看護実習の課題で関連図を作成する際、テンプレートを探していませんか。
インターネットで検索すれば、様々な疾患別の関連図テンプレートが見つかります。
これらを参考にすれば時間も省けて便利だと感じるかもしれません。
しかし、テンプレートに頼ることで失われる大切なものがあることを知っておくべきです。
この記事では、関連図テンプレートの問題点と、本当に力になる学習方法について解説します。
関連図テンプレートとは何か
インターネット上には、心不全、糖尿病、脳梗塞など、主要な疾患の関連図テンプレートが数多く公開されています。
病態生理から症状、検査データ、治療まで、一般的な流れが図式化されており、一見便利そうに見えます。
看護学生向けのサイトや、先輩が作った関連図を共有するサイトなどで入手できます。
しかし、これらは全て一般論であり、特定の患者さんを想定したものではありません。
テンプレートは教科書的な標準例を示しているに過ぎず、実際の患者さんが持つ個別の状況は一切反映されていないのです。
むしろ、テンプレートをそのまま使うことで、重大な問題が生じる可能性があります。
テンプレートに個別性がない理由
看護において最も重視されるのは、患者さん一人ひとりの個別性です。
同じ疾患であっても、年齢、性別、生活背景、価値観、合併症の有無などによって、必要な看護は全く異なります。
例えば、同じ糖尿病でも、20代の患者さんと80代の患者さんでは、教育内容も生活指導も変わってきます。
テンプレートはこうした個別の文脈を無視した画一的な内容です。
若年者特有の心理的葛藤や、高齢者の認知機能低下といった重要な要素は含まれていません。
また、独居なのか家族のサポートがあるのか、経済的に余裕があるのか、仕事を続けたいのか、こうした生活背景もテンプレートには存在しません。
テンプレート使用で起こる問題
テンプレートをそのまま使って関連図を作成すると、いくつかの深刻な問題が発生します。
まず、自分の患者さんには当てはまらない情報を記載してしまうリスクです。
テンプレートに書いてあるからといって、実際には出現していない症状を書き込んでしまうケースが後を絶ちません。
これは事実と異なる記録を作成することであり、看護倫理上も重大な問題です。
また、テンプレートを写すことで思考が停止してしまいます。
なぜこの症状が出るのか、この検査データは何を意味するのか、本質的な問いを持たなくなるのです。
結果として、関連図は完成しても患者理解は全く深まりません。
実習で求められる本当の関連図
実習指導者や教員が評価するのは、学生が患者さんをどれだけ深く理解しているかです。
テンプレート通りの関連図では、患者さんへの関心の薄さが見透かされます。
むしろ、表現が未熟でも自分で考えた痕跡がある関連図の方が、学びの姿勢として評価されます。
関連図の目的は、美しい図を完成させることではありません。
患者さんの複雑な状態を整理し、優先すべき看護問題を見出し、根拠のある看護計画を立てることです。
この過程で最も重要なのは、自分の頭で考え、論理的に関連性を導き出す力です。
テンプレートに頼る心理
なぜ多くの学生がテンプレートに頼りたくなるのでしょうか。
実習は忙しく、課題も多く、時間的余裕がないというのが最大の理由でしょう。
また、自分で考えることへの不安や、間違えることへの恐れも背景にあります。
しかし、失敗を恐れて安易な道を選ぶことは、成長の機会を自ら手放すことです。
看護師として臨床に出れば、テンプレート通りの患者さんなど一人もいません。
予想外の症状、複雑な合併症、理解が難しい家族関係など、常に個別の対応が求められます。
学生時代に自分で考える訓練を怠れば、臨床で応用力のない看護師になってしまいます。
正しい関連図の作成方法
テンプレートに頼らず関連図を作成するには、まず病態生理の理解を深めることが不可欠です。
教科書を開き、疾患のメカニズムを丁寧に学びましょう。
基礎知識がしっかりしていれば、テンプレートがなくても論理的に関連図を組み立てられます。
次に、患者さんの情報を徹底的に収集します。
カルテや検査データだけでなく、患者さん本人や家族との会話から得られる主観的情報も重要です。
どんな症状に困っているのか、何が不安なのか、どんな生活を送りたいのか、本人の言葉で聞き取りましょう。
こうした一次情報こそが、あなたの関連図に個別性を与える最も重要な要素です。
思考を深めるプロセスを大切に
関連図作成は、情報を並べる作業ではなく、思考を深める過程です。
一つ一つの症状や検査データについて、なぜそうなるのかを考えながら書きましょう。
矢印を引くたびに、因果関係を説明できるか自問してください。
最初は時間がかかっても、この訓練を繰り返すことで論理的思考力が鍛えられます。
また、書いた後に振り返ることも重要です。
この関連図で患者さんの全体像が把握できているか、重要な情報が抜けていないか、見直す習慣をつけましょう。
仲間と見せ合って意見交換することも、新たな気づきを得る良い機会です。
指導者や教員からの学び
テンプレートよりもはるかに価値があるのが、経験豊富な指導者や教員からの直接指導です。
あなたの患者さんを知っている人からのフィードバックは、どんなテンプレートよりも的確です。
関連図の下書きを持って相談に行けば、何が不足しているか、どう改善すればよいか、具体的なアドバイスがもらえます。
また、なぜそう考えたのかを説明する過程で、自分の理解の曖昧さに気づくこともあります。
質問されて答えられない部分があれば、そこが学習すべきポイントだと分かります。
こうした対話を通じた学びは、一人でテンプレートを見ているだけでは決して得られません。
テンプレートとの賢い付き合い方
テンプレートが全く役に立たないわけではありません。
ただし、使い方を間違えないことが重要です。
関連図そのものを真似るのではなく、どのような項目を考慮すべきか、構成の参考にする程度にとどめましょう。
また、病態生理の流れを理解するための補助資料としては有用です。
疾患のメカニズムが分からないときに、大まかな流れを把握する目的であれば問題ありません。
ただし、それをそのまま自分の関連図に転記することは絶対に避けてください。
個別性を持たせる具体的な工夫
患者さん固有の情報を関連図に組み込むことで、個別性が生まれます。
年齢や性別はもちろん、職業、家族構成、趣味、価値観なども重要な要素です。
患者さんが実際に語った言葉を引用することも効果的です。
例えば、痛みについて尋ねたとき、どのような表現で答えたか、そのまま記録しましょう。
また、観察した客観的事実も丁寧に記載します。
表情、動作、会話の様子など、あなたが実際に見聞きしたことを具体的に書くことで、リアリティが生まれます。
こうした情報は、テンプレートには決して存在しない、あなただけの関連図を作り上げる要素です。
まとめ
看護関連図のテンプレートは、個別性を欠いており、そのまま使用することは避けるべきです。
テンプレートに頼ることで、思考力が育たず、患者理解も深まりません。
教科書での学習、患者さんとの対話、指導者からの助言を通じて、自分の力で考え抜くことが何より大切です。
時間はかかっても、その過程で得られる学びは、将来の臨床実践力に直結します。
テンプレートという安易な道ではなく、一人ひとりの患者さんに真摯に向き合う姿勢を大切にしてください。
その積み重ねが、信頼される看護師としての土台を築いていくのです。
関連図作成の苦労は決して無駄ではなく、あなたの看護師としての成長に欠かせない貴重な経験なのです。








