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看護過程

帝王切開術後の看護過程を母性看護で展開する方法|34歳初産婦の事例で徹底解説

この記事は約9分で読めます。

帝王切開術後の看護過程作成に悩んでいる看護学生の皆さん、こんにちは。

母性看護学における帝王切開術後の看護過程は、術後合併症の予防、母体の身体的回復、母乳育児への支援、バースレビュー、母親役割への適応など、多面的なアセスメントが求められるため、多くの学生が難しく感じるテーマです。

本記事では、予定帝王切開で出産した34歳初産婦の架空事例を用いて、妊娠経過から産褥期までのアセスメントのポイントと看護問題の導き方を具体的に解説します。

この記事を読むことで、帝王切開術後の褥婦への看護の全体像が理解でき、実習記録作成の参考になるはずです。

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事例紹介|予定帝王切開で出産した34歳初産婦

褥婦プロフィール

B氏、34歳、会社員

経産回数:初産婦(0回経産)

結婚:6年前(28歳)、夫と二人暮らし

分娩方法:予定帝王切開(骨盤位のため)

妊娠経過

夫婦共に望んだ妊娠

両親学級に夫婦で全コース参加

バースプラン:夫の立ち合い分娩、自然分娩、母乳育児を希望していた

妊娠初期から吐き気・食欲不振あるも、妊娠15週で消失

妊娠35週6日の妊婦健康診査データ

子宮底長31cm(妊娠週数相当)

血圧124/60mmHg(正常範囲)

尿蛋白・尿糖:陰性

NST:胎児心拍数130〜155bpm、一過性頻脈20分間に4回(正常)

分娩経過

妊娠37週で骨盤位が判明し、予定帝王切開の方針となる

妊娠38週2日(1月29日)に予定帝王切開実施

麻酔:硬膜外麻酔+脊椎麻酔併用

手術時間:約1時間

出血量:500mL(正常範囲)

新生児情報

女児、出生体重3100g、身長49cm

アプガースコア:1分後9点、5分後10点(良好)

家族背景

B氏の両親:初孫の誕生を楽しみにしている

B氏の妹:乳児の世話経験あり

夫:育児に協力的

妊娠経過のアセスメント

年齢と家族構成

主観的データ(S情報)

なし

客観的データ(O情報)

年齢34歳

28歳で結婚、夫と二人暮らし

アセスメントの要点

【母性成熟期】

34歳は母性成熟期に該当します。

母性成熟期とは、多くの女性が妊娠・分娩・育児を体験する時期であり、次世代を健全に育成するための課題が多い時期です。

この時期は、身体的・心理的・社会的に母親としての役割を獲得し、実践していく重要な段階です。

【妊娠・出産に適した状況】

B氏は妊娠・出産に適した年齢です。

28歳で結婚後、夫と安定した夫婦関係を6年間築いています。

ウェルネスの視点

妊娠出産に適し、親役割を獲得していく段階を経ている

妊娠の受容

主観的データ(S情報)

母乳で育てたいと思っていたので、妊娠中に乳頭マッサージをしました

客観的データ(O情報)

夫婦共に望んだ妊娠

夫婦で両親学級を全コース参加

B氏の両親は初孫の誕生を楽しみにしている

バースプラン:夫の立ち合い分娩、自然分娩、母乳育児を希望

アセスメントの要点

【妊娠の受容状況】

今回の妊娠は夫婦ともに望んだものです。

夫婦で両親学級に全コース参加するなど、妊娠・出産・育児に対して積極的に準備を進めています。

B氏の両親も初孫の誕生を楽しみにしており、妹も乳児の世話経験があることから、家族全体が妊娠を肯定的に受け入れ、サポート体制が整っています。

【主体的な姿勢】

バースプランとして夫の立ち合い分娩、自然分娩、母乳育児を希望していることからも、B氏が主体的に出産・育児に取り組もうとする姿勢が伺えます。

妊娠中から乳頭マッサージを実施するなど、母乳育児への準備も積極的に行っています。

【妊娠の受容の評価】

B氏は母性成熟期にあり、妊娠の受容は良好です。

妊娠出産に適した年齢と環境にあり、夫や家族の支援も得られる状況の中で、親役割を獲得していく段階を順調に経ていると考えられます。

ウェルネスの視点

妊娠の受容は良好であり、家族のサポート体制も整っている

マイナートラブル

主観的データ(S情報)

なし

客観的データ(O情報)

妊娠初期から吐き気や食欲不振の症状あるも、妊娠15週で症状消失

アセスメントの要点

【つわりの原因】

つわりの原因は明らかではありませんが、hCGの上昇に対応するため、ホルモンが関与するといわれています。

胎児を異物と認識した生体反応や、心理的・社会的要因が大きいという考えもあります。

【正常な経過】

B氏は妊娠初期から吐き気や食欲不振の症状がありましたが、妊娠15週で症状が消失しています。

妊娠悪阻と診断されるような強い症状はなく、正常な経過でした。

ウェルネスの視点

つわりは妊娠15週で消失し、正常な経過であった

妊娠健康診査

主観的データ(S情報)

なし

客観的データ(O情報)

妊娠35週6日:子宮底長31cm

血圧124/60mmHg

尿蛋白・尿糖:陰性

NST:胎児心拍数130〜155bpm、一過性頻脈20分間に4回

アセスメントの要点

【子宮底長】

子宮底長31cmで妊娠週数相当であり、子宮底長の伸びは順調です。

【血圧】

収縮期血圧124mmHg、拡張期血圧60mmHgであり、妊娠高血圧症候群の診断基準(140/90mmHg以上)には該当しません。

現在その兆候は見られません。

【尿検査】

尿蛋白、尿糖は陰性であり、妊娠期間を通して血圧に異常は認められていないことから、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクは低い状態です。

【NST(ノンストレステスト)】

胎児心拍数130〜155bpmは正常範囲内です。

15bpm以上の一過性頻脈が20分間に4回見られました。

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この心拍パターンは適切であり、胎児心拍動は順調です。

【総合評価】

妊娠35週6日の妊婦健康診査では母児共に良好な状態であると考えられます。

ウェルネスの視点

妊娠35週の妊婦健康診査では、母児共に良好な状態である

産褥経過のアセスメント(帝王切開術後の管理)

術後1日目(1月30日)の状態

主観的データ(S情報)

お腹は、動くと痛いけど我慢できます、特に頭痛や吐き気はないです

客観的データ(O情報)

午後、膀胱カテーテル抜去

看護師付き添いで病室内トイレまでゆっくり歩行、自尿あり

その後も約3時間おきに看護師付き添いでトイレ歩行、自尿あり

夕方、点滴抜去後、看護師付き添いで新生児室まで歩行し児と面会

歩行時、胸部痛や息苦しさ、動悸などの症状なし

弾性ストッキング:手術室から装着継続

フットポンプ:適時装着

硬膜外麻酔持続中

アセスメントの要点

【帝王切開術後の合併症リスク】

帝王切開術を受けることで血栓症のリスクが高まります。

肺塞栓症は最も注意すべき障害であり、母体死亡につながる危険性があります。

【肺塞栓症の予防】

母体の脱水を避けます。

術後は弾性ストッキングや下肢の加圧ポンプ(間欠的空気圧迫法)を用います。

【早期離床の重要性】

予定帝王切開の場合は子宮頸管が開大していないため、術後の安静が長期化すると子宮腔内に悪露が滞留して子宮復古不全となる危険性があります。

臥床安静が長期になると、腹腔内癒着をきたし、腸閉塞や下肢静脈うっ滞血栓症を起こすこともあるため、早期離床に努める必要があります。

【初回歩行】

原則的には、術後1日目に鎮痛状況を確認したうえで初回歩行を行います。

その際、看護師が付き添い、肺塞栓徴候の早期発見のために観察します。

【B氏の状態の評価】

弾性ストッキングを手術室から装着し、フットポンプも適時装着しています。

産褥1日目の午後に膀胱留置カテーテル抜去後、看護師付き添いのもとトイレまで歩行し自尿が見られました。

その後も約3時間おきにトイレ歩行を行い、夕方には点滴抜去後、新生児室まで歩行し児と面会しています。

いずれの歩行時も胸部痛、息苦しさ、動悸などの肺塞栓症を疑う症状は認められませんでした。

弾性ストッキングとフットポンプによる深部静脈血栓症の予防が適切に実施され、早期離床も順調に進んでおり、肺塞栓症の徴候は認められません。

約3時間おきの排尿により、子宮復古を妨げる因子ともなっていません。

早期離床により、子宮腔内への悪露貯留による子宮復古不全や腹腔内癒着による腸閉塞などのリスクも回避できています。

【疼痛コントロール】

硬膜外麻酔が持続されており、B氏は「お腹は動くと痛いけど我慢できます、特に頭痛や吐き気はないです」と述べています。

創部痛、後陣痛、腸蠕動に伴う疼痛が適切にコントロールされており、歩行可能な程度の疼痛レベルに保たれています。

硬膜外麻酔による頭痛や吐き気などの副作用も出現していません。

【総合評価】

術後1日目、術後合併症の出現なく、正常な経過をたどっています。

ウェルネスの視点

術後1日目、術後合併症の出現なく、正常な経過をたどっている

産褥経過のアセスメント(進行性変化)

乳房・乳頭の状態

主観的データ(S情報)

母乳で育てたいと思っていたので、妊娠中に乳頭マッサージをしました、うまく授乳ができると良いのだけれど

客観的データ(O情報)

産褥1日目:乳房の形Ⅲ型、乳頭軟らかい、乳房緊満なし

看護師:「乳頭が軟らかいですね、赤ちゃんが吸いやすいと思いますよ」

産褥2日目:乳頭軟らかい、乳房緊満なし

アセスメントの要点

【乳房の形態】

乳房の形態はⅠ〜Ⅲ型に分類されます。

B氏の乳房はⅢ型で、直接授乳時の児の抱き方は脇抱きが適しています。

【乳頭の状態】

乳頭・乳輪部ののびのよいことが児の吸啜のしやすさにつながります。

乳頭マッサージの成果で乳頭が軟らかくなったと考えられます。

B氏の乳頭は軟らかく、児が吸啜しやすい状態です。

【乳房緊満】

乳房緊満は、血液とリンパが乳腺や周囲組織に増加し、乳房がかたく触れ、熱感や圧痛を伴う状態をいいます。

通常、産褥3〜4日ごろに生じます。

これは、乳汁をつくり出す作用が急激に起きているための反応です。

産褥1日・2日とも乳房緊満が見られないのは順調な経過と考えます。

今後、乳房緊満が生じると考えられるため、乳房のケアと観察を続ける必要があります。

ウェルネスの視点

母乳育児に適した乳房・乳頭の状態である

産褥経過のアセスメント(心理状態)

バースレビューの必要性

心理的側面の考察

B氏は自然分娩を希望していましたが、骨盤位のため予定帝王切開となりました。

希望していた分娩方法と異なる出産体験をしたことで、自責の念や否定的感情を抱いている可能性があります。

帝王切開分娩を肯定的に受け入れ、母親役割へのスムーズな適応を促進することが重要です。

今後の看護援助の方向性

B氏の気持ちを傾聴し、共感的に受け入れることが重要です。

B氏のペースで自分の出産体験についてありのままに語ることを促し、自責の念や否定的感情を表出できるよう支援します。

創部痛に配慮した授乳姿勢の工夫や疼痛コントロールを行います。

児との触れ合いや授乳体験を通して母子相互作用を促進し、母親としての自信が向上できるよう継続的に関わることが重要です。

看護問題の優先順位

ウェルネスの視点からの統合

優先順位第1位:術後予測された結果が逸脱なく経過している

術後1日目、術後合併症の出現なく、正常な経過をたどっている

母乳育児に適した乳房・乳頭の状態である

妊娠経過も良好で、母児共に良好な状態が維持されている

優先順位第2位:母親としての適応過程遅延の可能性がある

希望していた自然分娩ではなく帝王切開となった

バースレビューの実施と心理的支援が必要

母親役割への適応を促進する支援が重要

今後の看護の方向性

身体的側面

弾性ストッキングとフットポンプの装着を継続し、血栓症予防に努めます。

歩行時は看護師が付き添い、胸部痛、息苦しさ、動悸などの肺塞栓症の徴候の有無を観察します。

疼痛コントロールの状況を確認しながら、段階的に活動範囲を拡大し、早期離床を促進します。

産褥3〜4日目に出現する乳房緊満に備え、乳房のケアと観察を継続します。

心理的側面

母児接触の支援、スキンシップやアイコンタクトを通じた愛着行動を促進します。

バースレビューを実施し、B氏が自身の出産体験を肯定的に受け止められるよう支援します。

創部痛に配慮した授乳姿勢(脇抱きなど)を工夫し、授乳体験を通して母親としての自信を高めます。

夫や家族の協力を得ながら、母親役割への適応を支援します。

まとめ|帝王切開術後看護のポイント

帝王切開術後の褥婦への看護では、術後合併症の予防(特に肺塞栓症)、早期離床の促進、疼痛コントロール、母乳育児への支援、心理的サポートが重要な柱となります。

本事例のB氏のように、自然分娩を希望していたにもかかわらず帝王切開となった褥婦には、バースレビューを通じて出産体験を肯定的に受け止められるよう支援することが不可欠です。

看護学生の皆さんは、このような架空事例を参考にしながら、実際の褥婦の個別性を大切にした看護過程を展開してください。

帝王切開術後の看護は、身体的回復の支援と心理的サポートを両立させながら、褥婦が母親としての役割を獲得し、自信を持って育児に取り組めるよう支援することが看護の重要な役割となります。

課題に追われている看護学生・看護師さんへ

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