看護学校に入学する前に知っておきたいのが、実習時間の長さです。
看護学生の実習は想像以上にハードで、トータルの時間数も膨大になります。
病院での実習だけでなく、事前学習や記録物の作成も含めると、実習期間中はほぼ休む暇もありません。
今回は看護学生が経験する実習のトータル時間数と、その内訳、そして過酷な実習期間を乗り切るためのコツを詳しく解説します。
看護実習のトータル時間数
看護学校では卒業までに多くの実習時間が義務付けられています。
保健師助産師看護師学校養成所指定規則により、3年制の看護専門学校では1035時間以上の臨地実習が必須となっています。
4年制の看護大学でも同様に1035時間以上の実習が求められ、多くの学校ではこれを上回る時間を設定しています。
実際には1200時間から1500時間程度の実習を行う学校も珍しくありません。
1日8時間の実習を行うとして、1035時間は約130日分に相当します。
つまり看護学生は卒業までに約4ヶ月から5ヶ月分の日数を病院実習に費やすことになるのです。
これは授業時間とは別の時間であり、実習期間中も講義や課題が並行して進むこともあります。
学年別の実習時間の内訳
看護実習は学年が上がるにつれて本格化していきます。
1年生では基礎看護学実習として、病院の環境や看護師の役割を学ぶ見学中心の実習が行われます。
1年次の実習時間は90時間から180時間程度で、比較的負担は軽めです。
2年生になると基礎看護学実習の応用編として、実際に患者さんを受け持ち看護過程を展開する実習が始まります。
2年次の実習時間は180時間から270時間程度になることが多いでしょう。
3年生では領域別実習が本格化し、成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学など、各領域での実習が行われます。
3年次の実習時間は600時間から900時間程度と、最も過酷な時期を迎えます。
4年制大学の場合は、4年生で統合実習や在宅看護実習などが追加されることもあります。
1日の実習スケジュール
実習日の朝は早く、多くの学校では8時または8時30分に病院に集合します。
病棟での実習は通常8時30分から16時30分または17時まで行われます。
午前中は患者さんのバイタルサイン測定、清潔ケア、食事介助などの基本的なケアを実施します。
昼休憩は1時間程度ありますが、患者さんの状態によっては十分に休めないこともあります。
午後は処置の見学、カンファレンス、指導者や教員との面談などが行われます。
実習終了後も学校に戻って反省会やグループワークが行われることもあり、帰宅できるのは18時や19時になることも珍しくありません。
そして帰宅後には実習記録の作成が待っています。
その日の看護実践の振り返り、患者さんの情報整理、看護計画の立案などに数時間かかることもあります。
記録が終わるのが深夜になり、睡眠時間が3時間から4時間程度しか取れない日も多いのです。
実習時間外の負担も大きい
病院での実習時間だけが実習の負担ではありません。
実習前の事前学習にも多くの時間がかかります。
受け持つ可能性のある疾患について調べたり、必要な看護技術を練習したりする準備に、数十時間を費やすこともあります。
実習中の毎日の記録作成に加えて、実習終了後にはレポートやケーススタディの提出が求められます。
これらの課題作成にも相当な時間が必要で、実習が終わってもすぐには解放されません。
また実習期間中も通常の授業やテストが並行して行われることがあり、両立が非常に困難です。
実習の疲労で授業に集中できず、テスト勉強の時間も確保できないという状況に陥りがちです。
さらに実習先への通学時間も考慮する必要があります。
実習先の病院が自宅から遠い場合、往復で2時間以上かかることもあり、これも大きな負担となります。
実習が特に過酷な時期
実習の中でも特に過酷なのが3年生の領域別実習です。
成人看護学、老年看護学、小児看護学、母性看護学、精神看護学と、次々に異なる領域の実習が続きます。
各領域の実習は2週間から3週間程度で、ほとんど休みなく次の実習が始まるスケジュールになっています。
それぞれの領域で求められる知識や技術が異なるため、毎回新しいことを学び直す必要があります。
小児看護実習では子どもとのコミュニケーション技術が求められ、精神看護実習では患者さんの内面理解が重要になります。
母性看護実習では新生児のケアや産褥期の母親への支援を学び、老年看護実習では高齢者特有の疾患や介護について深く学びます。
各実習の間に十分な休息期間がないため、心身ともに疲弊してしまう学生も少なくありません。
実習期間中に体調を崩したり、精神的に追い詰められたりするケースもあります。
実習を乗り切るための体調管理
過酷な実習を乗り切るには、体調管理が何よりも重要です。
睡眠時間が短くなりがちですが、可能な限り睡眠を確保する工夫が必要です。
記録作成の効率を上げて少しでも早く寝る、休日はしっかり休息を取るなどの対策を心がけましょう。
栄養バランスの取れた食事も大切です。
疲れているとつい簡単な食事で済ませがちですが、栄養不足では体力が持ちません。
作り置きやお弁当を活用して、できるだけバランスの良い食事を心がけてください。
適度な運動やストレッチも疲労回復に効果的です。
長時間の立ち仕事で足がむくんだり、腰が痛くなったりすることもあるため、帰宅後のケアを忘れずに行いましょう。
体調不良を感じたら無理をせず、早めに休むことも必要です。
無理して実習を続けて倒れてしまっては、かえって迷惑をかけることになります。
実習記録を効率的に仕上げるコツ
実習後の記録作成時間を短縮することが、睡眠時間確保の鍵となります。
実習中にできるだけ詳しくメモを取ることが最も重要です。
患者さんの状態、実施したケア、気づいたこと、バイタルサインの数値など、その場で記録する習慣をつけることで、帰宅後の思い出し作業が不要になります。
記録のフォーマットを事前に理解しておくことも大切です。
SOAP形式やフォーカスチャーティングなど、学校が求める記録方法に慣れておくとスムーズに書けます。
看護過程の展開パターンを身につけることも効率化につながります。
アセスメントの視点や看護診断の導き方、目標設定の方法など、基本的な型を覚えておきましょう。
また過去の優秀な記録例を参考にすることも効果的です。
先輩の記録を見せてもらい、表現方法や構成を学んでください。
ただし丸写しは厳禁で、あくまで参考にとどめることが重要です。
メンタルヘルスのケア
長期間の実習は精神的にも大きな負担となります。
患者さんとの関わりで悩んだり、指導者からの厳しい指導に落ち込んだりすることもあるでしょう。
一人で抱え込まず、友人や家族、教員に相談することが大切です。
同じ実習を経験している仲間と悩みを共有することで、気持ちが楽になることもあります。
実習グループ内でお互いに励まし合い、支え合う関係を築きましょう。
また実習期間中でも、短時間でいいのでリフレッシュの時間を持つことが重要です。
好きな音楽を聴く、お風呂にゆっくり浸かる、美味しいものを食べるなど、小さな楽しみを見つけてください。
完璧を目指しすぎないことも大切です。
すべての患者さんに完璧なケアを提供しようとすると、自分を追い詰めてしまいます。
できることを精一杯やる、失敗から学ぶという姿勢で臨みましょう。
実習から得られるもの
過酷な実習ですが、そこから得られる学びは計り知れません。
教科書では学べない実践的な看護技術や、患者さんとのコミュニケーション能力が身につきます。
実際の医療現場を経験することで、看護師としての自覚や責任感が芽生えるのです。
患者さんから感謝の言葉をもらったとき、自分のケアで患者さんの表情が明るくなったとき、看護師になって良かったと思える瞬間があります。
また実習を通じて自分の得意な領域や、将来働きたい分野が見えてくることもあります。
過酷な実習を乗り越えたという経験は、大きな自信につながります。
同じ苦労を共にした仲間との絆も深まり、一生の友人ができることもあるでしょう。
まとめ
看護学生の実習時間はトータルで1035時間以上、多い学校では1500時間近くに及びます。
これは単なる見学ではなく、実際に患者さんのケアを行い、記録を作成し、深く学ぶ時間です。
実習期間中は心身ともに過酷な日々が続きますが、適切な体調管理とメンタルケア、そして効率的な学習方法で乗り切ることができます。
この経験は必ず将来の看護師としての基礎となり、あなたの大きな財産になります。
辛いときもあるでしょうが、同じ目標を持つ仲間と支え合いながら、一歩ずつ前に進んでいってください。
看護師という素晴らしい職業を目指すあなたの努力を応援しています。








