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ゴードンの考えによる看護の展開

心不全患者の看護過程をゴードンで展開する方法|80代女性の事例で徹底解説

この記事は約10分で読めます。

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心不全患者の看護過程作成に悩んでいる看護学生の皆さん、こんにちは。

ゴードンの11の機能的健康パターンを使った心不全の看護過程は、循環動態の評価や呼吸状態の観察、水分バランスの管理など、複数の視点からアセスメントする必要があるため、多くの学生が苦戦するテーマです。

本記事では、慢性心不全の急性増悪で入院した80代女性の架空事例を用いて、ゴードンの各パターン別にアセスメントのポイントと看護問題の導き方を具体的に解説します。

この記事を読むことで、心不全患者の全体像把握から看護計画立案までの流れが理解でき、実習記録作成の参考になるはずです。

事例紹介|慢性心不全急性増悪で入院した80代女性

患者プロフィール

D氏、82歳女性、無職(主婦)

診断名:慢性心不全急性増悪、高血圧症、陳旧性心筋梗塞

既往歴:10年前に心筋梗塞、5年前から慢性心不全

家族構成:長男夫婦と同居(長男58歳、長男の妻55歳)

入院の経緯

3日前から息切れと下腿浮腫の増強があり、前日の夜から座っていないと呼吸が苦しくなったため、長男が翌朝救急外来を受診しました。

胸部レントゲンで心拡大と肺うっ血を認め、慢性心不全の急性増悪と診断され、緊急入院となりました。

現在は酸素療法と利尿剤による治療を開始し、入院3日目です。

入院時データ(入院当日)

身長150cm、体重48kg(普段より3kg増加)、BMI 21.3

意識レベル:清明

血圧135/82mmHg、脈拍88回/分(軽度不整あり)、呼吸数24回/分

SpO2 91%(室内気)→96%(酸素2L/分)

両下肢に圧痕性浮腫(+2)

頸静脈怒張あり

検査データ

BNP 850pg/mL(基準値18.4pg/mL以下)

TP 6.0g/dL、Alb 3.2g/dL

BUN 28mg/dL、Cre 1.1mg/dL

Na 138mEq/L、K 3.8mEq/L

生活習慣(入院前)

喫煙:なし

飲酒:なし

食事:長男の妻が調理、塩分やや多め

運動:家の中での生活のみ、時々庭に出る程度

ゴードン11パターン別アセスメントのポイント

健康知覚-健康管理パターン

主観的データ(S情報)

3日前から息苦しくなって、夜も横になれませんでした

足もむくんできて、靴が履けなくなりました

心臓が悪いことは知っていますが、詳しいことはよくわかりません

薬はいつも長男の嫁が管理してくれています

客観的データ(O情報)

10年前に心筋梗塞、5年前から慢性心不全

入院前は内服治療継続、服薬管理は長男の妻

今回、息切れと浮腫の増強で救急受診

BNP 850pg/mLと著明高値

長男夫婦と同居、日常生活は長男の妻がサポート

アセスメントの要点

D氏は心筋梗塞の既往があり、慢性心不全で治療を継続していましたが、今回急性増悪で入院となりました。

服薬管理は長男の妻が行っており、D氏自身の疾患理解や自己管理能力は十分とは言えません。

症状の悪化を自覚していましたが、受診のタイミングが遅れており、症状に対する認識が不十分だった可能性があります。

BNPの著明な上昇から、心不全の状態が悪化していることが示されています。

退院後も長男夫婦のサポートが期待できますが、D氏自身が症状の変化に気づき、早期に対応できるよう指導が必要です。

栄養-代謝パターン

主観的データ(S情報)

食欲はあまりありません

お嫁さんが作ってくれる料理を食べています

最近、味がよくわからなくなってきました

水分は控えめにと言われていますが、喉が渇きます

客観的データ(O情報)

身長150cm、体重48kg(普段45kg)、3kg増加

BMI 21.3

入院後は塩分6g/日、水分制限1200mL/日の心臓食

食事摂取量:入院初日5割→現在7割程度

TP 6.0g/dL、Alb 3.2g/dLとやや低栄養

両下肢に圧痕性浮腫(+2)

頸静脈怒張あり

IN:食事約800mL+点滴500mL=1300mL

OUT:尿量約1800mL(利尿剤使用中)

アセスメントの要点

体重が普段より3kg増加しており、これは体液貯留による増加と考えられます。

両下肢の浮腫と頸静脈怒張から、心不全による全身性の体液貯留が示唆されます。

総蛋白とアルブミンが低値であり、軽度の低栄養状態です。

低アルブミン血症は膠質浸透圧を低下させ、浮腫を助長する要因となります。

現在、利尿剤により尿量が増加し、IN<OUTの状態で体液バランスが調整されています。

食事摂取量が7割程度であり、栄養状態の改善が必要ですが、心臓への負担を考慮した適切なカロリーと塩分制限の継続が重要です。

味覚の低下により食欲が減退している可能性があり、食事の工夫が必要です。

排泄パターン

主観的データ(S情報)

おしっこの回数が増えました

夜中も何回かトイレに行きます

便は普通に出ています

客観的データ(O情報)

排尿回数:8〜10回/日、夜間3〜4回

尿量:入院前は不明、現在約1800mL/日(利尿剤使用中)

排便:1回/日、普通便

BUN 28mg/dL、Cre 1.1mg/dL

腎機能軽度低下あり

利尿剤:フロセミド40mg/日内服

アセスメントの要点

利尿剤の使用により尿量が増加し、体液貯留の改善が図られています。

夜間頻尿により睡眠が中断されている可能性があり、睡眠の質への影響が懸念されます。

腎機能は軽度低下していますが、現時点で大きな問題はありません。

心不全患者では腎血流量の低下により腎機能が悪化しやすいため、継続的な観察が必要です。

排便は規則的であり、便秘の兆候は見られていません。

水分制限と利尿剤使用により、脱水のリスクもあるため、バランスの観察が重要です。

活動-運動パターン

主観的データ(S情報)

少し動くと息が切れます

前は庭まで出られたのに、今は無理です

ベッドで休んでいると楽です

自分のことは自分でやりたいです

客観的データ(O情報)

入院前:ADL自立、家の中での生活が中心

現在:安静度ベッド上安静→ベッドサイド可

食事:ベッド上、自力摂取可能

排泄:ポータブルトイレ使用、一部介助

清潔:清拭、一部介助

呼吸数24回/分、労作時に増加

SpO2:安静時96%(酸素2L/分)→体動時92%に低下

血圧135/82mmHg、脈拍88回/分(軽度不整あり)

両下肢筋力低下あり

アセスメントの要点

心不全による心拍出量の低下により、活動耐性が著しく低下しています。

わずかな体動でも呼吸困難感が増強し、SpO2が低下することから、酸素需要と供給のバランスが崩れています。

現在はベッド上安静が指示されており、ADLのほとんどに介助が必要な状態です。

長期の安静により廃用症候群のリスクが高まるため、心機能の改善に伴い段階的な活動拡大が必要です。

自分のことは自分でやりたいという意欲があり、これは回復への動機づけとして活用できます。

脈拍に軽度の不整があり、活動時の心電図モニタリングも考慮する必要があります。

睡眠-休息パターン

主観的データ(S情報)

夜はあまり眠れません

横になると苦しくなります

トイレにも何回か起きます

昼間もウトウトしてしまいます

客観的データ(O情報)

就寝時刻:22時頃(ベッドアップ45度で入眠)

夜間覚醒:3〜4回(排尿のため)

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起坐呼吸あり

睡眠薬使用なし

日中の傾眠あり

アセスメントの要点

起坐呼吸があり、臥位では呼吸困難が増強するため、ベッドアップした状態で睡眠をとっています。

夜間頻尿により睡眠が断続的に中断され、睡眠の質が低下しています。

呼吸困難感と夜間頻尿により十分な睡眠がとれておらず、日中の傾眠につながっています。

睡眠不足は心臓への負担を増加させ、回復を遅らせる可能性があります。

心不全の症状改善に伴い、呼吸困難感が軽減すれば、睡眠の質も向上すると期待されます。

認知-知覚パターン

主観的データ(S情報)

頭はしっかりしています

心臓が悪いことは知っていますが、詳しくはわかりません

息が苦しいのが一番つらいです

特に痛みはありません

客観的データ(O情報)

意識レベル:清明

見当識良好

理解力・判断力良好

視力・聴力に大きな問題なし

呼吸困難感あり

疼痛なし

アセスメントの要点

意識レベルは清明で、認知機能に問題はありません。

疾患に対する理解は不十分であり、心不全の病態や症状、セルフケアについての教育が必要です。

呼吸困難感が最も苦痛な症状であり、これが軽減されることがD氏のQOL向上につながります。

疼痛はなく、不快症状は主に呼吸困難感です。

理解力は良好であるため、適切な説明により疾患理解を深めることができると考えられます。

自己知覚-自己概念パターン

主観的データ(S情報)

こんなに息苦しくなるなんて思いませんでした

家族に迷惑をかけて申し訳ないです

早く良くなって家に帰りたいです

自分のことは自分でやりたいのですが

客観的データ(O情報)

病状の急な悪化に戸惑いあり

家族への負担を気にする発言あり

回復への意欲あり

自立への希望を表現

ADLの多くに介助が必要な現状

アセスメントの要点

D氏は症状の急な悪化に戸惑いを感じています。

家族への負担を気にする発言から、他者への配慮と自立への強い思いが伺えます。

早く回復したいという意欲があり、これは治療への前向きな姿勢につながります。

自分のことは自分でやりたいという思いと、現在の介助が必要な状況との間にギャップがあり、自己効力感の低下が懸念されます。

段階的なADL拡大により、小さな成功体験を積み重ねることが重要です。

役割-関係パターン

主観的データ(S情報)

長男夫婦にはいつも世話になっています

お嫁さんが食事や薬の管理をしてくれています

早く家に帰って、また一緒に暮らしたいです

孫にも会いたいです

客観的データ(O情報)

長男夫婦と同居

長男の妻が主な介護者(食事、服薬管理など)

長男は毎日面会に来ている

孫(長男の子)は別居、時々訪問

家族は協力的

アセスメントの要点

D氏は長男夫婦と良好な関係を築いており、家族のサポート体制は整っています。

長男の妻が主な介護者であり、退院後も継続的なサポートが期待できます。

家族との生活を大切にしており、早期の退院を希望しています。

孫への愛情も示しており、家族との絆が回復への動機づけとなっています。

退院後は長男の妻への介護負担が大きくなる可能性があり、適切な指導と社会資源の活用が必要です。

セクシュアリティ-生殖パターン

主観的データ(S情報)

特記すべき訴えなし

客観的データ(O情報)

82歳女性

閉経後

特記すべき問題なし

アセスメントの要点

セクシュアリティに関する特別な問題は見られていません。

現時点で看護問題はありません。

コーピング-ストレス耐性パターン

主観的データ(S情報)

息が苦しいのが一番つらいです

夜も眠れなくて不安です

でも、先生や看護師さんが助けてくれるから大丈夫です

早く良くなりたいです

客観的データ(O情報)

呼吸困難感に対する不安表出

睡眠障害によるストレスあり

医療者への信頼を表現

前向きな発言もあり

入院前の趣味:編み物、テレビ鑑賞

アセスメントの要点

D氏は呼吸困難感と睡眠障害により強いストレスを感じています。

医療者への信頼を示しており、これは治療への安心感につながっています。

前向きな発言もあり、ストレスに対する適応力はある程度保たれています。

入院により趣味活動ができなくなっていますが、現在は症状コントロールが優先です。

症状の改善に伴い、病室でできる軽い活動を取り入れることでストレス軽減が期待できます。

価値-信念パターン

主観的データ(S情報)

家族と一緒にいられることが一番大切です

自分のことは自分でできるようになりたいです

長男夫婦に迷惑をかけたくないです

客観的データ(O情報)

家族との生活を重視

自立を大切にする価値観

他者への配慮を示す

回復への意欲あり

アセスメントの要点

D氏は家族との生活を最も大切にしており、これが回復への強い動機づけとなっています。

自立を重視する価値観があり、できるだけ自分のことは自分でやりたいという思いが強いです。

家族への配慮も示しており、負担をかけたくないという思いがあります。

これらの価値観を尊重しながら、現実的な目標設定と段階的な回復支援が重要です。

看護問題の優先順位と看護計画の立案

ゴードンの11パターンでアセスメントを行った結果、以下の看護問題が抽出されます。

優先度の高い看護問題

心不全に関連した活動耐性低下

体液貯留に関連した体液量過剰

起坐呼吸に関連した睡眠パターン混乱

看護目標の例

入院1週間以内に、呼吸困難感が軽減し、安静時SpO2が95%以上を維持できる

入院1週間以内に、体重が普段の体重(45kg)に近づき、浮腫が軽減する

退院時までに、心不全の症状と早期受診の必要性を理解できる

看護計画(OP・TP・EP)の例

OP:呼吸状態、SpO2、呼吸数、血圧、脈拍、体重、浮腫の程度、尿量、IN-OUTバランス、呼吸困難感、睡眠状況の観察

TP:酸素療法の実施、安静度の管理、体位の工夫(ベッドアップ)、水分出納管理、利尿剤の確実な与薬、段階的なADL拡大

EP:心不全の病態と症状について説明、水分・塩分制限の必要性の説明、症状悪化時の早期受診の重要性の説明、家族を含めた退院指導の実施

まとめ|心不全看護過程のポイント

心不全患者の看護過程をゴードンで展開する際は、循環動態と呼吸状態を中心に、水分バランス、栄養状態、活動耐性を総合的にアセスメントすることが重要です。

本事例のD氏のように、慢性疾患の急性増悪で入院した高齢患者では、症状のコントロールと同時に、退院後の生活を見据えた疾患教育と家族支援が必要です。

看護学生の皆さんは、このような架空事例を参考にしながら、実際の患者さんの個別性を大切にした看護過程を展開してください。

心不全看護は急性期の症状管理から慢性期の自己管理支援まで幅広い視点が必要であり、患者さんと家族が退院後も安心して生活できる支援体制の構築が成功の鍵となります。

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