測定継続、低血糖症状の観察
F:退院に向けた自己管理能力の習得
D:内服管理・創部処置は自立。血圧測定の手技に不安あり
A:血圧測定の手技指導実施
P:退院前に手技確認
F:感染リスク
D:WBC 2800/μL(好中球減少)、体温37.8度
A:口腔ケア実施、手指衛生の徹底
P:バイタル4時間ごと、感染徴候の早期発見
DAR形式のテンプレート&例文
DAR記録は「D:データ」「A:行動」「R:反応」の3要素で構成されます。訪問看護や在宅ケアでよく使われます。
D:「背中が痛くて動けない」NRS8/10、顔面蒼白
A:医師へ報告し鎮痛剤投与、安楽体位の調整
R:30分後NRS4/10に軽減。「少し楽になった」と話す
D:右下腿潰瘍、浸出液中等量、発赤なし
A:生理食塩水で洗浄後、ドレッシング交換
R:創部の肉芽形成良好。「痛みが少なくなった」と話す
D:薬カレンダー確認、朝薬1回分残あり
A:内服の必要性を再説明、飲み忘れ時の対応を指導
R:「気をつけます」と話す
D:BP 155/92mmHg、HR 78回/分、両下肢浮腫あり
A:医師へ電話報告、降圧薬追加投与
R:1時間後BP 138/84mmHgに低下。自覚症状なし
導入文・経過・振り返りのテンプレート30選
導入文テンプレート
〇〇の診断にて入院となった患者について、入院時の状況および初期アセスメントを記録する。
〇〇術後〇日目の患者の経過について記録する。全身状態・疼痛・創部の観察を中心に行った。
〇時頃より〇〇の症状が出現したため、以下に経過を記録する。
〇〇処置を実施したため、実施内容・患者の反応・経過について記録する。
本日、〇〇に関する患者指導を実施した。指導内容・理解度・今後の方針について記録する。
退院を〇日後に控え、自己管理能力・退院後の生活環境について確認・指導を行ったため記録する。
〇時〇分、〇〇の訴えあり。バイタル確認後、医師へ報告。以下に経過を記録する。
患者家族(続柄:〇〇)より相談があり、患者の状況説明および今後の方針について話し合いを行った。
本日の多職種カンファレンスで決定した方針に基づき、本日の看護実践を記録する。
看護計画に基づく週次評価を行ったため、現在の目標達成度と今後の方針について記録する。
経過記録テンプレート
バイタルサインは安定しており著変なし。BP〇/〇mmHg、HR〇回/分、体温〇度、SpO2〇%。
〇〇の症状は改善傾向にあり、昨日と比較して〇〇が軽減している。治療効果が認められる。
〇〇の状態に著変なし。引き続き経過観察を継続する。
疼痛はNRS〇/10。鎮痛剤投与後NRS〇/10に軽減。体位変換時に増強あり。
食事摂取量は〇割程度。「少し食欲が出てきた」と話す。水分摂取は良好。


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PT指示のもとリハビリ実施。〇〇m歩行可能。ふらつきは前回より改善あり。
夜間睡眠〇時間確保できた。中途覚醒〇回あり。疼痛・不安の訴えは聴取されず。
表情明るく、会話も活発。治療への意欲的な発言あり。精神的に安定している状態。
創部の発赤・腫脹・熱感・疼痛・滲出液なし。縫合部位は乾燥しており、感染徴候認めず。
〇〇輸液〇mL/時で投与中。刺入部の発赤・腫脹なし。滴下良好。患者の訴えなし。
振り返り・評価テンプレート
本日の看護目標(〇〇)は達成された。患者の〇〇が改善し、計画通りの経過をたどっている。
本日の看護目標(〇〇)は達成されなかった。〇〇の点で課題が残るため、計画を修正する。
〇〇については引き続き継続観察が必要。変化があった場合は速やかに医師へ報告する。
患者の状態変化に伴い、看護計画を修正した。新たな目標を〇〇とし、介入を強化する。
〇〇に関する指導を実施した。患者は内容を理解し、「やってみます」と前向きな発言あり。
〇〇について〇〇(職種)と情報共有を行い、統一したケアの提供につなげることができた。
退院に向けた準備は概ね整っている。〇〇の点のみ確認が必要であり、明日までに対応する。
家族への説明・指導を実施し、協力を得ることができた。在宅での〇〇ケアについて理解を確認。
〇〇のリスクについて評価を行った。現時点では〇〇であり、引き続き予防的介入を継続する。
転倒・転落・自己抜去等の事故なく経過。環境整備・見守りを継続し、安全な療養環境を維持する。
NG例とOK例で学ぶ記録の書き方
看護記録で最もよくある間違いは「主観と客観の混在」と「曖昧な表現」です。以下のNG例・OK例を参考に正確で伝わる記録を目指しましょう。
患者は気分が悪そうだった。顔色も悪く、あまり元気がなかった。
顔面蒼白、口唇乾燥あり。「気持ち悪い」と訴える。BP 88/54mmHg、HR 102回/分。
疼痛があったので鎮痛剤を投与した。その後少し楽になったようだった。
「腰が痛い」の訴えあり。NRS7/10。医師指示にてロキソプロフェン60mg投与。30分後NRS3/10に軽減。「だいぶ楽になった」と話す。
食事はあまり食べられなかった。水分は少し飲んでいた。
昼食摂取量2割(主食のみ)。「食欲がない」と話す。水分摂取量:午前中で約200mL。
患者はリハビリを頑張っていた。調子は良さそうだった。
PT指示のもと歩行器歩行訓練実施。30m歩行可能(前回比10m増)。「もう少し歩けそう」と前向きな発言あり。疲労感の訴えなし。
研修・院内発表で使える看護過程の書き方
病棟研修や院内発表で看護過程の提出を求められることがあります。日常の看護記録と違い、研究的な視点と論理的な構成が必要です。
| 項目 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 患者背景・事例紹介 | 年齢・性別・診断名・入院経緯・既往歴など | 個人情報に配慮し匿名化する |
| アセスメント | ゴードン・ヘンダーソンなどの枠組みで情報収集・分析 | S情報・O情報を明確に分ける |
| 看護診断・看護問題 | NANDA-Iやウェルネス診断など | 優先順位をつけて理由を述べる |
| 看護計画 | OP・TP・EP(観察・ケア・教育) | 具体的・測定可能な目標を設定 |
| 実施・評価 | 実際に行ったケアと患者の反応 | 計画と実施のずれも記録する |
| 考察 | うまくいった点・課題・今後の改善策 | 文献・エビデンスを活用する |
ゴードンの11の機能的健康パターン:健康知覚・栄養・排泄・活動・睡眠・認知・自己知覚・役割・性・コーピング・価値の11項目
ヘンダーソンの14の基本的欲求:呼吸・食事・排泄・姿勢・睡眠・衣服・体温・清潔・安全・コミュニケーション・信仰・達成・娯楽・学習の14項目
研修用アセスメントの書き方例(ゴードン 栄養パターン)
S情報(主観的情報)
「食欲がなくて、ここ1週間はほとんど食べられていない」「食べると吐き気がする」
O情報(客観的情報)
身長162cm・体重48kg(BMI 18.3)。入院時体重52kgより4kg減少。血液検査:Alb 2.8g/dL、TP 5.9g/dL。食事摂取量2〜3割。嘔気あり、嘔吐なし。
アセスメント(分析・解釈)
化学療法の副作用による嘔気・食欲不振があり、摂取量が著しく低下している。Albの低値から低栄養状態にあることが示唆される。体重の急激な減少(1週間で4kg)は脱水・筋肉量低下のリスクがあり、治療継続への影響が懸念される。
看護診断
栄養摂取消費バランス異常:必要量以下(化学療法に伴う嘔気・食欲不振に関連した)
看護過程・実習記録の作成でお困りの方へ
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