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看護計画

小児褥瘡の看護計画|子どもの皮膚を守るケアの考え方と実践

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小児褥瘡とはどのような状態でしょうか

褥瘡とは、身体の特定の部位に持続的な圧迫が加わることで、皮膚および皮下組織への血流が遮断され、組織が壊死していく状態のことです。

一般的には「床ずれ」とも呼ばれており、成人の長期臥床患者さんに多いイメージを持たれがちですが、小児においても決して珍しくない問題として近年注目されています。

小児の皮膚は成人と比べて表皮が薄く・角質層の発達が不十分で・皮脂腺の機能も未熟なため、外からの摩擦・ずれ・圧迫・湿潤などの影響を受けやすい特徴があります。

また、新生児・乳幼児では体重に対する頭部の割合が大きいため、後頭部に圧迫が集中しやすく、成人とは異なる部位に褥瘡が発生しやすいことが知られています。

医療機器関連圧迫創傷という概念があり、酸素マスク・気管チューブ・ギプス・副子・経鼻胃管・パルスオキシメーター・血圧計マンシェットなど、医療機器が接触する部位に生じる皮膚損傷が小児の褥瘡として特に問題になることが多いです。

小児褥瘡のリスクが高まりやすい状況としては、長期臥床・意識障害・神経筋疾患・先天性心疾患・呼吸器疾患・低栄養・浮腫・皮膚の脆弱性・医療機器の長期装着・体動制限・鎮静薬の使用・免疫機能の低下などが挙げられます。

たとえば、先天性心疾患で術後に集中治療室に入室し多くの医療機器が装着されている乳児、脳性麻痺で体位変換が難しく長期臥床となっている小児、化学療法中で栄養状態が低下している子どもなど、臨床の場では様々な形で見られます。

看護師として関わるうえで大切なのは、小児の皮膚の特性と個々の患者さんのリスク要因を正しく把握し、褥瘡が発生する前から予防的なケアを継続していく姿勢です。


なぜ小児褥瘡の看護計画が大切なのでしょうか

小児の褥瘡は、成人と同様に一度発生すると治癒までに時間がかかり、治癒後も瘢痕が残ることがあります。

皮膚は成長とともに変化しますが、深い組織損傷が生じた場合は成長に伴う皮膚の伸展が妨げられ、拘縮や変形につながることがあります。

また、小児の褥瘡は感染のリスクを高め、治療の長期化・入院期間の延長・全身状態の悪化につながります。

特に免疫機能が未熟な新生児や免疫抑制状態にある小児では、創部からの感染が敗血症に発展するリスクもあります。

さらに、褥瘡の処置は子どもにとって痛みと苦痛を伴う体験であり、医療への恐怖心やトラウマにつながることがあります。

褥瘡を予防することは、子どもの痛みと苦痛を防ぐことであり、その子どもの健やかな成長と発達を守ることでもあります。

子どもを看護する際には、子ども自身の皮膚のアセスメントだけでなく、保護者への教育と協力が回復と予防に大きく関わります。

小児褥瘡の看護計画を立てることで、チーム全体が子どもの皮膚を守ることを意識しながら、予防的ケアと早期対応を一貫して進めることができるようになります。


小児褥瘡に関連する主なアセスメントの視点

看護計画を立てる前に、子どもの皮膚の状態とリスク要因をていねいにアセスメントすることが出発点です。

まず、褥瘡のリスクを評価します。

小児用褥瘡リスクアセスメントツールとして、ブレイデンQスケール(七項目で評価する小児専用のスケール)が広く使われています。

感覚の認知・湿潤・活動性・可動性・栄養・摩擦とずれ・組織灌流と酸素化の七項目を評価します。

皮膚の全身状態を確認します。

皮膚の色・弾力・乾燥・湿潤の状態・発赤の有無・すでに発生している皮膚損傷の有無と程度を確認します。

圧迫を受けやすい部位を確認します。

小児では後頭部・耳介・肩甲骨・仙骨・踵などが圧迫を受けやすい部位です。

医療機器が接触している部位も必ず確認します。

医療機器の装着状況を確認します。

酸素マスク・気管チューブ・経鼻胃管・血管カテーテル・パルスオキシメーター・ギプス・副子・体幹装具など、皮膚に接触している医療機器の種類・装着部位・装着時間を確認します。

栄養状態を確認します。

体重・身長・体重増加の状況・血清アルブミン値・食事摂取量を把握します。

低栄養は皮膚の組織修復力を低下させ、褥瘡リスクを高めます。

基礎疾患と全身状態を確認します。

心疾患・呼吸器疾患・神経筋疾患・浮腫・免疫機能の低下・循環不全など、皮膚への血流と組織の修復力に影響する状態を把握します。

体動の状況を確認します。

自分で体位を変えられるか・体動の頻度・鎮静薬の使用の有無・体動制限の有無を確認します。

皮膚の湿潤状態を確認します。

おむつ使用による湿潤・発汗・ドレーン排液・創部からの滲出液など、皮膚を湿潤させる要因を把握します。

発達段階と認知機能を確認します。

子どもが痛みや不快感を言葉で伝えられる年齢かどうかを把握します。

言葉で伝えられない乳幼児や認知機能に問題がある子どもでは、非言語的なサインへの注意が特に重要です。


看護目標

長期目標

子どもの皮膚の完全性が維持され、褥瘡の発生を防ぎながら安全に療養生活を送ることができます。

短期目標

圧迫を受けやすい部位と医療機器の接触部位の皮膚の状態が、毎日の観察によって早期に確認されます。

定期的な体位変換と除圧が確実に行われ、一か所への持続的な圧迫が避けられた状態が保たれます。

保護者が子どもの皮膚観察の方法と異常サインを理解し、変化に気づいたときにすぐに看護師に伝えることができます。


観察計画(オーピー)

観察計画では、子どもの皮膚の状態・圧迫部位・医療機器接触部位を継続してていねいに確認することが大切です。

全身の皮膚の状態を毎日観察します。

発赤・熱感・腫脹・皮膚の変色・水疱・びらん・壊死の有無を確認します。

特に圧迫を受けやすい後頭部・耳介・肩甲骨・仙骨・踵・足背・肘などの骨突出部を重点的に確認します。

医療機器の接触部位を毎日確認します。

酸素マスクの当たる鼻・頬・耳介・気管チューブの当たる口角・唇・経鼻胃管の当たる鼻翼・パルスオキシメーターの装着部位・点滴固定テープの周囲など、医療機器が接触しているすべての部位を丁寧に確認します。

褥瘡のステージを評価します。

発赤だけで皮膚が保たれているステージ一・水疱や浅い皮膚損傷があるステージ二・皮下組織まで達するステージ三・筋肉・骨まで達するステージ四・組織の損傷範囲が判定できない深部組織損傷など、損傷の程度を評価し記録します。

皮膚の湿潤状態を確認します。

おむつ交換のたびに臀部・陰部の皮膚の状態を確認します。

発汗・ドレーン排液・創部滲出液による皮膚の湿潤がないかを確認します。

体位変換の実施状況を記録します。

最後の体位変換がいつ行われたか・現在の体位・次の体位変換の予定時刻を記録します。

医療機器の固定テープの状態を確認します。

テープの剥がれ・しわ・テープ周囲の皮膚の発赤・かぶれの有無を確認します。

栄養状態の変化を継続して確認します。

体重・食事摂取量・血液データ(アルブミン・総たんぱくなど)の変化を把握します。

子どもの痛みや不快感のサインを観察します。

泣き声・表情・体動・睡眠の状態など、言葉で伝えられない子どもの苦痛のサインに注意します。


ケア計画(ティーピー)

ケア計画では、子どもの皮膚を守るための具体的なかかわりを設計します。

まず、定期的な体位変換を確実に実施します。

二時間を基本としながら、子どもの状態・使用している体圧分散用具・皮膚の状態に合わせて変換間隔を調整します。

体位変換の際は、皮膚を引きずらずに持ち上げるように移動させ、摩擦とずれが生じないよう注意します。

「体位変換は褥瘡予防の最も基本的なケアです。忙しい時間帯でも確実に実施できるよう、チームで時間を決めて取り組む体制をつくることがとても大切です。」

体圧分散用具を適切に活用します。

体圧分散マットレス・ゲルパッド・ウレタンフォームなど、子どもの体重と状態に合った体圧分散用具を選択します。

ドーナツ型クッションは中心部の圧力が高まることがあるため、小児への使用には注意が必要です。

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医療機器の管理を徹底します。

酸素マスクや気管チューブが同じ部位に当たり続けないよう、定期的に接触部位を変えます。

経鼻胃管は左右の鼻腔を交互に使用し、テープの固定部位を毎回変えます。

パルスオキシメーターは二から四時間ごとに装着部位を変えます。

医療機器と皮膚の間に薄いポリウレタンフォームドレッシング材やソフトシリコンパッドを挟むことで、摩擦と圧迫を軽減します。

皮膚の保湿を行います。

乾燥した皮膚は損傷を受けやすいため、保湿クリームや保湿ローションを適切に使用して皮膚のバリア機能を維持します。

特に新生児・乳幼児の皮膚は乾燥しやすいため、入浴後や清拭後の保湿ケアを徹底します。

皮膚の湿潤管理を行います。

おむつはこまめに交換して排泄物による皮膚の浸軟を防ぎます。

撥水性の高いスキンケア剤(皮膚保護クリームなど)を使用して皮膚への刺激を和らげます。

発汗が多い子どもでは、シーツや衣類をこまめに交換して皮膚の湿潤を防ぎます。

褥瘡が発生した場合は、医師・皮膚・排泄ケア認定看護師と連携して適切なドレッシング材の選択と創部管理を行います。

テープ固定の工夫を行います。

皮膚への刺激が少ないシリコン系テープや低刺激性テープを選択します。

テープを剥がすときは皮膚を引っ張らずゆっくりと端から剥がし、皮膚剥離リムーバーを活用します。

栄養管理を支援します。

管理栄養士と連携しながら、子どもの年齢・体重・疾患に合った十分な栄養が摂取できるよう支援します。


教育計画(イーピー)

教育計画では、保護者が子どもの皮膚の変化に気づき、適切なケアに協力できるよう支援することが大切です。

まず、褥瘡とはどのようなものか・なぜ子どもにも起きるのかを分かりやすい言葉で伝えます。

「同じ場所に長く圧力がかかり続けると、皮膚への血の流れが悪くなって皮膚が傷ついてしまうことがあります。これはお子さんの皮膚がまだ薄くて繊細なためで、大人よりも注意が必要です」という説明が保護者の理解を助けます。

「お子さんの皮膚に赤くなっている部分・硬くなっている部分・水ぶくれのような変化が見られたときは、すぐに知らせていただくことがとても大切です」と繰り返し伝えることが早期発見につながります。

観察すべき部位と異常サインを具体的に伝えます。

後頭部・耳の後ろ・肩甲骨・お尻・踵など、圧迫を受けやすい部位を実際に指さしながら説明します。

医療機器が当たっている部位も定期的に確認してほしいことを伝えます。

体位変換の方法と大切さを伝えます。

「同じ向きで長く寝続けないよう、定期的に体の向きを変えることが皮膚を守ることにつながります」と説明し、実際の体位変換の方法を一緒に確認します。

保護者ができる範囲での体位変換や除圧の方法を具体的に示します。

皮膚の保湿ケアの方法を伝えます。

入浴後や清拭後に保湿クリームを塗ることの大切さ・保湿剤の塗り方・適切な量を具体的に説明します。

おむつ使用中の子どもでは、おむつ交換のたびに皮膚の状態を確認する習慣をつけることを伝えます。

医療機器の管理に関する保護者の役割を伝えます。

「医療機器のテープや固定具が皮膚に食い込んでいたり・赤くなっていたりする場合はすぐに教えてください」と具体的な確認のポイントを伝えます。

退院後に継続が必要なケアについて伝えます。

自宅でのスキンケアの方法・褥瘡が発生した場合の対応・かかりつけ医や訪問看護への相談のタイミングを保護者と一緒に確認します。


小児の褥瘡が発生しやすい部位を知りましょう

小児の褥瘡が発生しやすい部位は、成人とは異なる特徴があります。

その違いを知っておくことで、見落としのない観察ができるようになります。

新生児・乳幼児では、頭部が体重に対して大きな割合を占めているため、後頭部が圧迫を受けやすく、後頭部の褥瘡が最も多い部位とされています。

耳介も圧迫を受けやすく、酸素マスクの固定ひもや経管チューブのテープ固定部位として問題になりやすいです。

年長児では、成人と同様に仙骨・踵・肩甲骨・肘などの骨突出部に発生しやすくなります。

医療機器関連圧迫創傷として特に注意が必要な部位は、気管チューブが当たる口角・鼻翼・唇、経鼻胃管が当たる鼻翼・鼻孔、酸素マスクが当たる鼻・頬・耳介、パルスオキシメーターが当たる手指・足趾、ギプスや副子の縁が当たる部位などです。

医療機器を装着するすべての部位を毎日確認することが、小児の医療機器関連圧迫創傷を防ぐうえで最も大切な習慣です。

医療機器装着部位の確認は、処置やケアの機会を活用して習慣的に行うことが大切です。


発達段階に応じた褥瘡予防の工夫

小児看護において大切なのは、発達段階に合わせた関わりです。

新生児・乳幼児期では、体位変換や医療機器の管理はすべて保護者と医療スタッフが行います。

肌への優しい接触・声かけ・安楽な体位を意識したケアが大切です。

幼児期の子どもでは、ケアへの協力が難しいことが多いです。

「頑張ってね」「すぐに終わるよ」という声かけ・好きなおもちゃや絵本を活用したケアの工夫・保護者に抱っこしてもらいながらのケアが有効なことがあります。

学童期以上の子どもでは、「どうして体の向きを変えるの?」という疑問に正直に答えながら、子ども自身が予防ケアに参加できるよう促します。

「自分でできることは一緒にやろう」というスタンスが、子どもの自立心と協力意欲を引き出します。

子どもが痛みや不快感を感じたときに遠慮なく伝えられるよう、「痛かったら教えてね」「嫌だったら言ってね」という言葉を繰り返し伝えることが大切です。


退院後を見据えた小児褥瘡予防の視点

小児褥瘡への看護介入は、入院中だけで完結するものではありません。

神経筋疾患・脳性麻痺・重症心身障害などを持つ子どもでは、退院後も継続的な褥瘡予防が必要です。

退院前には、在宅での体位変換の方法・体圧分散用具の選び方・皮膚観察のポイント・異常が出たときの連絡先を保護者と一緒に確認します。

医療機器を装着したまま退院する場合は、装着部位の皮膚管理の方法を保護者に実技を含めて丁寧に指導します。

訪問看護・訪問リハビリを利用する場合は、褥瘡予防に関する引き継ぎ事項を担当者に丁寧に伝えます。

定期的な外来受診を通じて、皮膚の状態と褥瘡予防の継続状況を確認することが大切です。


チームで支える小児褥瘡へのケア

小児褥瘡へのケアは、一人の看護師だけで担えるものではありません。

医師・看護師・皮膚・排泄ケア認定看護師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士・医療機器管理担当者など、多職種が連携して子どもの皮膚を守ることが大切です。

皮膚・排泄ケア認定看護師は、褥瘡の評価・適切なドレッシング材の選択・予防的ケアの指導など、褥瘡ケアの専門職として重要な役割を担います。

管理栄養士は、子どもの成長と皮膚の修復に必要な栄養管理を専門的に支援します。

理学療法士は、体位変換の方法・体圧分散の工夫・関節の拘縮予防など、身体機能の面から褥瘡予防を支えます。

カンファレンスでは、子どもの皮膚の状態・リスク要因の変化・予防的ケアの実施状況・支援の方向性をチームで共有します。

チーム全体が「この子の皮膚を守る」という共通の目標を持ちながら関わることで、小児褥瘡の予防と早期対応の質が上がります。


まとめ|小児褥瘡の看護計画を立てるにあたって

小児褥瘡の看護計画は、子どもの皮膚の特性とリスク要因を正しく把握しながら、褥瘡が発生する前から予防的なケアを継続することを出発点としています。

長期目標・短期目標を設定し、観察・ケア・教育の各計画をていねいに組み立てることで、チーム全体が子どもの皮膚を守ることを意識しながら動けるようになります。

子どもの皮膚を守ることは、その子どもの痛みと苦痛を防ぎ、健やかな成長と発達を守ることに直結しています。

保護者と連携しながら、毎日のケアの中に予防の視点を積み重ねていくことが大切です。

子どもが「痛い思いをしなくてよかった」と感じられるよう、その皮膚を守り続けることが、小児褥瘡の看護計画において最も大切なケアの一つです。

日々の観察と丁寧なケアを積み重ねながら、子どもと保護者に寄り添い続ける看護を、日々の臨床の中で実践し続けてください。

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