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ゴードンの考えによる看護の展開

認知症患者の看護過程をゴードンで展開する方法|90代女性の事例で徹底解説

この記事は約10分で読めます。

認知症患者の看護過程作成に悩んでいる看護学生の皆さん、こんにちは。

ゴードンの11の機能的健康パターンを使った認知症の看護過程は、認知機能の評価だけでなく、ADLの状態、栄養摂取、家族の介護負担など、多角的な視点でのアセスメントが求められるため、多くの学生が難しく感じるテーマです。

本記事では、アルツハイマー型認知症が進行し、終末期にある90代女性の架空事例を用いて、ゴードンの各パターン別にアセスメントのポイントと看護問題の導き方を具体的に解説します。

この記事を読むことで、認知症患者の全体像把握から看護計画立案までの流れが理解でき、実習記録作成の参考になるはずです。

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事例紹介|アルツハイマー型認知症終末期の90代女性

患者プロフィール

F氏、91歳女性、元主婦

診断名:アルツハイマー型認知症、加齢による衰弱、低栄養状態

既往歴:85歳でアルツハイマー型認知症と診断

家族構成:次男夫婦(65歳)と同居、長男は隣町在住

現在の状況

入院治療後、本人の「家で過ごしたい」という以前からの希望を家族が尊重し、在宅療養となりました。

認知症が進行し、現在は意思疎通が困難で、ほぼ終日臥床して過ごしています。

訪問看護を週2回利用し、家族とともにケアを行っています。

主治医からは「終末期である」との説明があり、家族は胃瘻や延命処置を希望せず、自然な経過を見守る方針です。

現在のデータ

身長153cm、体重38kg(半年前は43kg)、BMI 16.2

意識レベル:傾眠傾向、呼びかけで開眼するが反応乏しい

体温36.2℃、脈拍82回/分、血圧108/65mmHg

SpO2 95%(室内気)

発語なし、自発的な動きほとんどなし

検査データ(2週間前)

TP 5.5g/dL、Alb 2.5g/dL

BUN 18mg/dL、Cre 0.7mg/dL

生活状況

要介護5

食事:ゼリーやプリンを家族介助で少量摂取

排泄:おむつ使用、全介助

清潔:清拭、全介助

体位変換:2時間ごと、家族と訪問看護で実施

ゴードン11パターン別アセスメントのポイント

健康知覚-健康管理パターン

主観的データ(S情報)

家族:母は家で過ごしたいと言っていました

家族:医師から終末期だと説明を受けました

家族:胃瘻や延命処置はしない方針です

家族:母が安らかに過ごせるようにしたいです

客観的データ(O情報)

91歳女性、アルツハイマー型認知症(85歳発症)

認知症が進行し、意思疎通困難

傾眠傾向、呼びかけで開眼するが反応乏しい

発語なし、自発的な動きほとんどなし

主治医より終末期との説明あり

次男夫婦が主介護者、要介護5

訪問看護週2回利用

体温36.2℃、バイタルサイン安定

嚥下機能低下、誤嚥リスクあり

アセスメントの要点

F氏はアルツハイマー型認知症が進行し、終末期の状態にあります。

意思疎通が困難であり、自分の思いや苦痛を表現することができません。

したがって、身体症状の変化を注意深く観察し、苦痛の有無を判断する必要があります。

家族は本人の以前からの希望を尊重し、在宅での看取りを選択しました。

胃瘻や延命処置を希望せず、自然な経過を見守る方針です。

嚥下機能が低下しており、誤嚥性肺炎のリスクが高い状態です。

家族は終末期であることを理解していますが、介護方法や今後の経過について不安を抱えている可能性があります。

次男夫婦が65歳と比較的若いものの、要介護5の介護は身体的負担が大きいと考えられます。

栄養-代謝パターン

主観的データ(S情報)

家族:食べられるものを探して、少しでも食べさせたいです

家族:ゼリーやプリンなら少し食べてくれます

家族:水分を飲ませるとむせることがあります

家族:体重がどんどん減ってきています

客観的データ(O情報)

身長153cm、体重38kg(半年前43kg)、5kg減少

BMI 16.2と著しいやせ

TP 5.5g/dL、Alb 2.5g/dLと低栄養状態

経口摂取:ゼリー・プリンを家族介助で少量のみ

1日の摂取量:200〜300kcal程度(推定)

嚥下機能低下あり

食事摂取後、咽頭部にゴロゴロ音聴取

水分摂取時にむせあり

口腔内乾燥あり

皮膚の張りなし、やせ著明

アセスメントの要点

半年間で5kgの体重減少があり、著しいやせ状態です。

総蛋白とアルブミンが著しく低値であり、高度の低栄養状態です。

低アルブミン血症は浮腫を引き起こし、皮膚の脆弱性を増加させます。

現在の経口摂取量は推定200〜300kcal程度であり、必要エネルギー量を大きく下回っています。

嚥下機能が低下しており、ゼリーやプリンなど嚥下しやすい食品のみ少量摂取可能です。

食事摂取後に咽頭部にゴロゴロ音が聴取され、誤嚥の可能性があります。

水分摂取時のむせもあり、水分の誤嚥リスクも高い状態です。

終末期であることを考慮すると、無理な栄養補給よりも、本人の苦痛を最小限にし、可能な範囲で経口摂取を継続することが重要です。

家族は少しでも食べさせたいという思いが強いですが、誤嚥予防と本人の負担軽減のバランスを考える必要があります。

排泄パターン

主観的データ(S情報)

家族:おむつを使っています

家族:尿や便が出ているか確認しています

家族:最近便秘気味です

客観的データ(O情報)

排泄:おむつ使用、全介助

排尿回数:4〜5回/日

尿量:少量ずつ、やや濃縮尿

排便:2〜3日に1回、少量の軟便

腹部膨満なし

BUN 18mg/dL、Cre 0.7mg/dL(腎機能正常)

水分摂取量少ない

アセスメントの要点

現在おむつを使用しており、排泄は全介助です。

尿量は少量ずつで濃縮尿であり、水分摂取量の不足を示唆しています。

排便は2〜3日に1回と頻度が少なく、便秘傾向です。

水分摂取量の不足と活動量の低下が便秘の主な原因と考えられます。

腎機能は正常範囲内であり、腎機能障害は見られていません。

終末期であることを考慮すると、排泄の快適性を保つことが重要です。

便秘による腹部不快感は苦痛となるため、適切な排便コントロールが必要です。

活動-運動パターン

主観的データ(S情報)

家族:ほとんどベッドで寝ています

家族:自分では動けません

家族:体位変換は私たちがやっています

家族:床ずれができないか心配です

客観的データ(O情報)

ADL全介助

ほぼ終日臥床

自発的な体動ほとんどなし

寝返り不可

四肢の筋力著しく低下

関節拘縮なし

体位変換:2時間ごと実施(家族と訪問看護)

褥瘡なし(現時点)

座位保持困難

呼吸:浅く静か、12〜14回/分

アセスメントの要点

認知症の進行と全身状態の悪化により、ADLは全介助です。

ほぼ終日臥床しており、自発的な体動はほとんどありません。

長時間の臥床により、褥瘡発生のリスクが非常に高い状態です。

現在、家族と訪問看護により2時間ごとの体位変換が実施されており、褥瘡は発生していません。

しかし、著しいやせと低栄養状態により、皮膚が非常に脆弱になっています。

骨突出部への圧迫が持続すると、容易に褥瘡が発生する可能性があります。

筋力の著しい低下がありますが、関節拘縮は見られていません。

終末期であることを考慮すると、苦痛を与えない範囲での体位変換の継続が重要です。

睡眠-休息パターン

主観的データ(S情報)

家族:ほとんど眠っているように見えます

家族:時々目を開けますが、すぐ閉じます

家族:夜も静かに寝ています

客観的データ(O情報)

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傾眠傾向、ほぼ終日閉眼

呼びかけで開眼するが、すぐ閉眼

昼夜の区別なく傾眠状態

夜間も静かに臥床

苦痛の表情なし

呼吸は静かで安定

アセスメントの要点

ほぼ終日傾眠状態であり、意識レベルの低下が見られます。

呼びかけで開眼することから、完全な意識消失ではありません。

昼夜の区別が曖昧になっていますが、これは終末期の自然な経過と考えられます。

苦痛の表情はなく、呼吸も静かで安定していることから、安楽な状態と推測されます。

過度な刺激を避け、安楽に休息できる環境を整えることが重要です。

認知-知覚パターン

主観的データ(S情報)

家族:もう話すことはできません

家族:苦しそうにしていないか心配です

家族:痛みがあっても言えないので

客観的データ(O情報)

アルツハイマー型認知症、末期

意思疎通困難

発語なし

呼びかけで開眼するが、反応乏しい

表情の変化乏しい

苦痛の表情なし

四肢の緊張なし

呼吸:静かで安定

脈拍:規則的

アセスメントの要点

認知症が進行し、意思疎通が困難な状態です。

発語がなく、自分の思いや苦痛を言葉で表現することができません。

したがって、表情、呼吸、脈拍、四肢の緊張など、非言語的なサインから苦痛の有無を判断する必要があります。

現在、苦痛の表情や四肢の緊張は見られず、呼吸も静かで安定していることから、明らかな苦痛はないと推測されます。

しかし、継続的な観察が必要であり、わずかな変化も見逃さないことが重要です。

家族は本人が苦痛を訴えられないことに不安を感じています。

自己知覚-自己概念パターン

主観的データ(S情報)

家族:母は家族のことを一番に考える人でした

家族:庭仕事が好きで、いつも花を育てていました

家族:家で過ごしたいと言っていたので

家族:母らしく、穏やかに過ごしてほしいです

客観的データ(O情報)

以前は家族思いで、庭仕事を趣味としていた

自室に庭で撮影された笑顔の写真が飾ってある

在宅療養を選択(本人の以前からの希望)

現在は意思表示困難

表情の変化乏しい

アセスメントの要点

F氏は以前、家族思いで庭仕事を楽しむ穏やかな性格でした。

現在は意思表示が困難ですが、以前から「家で過ごしたい」という希望を持っていました。

家族はその希望を尊重し、在宅療養を選択しています。

本人らしい穏やかな最期を迎えられるよう、環境を整えることが重要です。

役割-関係パターン

主観的データ(S情報)

家族:母は私たち家族のことを一番に思ってくれました

家族:できる限りのことをしてあげたいです

家族:兄も時々様子を見に来てくれます

家族:介護は大変ですが、母のためなら頑張れます

客観的データ(O情報)

次男夫婦(65歳)と同居、主介護者

長男は隣町在住、週1回程度訪問

要介護5

訪問看護週2回利用

家族は介護に意欲的

次男は体位変換時に腰痛を訴えることあり

次男の妻は日中ほぼ付きっきりでケア

アセスメントの要点

次男夫婦が主介護者であり、介護に対して非常に意欲的です。

長男も週1回程度訪問し、サポートしています。

しかし、次男夫婦も65歳と高齢であり、要介護5の介護は身体的負担が大きいです。

次男は体位変換時に腰痛を訴えており、介護方法の指導が必要です。

次男の妻は日中ほぼ付きっきりでケアしており、休息が十分に取れていない可能性があります。

介護負担が過度になると、介護者自身の健康を損なうリスクがあります。

訪問看護などの社会資源を活用しながら、介護者の負担を軽減する必要があります。

セクシュアリティ-生殖パターン

主観的データ(S情報)

特記すべき訴えなし

客観的データ(O情報)

91歳女性

特記すべき問題なし

アセスメントの要点

セクシュアリティに関する特別な問題は見られていません。

現時点で看護問題はありません。

コーピング-ストレス耐性パターン

主観的データ(S情報)

家族:母が苦しまないか心配です

家族:これで良いのか不安になることもあります

家族:でも、母の希望を叶えたいです

家族:看護師さんに相談できて心強いです

客観的データ(O情報)

家族は終末期であることを理解

在宅での看取りを選択

介護に意欲的だが、不安も表出

訪問看護師に相談できる関係

長男のサポートあり

アセスメントの要点

家族は終末期であることを理解し、在宅での看取りを選択しました。

介護に意欲的ですが、本人が苦しまないか、対応が適切かなど、不安も抱えています。

訪問看護師に相談できることで、不安が軽減されています。

長男のサポートもあり、家族で支え合う体制ができています。

今後も継続的に家族の不安に耳を傾け、支援していく必要があります。

価値-信念パターン

主観的データ(S情報)

家族:母は家族と家を大切にしていました

家族:最期まで家で過ごさせてあげたいです

家族:母らしく、穏やかに過ごしてほしいです

家族:無理な延命はしない方針です

客観的データ(O情報)

家族と家を大切にする価値観

在宅療養を選択

胃瘻や延命処置を希望しない

自然な経過を見守る方針

本人の希望を尊重

アセスメントの要点

F氏は家族と家を大切にする価値観を持っていました。

家族はその価値観を尊重し、在宅での看取りを選択しています。

胃瘻や延命処置を希望せず、自然な経過を見守る方針です。

本人らしい穏やかな最期を迎えられるよう、支援することが重要です。

看護問題の優先順位と看護計画の立案

ゴードンの11パターンでアセスメントを行った結果、以下の看護問題が抽出されます。

優先度の高い看護問題

嚥下機能低下に関連した誤嚥リスク状態

著しいやせと長時間臥床に関連した皮膚統合性障害リスク状態

介護負担増大に関連した介護者役割緊張リスク状態

看護目標の例

誤嚥性肺炎を発症せず、安楽に過ごすことができる

褥瘡を発生せず、皮膚の統合性が保たれる

家族が適切な介護方法を習得し、過度な負担なく介護を継続できる

看護計画(OP・TP・EP)の例

OP:呼吸状態、SpO2、咳嗽の有無、咽頭部のゴロゴロ音、体温、皮膚の状態、褥瘡の有無、骨突出部の観察、栄養状態、家族の介護状況、家族の疲労度、苦痛の表情の有無の観察

TP:適切な体位での食事介助、誤嚥予防の工夫、口腔ケアの実施、2時間ごとの体位変換、褥瘡予防のための除圧、皮膚の保湿、安楽な体位の工夫、家族の介護負担軽減の支援

EP:誤嚥予防の食事介助方法の指導、体位変換の方法の指導、褥瘡予防のケア方法の指導、終末期の経過についての説明、家族の不安への傾聴と支援、社会資源活用の提案

まとめ|認知症看護過程のポイント

認知症患者の看護過程をゴードンで展開する際は、認知機能の状態だけでなく、ADL、栄養状態、家族の介護負担を総合的にアセスメントすることが重要です。

特に終末期の認知症患者では、意思疎通が困難であるため、非言語的なサインから苦痛の有無を判断する観察力が求められます。

本事例のF氏のように、在宅で看取りを選択した場合、家族の介護負担が大きくなるため、適切な介護方法の指導と精神的支援が不可欠です。

看護学生の皆さんは、このような架空事例を参考にしながら、実際の患者さんの個別性と家族の思いを大切にした看護過程を展開してください。

認知症看護は患者本人だけでなく、家族も含めた全人的なケアが必要であり、本人らしい穏やかな最期を支援することが看護の重要な役割となります。

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