しびれは日常的に経験する症状でありながら、脳梗塞や脊髄疾患など重大な疾患のサインとなる可能性がある重要な神経症状です。
看護師としてしびれ患者さんに適切なケアを提供するためには、原因を正確に把握し、緊急性の判断と神経学的評価を適切に行うことが求められます。
本記事では、しびれの種類と原因、神経症状のアセスメント、具体的な看護介入まで、臨床現場で即実践できる内容を詳しく解説します。
しびれとは何か
しびれとは、皮膚の感覚が鈍くなったり、ピリピリした異常感覚を感じたりする症状を指します。
ジンジンする、チクチクする、正座の後のような感じ、手袋や靴下をはいているような感じなど、患者さんによって表現は様々です。
しびれには感覚の低下を伴うものと、痛みやピリピリ感などの異常感覚を伴うものがあります。
一過性のしびれは血流の一時的な障害で起こることもありますが、持続的なしびれや進行するしびれは注意が必要です。
特に片側の手足のしびれ、顔面のしびれを伴う場合は、脳梗塞の可能性があり緊急対応が必要です。
両手足のしびれは脊髄疾患、末梢神経障害、代謝性疾患などが原因となることがあります。
しびれの主な原因
しびれの原因は障害される神経の部位により分類されます。
中枢神経系の障害によるしびれでは、脳梗塞が最も緊急性が高い原因です。
脳の血管が詰まり、血流が途絶えることで神経細胞が障害されます。
突然の片側の手足のしびれ、顔面のしびれ、ろれつが回らない、力が入らないなどの症状を伴います。
発症から4時間半以内であれば、血栓溶解療法により後遺症を軽減できる可能性があります。
脳出血でも片側の手足のしびれが出現することがあります。
激しい頭痛、嘔吐、意識障害を伴うことが多いです。
脳腫瘍では、徐々に進行するしびれや感覚障害が特徴です。
腫瘍の部位により症状が異なり、頭痛、けいれん、視力障害などを伴うことがあります。
脊髄疾患によるしびれでは、頸椎症や腰椎椎間板ヘルニアが一般的です。
頸椎症では首や肩の痛みとともに、上肢のしびれが出現します。
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰痛とともに下肢のしびれや痛みが走ります。
脊髄損傷では、損傷部位以下の感覚障害や運動麻痺が起こります。
末梢神経障害によるしびれでは、手根管症候群が代表的です。
手首の正中神経が圧迫され、親指から薬指にかけてのしびれや痛みが出現します。
夜間や明け方に症状が強くなることが特徴です。
糖尿病性神経障害では、両足の先端から徐々にしびれが始まります。
手袋や靴下をはいているような左右対称のしびれが特徴的です。
血糖コントロールが不良な状態が長期間続くことで発症します。
ギランバレー症候群では、感染後に両下肢から上行性にしびれや筋力低下が進行します。
呼吸筋麻痺を来すと生命に関わるため、早期発見が重要です。
代謝性疾患によるしびれでは、ビタミンB12欠乏症が重要です。
悪性貧血や胃切除後に起こりやすく、両手足のしびれや歩行障害が出現します。
甲状腺機能低下症でも、手足のしびれが見られることがあります。
その他の原因として、過換気症候群では手足や口周囲のしびれが特徴的です。
不安や緊張により過呼吸となり、血液中の二酸化炭素が減少することで起こります。
しびれのアセスメントポイント
しびれ患者さんへの看護を行う上で、詳細なアセスメントが最も重要です。
しびれの部位を正確に把握し、片側か両側か、手か足か、指先だけか広範囲かを確認します。
片側の手足のしびれは脳梗塞や脳出血を疑います。
両手足のしびれは脊髄疾患や末梢神経障害、代謝性疾患を考えます。
しびれの性状を詳しく聴取し、感覚が鈍い、ピリピリする、ジンジンする、痛みを伴うなど具体的に確認します。
発症時期と経過を確認し、突然発症したか徐々に進行したかを評価します。
脳梗塞は突然発症し、糖尿病性神経障害は徐々に進行します。
しびれの増悪因子と軽減因子を特定します。
頸椎症では首を後ろに反らすとしびれが増強することがあります。
随伴症状の有無を確認し、運動麻痺、言語障害、視覚障害、意識障害、頭痛、めまいなどを評価します。
これらの症状を伴う場合は、中枢神経系の疾患を疑います。
既往歴として、糖尿病、高血圧、脂質異常症、心房細動の有無を確認します。
これらは脳梗塞の危険因子となります。
看護目標の設定
しびれ患者さんに対する看護を効果的に実施するためには、明確な看護目標を設定することが必要です。
長期目標として、しびれの原因が特定され適切な治療により、患者さんがしびれによる日常生活の支障なく過ごせるようになることを目指します。
短期目標の1つ目は、脳梗塞や脊髄疾患など緊急性の高い疾患が早期に発見され、適切な治療が開始されることです。
短期目標の2つ目は、しびれの程度が軽減され、患者さんが安全に日常生活動作を行えることです。
短期目標の3つ目は、患者さんがしびれの危険な症状を理解し、適切なタイミングで医療機関を受診できることです。
OP 観察項目
神経症状を詳細に観察することが看護の基本となります。
しびれの部位、範囲、程度を継続的に評価し記録します。
しびれの範囲が拡大していないか、新たな部位に出現していないかを観察します。
感覚検査を実施し、触覚、痛覚、温度覚、位置覚を評価します。
綿花で軽く触れて感じるか、針で刺して痛みを感じるか、温かいものと冷たいものの区別がつくかを確認します。
左右差がないか、どの程度感覚が低下しているかを評価します。
運動機能の評価として、筋力を徒手筋力テストで測定します。
握力、腕の挙上、足の背屈や底屈などの筋力を評価します。
片側の筋力低下は脳梗塞を強く疑います。
協調運動を評価し、指鼻試験や踵膝試験を実施します。
小脳の障害では協調運動が障害されます。
反射の評価として、深部腱反射を確認します。
膝蓋腱反射、アキレス腱反射、上腕二頭筋反射などを左右で比較します。
反射の亢進や減弱、左右差は神経障害を示唆します。
バイタルサインの測定では、血圧、脈拍、体温、呼吸数を確認します。
高血圧は脳梗塞や脳出血のリスク因子です。
不整脈は心原性脳塞栓症の原因となります。
意識レベルを評価し、見当識、会話の内容、応答の適切性を確認します。
意識障害を伴う場合は、中枢神経系の重篤な障害を示唆します。
言語機能を評価し、ろれつが回るか、言葉が出るか、理解できるかを確認します。
構音障害や失語症は脳梗塞の重要な症状です。
顔面の対称性を観察し、顔面神経麻痺の有無を確認します。
笑顔を作ってもらい、口角が下がっていないか、目が閉じられるかを評価します。
歩行状態を観察し、ふらつきや歩行困難の有無を確認します。
しびれにより足の感覚が低下すると、転倒のリスクが高まります。
日常生活動作の自立度を評価します。
食事、更衣、排泄、入浴などの動作にしびれがどの程度影響しているかを確認します。
箸が使いにくい、ボタンがかけられない、転びやすいなどの訴えを聴取します。
血液検査データとして、血糖値、ヘモグロビンA1c、ビタミンB12、甲状腺機能を確認します。
糖尿病のコントロール状態や、代謝性疾患の有無を評価します。
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画像検査の結果を確認し、頭部CTやMRI、頸椎や腰椎のMRIの所見を把握します。
脳梗塞、脳出血、脊髄病変の有無を確認します。
TP ケア項目
緊急時の初期対応が最も重要なケアとなります。
突然の片側の手足のしびれ、顔面のしびれ、言語障害を訴えた場合は、脳梗塞を疑い速やかに医師に報告します。
発症時刻を正確に把握することが、治療方針の決定に重要です。
安静を保たせ、バイタルサインを測定します。
頭部を挙上せず平らな状態を保ち、脳血流を維持します。
酸素投与を開始し、経皮的酸素飽和度を95パーセント以上に保ちます。
静脈路を確保し、緊急時の薬剤投与に備えます。
安全な環境を整え、転倒予防対策を徹底します。
しびれにより感覚が低下していると、物につまずいたり、足を踏み外したりするリスクが高まります。
ベッド柵を設置し、ナースコールは手の届く位置に置きます。
床に物を置かず、動線を確保します。
履物は滑りにくいものを選び、かかとがしっかり固定される靴を使用します。
移動時は必ず付き添い、転倒を防ぎます。
日常生活動作の援助として、しびれの程度に応じた支援を提供します。
食事では、箸が使いにくい場合はスプーンやフォークの使用を勧めます。
熱い物でやけどをしないよう、温度を確認してから摂取するよう声をかけます。
更衣では、ボタンがかけにくい場合はマジックテープ式の衣類を提案します。
入浴では、浴槽の出入りや洗体動作を介助します。
温度感覚が低下している場合は、お湯の温度を手で確認してから入るよう指導します。
体位変換と褥瘡予防を行います。
しびれにより同じ部位を圧迫し続けると、褥瘡が発生しやすくなります。
2時間ごとに体位変換を行い、皮膚の観察を行います。
薬物療法の支援として、医師の指示に基づき薬剤を投与します。
脳梗塞では血栓溶解療法や抗血小板薬、抗凝固薬を使用します。
糖尿病性神経障害では血糖コントロールと神経障害治療薬を使用します。
ビタミンB12欠乏症ではビタミンB12の補充を行います。
薬剤の効果と副作用を観察し、出血傾向がないか確認します。
リハビリテーションの支援として、理学療法士や作業療法士と連携します。
感覚障害に対するリハビリ、筋力強化訓練、日常生活動作訓練を実施します。
継続的なリハビリにより、機能の回復や代償手段の獲得を目指します。
心理的支援として、患者さんの不安や焦りを傾聴します。
しびれにより思うように動作ができないことへの苛立ちや、将来への不安を受け止めます。
できることに焦点を当て、小さな進歩を評価し励まします。
EP 指導項目
危険なしびれの症状について明確に説明します。
突然の片側の手足のしびれ、顔面のしびれ、ろれつが回らない、力が入らない、視野が欠ける、激しい頭痛などが現れた場合は、速やかに救急車を呼ぶよう指導します。
脳梗塞は発症から治療開始までの時間が重要で、早期治療により後遺症を軽減できることを説明します。
日常生活での注意点を具体的に指導します。
感覚が低下している部位では、やけどやけがをしても気づかないことがあります。
お湯の温度は手で確認してから使用する、カイロやこたつで低温やけどをしないよう注意する、靴の中に小石が入っていないか確認するなどの方法を説明します。
転倒予防の工夫として、環境整備の方法を紹介します。
床に物を置かない、段差を解消する、手すりを設置する、照明を明るくするなどの対策を説明します。
履物は滑りにくく、かかとがしっかり固定されるものを選ぶことを勧めます。
血糖コントロールの重要性を説明します。
糖尿病がある場合は、良好な血糖コントロールにより神経障害の進行を遅らせることができます。
食事療法、運動療法、薬物療法を継続することの大切さを伝えます。
栄養バランスの取れた食事を勧めます。
ビタミンB群は神経の働きに重要な栄養素です。
豚肉、魚、大豆製品、卵、緑黄色野菜などをバランス良く摂取することを説明します。
ビタミンB12欠乏症の場合は、レバー、貝類、魚類を積極的に摂取するよう勧めます。
適度な運動の重要性を説明します。
血流を改善し、神経の働きを良くするため、ウォーキングなどの軽い運動を勧めます。
転倒に注意しながら、安全に行える運動を選ぶことが大切です。
禁煙の重要性を伝えます。
喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるため、神経障害を悪化させます。
脳梗塞のリスクも大幅に高めるため、禁煙を強く勧めます。
薬の服用方法について説明します。
抗血小板薬や抗凝固薬は、医師の指示通りに継続的に服用することが重要です。
自己判断で中止すると、脳梗塞の再発リスクが高まることを説明します。
神経障害治療薬は、効果が現れるまでに時間がかかることがあります。
根気よく継続することが大切だと伝えます。
定期受診の重要性を説明します。
症状が改善しても、定期的に受診し検査を受けることが再発予防につながります。
血液検査、画像検査などで状態を評価し、必要に応じて治療を調整します。
疾患別の配慮
脳梗塞では、再発予防が極めて重要です。
危険因子である高血圧、糖尿病、脂質異常症、心房細動の管理を徹底します。
抗血小板薬や抗凝固薬の継続的な服用を支援します。
糖尿病性神経障害では、血糖コントロールが最優先です。
足のケアを徹底し、傷や潰瘍の早期発見に努めます。
毎日足を観察し、異常があれば速やかに医師に報告するよう指導します。
頸椎症では、首への負担を軽減する生活指導を行います。
長時間の同じ姿勢を避け、適度に休憩を取ることを勧めます。
枕の高さを調整し、首に負担のかからない寝姿勢を指導します。
まとめ
しびれは脳梗塞や脊髄疾患など重大な疾患のサインとなる可能性がある重要な神経症状です。
しびれの原因を正確に評価し、緊急性の高い疾患を見逃さないことが最も重要です。
OP 観察項目では、しびれの部位と範囲、感覚検査、運動機能、反射、バイタルサイン、意識レベル、言語機能を詳細に評価します。
TP ケア項目では、緊急時の初期対応、転倒予防、日常生活動作の援助、薬物療法の支援、リハビリテーションの支援を実施します。
EP 指導項目では、危険な症状の見分け方、日常生活での注意点、転倒予防、血糖コントロール、栄養管理について説明します。
明確な看護目標を設定し、OP、TP、EPの各項目を確実に実施することで、質の高い看護ケアが実現します。
患者さん一人ひとりの状態や背景を考慮し、個別性のある看護計画を立案実施することが大切です。
特に脳梗塞は早期発見早期治療が予後を大きく左右する疾患です。
日々の観察力を磨き、科学的根拠に基づいた看護実践を積み重ねることで、しびれ患者さんへの最良のケアを提供していきましょう。








