看護学生の皆さんにとって、認知症患者を対象としたゴードンアセスメントは最も困難な課題の一つです。
特に在宅での看取り期における認知症患者のアセスメントでは、多職種連携と家族支援の視点が重要になります。
今回は94歳女性Bさんの詳細な在宅事例を通して、認知症のゴードンアセスメントについて実践的に解説していきます。
- 認知症の疫学と在宅看護の重要性
- 在宅看取りの現状と課題
- 事例紹介:Bさんの基本情報
- 身体機能の変化と合併症
- 老衰という自然な過程の理解
- 入院から在宅復帰までの経過
- 訪問看護導入と初期対応
- 家族指導と機能改善
- 現在の訪問看護体制
- 在宅看取り支援の意義と重要性
- ゴードン健康知覚・健康管理パターンのアセスメント
- 老衰過程への理解と家族支援
- 在宅看護の役割と介護者支援
- その他のゴードン項目での重要な評価
- 活動・運動パターンの評価
- 認知・知覚パターンの変化
- 自己概念・自己知覚への配慮
- 役割・関係パターンの変化
- カンサポによる専門的学習支援
- カンサポの学習支援内容
- 効率的な学習方法と実践力向上
- 実践的な看護技術の習得
- 継続的な学習サポート体制
- まとめ:認知症在宅看護の総合的視点
認知症の疫学と在宅看護の重要性
2025年には認知症患者数が700万人を超えると予測されており、高齢者の5人に1人が認知症になる計算です。
多くの認知症患者とその家族が在宅での療養を希望しており、住み慣れた環境でのケア継続が重要な課題となっています。
2019年に日本の高齢者数が3588万人に達し、過去最高を記録した背景があります。
高齢者の数が増加することは、将来的に高齢者の死亡数も増加することを意味しています。
在宅看取りの現状と課題
**多くの高齢者が最期を自宅で迎えたいと望んでいるにもかかわらず、実際に自宅で亡くなる人の割合は約13%**に過ぎません。
これは、在宅での末期ケアに対する支援体制や意識の不足を示唆している可能性があります。
看護師は患者と家族の希望を尊重し、質の高い在宅ケアを提供する重要な役割を担っています。
地域包括ケアシステムにおける訪問看護の役割はますます重要になっています。
事例紹介:Bさんの基本情報
Bさんは94歳の女性で、加齢による衰弱が主な診断名です。
主な介護者は息子で、アルツハイマー型認知症(89歳発症)、低アルブミン血症、**全身浮腫(91歳発症)**を併発しています。
70歳代の息子夫婦と3人で同じ市内に住んでおり、同じく70歳代の長女が週に1回様子を見に来ています。
趣味は手芸で、自宅には彼女の作成した多くの作品が飾られています。
身体機能の変化と合併症
1年前からは右不全麻痺が見られ、脳梗塞の疑いがありますが精査はされていません。
臥床が増え、上肢関節の拘縮が進行している状態です。
低アルブミン血症による浮腫が増大傾向にあり、高血圧が続いているためフロセミド21mgを服用しています。
障害高齢者日常生活自立度はC3、認知症高齢者の日常生活自立度はⅤ、要介護5という重度の状態です。
老衰という自然な過程の理解
老衰は加齢による身体の細胞や組織の機能低下により、生命活動の維持が困難になる過程を指します。
死の原因となる特定の疾患がなく、自然な死を迎える過程とされています。
老衰による死は徐々に進行し、がんなどの悪性疾患と比べると穏やかなものです。
しかし、突発的な健康問題(例:誤嚥)により予期せぬ死を迎えることもあり、その予後は予測が困難です。
入院から在宅復帰までの経過
半年前に尿路感染症で高熱を出し、総合病院に搬送されました。
入院中は輸液療法を受けていましたが、認知症による点滴自己抜去のリスクが高いとされ、ミトンによる抑制が行われました。
入院前は自分で普通に食事を摂っていましたが、入院中はミキサー食を介助で摂取していました。
病棟主治医から家族に今後の相談がなされ、胃瘻や延命措置はしないとの意思決定がなされました。
訪問看護導入と初期対応
尿路感染症と経口摂取量の低下に伴い、訪問看護が開始されました。
訪問看護開始当初は特別訪問看護指示書による連日の訪問が行われました。
初回訪問時に排便困難感があったため、排便ケアを行い多量の排便が見られました。
主治医(在宅)の指示に従い、残尿測定を行った結果、多量の残尿が確認されました。
家族指導と機能改善
訪問看護師から家族への指導として残尿を減らすための徒手圧迫を教えました。
実施したところ、尿の性状が改善し、泌尿器系の問題が軽減されました。
家族の献身的な関わりにより、退院時に少なかった経口摂取量も増加し、Bさんも喜んでいました。
退院後1か月で全身状態が安定し、デイサービスの再開が可能となりました。
現在の訪問看護体制
しかし、家を離れることを嫌がっていたため、在宅中心のケア継続となりました。
その後、訪問看護は週2回の利用となり、継続的なケアを提供しています。
月・木の1時間のケア内容は全身清拭、オムツ交換、摘便、皮膚ケア、リハビリです。
これらのケアにより、在宅での生活の質維持と家族支援を行っています。
在宅看取り支援の意義と重要性
この事例は、療養者や家族の意向に沿った高齢者の在宅看取り支援に焦点を当てています。
在宅看取り支援は、高齢者やその家族が望む在宅での穏やかな生活の最終段階を支えるための重要なケア方法です。
この支援を通じて、療養者が自宅で尊厳を持って人生の最後を迎えられるようにすることが目標です。
訪問看護師は患者の価値観と家族の希望を尊重したケアを提供する必要があります。
ゴードン健康知覚・健康管理パターンのアセスメント
患者の年齢、既往歴、診断名を考慮することが重要です。
これらの情報は患者の全体的な健康状態や治療計画に影響を与えます。
意識レベルや全身状態の評価は、患者の現在の健康状態を把握するために必要です。
内服薬の有無や管理方法についても、患者や介護者が現状と今後の治療計画を理解しているかを確認することが重要です。
老衰過程への理解と家族支援
老衰過程への理解がない場合、急な変化や起こりうる変化に対して不安が生じ、在宅療養の継続が困難になることがあります。
療養者や家族が死や看取りに対する希望や認識を持っているかどうか、またどのような延命治療を希望するかの意思確認は非常に重要です。
家族が老衰の自然な経過を理解することで、穏やかな看取りが可能になります。
適切な情報提供と心理的支援により、家族の不安を軽減する必要があります。
在宅看護の役割と介護者支援
在宅看護は、療養者や家族が望む生活に寄り添うことを目的としています。
これには、療養者の希望や家族の介護状況への配慮が含まれます。
在宅での介護においては、介護者自身の健康状態も非常に重要です。
介護者が健康でなければ、適切なケアを提供することが難しくなるためです。
その他のゴードン項目での重要な評価
栄養・代謝パターンでは、低アルブミン血症と浮腫の管理が重要です。
経口摂取量の維持と適切な栄養状態の評価が必要になります。
排泄パターンでは、残尿や便秘などの問題への対応が重要です。
泌尿器系の問題は感染症のリスクを高めるため、継続的な評価が必要です。
活動・運動パターンの評価
右不全麻痺と関節拘縮の進行により、活動能力が大幅に制限されています。
残存機能を活用したリハビリテーションの実施が重要です。
廃用症候群の予防と生活の質維持のための適切な運動療法が必要です。
安全性を確保しながら、可能な範囲での活動参加を支援します。
認知・知覚パターンの変化
アルツハイマー型認知症により、認知機能の著明な低下が見られます。
認知症高齢者の日常生活自立度Ⅴは、日常生活に支障をきたす症状が多く見られる状態です。
コミュニケーション能力や理解力の評価と適切な関わり方の検討が重要です。
残存する認知機能を活用し、尊厳を保ったケアの提供が必要です。
自己概念・自己知覚への配慮
長年の手芸という趣味は、Bさんのアイデンティティの重要な部分です。
自宅に飾られた多くの作品は、Bさんの人生の軌跡を物語っています。
認知症の進行により自己概念に混乱が生じる可能性があります。
過去の成果や人生の価値を認める関わりが、尊厳の維持に重要です。
役割・関係パターンの変化
息子夫婦との同居と長女の週1回の訪問という家族関係があります。
家族内での役割の変化と介護負担の分散について評価が必要です。
高齢の家族介護者の負担軽減と支援体制の構築が重要な課題です。
家族間のコミュニケーションと協力体制の強化が必要です。
カンサポによる専門的学習支援
看護学生にとって、認知症の患者を対象としたゴードンのアセスメントは、特に挑戦的な課題です。
在宅領域での経験が少ない看護学生にはなおさら難しく感じられるかもしれません。
このような状況であれば、カンサポのような専門的な指導を受けることを検討するのが良いでしょう。
カンサポでは、プロフェッショナルが個別指導を行い、完全なマンツーマンでサポートしています。
カンサポの学習支援内容
複雑な認知症の病態から在宅ケアの実際まで、体系的に学習できます。
ゴードンの11項目について、認知症特有のアセスメントポイントを詳しく学べます。
在宅看取り支援の理念と実践について、具体的な事例を通して理解できます。
家族支援や多職種連携の重要性についても実践的に学習できます。
効率的な学習方法と実践力向上
限られた時間の中でも、重要なポイントを効率的に学習できます。
理論と実践を結びつけた学習により、臨床で活用できる知識を身につけられます。
認知症看護の特殊性と在宅ケアの複雑さについて、専門的な視点から学べます。
より具体的な相談やサポートが必要な場合は、お気軽にご連絡ください。
実践的な看護技術の習得
カンサポでは、認知症患者への適切なコミュニケーション技法を学べます。
在宅での安全管理や家族指導の具体的な方法について習得できます。
看取り期のケアや家族への心理的支援についても詳しく学習できます。
これらの技術は、将来の臨床現場で即座に活用できる実践力となります。
継続的な学習サポート体制
認知症看護と在宅ケアは継続的な学習が必要な専門分野です。
カンサポでは、疑問点について個別に継続的なサポートを提供します。
最新の認知症ケアや在宅看護技術についても随時情報を得ることができます。
そこで専門家からの適切なアドバイスを受けることができます。
まとめ:認知症在宅看護の総合的視点
認知症の在宅看護では、患者の尊厳と家族の希望を尊重した全人的なケアが重要です。
Bさんの事例を通して学んだゴードンアセスメントの実践的なポイントを、今後の学習と実践に活かしていきましょう。
カンサポのような専門的な学習支援を効果的に活用することで、複雑な認知症在宅看護への理解を深めることができます。
継続的な学習と実践を通じて、認知症患者とその家族に寄り添った質の高い看護を提供できる専門的な看護師を目指していきましょう。








