こんにちは、カンサポの看護サポートです。
実習の前夜、ゴードンの記録用紙を前に固まってしまった経験はありませんか。
教科書を読んでも11個のパターンが頭に入らず、指導者さんから「このアセスメント、データ並べただけやで」と突っ込まれて落ち込む。
そんな夜を、これまで800件以上の看護学生さんと一緒に乗り越えてきました。
この記事では、情報収集の質問リスト、11パターンごとのSOAP例文、疾患別の書き方のヒントまで、実習でそのまま使える形でまとめていきます。
実習前夜の焦りを、明日の自信に変えていきましょう。
看護過程におけるゴードンの位置づけ
看護過程は、アセスメント、看護診断、計画立案、実施、評価という5段階で進む思考の流れです。
その最初の土台となるのがアセスメントで、ここが崩れると後の計画も評価もぶれてしまいます。
マーガレット・ゴードン博士が提唱した11の機能的健康パターンは、このアセスメントの枠組みとして世界中で使われてきました。
日本の看護学校でもヘンダーソンと並ぶ二大巨頭として教えられていて、実習記録でどちらかを選ぶ学校が多いはずです。
ゴードンの強みは、人間の生活機能を11個の領域にきれいに分けてくれているところにあります。
漏れなくダブりなく情報を集められるので、何を聞いたらいいか分からないという実習1日目の不安を解消してくれる、頼れる相棒のような存在です。
ゴードンの11機能的健康パターン一覧
まずは全体像を頭に入れましょう。
健康知覚・健康管理パターン、栄養・代謝パターン、排泄パターン、活動・運動パターン、睡眠・休息パターン、認知・知覚パターン、自己知覚・自己概念パターン、役割・関係パターン、セクシュアリティ・生殖パターン、コーピング・ストレス耐性パターン、価値・信念パターンの11個です。
丸暗記しようとすると頭が爆発するので、体の機能、こころの機能、社会的な機能、価値観という4つのブロックで捉えるのがおすすめです。
栄養・排泄・活動・睡眠は体のブロック、認知・自己知覚はこころのブロック、役割・セクシュアリティはつながりのブロック、コーピングと価値・信念は生き方のブロック、というイメージで整理すると覚えやすくなります。
11パターンを一つずつ解説
ここから各パターンの中身に入ります。
どのパターンも何を見るか、どう聞くか、どう書くかの3点セットで説明していくので、実習記録のテンプレートとしてそのまま使ってください。
健康知覚・健康管理パターン
患者さんが自分の健康をどう捉え、どう管理しているかを見るパターンです。
聞くべき質問は、自分の健康状態をどう感じているか、健康のためにやっていることはあるか、定期健診には行っているか、病気や薬について医師からどう説明されていて本人はどこまで理解しているか、といった項目になります。
観察項目としては、服薬自己管理の状況、健診や予防接種の履歴、医療者の指示への従い方、疾患に関する知識レベルがあります。
このパターンは11個の一番最初に置かれているだけあって、他のすべてのパターンの土台になるところです。
病識がないまま糖尿病教育を始めても血糖コントロールは続かないですし、セルフケアの意欲が低ければ退院後の生活が崩れてしまいますから、最初にここを丁寧に見ることで看護計画全体の方向性が決まります。
SOAP例文を載せます。
S:毎朝体重を測って散歩もしているんです、でも最近忙しくて健診には行けていなくて。
O:健康診断は3年間未受診。自己測定した血圧データを手帳に記録している。服薬カレンダーの使用もあり。
A:健康への関心は高く、日常的なセルフケア行動もとれている。一方で医療機関での定期的な評価が途絶えており、無自覚のうちに疾患が進行するリスクが考えられる。
P:自己管理行動を肯定的に評価したうえで、定期健診の意義を説明し、地域の健診情報を提供する。
栄養・代謝パターン
食事と水分の摂取、そして代謝の状態を見るパターンです。
質問項目は、普段の食事内容、好き嫌い、食欲の変化、食事制限の有無、水分摂取量、体重の変動、嚥下機能、アレルギーの有無あたりが基本になります。
観察項目は、身長・体重・BMI、皮膚と粘膜の状態、傷の治り具合、毛髪や爪の状態、浮腫の有無、血液検査データ、食事摂取量と水分バランスです。
多くの看護学生さんが食事内容だけ聞いて終わってしまうのですが、栄養状態は皮膚の乾燥、爪の割れやすさ、傷の治りにくさといった目に見えるサインに全部現れます。
アルブミン値だけ見て栄養状態不良と書くのではなく、実際に皮膚を触ってみて、爪を見せてもらって、その所見と検査値を結びつけると、ぐっとアセスメントらしくなります。
SOAP例文です。
S:野菜が苦手で肉ばっかり食べてます、最近食欲もなくて1日2食くらいしか入らないんですよね。
O:身長165cm、体重48kg、BMI17.6。Hb10.8g/dL、Alb3.2g/dL。皮膚の乾燥と下肢の鱗屑もあり。
A:BMIと血液データから低栄養状態と考えられる。食事回数の減少と野菜摂取不足によるビタミン・ミネラル不足が背景にあり、皮膚の乾燥として身体所見にも現れている。
P:管理栄養士と相談し、少量頻回の食事形態を検討する。食べやすい野菜メニューを本人と一緒に選ぶ。
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排泄パターン
排尿と排便の回数、量、性状、コントロールの状態を見ます。
質問項目は、排便の頻度と性状、排尿の回数と量、排泄時の痛みや不快感、便秘や下痢の傾向、失禁の有無、下剤や浣腸の使用歴です。
観察項目は、排便・排尿の記録、ブリストルスケールでの便性状、尿の色と混濁、腹部膨満の有無、腸蠕動音、肛門周囲の皮膚状態が基本になります。
排泄は患者さんにとって話しにくい話題なので、いきなり便通はどうですかと聞くより、お腹の調子はどうですかから入ると答えてもらいやすくなります。
SOAP例文です。
S:3日間便が出てなくて、お腹が張って苦しいんです、水分もあんまり飲めてません。
O:腹部膨満あり、腸蠕動音減弱。左下腹部に便塊を触知。最終排便は3日前、ブリストル1。飲水量400mL/日。
A:水分摂取不足と活動量低下によって便秘が生じている。腹部膨満による苦痛もあり、食欲低下にもつながる可能性がある。
P:1日の飲水目標量を本人と設定する。病棟内歩行を朝夕に促し、必要時は医師の指示で緩下剤を検討する。
活動・運動パターン
日常生活動作、運動、余暇活動の状況を見るパターンです。
質問項目は、普段の運動習慣、1日の過ごし方、趣味や余暇、階段昇降の可否、息切れや動悸の有無、ADLで困っていることです。
観察項目は、食事・更衣・入浴・排泄・移動のADL自立度、歩行や杖・車椅子の使用状況、筋力、関節可動域、活動時のバイタルサイン変動になります。
1日の過ごし方を朝から晩まで順に話してもらうと、このパターンだけでなく睡眠・栄養・排泄のヒントまで一気に集まるので、時間のない実習では最強の質問になります。
SOAP例文です。
S:右膝が痛くて長く歩けないんです、階段もきつくて手すりを使わないと無理ですね。
O:右膝に発赤と腫脹あり、歩行時に右下肢の荷重を避ける様子。階段昇降は手すり使用で可。自宅内は歩行、外出時は杖。
A:右変形性膝関節症による疼痛で活動範囲が狭まっている。移動時の代償動作により転倒リスクが高い状態と考えられる。
P:疼痛管理について医師と相談、リハビリテーション科と連携してADL訓練を継続。病棟内の環境調整を行う。
睡眠・休息パターン
睡眠の量と質、休息のとり方を見ます。
質問項目は、就寝と起床の時間、入眠までの時間、中途覚醒の有無、睡眠薬の使用、日中の眠気、休息のための工夫です。
観察項目は、実際の睡眠時間、中途覚醒の回数、いびきや無呼吸、日中の覚醒レベル、病室の照明や音などの睡眠環境になります。
入院中は環境が変わって眠れなくなる方が多いので、入院前の睡眠パターンと比べて変化があるかを必ず聞き出すのがコツです。
SOAP例文です。
S:夜中に何度も目が覚めてしまって、朝起きても疲れが残ってるんです。
O:睡眠時間7時間だが中途覚醒2〜3回あり。日中あくび頻回、午後に傾眠傾向。同室者のいびきを気にする発言もあり。
A:入院による環境変化と同室者の物音により、睡眠が分断され休息感が得られていない状態と考えられる。日中活動への影響も出はじめている。
P:耳栓の提供を検討、就寝前の環境調整を行う。日中の覚醒を促すため離床時間を増やす。
認知・知覚パターン
五感の機能と、記憶・理解・判断といった認知機能を見るパターンです。


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質問項目は、視力・聴力の状態、物忘れの自覚、痛みの有無と程度、めまいや平衡感覚の問題、説明の理解度です。
観察項目は、意識レベル(JCS・GCS)、HDS-RやMMSEなどの認知機能評価、感覚機能、疼痛の部位・性質・強さ、注意力になります。
このパターンでは聞き取りだけでなく実際の行動で確認するのが大事で、指示に沿って動けるか、会話のつじつまが合うかといった観察がそのままデータになります。
SOAP例文です。
S:最近、言いたい言葉が出てこないことが増えて、財布の置き場所も忘れちゃうんです。
O:MMSE23/30点。会話中に語想起の停滞あり。見当識は時・場所とも保たれている。視力は矯正で0.8、聴力問題なし。
A:軽度の認知機能低下が見られ、近時記憶と語想起で症状が現れている。日常生活への影響が出はじめた段階と考えられる。
P:メモやカレンダーを活用した記憶補助を提案。家族にも状況を共有し、受診継続を支援する。
自己知覚・自己概念パターン
自分をどう捉え、どう価値づけているかを見ます。
質問項目は、自分についてどう感じているか、長所と短所、病気による自己イメージの変化、ボディイメージへの思い、将来への見通しです。
観察項目は、表情、姿勢、アイコンタクト、身だしなみ、自己評価に関する発言の頻度、感情表現になります。
このパターンは見落とされがちですが、治療への意欲や退院後の生活再建に大きく関わるところです。
SOAP例文です。
S:病気になってから自分に自信がなくなって、前の自分に戻れる気がしません。
O:表情硬く、視線が合いにくい。自分はもう何もできないと繰り返す発言あり。身だしなみへの関心低下。
A:疾患による身体機能の変化を受けて自己概念が揺らぎ、自己効力感の低下が起きている状態と考えられる。
P:できていることに焦点を当てた声掛けを続ける。小さな成功体験を積み重ねられるよう日常動作の選択肢を本人と決める。
役割・関係パターン
家族や職場、地域での役割と人間関係を見るパターンです。
質問項目は、家族構成、家庭や職場での役割、病気による役割変化、キーパーソン、相談できる人の有無になります。
観察項目は、家族構成、面会者の頻度と関係性、家族とのやりとり、社会的サポートの厚みです。
退院支援の方向性がここで決まるので、キーパーソンが誰で、退院後の生活を誰と作るのかは必ず押さえましょう。
SOAP例文です。
S:入院で仕事ができなくなって、家族に迷惑をかけてしまって申し訳ないです。
O:40代男性、妻と子ども2人の4人家族。本人が経済的支柱。妻は看病のため休職中。面会は妻が毎日、子どもは週末。
A:家計を支えてきた役割が一時的に果たせないことで、本人が自責的になっている。家族全体にも経済的・心理的な負担がかかりやすい状況と考えられる。
P:本人の思いを傾聴しながら、医療ソーシャルワーカーと連携し、傷病手当金など利用できる社会資源の情報提供を行う。
セクシュアリティ・生殖パターン
性機能と生殖に関する状態を見ます。
質問項目は、月経の状態、妊娠・出産歴、閉経の有無、更年期症状、性生活への疾患の影響、パートナーとの関係です。
観察項目は、妊娠・出産歴、月経の規則性、閉経状況、更年期症状、性ホルモン関連の所見になります。
プライバシーの関係で聞きにくい領域ですが、診療に必要な情報なので伺いますと前置きしてから、答えたくないことは答えなくて大丈夫ですと伝えると、安心して話してくれる方が多いです。
SOAP例文です。
S:更年期で頻繁にほてりがあって、夜も眠れないんです、夫にもなかなか分かってもらえなくて。
O:51歳女性、3か月前から無月経。ほてりと発汗が日中5〜6回、夜間も発汗で中途覚醒あり。
A:更年期症状による身体的苦痛が睡眠障害を生み、夫婦関係のストレスとも重なって心理的負担が大きくなっている状態と考えられる。
P:更年期症状への対処法を情報提供、婦人科受診を勧める。必要時はパートナー向けの説明資料も用意する。
コーピング・ストレス耐性パターン
ストレス源への反応と対処方法を見るパターンです。
質問項目は、ストレスの自覚、対処方法、最近の生活上の変化、困難への対処の仕方、リラックス手段になります。
観察項目は、ストレス反応(イライラ、緊張、涙もろさ)、適応の様子、対処方法の効果、不安や抑うつの兆候、頭痛や胃痛などの身体症状です。
不適切なコーピング、つまり飲酒や過食、現実逃避などが注意サインなので、責めずに聞き出すことがポイントになります。
SOAP例文です。
S:仕事と親の介護が重なってて、お酒で紛らわしてきたけど最近効かなくなってきました。
O:表情硬く、深いため息頻回。飲酒量は焼酎5合/日まで増加。睡眠時間短縮、食欲低下もあり。
A:複数のストレス源にアルコールで対処し続けた結果、効果が薄れて心身の疲労が蓄積している状態と考えられる。
P:本人の努力をまず認める。呼吸法や軽い運動など代替の対処方法を一緒に探す。必要時は精神科受診を相談する。
価値・信念パターン
価値観、信念、スピリチュアルな側面を見ます。
質問項目は、人生で大切にしていること、宗教や信条、治療への希望、将来の目標、病気による価値観の変化です。
観察項目は、宗教的習慣、宗教関連の持ち物、価値観に基づく選択、治療や医療者への態度になります。
大事なのは良し悪しの判断をしないことで、本人の価値観をそのまま受けとめる姿勢が、信頼関係を深めてくれます。
SOAP例文です。
S:仏教徒なので肉は食べません、入院中もお祈りの時間をとりたいんです。
O:ベッド横に数珠と経典あり。毎朝6時に約15分の瞑想を行っている様子。
A:宗教的信念が食習慣と日常のリズムを支えている。入院環境でも信念に沿った生活を続けたい希望があると考えられる。
P:菜食メニューを栄養科と調整する。朝の瞑想時間を確保できるよう、処置のタイミングを調整する。
情報収集のコツ
実習中は時間がありません。
それでも質の高い情報を集めるために、カンサポで学生さんに伝え続けてきた7つのコツをまとめます。
疾患から優先順位をつけること、カルテを先に読んで重複質問を避けること、1日の過ごし方から自然に聞き出すこと、会話と観察を両輪にすること、複数日に分けて深めていくこと、情報収集シートをメモとして持ち歩くこと、本人から取れない情報は家族にも聞くこと、の7つです。
1日の過ごし方を朝から晩まで順に話してもらう質問は、睡眠・栄養・排泄・活動の4パターンを一気にカバーできる時短技なので、実習初日から使ってみてください。
アセスメント文が書けるようになる5ステップ
アセスメント欄で手が止まる方は、次の5ステップをテンプレートにしてください。
SとOを分けて整理する、データが正常範囲かを判断する、複数のデータを関連づける、原因や誘因を考察する、看護問題として抽出する、という流れです。
指導者さんに突っ込まれやすいのは、データを並べただけで分析がない、SとOが混ざっている、判断の根拠が書かれていない、パターン間の関連づけがない、医学的視点だけで看護視点が抜けている、というパターンで、これは指導の現場でずっと変わりません。
アセスメントは情報の丸写しではなく、なぜそうなっているかまで言葉にする作業だと意識するだけで、文章の質が一段上がります。
疾患別に11パターンを埋める練習
実習では対象疾患が決まっているので、疾患の病態生理からゴードンの各パターンを予測できると、記録がぐっと速くなります。
糖尿病なら健康知覚・栄養代謝・活動運動・コーピングが重点、心不全なら活動運動・栄養代謝・睡眠休息・認知知覚が重点、脳梗塞なら活動運動・認知知覚・コミュニケーション(役割関係)・自己知覚が重点、といった具合に、疾患ごとに重みが変わります。
受け持ち患者さんが決まったら、その疾患で重点になるパターンから情報収集の計画を立てるのがおすすめです。
まとめ
ゴードンの11機能的健康パターンは、患者さんを生活者として丸ごと捉える看護過程の土台です。
暗記ではなく、情報収集と思考の枠組みとして毎日使っていくうちに、自然と身についていきます。
実習前夜に焦って教科書をめくるより、この記事のSOAP例文をテンプレートにして、受け持ち患者さんの情報を当てはめてみてください。
それでも間に合わないと感じたら、カンサポのLINE相談にいつでも声をかけてくださいね。
明日の記録が、ほんの少しでも楽になりますように。








