実習中に「皮膚統合性障害」という看護診断を立てたとき、何を観察して、どんなケアをすればいいか迷う学生さんはたくさんいます。
皮膚統合性障害は、褥瘡・皮膚炎・創傷など、皮膚のバリア機能が失われた状態に使われる看護診断です。 長期臥床の患者さんや、栄養状態が悪化している患者さん、排泄コントロールが難しい患者さんなど、幅広い場面で登場します。
この記事では、皮膚統合性障害の看護問題・目標・観察計画・ケア計画・教育計画を、実習で活用できる形で解説します。
皮膚統合性障害とは
皮膚統合性障害とは、皮膚の一体性(インテグリティ)が失われた状態、つまり皮膚に何らかの損傷や破綻が生じている状態を指します。
皮膚は体の最大の臓器であり、外界からの細菌・物理的刺激・化学的刺激などから体を守るバリアとして機能しています。 この皮膚のバリア機能が失われると、感染・疼痛・体液喪失など、さまざまな問題が生じます。
皮膚統合性障害の原因としては、圧迫・摩擦・ずれによる褥瘡・外傷・手術創・皮膚炎・失禁関連皮膚炎(IAD)などがあります。 原因によってケアの内容も変わるため、まずどのような状態なのかをしっかりアセスメントすることが大切です。
なお、皮膚に損傷はまだないがリスクが高い状態は「皮膚統合性障害リスク状態」として区別されます。 すでに損傷が生じている場合が「皮膚統合性障害」の診断となります。
看護問題
皮膚統合性障害がある。
看護目標
長期目標
皮膚の損傷が治癒する。
短期目標
皮膚の損傷範囲が縮小する。
観察計画(OP)
皮膚統合性障害のある患者さんを観察する際に、確認すべき項目は以下の通りです。
バイタルサインの変化を確認します。 体温・脈拍・血圧・SpO₂を測定します。 皮膚損傷部位に感染が生じた場合、発熱や頻脈などのバイタルサインの変化が現れることがあります。
皮膚の状態を確認します。 トラブルの有無・部位・程度、発赤・びらん・乾燥・湿潤などの状態を観察します。 褥瘡の場合はDESIGN-Rスケールなどを用いて客観的に評価します。 皮膚の色調・温度・弾力性・浮腫の有無なども合わせて確認します。
循環障害の有無を確認します。 冷汗・浮腫・チアノーゼが見られないかを観察します。 末梢循環が低下している場合、皮膚への酸素・栄養の供給が低下し、創傷治癒が遅れます。
知覚麻痺の有無を確認します。 麻痺がある部位では、圧迫や痛みを自覚しにくいため、褥瘡が生じやすく、かつ発見が遅れやすいです。 知覚障害のある部位は特に注意深く観察します。
排便・尿失禁の状態を確認します。 失禁が続くと、便や尿に含まれる刺激物質が皮膚に長時間触れ、皮膚が浸軟・びらんを起こします。 失禁関連皮膚炎(IAD)は、皮膚統合性障害の中でも頻度が高い問題のひとつです。
寝具・寝衣のしわの有無を確認します。 シーツや寝衣のしわが圧迫・摩擦の原因になることがあります。 小さなしわでも、長時間の圧迫が続くと皮膚への影響は無視できません。
食事状況を確認します。 食事摂取量・水分摂取量・食事形態・食欲・補食の有無を確認します。 低栄養状態は皮膚の脆弱化と創傷治癒の遅延に深く関わります。
ADLの状況と意識レベルを確認します。 自力体位変換ができるかどうか、意識レベルはどうかによって、褥瘡リスクや看護介入の必要性が変わります。
検査データを確認します。 アルブミン(Alb)・ヘモグロビン(Hb)・総タンパク(TP)の値を確認します。 Albは2.5g/dL以上、Hbは11g/dL以上、TPは6.0g/dL以上が望ましいとされています。 これらの値が低い場合、創傷治癒能力が低下している可能性があります。


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ケア計画(TP)
皮膚統合性障害に対するケアの内容は以下の通りです。
体位変換を2時間ごとに行います。 同一部位への持続的な圧迫が褥瘡の主な原因です。 定期的な体位変換によって圧迫を分散させ、皮膚への血流を維持します。 患者さんの状態によっては、2時間より短い間隔での体位変換が必要な場合もあります。
医師の指示に基づいた処置を行います。 創傷の処置内容・使用する外用薬・ドレッシング材などは医師の指示に従います。 処置の際は、創部の状態・滲出液の量と性状・臭気・周囲皮膚の変化などを記録します。
身体の清潔を保ちます。 皮膚を清潔に保つことは、感染予防と皮膚環境の改善に役立ちます。 清拭・部分浴・陰部洗浄などを患者さんの状態に合わせて行います。 洗浄後は皮膚をこすらず、やさしく押さえて水分を拭き取ります。
患者さんのADL状況に合わせてマットを選択します。 褥瘡予防・治療用のエアマットや体圧分散マットレスを活用します。 体圧分散寝具の選択は、患者さんの自力体位変換能力・栄養状態・褥瘡の深さなどを総合的に評価して行います。
排泄物が皮膚に長時間触れないよう管理します。 尿・便失禁が続く場合は、失禁のパターンを把握し、定期的なトイレ誘導やパッドの早期交換を行います。 撥水性の皮膚保護クリームを使用することで、皮膚への刺激を和らげることができます。
シーツや寝衣のしわを伸ばします。 体位変換のたびにシーツ・寝衣のしわを確認し、圧迫・摩擦の原因を取り除きます。
汚染した寝具・衣類・おむつは早期に交換し、皮膚の浸軟を防ぎます。 湿潤した環境は皮膚のバリア機能を低下させるため、汚染に気づいたらすみやかに交換します。
褥瘡の客観的評価を行います。 DESIGN-Rスケールなどを用いて、褥瘡の深さ・滲出液・大きさ・炎症や感染・肉芽・壊死組織・ポケットを定期的に評価・記録します。 経過を数値化して記録することで、改善・悪化の判断がしやすくなります。
壊死組織のデブリードメント介助を行います。 壊死組織は創傷治癒を妨げるため、外科的または化学的デブリードメントによって除去します。 看護師は処置の介助と、処置前後の創部状態の観察・記録を行います。
教育計画(EP)
皮膚統合性障害のある患者さん・家族への指導内容は以下の通りです。
体位変換の必要性を説明します。 なぜ定期的に体位を変える必要があるのかを、患者さんや家族にわかりやすく伝えます。 「同じ姿勢でいると皮膚が圧迫されて血流が悪くなり、傷が治りにくくなる」と説明すると伝わりやすいです。
清潔を保つ必要性について説明します。 皮膚を清潔に保つことで感染を防ぎ、回復を促すことができると伝えます。 清拭や洗浄の際に皮膚をごしごしこすらないよう、具体的な方法も合わせて説明します。
適度な水分補給を行い、皮膚の乾燥を防ぐよう説明します。 水分不足は皮膚の乾燥・脆弱化につながります。 1日の目安となる水分量を伝え、こまめな水分摂取を促します。
また、栄養摂取の大切さも伝えます。 タンパク質・ビタミン・亜鉛などの栄養素は創傷治癒に必要です。 食欲がない場合も、少量ずつでも食べることの大切さを説明します。
皮膚統合性障害の看護計画を立てるときのポイント
皮膚統合性障害の看護計画を立てるうえで、意識してほしいことがあります。
皮膚損傷の原因を正確にアセスメントすることが出発点です。 褥瘡なのか・失禁関連皮膚炎なのか・医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)なのかによって、介入の内容が異なります。
創傷治癒を促すためには、局所のケアだけでなく全身状態の改善が欠かせません。 栄養・循環・血糖コントロールなど、全身的な要因にも目を向けることが大切です。
褥瘡の処置は医師・皮膚・排泄ケア認定看護師(WOC看護師)・栄養士などと連携して進めます。 看護学生として実習中に対応する際は、必ず指導者に確認してから行動してください。
まとめ
皮膚統合性障害の看護計画は、皮膚状態の観察・体位変換・清潔ケア・栄養管理・排泄管理・患者指導を柱に考えることが大切です。
皮膚の回復には時間がかかります。 日々のケアを丁寧に続けながら、創部の変化を記録・評価していくことが、患者さんの回復につながります。
この記事が、皮膚統合性障害の看護計画で悩んでいる看護学生さんの参考になれば幸いです。








