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看護計画

ショック状態の看護計画|緊急対応と観察・援助

この記事は約9分で読めます。

ショック状態は循環不全により全身の組織や臓器への酸素供給が著しく低下した危機的な状態です。

医療現場では迅速な判断と適切な対応が患者さんの予後を左右するため、看護師には高度な観察力と実践力が要求されます。

本記事ではショック状態にある患者さんへの看護計画について、病態生理から具体的な看護介入まで詳しく解説します。

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ショック状態とは何か

ショック状態は単なる血圧低下ではなく、全身の組織が酸素やエネルギー源となる栄養素を十分に受け取れない状態を指します。

この状態が続くと細胞レベルでのエネルギー産生が障害され、臓器機能の低下や多臓器不全へと進行する危険性があります。

ショックの定義として収縮期血圧が90mmHg未満、または平常時より30mmHg以上の低下が目安とされますが、血圧だけでなく組織灌流の状態を総合的に評価することが大切です。

心拍数の増加、皮膚の冷感や湿潤、尿量の減少、意識レベルの変化などの臓器灌流低下を示す徴候を注意深く観察する必要があります。

ショックの分類と病態生理

ショックは原因によって大きく4つに分類されます。

循環血液量減少性ショックは出血や脱水により循環血液量が減少することで起こります。

外傷や消化管出血、熱傷などが原因となり、体内の血液や体液が急激に失われることで心臓に戻る血液量が減少し、心拍出量が低下します。

心原性ショックは心臓のポンプ機能が低下することで全身への血液供給が低下した状態です。

急性心筋梗塞や重症不整脈、心筋症などが原因となり、心臓自体の収縮力が弱まることで十分な血液を送り出せなくなります。

血液分布異常性ショックは血管の拡張により相対的に循環血液量が低下する状態で、敗血症性ショックやアナフィラキシーショック、神経原性ショックがこれに該当します。

敗血症性ショックでは感染による炎症反応で血管が拡張し、血管透過性が亢進することで血管内の水分が血管外へ漏出します。

閉塞性ショックは心臓や大血管の閉塞により血液循環が妨げられる状態で、肺塞栓症や心タンポナーデ、緊張性気胸などが原因となります。

これらの病態を理解することで、患者さんの状態に応じた適切な看護介入を計画することができます。

ショック状態の看護目標

ショック状態にある患者さんへの看護では、明確な目標設定が重要です。

長期目標として、循環動態が安定し全身の組織への酸素供給が改善することを設定します。

短期目標としては、まずバイタルサインが安定範囲内に維持されることを目指します。

次に、意識レベルや尿量など臓器灌流の指標となる項目が正常範囲に改善することを目標とします。

さらに、ショックの原因に対する治療が開始され、病態の進行が食い止められることも短期目標として設定します。

これらの目標を達成するために、観察項目、治療的援助、教育的援助の3つの視点から具体的な看護計画を立案します。

観察項目

ショック状態の患者さんに対する観察は、生命を守るための最も重要な看護業務です。

バイタルサインの測定では血圧、心拍数、呼吸数、体温、酸素飽和度を継続的に観察します。

血圧は収縮期血圧だけでなく平均動脈圧も重要な指標となり、60mmHg以上が臓器灌流を維持する目安とされます。

心拍数の増加は初期のショック状態で代償機転として現れますが、進行すると徐脈に転じることもあるため注意が必要です。

呼吸状態では呼吸数の増加や努力呼吸、呼吸パターンの異常を観察し、低酸素血症や代謝性アシドーシスによる過換気の有無を確認します。

皮膚の状態観察では色調、温度、湿潤度、毛細血管再充満時間を評価します。

末梢循環不全では皮膚が冷たく湿潤し、蒼白やチアノーゼが見られることがあります。

毛細血管再充満時間は爪床を圧迫して離した後、ピンク色に戻るまでの時間を測定し、2秒以上かかる場合は末梢循環不全が考えられます。

意識レベルの変化は脳への血流低下を示す重要な指標です。

ジャパンコーマスケールやグラスゴーコーマスケールを用いて客観的に評価し、変化があれば速やかに医師へ報告します。

尿量の観察では時間尿量が0.5mL/kg/時以上維持されているかを確認します。

尿量の減少は腎血流量の低下を示し、ショックの重症度を反映する重要な指標となります。

検査データでは乳酸値、血液ガス分析、電解質、腎機能、肝機能、凝固機能などを確認します。

乳酸値の上昇は組織の酸素不足による嫌気性代謝の亢進を示し、ショックの重症度や予後の指標となります。

血液ガス分析ではpH、PaCO2、PaO2、HCO3-、BE(塩基過剰)を評価し、代謝性アシドーシスの有無や程度を判断します。

心電図モニタリングでは不整脈の出現や虚血性変化を継続的に観察します。

ショック状態では電解質異常や低酸素血症により致死的不整脈が発生する危険性が高まります。

中心静脈圧や肺動脈楔入圧などの血行動態指標が測定されている場合は、これらの値から循環血液量や心機能を評価します。

治療的援助

ショック状態の患者さんへの治療的援助は、医師の指示のもと迅速かつ正確に実施することが求められます。

輸液療法では循環血液量を増やし組織への酸素供給を改善することを目的とします。

細胞外液補充液や晶質液、膠質液などが使用され、患者さんの状態に応じて輸液速度や投与量を調整します。

輸液負荷に対する反応を評価するため、血圧や心拍数、尿量の変化を注意深く観察します。

過剰な輸液は肺水腫や心不全を引き起こす危険性があるため、呼吸状態や肺音の変化にも注意が必要です。

酸素療法では組織への酸素供給を増やすため、酸素飽和度が95%以上を維持できるよう酸素投与を行います。

鼻カニューラやマスク、リザーバー付きマスクなど患者さんの状態に応じた酸素投与方法を選択します。

必要に応じて人工呼吸管理が導入されることもあり、気管挿管の準備や人工呼吸器の管理についても理解しておく必要があります。

薬物療法では昇圧薬や強心薬、抗菌薬などが使用されます。

ノルアドレナリンやドパミン、ドブタミンなどの血管作動薬は中心静脈ラインから持続投与され、投与量の調整により血圧や心拍出量をコントロールします。

これらの薬剤は心拍数や血圧への影響が大きいため、投与中は厳重な観察が必要です。

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体位の調整では下肢を挙上することで静脈還流を増やし、心拍出量の改善を図ります。

ただし心原性ショックや肺水腫がある場合は頭部を挙上した体位が適していることもあり、患者さんの状態に応じて判断します。

保温では体温低下による代謝の低下や凝固障害を予防するため、適切な室温管理や保温を行います。

過度の加温は末梢血管を拡張させ血圧低下を招く可能性があるため、注意が必要です。

教育的援助

患者さんや家族への教育的援助も看護師の重要な役割です。

ショック状態は生命に関わる緊急事態であるため、患者さんや家族は強い不安を抱えています。

現在の状態や行われている治療について、専門用語を避けわかりやすい言葉で説明することが大切です。

患者さんの意識レベルが保たれている場合は、これから行う処置や治療について事前に説明し、協力を得られるよう働きかけます。

安静の必要性について理解してもらい、体動や努力により酸素消費量が増加することを伝えます。

家族への説明では面会時間や面会方法、患者さんの状態変化時の連絡方法などを具体的に伝えます。

集中治療室での治療が必要な場合は、環境や医療機器について説明し、家族の不安を軽減できるよう配慮します。

回復期には再発予防のための生活指導を行います。

原因疾患の管理や服薬の重要性、症状出現時の対応などについて、患者さんや家族が理解できるまで丁寧に説明します。

ショックの原因別看護の注意点

循環血液量減少性ショックでは出血源の特定と止血が最優先です。

外傷による出血では創部の圧迫止血を行い、消化管出血では吐血や下血の量と性状を観察します。

輸液や輸血により循環血液量を補充しながら、原因に対する根本的治療が行われます。

心原性ショックでは心機能を改善させることが重要です。

急性心筋梗塞が原因の場合は早期の再灌流療法が予後を改善するため、迅速な診断と治療開始が求められます。

心電図変化や心筋マーカーの上昇に注意し、胸痛の性状や持続時間を詳しく観察します。

敗血症性ショックでは感染源の同定と適切な抗菌薬治療が重要です。

体温、白血球数、CRP、プロカルシトニンなどの感染指標を観察し、感染巣の特定につながる症状や徴候を見逃さないようにします。

早期から適切な抗菌薬治療を開始することで予後が改善されることが知られています。

アナフィラキシーショックでは原因物質の除去とアドレナリンの投与が最優先です。

薬剤や食物、昆虫刺傷などが原因となることが多く、発症までの経過や摂取物、接触物について詳しく情報収集します。

アドレナリンの筋肉内注射により症状の改善を図り、必要に応じて繰り返し投与します。

合併症の予防と早期発見

ショック状態が遷延すると様々な合併症が発生する危険性があります。

急性腎障害は組織灌流低下により腎血流量が減少することで発生します。

尿量の減少や血清クレアチニン値の上昇に注意し、早期発見と適切な対応が重要です。

播種性血管内凝固症候群は重症感染症や大量出血に伴って発生することがあります。

血小板数の減少、PT、APTT、Dダイマー、FDPの上昇、フィブリノゲンの低下などの検査所見と、出血傾向や臓器症状の有無を観察します。

急性呼吸窮迫症候群はショックに伴う全身性炎症反応により肺血管透過性が亢進し、肺水腫が生じる病態です。

酸素化の悪化や両側性の肺浸潤影の出現に注意し、早期に人工呼吸管理を検討します。

ストレス潰瘍はショック状態での胃粘膜血流低下により発生します。

胃管からの出血や吐血、下血の有無を観察し、予防的に胃酸分泌抑制薬が投与されることもあります。

チーム医療における看護師の役割

ショック状態の患者さんへの対応は多職種によるチーム医療が重要です。

看護師は患者さんに最も近い位置で継続的に観察を行い、わずかな変化も見逃さず医師や他の医療スタッフへ正確に情報を伝えます。

急変時には冷静に状況を判断し、必要な処置を迅速に行いながら、医師の到着までの初期対応を担います。

救急カートや除細動器などの医療機器が常に使用可能な状態であることを確認し、緊急時に備えます。

また、理学療法士や薬剤師、臨床工学技士など他職種との連携により、より質の高い医療を提供することができます。

それぞれの専門性を活かしながら、患者さんの回復を目指してチーム全体で取り組むことが大切です。

看護記録の重要性

ショック状態の患者さんの看護記録は医療事故の防止や訴訟対策としても重要な意味を持ちます。

観察項目や実施した看護援助、患者さんの反応を時系列で正確に記録します。

バイタルサインの変化、投与した薬剤の種類と量、輸液量と尿量のバランス、意識レベルの変化などを詳細に記載します。

医師への報告内容とその時刻、指示を受けた内容と実施時刻も明確に記録します。

記録は客観的な事実を基に記載し、主観的な判断や推測は避けることが原則です。

ただし、患者さんの表情や言動から読み取れる心理的な変化についても、看護師の視点として記録に残すことが望ましいです。

まとめ

ショック状態は全身の組織への酸素供給が著しく低下した生命の危機的状況であり、看護師には迅速な判断と正確な技術が求められます。

バイタルサインや意識レベル、尿量などの継続的な観察により、患者さんの状態変化を早期に発見することが重要です。

輸液療法や酸素療法、薬物療法などの治療的援助を適切に実施しながら、患者さんや家族への精神的支援も忘れてはいけません。

原因に応じた看護介入を行い、合併症の予防と早期発見に努めることで、患者さんの予後改善につながります。

チーム医療の一員として他職種と連携し、それぞれの専門性を活かした看護を提供することが、ショック状態の患者さんの救命と回復には欠かせません。

看護師一人ひとりが高い意識を持ち、知識と技術を磨き続けることで、より質の高い看護実践が可能となります。

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