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中範囲理論看護理論家

ヘルスビリーフモデルとは?看護における健康行動変容の理論を徹底解説

この記事は約6分で読めます。

看護の現場で患者さんの行動変容を促すことに苦労していませんか。

ヘルスビリーフモデルは、個人が予防的健康行動をとる見込みを予測する理論的枠組みとして、1950年代にアメリカで開発されました。

この理論は、なぜ人々が健康的な行動を選択するのか、あるいはしないのかを理解する上で非常に有用です。

本記事では、ヘルスビリーフモデルの基本概念から臨床での活用方法まで、看護実践に役立つ情報を詳しく解説します。

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ヘルスビリーフモデルの4つの核心的信念

ヘルスビリーフモデルは、健康に関する4つの信念によって構成されています。

これらの信念が個人の予防的健康行動を決定する重要な要素となるのです。

病気の罹患性の認識は、現在の健康状態について何らかの対策を講じなければ、本当に病気になったり病状が進んでしまったりするかもしれないという個人の感じ方を指します。

例えば、高血圧を放置すれば心筋梗塞のリスクが高まると感じることです。

病気の重大性の認識は、もし病気になったり病状が進んだりした場合、その結果が自分にとってどのくらい重大かという個人の感じ方を意味します。

この2つの認識が組み合わさることで、病気への脅威が形成されます。

個人の病気への脅威が大きいほど、周りから勧められた予防的健康行動をとる見込みは高まると考えられています。

予防的健康行動の有益性の認識とは、禁酒や禁煙、食事の節制、運動、ストレスマネジメントや服薬などの予防的健康行動が、病気からの身体的回復や精神的安寧をもたらしてくれるから自分にとっては有益だという個人の感じ方を指します。

わかりやすく言えば、予防的健康行動のプラス面に関するその人なりの受け止め方です。

一方で予防的健康行動の障害の認識も存在します。

個人は予防的健康行動をとるために、身体的、心理的、経済的負担といった種々の障害に直面することになります。

こうした障害に対する個人の感じ方やとらえ方が、予防的健康行動の障害の認識です。

ヘルスビリーフモデルでは、予防的健康行動の有益性から障害を差し引いた時、前者が上回ると判断された場合に、個人が自分に勧められた予防的健康行動をとる見込みは高まると考えます。

行動変容を促す重要な要素

個人が予防的健康行動をとる見込みは、2つの条件がそろった場合に高まります。

1つ目は病気への脅威が大きいこと、2つ目は予防的健康行動の有益性の認識が、予防的健康行動の障害の認識よりも大きいことです。

行動のきっかけも適切な予防的健康行動を促す刺激として重要とされています。

行動のきっかけとは、マスメディアによるキャンペーン、他者からのアドバイス、医師や歯科医師からの催促状、家族や友人の病気、新聞や雑誌の記事などを指します。

さらに、長期に及ぶ行動変容が期待されるライフスタイルなどが課題となった場合、自己効力感が必要となります。

自己効力感とは、その結果を生み出すために必要な行動を実行する能力が自分にはあるという確信のことです。

人が自分の健康を害する行動を自分の行動によって変化させる能力を持っているという自信を意味しており、特に認識された障害を乗り越えるためには重要といえます。

看護臨床での具体的な活用方法

ヘルスビリーフモデルは、集団検診、スクリーニングや予防接種の受診行動の分析に活用されてきました。

その後、運動の実施や継続、服薬のコンプライアンスあるいはアドヒアランスといった受療行動を課題とした研究や事故防止対策などに、幅広く応用されるようになっています。

我が国では、生活習慣病治療のコンプライアンスに関連する要因の分析、2型糖尿病患者の患者教育、透析患者の自己管理にかかわる要因分析などにヘルスビリーフモデルが活用されています。

藤内らの研究では、80歳未満の外来高血圧患者237人を対象に服薬コンプライアンスと関連因子について分析を行い、高血圧症の重篤さに関する認識や治療に伴う障害の認識はコンプライアンスの阻害因子であり、治療の有益性に対する認識は促進因子であったことを報告しています。

高梨らは、60歳以上の2型糖尿病患者で通院治療を受けた383人を調査した結果、運動療法のコンプライアンスは運動療法への信念のみが関連要因でしたが、食事療法のコンプライアンスは食事療法への信念と家族支援が関連要因であったことを報告しています。

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アセスメントの実際的な枠組み

ヘルスビリーフモデルは元来、個人の信念を焦点とする枠組みであることから、適用可能な対象は意思決定能力があることを前提とするのが妥当です。

アセスメントの枠組みを構成するキー概念は、情報収集の可能な4つの信念と行動のきっかけです。

アセスメントは以下のような手順で進めます。

それぞれのキー概念に関する対象の言動を収集し整理し、分析と解釈を行います。

次にキー概念間の関係性を解釈します。

そして対象が予防的健康行動をとる見込みを推測します。

教育計画の実践にも応用可能で、働きかけが必要と考えられるキー概念を決定し、看護介入の計画を立案して実施します。

最後に働きかけの効果を、対象の行動変容の有無あるいは行動の質的水準の変化から評価します。

ゴードンの機能的健康パターンとの統合

看護アセスメントにおいて、ゴードンの機能的健康パターンとヘルスビリーフモデルを組み合わせることで、より包括的な患者理解が可能になります。

機能的健康パターンは、人間の統合された生活機能を11に分類したもので、意図的かつ体系的にクライエントをアセスメントし、看護診断を導くための情報の枠組みです。

健康知覚から健康管理パターンにおいて、ヘルスビリーフモデルの4つの信念を適用することで、患者がなぜ治療計画を実行できないのか、その背景にある認識を明らかにできます。

例えば、2型糖尿病患者のケースでは、自覚症状がないことが疾患を軽く受け止める原因となり、食事療法や運動療法を日常生活に取り入れることができない状況が生じます。

このような場合、疾患に対する知識不足が健康管理行動の障害となっていることが理解できます。

各看護領域での実践的応用

ヘルスビリーフモデルは、結核検診、子宮がん検診やマンモグラフィーによる乳がん検診などの受診行動を促進する保健領域や、慢性疾患管理において広く活用されています。

エイズの予防行動を促すための教育に適用例があり、対象は青少年から老年までと幅広いのが特徴です。

しかしながら、精神疾患や認知障害などを持つ人たちへの適用例はごく少数であり、小児を対象とした報告は見いだせませんでした。

その理由として考えられることは、このモデルは健康に関する4つの信念を主要な概念としているために、対象者は認知機能が成熟していること、そして意思決定能力があることを暗黙の了解としているためです。

したがって、ヘルスビリーフモデルは、対象者の認知能力や意思決定能力の水準によって活用に制約が生じる可能性があることを考慮する必要があります。

効果的な看護介入のポイント

ヘルスビリーフモデルを用いた看護介入では、患者の信念に働きかけることが重要です。

病気への脅威を適切に認識してもらうための教育と、予防的健康行動の有益性を実感できる支援が必要となります。

同時に、行動変容の障害となっている要因を特定し、それを軽減するための具体的な方策を患者と共に考えることが大切です。

家族支援の重要性も見逃せません。

特に食事療法などでは、家族の協力が行動変容の成否を左右する要因となることが研究で示されています。

自己効力感を高めるためには、小さな成功体験を積み重ねることが効果的です。

達成可能な目標を設定し、段階的に行動変容を進めていくアプローチが推奨されます。

まとめ

ヘルスビリーフモデルは、患者の健康行動を理解し、効果的な看護介入を計画するための有用な理論的枠組みです。

病気の罹患性と重大性の認識、予防的健康行動の有益性と障害の認識という4つの信念を把握することで、患者がなぜ行動変容に至らないのかを体系的に分析できます。

臨床現場では、この理論をゴードンの機能的健康パターンと組み合わせることで、より包括的なアセスメントが可能になります。

患者の認知能力や意思決定能力を考慮しながら、個別性を重視した看護介入を展開することが、行動変容の成功につながります。

ヘルスビリーフモデルを活用して、患者さんの健康行動を支援する看護実践を展開していきましょう。

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