目的
- 口腔から食事ができない患者の栄養摂取
- 口腔からの食事管理だけでは不十分な患者の栄養摂取
- 栄養状態の維持・改善
注意点 留意点
- 口、鼻、食道に通過障害があり、栄養吸収が期待できないほどの腸の障害がある場合、または下部消化管に高度の狭搾か閉塞がある場合は実施しない
- 栄養剤は人肌程度(約37℃)に温めておく(粘膜の刺激を抑える)
- 患者への方法:目的などについて説明し、実施に対して同意を得る。あらかじめ医師から患者に詳しい説明がなされる
- 注入後、可能であれば30分程度は上体挙上を保つ(栄養剤の逆流防止)
- 使用した物品はよく洗浄し、乾燥させる(細菌の繁殖防止)
- 経鼻管法では実施前に吸引器を準備しておく(誤嚥、窒息に備える)
手順 手技 方法
経鼻管法
- 経鼻チューブを固定するテープをあらかじめセットしておく
- 経鼻チューブを滅菌パックから取り出し、潤滑剤に浸したガーゼで先端から15~20cmまで塗る(チューブ挿入時の刺激を減らすため)
- イリゲーターに栄養剤を注ぐ
- 患者のベッドサイドに設置したスタンドにイリゲーターをかける
- ベッドをギャッチアップ(30~45°)してセミファーラー位とし、枕を置いて頭部をやや挙上する。(頭部を挙上すると咽頭、食道がほぼ一直線となり、チューブが食道に入りやすくなる
- 背部に処置用シーツを置き、患者の顔のそばにガーグルベースンを置く
- 患者に肩の力を抜いてもらい、指で鼻腔の入り口を軽く押し上げて鼻腔を見やすくし、チューブの先端が鼻甲介に当たらないようにし、ゆっくり咽頭部まで挿入する。
- チューブが咽頭や舌根に当たると咽頭反射が起こるので、反射を最小限にするように慎重かつすみやかにチューブを通過させる
- チューブが胃内に入っていることを確認し、チューブの挿入の長さの目盛りを確認する
- 注射器で胃液を吸引して確認するが、空気を少量(約10ml)注入してから聴診器を上腹部に当て、胃内の空気音を確認する
- ペンライトで口腔内を照らし、チューブが中でループをつくったり、絡んだりせず、正しく挿入されていることを確認する(ループ状になったり絡んだりすると、胃に挿入されていないことがある)
- チューブや皮膚に付いた潤滑剤を拭き取る
- チューブが抜けないようにテープで固定する。その際、患者が固定テープにより不快感を感じないように鼻孔を塞がないよう固定する。(確実に留置することでチューブが気管へ入るのを防ぎ、意識障害がある患者の事故抜去を防ぐ)
- 栄養剤を入れたイリゲーターのルートとチューブを接続し、ゆっくりとイリゲーターのクレンメを開く(開くときは「お食事で~す」と声掛けする)
- 注入終了後、チューブは微温湯に通し、クレンメでとめる
胃瘻栄養法
- 経管栄養セットを滅菌パックから取り出し、クレンメでとめて経管栄養バッグに温めた栄養剤を注ぎ、一式をスタンドにかける
- クレンメを開いて栄養剤を経管栄養セットのチューブ先端まで流し出し、スムーズに流出することを確認したら、またクレンメでとめる
- チューブ内の空気が胃に入らないようにする
- 液体がこぼれないようにミルキング用ボトルに受ける
- 患者を上体挙上の体位にする
- 胃瘻にチューブの先端を接続する
- クレンメをゆっくり開けて栄養剤を注入し、漏れがないかどうか確認する(いきなり大量に流して注入速度をあげると、腹部膨満感、悪心、嘔吐を誘発したり、腸の蠕動運動が亢進し、下痢を引き起こす可能性があるので)
- 注入が終わったらクレンメを閉じる
- チューブにカテーテルチップ注射器から微温湯に通し、チューブに残った栄養剤を流しだす。
- 胃瘻からチューブを外し、胃瘻の接続部をガーゼで覆う
観察項目 観察ポイント
誤嚥 咳嗽 悪心 嘔吐 喀痰の性状 腹部の状態 注入食の量・性状 挿入部の皮膚の状態 感染の有無 バイタルサイン 不快感 栄養状態(血液データ) 排泄状態 消化 吸収