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看護計画

新生児褥瘡リスク状態の看護計画|生まれたばかりの赤ちゃんの皮膚を守るための支援と関わり方

この記事は約11分で読めます。

「保育器の中の赤ちゃんの背中が赤くなってきた気がする」「鼻にチューブを固定しているテープのあたりが白くなっている」「体が小さくて骨が出っ張っているところが心配」——こうした気づきを、新生児室や新生児集中治療室(NICU)で働く看護師が日々の観察の中で感じることがあります。

褥瘡(じょくそう)は大人だけの問題ではありません。

新生児、特に早産児や低出生体重児は、皮膚が非常に未熟で脆弱(ぜいじゃく)なため、わずかな圧迫や摩擦・ずれによっても皮膚損傷が生じるリスクがあります。

新生児の褥瘡は、医療機器の固定に使用するテープや機器そのものによる圧迫が原因となることが多く、成人の褥瘡とは異なる特徴を持ちます。

この状態は看護診断において新生児褥瘡リスク状態と呼ばれ、皮膚への継続的な圧迫・摩擦・ずれが生じるリスクがある新生児に広く適用される診断です。

今回は、この看護診断の概要から看護計画の立案まで、新生児看護に携わる方に向けて、臨床で活用できる内容を詳しくまとめました。


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新生児褥瘡リスク状態とはどういう状態か

褥瘡とは、皮膚および皮下組織への持続的な圧迫・摩擦・ずれによって、組織の血流が低下し、組織壊死が生じた状態のことです。

NANDA-Iでは、新生児褥瘡リスク状態を「新生児において、皮膚および下層の組織が限局的な損傷を受けるリスクがある状態。通常は骨突出部位、または医療機器や器具に関連した圧迫によって生じる」として定義しています。

新生児の褥瘡は、大きく二つに分けて理解することができます。

体位に関連した褥瘡とは、長時間同じ体位をとることで、骨突出部(後頭部・耳介・肩甲部・仙骨部・踵部など)に持続的な圧迫が加わることで生じる皮膚損傷です。

**医療機器関連褥瘡(いりょうききかんれんじょくそう)**とは、酸素マスク・鼻カニューレ・気管チューブ・経鼻胃管・心電図モニターの電極・パルスオキシメーターのセンサー・点滴固定テープなど、医療機器やその固定に使用する器具による圧迫・摩擦・ずれによって生じる皮膚損傷です。

新生児の褥瘡では、この医療機器関連褥瘡が大きな割合を占めることが特徴です。


新生児の皮膚の特徴を理解する

新生児、特に早産児の皮膚は成人と比べて著しく未熟であり、そのことが褥瘡リスクを高めています。

表皮が薄いため、わずかな摩擦でも皮膚が剥がれやすいです。

角質層が未発達なため、外部からの刺激に対するバリア機能が弱く、水分も失いやすいです。

皮膚と皮下組織の接着が弱いため、ずれによる損傷が生じやすいです。

皮下脂肪が少ないため、骨突出部への緩衝効果が低くなります。

血管調節機能が未熟なため、局所的な血流低下に対する代償能力が低いです。

在胎週数が少ないほど(超早産児では特に)これらの特徴が強く、皮膚損傷のリスクが高くなります。

また、新生児は自分で体位を変えることができないため、長時間同じ部位に圧迫が加わり続けることも褥瘡リスクを高めます。


なぜこの看護診断が重要なのか

新生児の皮膚は感染に対するバリア機能が弱く、一度褥瘡が生じると感染が広がりやすく、重症化するリスクがあります。

特にNICUに入院している早産児では、免疫機能も未熟なため、褥瘡からの感染が敗血症(はいけつしょう)に発展する危険性があります。

また、皮膚損傷は赤ちゃんに疼痛を与え、ストレス反応を引き起こし、全身状態の悪化につながることがあります。

皮膚の損傷は将来的に瘢痕(はんこん)を残す可能性もあり、長期的な影響も考慮する必要があります。

一方で、適切な体位管理、医療機器の適切な固定と定期的な確認、皮膚保護材の使用などの予防的ケアによって、新生児の褥瘡の多くは防ぐことができます。

看護師は新生児と最も頻繁に関わり、日常的なケアの中で皮膚の状態を観察できる立場にあります。

褥瘡リスクを早期に評価し、予防的なケアを継続することが、新生児の皮膚と健康を守ることに直接つながります。


関連因子とリスク因子を整理する

新生児褥瘡リスク状態に関わる因子はいくつかに分類できます。

新生児の発達・身体的な因子として、早産(在胎週数が少ないほどリスクが高い)、低出生体重、皮膚の未熟性、皮下脂肪の少なさ、低体温・浮腫(皮膚の脆弱性を高める)、低栄養・脱水、貧血による組織の酸素供給の低下が挙げられます。

医療機器・器具に関わる因子として、経鼻持続陽圧呼吸療法(CPAPマスク・鼻プロング)、気管内挿管チューブ、経鼻胃管、酸素マスク・鼻カニューレ、パルスオキシメーターのセンサー(長時間の同一部位装着)、心電図モニターの電極、点滴テープ・固定用テープが挙げられます。

体位・活動に関わる因子として、自力での体位変換ができないこと、鎮静薬使用による活動性の低下、医療機器により動きが制限されていることが関わります。

皮膚の状態に関わる因子として、浮腫による皮膚の脆弱性、尿・便・体液による皮膚の湿潤(おむつかぶれ・スキンテアのリスクを高める)、過度な乾燥も挙げられます。


看護目標を設定する

長期目標

入院期間を通じて新生児の皮膚の完全性が保たれ、褥瘡・皮膚損傷なく成長発達を続けることができる。

短期目標

皮膚の状態(発赤・浮腫・皮膚損傷の有無)を定期的に観察し、異常の早期発見と報告が行われる体制が整う。

体位変換と医療機器の固定部位の確認が定期的に行われ、同一部位への持続的な圧迫が防がれる。

家族が新生児の皮膚の観察方法と保護の重要性を理解し、退院後の皮膚ケアを自信を持って行えるようになる。


観察計画(オーピー)

新生児褥瘡リスク状態を把握するためには、皮膚の状態と褥瘡リスク因子を定期的・継続的に観察することが必要です。

皮膚の系統的な観察として、全身の皮膚を少なくとも4〜8時間ごとに確認します。

特に観察が必要な部位は以下の通りです。

骨突出部位として、後頭部(頭蓋骨の後部——新生児は頭が大きく、仰向けでは長時間後頭部に圧迫が加わる)、耳介(横向きにしているとき)、肩甲部、肘頭(ひじの先端)、仙骨・尾骨部、踵部(かかと)を確認します。

医療機器との接触部位として、鼻プロング・CPAPマスクの当たる鼻・鼻翼・人中(にんちゅう・鼻の下から上唇までの部分)、気管チューブの固定テープが当たる口角・頬、経鼻胃管の固定テープが当たる鼻・頬、パルスオキシメーターのセンサーが当たる手足の指・手掌・足底、点滴テープが当たる前腕・手背を確認します。

発赤(圧迫を除いても消えない発赤は特に注意)、浮腫、水疱(みずぶくれ)、皮膚の剥離、潰瘍の有無と程度を確認します。

褥瘡リスクの評価として、新生児専用の褥瘡リスクアセスメントスケール(ネオナタルスキンリスクアセスメントスケール:NSRASなど)を活用して定期的にリスクを評価します。

在胎週数、体重、浮腫の有無、全身状態、医療機器の使用状況などを点数化することで、リスクの高い新生児を客観的に把握できます。

皮膚の湿潤状態の観察として、おむつ内の皮膚(陰部・臀部・鼠径部)の状態を確認します。

尿・便による汚染が長時間続いていないかを確認します。

浮腫による皮膚の張りや光沢がないかも確認します。

医療機器の固定状態の観察として、テープの固定部位の発赤・浮腫、テープの端が皮膚に食い込んでいないか、機器が皮膚に過度な圧力をかけていないかを確認します。

CPAPの鼻プロング・マスクの位置と固定の強さ、パルスオキシメーターのセンサーの位置の定期的な変更が行われているかを確認します。


ケア計画(ティーピー)

ケア計画では、持続的な圧迫・摩擦・ずれを防ぐための体位管理と医療機器管理、皮膚保護を中心に行います。

定期的な体位変換を行います。

新生児は自力での体位変換ができないため、看護師が定期的に体位を変えることが必要です。

体位変換の頻度は少なくとも2〜4時間ごとを目安とし、皮膚の状態と全身状態に応じて調整します。

体位の種類としては、仰臥位(あおむけ)・腹臥位(うつぶせ——医療的監視下で実施)・側臥位(横向き)を組み合わせます。

体位変換の際は皮膚の状態を必ず観察します。

発赤や皮膚の変化が見られた場合は、その部位への圧迫を避ける体位を選択します。

体圧分散用具の使用を行います。

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早産児や低出生体重児では、体圧分散マットレス(ゲルマット・エアマットなど)の使用が褥瘡予防に効果的です。

骨突出部位へのクッション材(ポジショニング用のゲルパッドや羊の毛でできたシープスキンなど)の使用を検討します。

ただし、窒息のリスクがないよう、使用する素材と配置に細心の注意を払います。

ポジショニングの工夫を行います。

早産児では「ポジショニング」として、体が丸くなった屈曲位(胎内の姿勢に近い姿勢)を保つことが、体位の安定と骨突出部への圧迫軽減の両方に役立ちます。

ポジショニングロール(丸めたタオルやポジショニングデバイスを使って体の周囲を囲む方法)を活用します。

頭部の位置は正中または軽度側方に保ち、後頭部への持続的な圧迫を防ぎます。

医療機器の固定管理を丁寧に行います。

CPAPの鼻プロング・マスクは、鼻翼・鼻中隔への圧迫が生じないよう、適切なサイズのものを選択し、フィット感を定期的に確認します。

鼻翼・人中には皮膚保護材(ハイドロコロイド材やポリウレタンフォームの小片)を貼付してから鼻プロング・マスクを装着することで、圧迫による皮膚損傷を予防します。

パルスオキシメーターのセンサーは2〜4時間ごとに装着部位を変更します(右手→左手→右足→左足のローテーション)。

装着中は発赤・白化・水疱形成がないか毎回確認します。

経鼻胃管の固定テープは、鼻と頬への皮膚損傷を防ぐため、皮膚に優しいシリコン系テープを使用します。

固定部位は定期的に変更し、テープの端が皮膚に食い込まないよう工夫します。

点滴テープ・固定用テープは、剥がす際の皮膚損傷(スキンテア)を防ぐため、剥離剤(はくりざい)を使用してゆっくりと剥がします。

テープを貼付する前に皮膚保護材(バリアフィルムなど)を使用することで、テープによる皮膚損傷を予防します。

皮膚の清潔と保湿管理を行います。

早産児の皮膚の清潔ケアは、皮膚バリア機能を損なわないよう、低刺激性のソープフリー製品または温水のみで行います。

清拭後は皮膚を完全に乾燥させてから衣類・オムツを着用します。

皮膚の乾燥がある場合は、低刺激性の保湿剤(ワセリンや低刺激性ローションなど)を使用します。

おむつ内の皮膚は、排泄ごとに清潔に拭き取り、皮膚保護剤(亜鉛華軟膏(あえんかなんこう)など)を使用して便・尿からの皮膚刺激を防ぎます。

褥瘡が発生した場合の対応を適切に行います。

皮膚の発赤(非可逆性発赤——圧迫を取り除いても消えない発赤)が確認された場合は、担当医に報告し、局所の処置を検討します。

創部の清潔保持と湿潤環境の維持を原則に、創傷の程度に応じた被覆材(ハイドロコロイド材・ポリウレタンフォームなど)の使用を検討します。

創傷の状態は毎日評価し、悪化がある場合は早めに専門的な介入(皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)など)を求めます。


教育計画(イーピー)

教育計画では、家族が新生児の皮膚の脆弱性を理解し、入院中と退院後に適切な皮膚ケアができるよう支援します。

家族に対して、新生児、特に早産児の皮膚が非常に繊細であることを分かりやすく説明します。

「早産で生まれた赤ちゃんの皮膚は、大人はもちろん、正期産の赤ちゃんと比べてもとても薄くてデリケートです。軽い圧迫や摩擦でも皮膚が傷ついてしまうことがあります」という説明が、家族の皮膚ケアへの理解と注意を促します。

医療機器が必要な理由と、それに伴う皮膚管理の必要性を説明します。

「チューブやセンサーは赤ちゃんの命を守るために必要なものですが、皮膚に当たり続けると傷つくことがあります。そのため私たちは定期的に位置を変えたり、クッション材を使ったりして皮膚を守っています」という説明が、家族の理解を深めます。

皮膚観察の方法と異常のサインを伝えます。

「お見舞いのときに赤ちゃんの皮膚を見てください。赤みが出ている、白くなっている、皮がめくれているなどの変化があればすぐに教えてください」という具体的な言葉で伝えます。

カンガルーケア中の注意点を説明します。

「赤ちゃんを胸に乗せるカンガルーケアは赤ちゃんにとってとても良いケアです。ただし、チューブやセンサーが皮膚に食い込まないよう、看護師と一緒に位置を確認しながら行ってください」という説明で、家族が安心してカンガルーケアに取り組めます。

退院後の皮膚ケアについて具体的に指導します。

「爪は短く切り、衣類は柔らかい素材のものを選んでください」「おむつはこまめに交換して、皮膚が濡れた状態が続かないようにしてください」「お風呂はぬるめのお湯で短時間にして、強くこすらないよう優しく洗ってください」という具体的な指導を行います。

退院後の皮膚トラブルのサインと受診のタイミングを伝えます。

「皮膚が赤くただれている、水ぶくれができている、傷口から膿が出ているというときはかかりつけ医に相談してください」という具体的な基準を伝えることで、家族が適切なタイミングで受診できます。


臨床でよく見られる場面と対応のポイント

超早産児・極低出生体重児の管理では、皮膚の未熟性が最も高く、褥瘡リスクが特に高いです。

在胎25〜28週の超早産児では、皮膚はほぼ透明で、わずかな接触でも皮膚損傷が生じることがあります。

テープの使用を最小限にし、必要な場合はシリコン系テープを使用します。

処置の際は皮膚への接触を最小限にし、皮膚を引っ張らないよう細心の注意を払います。

CPAPを使用している新生児では、鼻翼・鼻中隔への圧迫が医療機器関連褥瘡の最多原因のひとつです。

鼻への保護材の使用、適切なサイズのプロング・マスクの選択、定期的なフィット確認が欠かせません。

経鼻高流量酸素療法(ハイフローセラピー)への切り替えが可能な場合は、CPAPによる鼻への圧迫軽減を検討します。

長期入院中の新生児では、入院期間が長くなるほど体位変換や医療機器管理が繰り返されます。

皮膚の状態の変化を継続的に記録し、チームで情報を共有することが重要です。

皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCナース)のコンサルテーションを積極的に活用します。

外科手術後の新生児では、手術中の体位固定による圧迫と、術後の安静による体位変換制限が重なります。

術後の皮膚観察を強化し、特に手術中に固定されていた部位を重点的に確認します。

浮腫のある新生児では、皮膚が引き伸ばされ、脆弱性が高くなります。

浮腫部位への圧迫を特に避け、医療機器の固定方法を通常より慎重に行います。


まとめ

新生児褥瘡リスク状態は、小さく脆弱な新生児の皮膚と命を守るために、日常のケアの中で継続的な注意と予防的介入が必要な重要な診断です。

褥瘡は一度発生すると治療に時間がかかり、感染のリスクも伴います。

「予防が最大の治療」という考え方のもと、定期的な皮膚観察、適切な体位管理、医療機器の丁寧な管理、皮膚保護材の活用を組み合わせた予防的アプローチが、新生児の皮膚を守る力になります。

観察、ケア、教育の三つの柱をバランスよく組み合わせながら、医師・看護師・皮膚専門看護師・家族が一体となって新生児の皮膚を守り続けることが大切です。

看護計画は新生児の在胎週数・体重・全身状態・使用している医療機器の変化に合わせて柔軟に見直しながら、その子の皮膚と健康を守る支援を続けていきましょう。

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