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看護計画

身体可動性障害リスク状態の看護計画

この記事は約8分で読めます。

身体を思うように動かせない状態は、患者さんの日常生活に大きな影響を及ぼします。

寝たきりの状態が続いたり、手足の動きが制限されたりすると、単に移動が困難になるだけでなく、筋力の低下や関節の硬さ、さらには心理的な落ち込みまで引き起こす可能性があります。

看護師として、このような身体可動性障害のリスクがある患者さんに対して、適切なケアを提供することはとても大切です。

今回は、身体可動性障害リスク状態にある患者さんへの看護計画について、詳しく解説していきます。

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身体可動性障害リスク状態とは

身体可動性障害リスク状態とは、患者さんが自分の意思で身体を動かすことが難しくなる、またはその可能性がある状態を指します。

この状態は、病気や怪我、手術後の安静、高齢による筋力低下など、様々な原因によって起こります。

たとえば、脳卒中後の片麻痺や骨折後のギプス固定、長期間のベッド上安静などが代表的な例です。

身体の動きが制限されると、筋肉が衰えていくだけでなく、関節が硬くなったり、床ずれができたりする危険性も高くなります。

さらに、肺炎や血栓症といった合併症のリスクも上昇するため、早めの対応が重要です。

身体可動性障害が起こる主な原因

身体可動性障害のリスクが高まる原因は、患者さんの状態によって異なります。

脳血管障害による麻痺は、脳の損傷によって神経伝達がうまくいかなくなり、手足を動かす指令が届かない状態です。

整形外科的な問題では、骨折や関節の損傷によって物理的に動かせなくなるケースがあります。

神経筋疾患の場合は、筋肉そのものや神経の働きが低下することで、徐々に動きが悪くなっていきます。

また、手術後の安静指示や疼痛によって、患者さん自身が動くことを避けてしまうこともあります。

高齢者では、加齢による筋力低下や関節の変形が進行し、転倒への恐怖心から活動量が減少する悪循環に陥りやすくなります。

身体可動性障害がもたらす影響

身体を動かせない状態が続くと、様々な問題が起こります。

最も早く現れるのが筋力の低下です。

ベッド上安静を続けると、わずか1週間で筋力が10から15パーセント程度低下するとされています。

関節の可動域も徐々に狭くなり、最終的には関節拘縮という状態になって、元に戻すことが難しくなります。

皮膚への圧迫が続くと、褥瘡が発生します。

褥瘡は治療に時間がかかり、患者さんに苦痛を与えるだけでなく、感染のリスクも高めます。

循環器系への影響も見逃せません。

長時間同じ姿勢でいると、血液の流れが悪くなり、深部静脈血栓症のリスクが上昇します。

呼吸器系では、肺の拡張が十分にできず、痰が溜まりやすくなって肺炎を起こす可能性があります。

精神面では、動けないことへのストレスや無力感から、抑うつ状態に陥る患者さんも少なくありません。

看護目標の設定

身体可動性障害リスク状態にある患者さんへの看護では、明確な目標を立てることが大切です。

長期目標

患者さんが安全に日常生活動作を行える身体機能を維持または改善し、3か月後には介助量を減らして自立した生活を送れるようになる。

短期目標

関節可動域を維持し、2週間後には現在の可動範囲を保つか、または5度以上の改善を目指す。

筋力低下を予防し、1週間後には現在の筋力を維持できている状態を保つ。

褥瘡の発生を予防し、毎日の皮膚観察で発赤や損傷がない状態を継続する。

観察項目

身体可動性障害リスク状態の患者さんに対して、看護師が観察すべき項目は多岐にわたります。

まず、患者さんの全身状態を把握することが基本です。

意識レベルや呼吸状態、循環動態などのバイタルサインを定期的に測定します。

身体の動きについては、どの部位がどの程度動かせるのか、痛みの有無はどうかを詳しく見ていきます。

関節可動域の測定では、各関節の屈曲や伸展の角度を記録し、日々の変化を追います。

筋力の評価は、徒手筋力テストなどを用いて、5段階または6段階で評価します。

皮膚の状態確認では、発赤や水疱、びらんなどがないか、骨突出部を中心に細かくチェックします。

疼痛の程度は、患者さんの訴えを丁寧に聞き、痛みの場所や強さ、性質を把握します。

日常生活動作の自立度については、食事や排泄、入浴、更衣などの場面で、どこまで自分でできるかを評価します。

精神状態の変化にも注意が必要で、表情や発言、睡眠パターンなどから、抑うつ傾向がないかを見守ります。

看護ケアの実施

身体可動性障害リスク状態の患者さんへのケアは、予防と改善の両面から取り組みます。

体位変換は、褥瘡予防の基本です。

2時間ごとを目安に、仰臥位から側臥位、また反対側の側臥位へと、規則的に姿勢を変えていきます。

体位変換の際は、骨突出部への圧迫を避け、クッションやタオルを使って適切な除圧を行います。

関節可動域訓練では、各関節をゆっくりと動かし、可動域の維持や拡大を図ります。

患者さん自身で動かせる場合は自動運動を促し、難しい場合は看護師が介助しながら他動運動を行います。

運動の回数は、1つの関節につき5回から10回程度を、1日に数回実施するのが目安です。

筋力訓練については、患者さんの状態に合わせて負荷を調整します。

等尺性収縮運動は、ベッド上でも実施できる有効な方法です。

たとえば、膝の下にタオルを置いて、それを押しつぶすように力を入れる運動などがあります。

呼吸訓練も大切です。

深呼吸や腹式呼吸を指導し、肺活量の低下を防ぎます。

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必要に応じて、インセンティブスパイロメトリーなどの器具を使用することもあります。

離床については、段階的に進めていきます。

まずはベッド上での座位から始め、安定してきたらベッドサイドでの端座位、次に車椅子への移乗と、少しずつステップアップしていきます。

移乗動作の際は、転倒のリスクを考慮し、必ず見守りや介助を行います。

栄養管理も見逃せません。

筋肉の維持や回復には、十分なたんぱく質やエネルギーの摂取が必要です。

食事摂取量をチェックし、不足している場合は栄養士と相談しながら補助食品の使用も検討します。

疼痛コントロールは、患者さんが安心して身体を動かすために欠かせません。

痛みの程度を定期的に評価し、必要に応じて鎮痛薬の使用を医師に相談します。

温罨法や冷罨法などの非薬物的な方法も、状況に応じて取り入れます。

患者さんへの教育

患者さん自身が自分の身体状態を理解し、積極的にケアに参加できるよう支援することも看護師の役割です。

身体を動かさないことで起こる合併症について、分かりやすく説明します。

難しい医学用語を使わず、具体的な例を挙げながら伝えることで、患者さんの理解が深まります。

運動の方法や頻度については、実際にやって見せながら指導します。

最初は看護師が一緒に行い、徐々に患者さん自身でできるよう段階的に教えていきます。

自分でできる範囲の活動は、可能な限り自分で行ってもらうよう促します。

たとえば、食事や整容、ベッド上での移動など、小さなことでも積極的に取り組んでもらうことが、筋力維持につながります。

安全な動き方についても、しっかりと伝えます。

急に立ち上がると立ちくらみを起こす可能性があることや、ベッドからの転落を防ぐための注意点などを説明します。

家族への教育も重要です。

家族が適切な介助方法を理解していれば、退院後も安全なケアが継続できます。

体位変換の方法や、移乗時の支え方、褥瘡予防のポイントなどを、実際に体験してもらいながら指導します。

多職種との連携

身体可動性障害リスク状態の患者さんへのケアは、看護師だけでは完結しません。

理学療法士は、専門的な運動療法や歩行訓練を担当します。

看護師は理学療法士と情報を共有し、訓練の効果や患者さんの反応を伝え合います。

作業療法士は、日常生活動作の訓練や自助具の選定などを行います。

食事動作や更衣動作など、実生活に直結した訓練を提供してくれます。

医師とは、治療方針や安静度の指示について密に連絡を取り合います。

患者さんの状態変化があった際は、速やかに報告し、指示を仰ぎます。

栄養士には、患者さんの栄養状態や食事摂取量について情報提供し、適切な栄養計画を立ててもらいます。

薬剤師とは、使用している薬剤の効果や副作用について確認し合います。

痛み止めや筋弛緩薬などが適切に使用されているか、相談することもあります。

医療ソーシャルワーカーは、退院後の生活環境の調整や、介護保険の申請などをサポートしてくれます。

評価とケアの見直し

設定した目標に対して、定期的に評価を行うことが大切です。

短期目標については、1週間から2週間ごとに達成度を確認します。

関節可動域は測定値で、筋力は徒手筋力テストで、客観的に評価します。

褥瘡の有無は毎日の観察結果を基に判断します。

目標が達成できていない場合は、その原因を分析します。

患者さんの状態が思ったより悪化していたのか、ケアの方法が適切でなかったのか、頻度が不足していたのかなど、様々な角度から検討します。

必要に応じて、ケア計画を修正します。

運動の強度を調整したり、実施時間を変更したり、新しい方法を取り入れたりと、柔軟に対応していきます。

患者さんからの意見も大切にします。

痛みが強くて運動ができない、疲れやすいなどの訴えがあれば、無理をさせず、その声を計画に反映させます。

長期目標についても、月に1回程度は見直しの機会を設けます。

当初の予想より回復が早い場合は目標を上方修正し、難しい場合は現実的な目標に変更することも考えます。

まとめ

身体可動性障害リスク状態にある患者さんへの看護は、予防的な視点と回復を促す視点の両方が必要です。

観察をしっかり行い、患者さん一人ひとりの状態に合わせた個別的なケアを提供することが、合併症の予防と機能回復につながります。

関節可動域訓練や筋力訓練、体位変換といった基本的なケアを丁寧に実施し、患者さんの小さな変化も見逃さないようにすることが大切です。

また、患者さん自身がケアに参加できるよう教育し、多職種と協力しながら包括的な支援を行うことで、より良い結果が得られます。

看護師として、患者さんが安全に快適に過ごせる環境を整え、少しでも早く元の生活に戻れるよう支援していきたいものです。

日々のケアの中で、患者さんの頑張りを認め、励ましの言葉をかけることも忘れずに行いましょう。

身体が動かせないという状態は、患者さんにとって大きなストレスです。

その不安な気持ちに寄り添いながら、希望を持って前向きに取り組めるようサポートすることが、看護師の大切な役割です。

この記事が、身体可動性障害リスク状態にある患者さんへの看護を考える上で、少しでもお役に立てれば幸いです。

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