はじめに:看護学生時代に藁にもすがる思いで買った参考書
看護学生だった私が成人看護学実習を2週間後に控えた頃、先輩から実習記録の過酷さを聞かされて戦々恐々としていました。
特に看護過程の展開は難しいと言われ、少しでも参考になる本をと必死で探していたんです。
そんな時、Amazonで高評価を獲得していた『基礎と臨床がつながる疾患別看護過程』を発見しました。
レビューには分かりやすいという声や実習で役立ったという評価が並んでいて、これなら大丈夫だと安心したのを覚えています。
4,730円という金額は学生の私には決して安くありませんでしたが、実習を乗り切るためなら仕方ないと購入を決意しました。
でも、実際に実習記録を書き始めたとき、この本だけでは全く太刀打ちできないことに気づいて愕然としたのです。
結局ほとんど使えなかったという苦い経験は、今でも鮮明に覚えています。
この本の本当に良かったところ
まず誤解のないように言っておきますが、この本自体は決して悪い参考書ではありません。
むしろ、看護過程の入門書としては非常に優れていると思います。
マンガで患者さんとの会話が描かれているので、臨床のイメージがつかみやすい点は本当に素晴らしかったです。
文字だけの教科書とは違い、患者さんの表情や看護師との関わりが視覚的に理解できました。
24疾患もカバーしているので、自分の受け持ち患者さんに近い事例を見つけることもできました。
脳出血、心不全、糖尿病、肺がんなど、実習で受け持つことの多い疾患が網羅されているのは心強かったです。
看護過程の大まかな流れを理解するという意味では、確かに役立つ一冊だと思います。
情報収集からアセスメント、看護問題の抽出、計画立案という一連の流れが分かりやすく示されていました。
初学者が看護過程とは何かを知るための入門書としては本当に優秀です。
病態生理の基本的な解説もあり、疾患理解の助けになりました。
認定看護師を中心とした執筆陣による解説も、臨床的な視点が含まれていて勉強になります。
特に情報収集の視点が具体的に示されているのは良かったです。
どんな項目を観察すればいいのか、何を患者さんに聞けばいいのか、その基本が学べました。
試験勉強や事前学習の際には、この本を何度も読み返して理解を深めました。
しかし実習で使ってみて気づいた深刻すぎる問題点
ところが、いざ実習が始まって記録を書こうとすると、次々と問題が浮かび上がってきたのです。
学校のフォーマットと書き方が全く違う
最大の問題がこれです。
各看護学校や病院には、独自の記録用紙と記載方法があります。
この本はゴードンの機能的健康パターンで展開されていますが、私の学校はヘンダーソンの14項目でした。
枠組みが違うだけで、情報収集の視点もアセスメントの書き方も全く使えません。
ゴードンとヘンダーソンでは、そもそも看護の捉え方が根本的に異なるのです。
ゴードンは健康知覚や活動・運動など11のパターンで人間を捉えますが、ヘンダーソンは呼吸や食事など14の基本的欲求で捉えます。
この違いは単なる項目名の違いではなく、看護をどう考えるかという哲学の違いなんです。
また、SOAPの書き方や看護計画の記載様式も学校独自のルールがあり、本の通りに書いても指導者から修正を求められました。
記録用紙の項目数も、本と学校では全然違っていて、どこに何を書けばいいのか分からなくなりました。
実習初日に指導者から記録用紙を渡された時、本とのあまりの違いに呆然としたことを今でも覚えています。
先生が求めるアセスメントの文字数に全く足りない
本に書かれているアセスメントは、あくまで概要レベル。
実習記録で求められる詳細さとは、雲泥の差があります。
本では1つのアセスメント項目が3〜5行程度で済まされていますが、私の学校では最低でも15〜20行、場合によっては1ページ以上書くことを求められました。
たとえば、本では患者さんの発言から看護問題を導き出すまでの思考過程が2〜3行で済まされていますが、実際の記録では根拠となる文献や病態生理との関連を詳しく記述する必要があったのです。
情報収集シートも簡潔にまとめられているだけで、実習で求められる細かな観察項目や患者さんの生活背景まではカバーされていません。
患者さんの一言一句を記録し、その背景にある心理状態や生活習慣まで考察する必要がありました。
検査データの正常値が書かれていない致命的な欠陥
これは本当に困りました。
本には患者さんの検査データが提示されていますが、正常値の記載がほとんどないのです。
実習記録では、検査データを記載する際に必ず正常値を併記し、異常値には下線を引くルールがありました。
しかし本には、例えばHbが10.2g/dLと書かれているだけで、正常値が12〜16g/dLであることが書かれていないのです。
そのため、結局は別の資料で正常値を調べなければならず、この本だけでは対応できませんでした。
検査データの解釈も表面的で、なぜその数値が異常なのか、患者さんの病態とどう関連するのかまでは説明されていないのです。
貧血があるというだけでなく、なぜこの疾患で貧血が起こるのか、その機序まで説明する必要がありました。
アセスメントにエビデンスが薄すぎる
本書のアセスメントを読んでいて感じたのは、根拠となるエビデンスの弱さです。
実習記録では、なぜそう判断したのかという根拠を明確に示す必要があります。
文献からの引用や、ガイドラインの記載、研究結果など、客観的なエビデンスに基づいたアセスメントが求められました。
しかし本のアセスメントは、筆者の経験や一般論に基づいているように見え、どの文献を参照したのかが不明確でした。
私は実習指導者から、アセスメントには必ず文献を引用するよう厳しく指導されました。
なぜこの観察結果からこの解釈に至ったのか、その根拠となる論文や教科書のページ数まで記載する必要があったのです。
結局、医学書院の系統看護学講座や、各種ガイドライン、看護研究の論文などを読み漁ることになりました。
看護理論が全く使われていない
実習で驚いたのが、看護理論を用いたアセスメントが必須だったことです。
オレムのセルフケア理論、ロイの適応モデル、ペプロウの人間関係論など、看護理論を用いて患者さんを理解することが求められました。
しかし本書では、こうした看護理論にほとんど触れられていません。
理論的枠組みのないアセスメントは、単なる観察記録に過ぎないと指導者から厳しく指摘されました。
患者さんの行動を理論に照らし合わせて解釈し、看護介入の根拠とする必要があったのです。
この部分は、この本だけでは全く対応できませんでした。
PESが書かれていない
看護診断の基本であるPES形式についても、本書では十分に説明されていません。
PESとは、Problem、Etiology、Symptomsの略で、看護問題を構造化して記述する方法です。
例えば、活動耐性低下に関連した呼吸困難や倦怠感といった書き方です。
私の学校では、看護問題は必ずPES形式で記載することが求められました。
しかし本の事例では、PES形式が明確に示されておらず、どう書けばいいのか分かりませんでした。
関連因子と症状・徴候を明確に区別して記述する必要があるのですが、その書き方が本からは学べなかったのです。
教科書からの抜粋が必要な一般論がない
実習記録では、疾患の一般的な知識を教科書から引用して記載することが求められました。
例えば、糖尿病とはどういう疾患か、その定義、分類、疫学、病態生理、治療法などを教科書から抜粋して記載する必要がありました。
しかし本書は、こうした一般論よりも、事例に特化した内容になっています。
そのため、疾患の基本的な知識は別の教科書で調べる必要がありました。
実習記録の最初のページには必ず疾患概要を記載する欄があり、ここを埋めるだけでも膨大な時間がかかったのです。
病態関連図も、本のものをそのまま使うことはできず、教科書を参考に自分で作成する必要がありました。
看護計画の具体性が全く足りない
本に載っている看護計画も、学生の私には抽象的すぎました。
実習では、いつ・誰が・何を・どのように実施するのかを明確に記載する必要があります。
観察項目だけでなく、観察の頻度、時間帯、正常・異常の判断基準、異常時の対応まで求められました。
例えば、バイタルサインの観察という項目があっても、朝7時・昼12時・夕方5時に測定、体温37.5度以上で医師に報告、といった具体性が必要でした。
しかし本の事例では、そこまでの具体性はありませんでした。
ケア計画も一般的な内容にとどまっていて、受け持ち患者さんの個別性を反映した計画立案の参考にはなりにくかったです。
一般論では全く評価されず、あなたの患者さんだからこその計画が求められるのです。
看護問題の優先順位づけの根拠が浅すぎる
本では看護問題の優先順位について触れられていますが、その根拠が十分に説明されていません。
実習では、なぜこの順位なのかを論理的に説明できなければ評価されません。
マズローの欲求階層説を用いて、生理的欲求が最優先であることを説明したり、緊急度・重要度のマトリクスを用いて優先順位を決定したり、理論的根拠を示す必要がありました。
この本だけでは、そこまでの深い理解には到達できないのです。
なぜこの看護問題が最優先なのか、患者さんの生命や生活にどう影響するのか、そういった視点が欠けているんです。
私は優先順位づけだけで何時間も悩み、指導者に何度も質問しました。
なぜ市販の参考書では実習記録が書けないのか
実習を経験して、私は一つの真実に気づきました。
看護過程の記録に、全国共通の正解はありません。
各看護学校には独自の教育方針があり、それに基づいた記録用紙と評価基準が存在します。
病院のラダー研修でも同様で、各施設が求める看護過程のレベルは大きく異なります。
市販の参考書は、あくまで一般的な看護過程の流れを示しているだけ。
あなたの学校の教員が求める記載内容、あなたの実習先の指導者が重視するポイントには対応していないのです。
だからこそ、4,730円もする本を買っても、結局は使えずに積読になってしまうケースが後を絶ちません。
同じ疾患でも、学校によって展開の仕方が全く違うということを、私は実習で痛感しました。
ある学校では簡潔な記録が好まれ、別の学校では詳細な記録が求められる。
この違いを、市販の参考書は埋めることができないのです。
学生時代の私が本当に必要としていたもの
私自身、この本だけでは不安で、結局は先輩に相談したり、指導教員に何度も添削してもらったりしました。
でも、先輩も実習や国試勉強で忙しいし、教員からの指摘は厳しくて心が折れそうになることも。
記録を書くのに毎晩深夜2時3時までかかり、睡眠時間は3時間程度。
心身ともに疲弊していく中で、もっと効率的な方法はないのかと悩んでいました。
卒業してから知って本当に悔しかったのが、個別対応型の看護過程支援サービスの存在です。
後輩たちがこのサービスを使っていると聞いて、学生時代の私にも教えてほしかったと心から思いました。
このサービスの何が素晴らしいかというと、あなたの学校専用のフォーマットに合わせて、実習記録の書き方を具体的にアドバイスしてくれる点です。
ヘンダーソンでもゴードンでも、どちらの枠組みにも対応しています。
情報収集からアセスメント、看護計画、実施・評価まで、一貫してサポートしてもらえます。
何より、あなたの受け持ち患者さんの状況に応じた、オーダーメイドの支援が受けられるのです。
市販の参考書では絶対に得られない、実践的で即戦力になるアドバイスがここにはあります。
学校独自の評価基準を熟知したサポートなので、指導者から高評価をもらえる記録が書けるようになります。
検査データの正常値の記載方法から、エビデンスに基づいたアセスメント、PES形式での看護問題の記述、病態関連図の作成、看護問題の抽出と優先順位づけまで、トータルでサポートしてもらえるのです。
看護理論を用いたアセスメントの書き方も教えてもらえます。
教科書からの適切な引用方法や、文献の探し方まで、実習で本当に必要なスキルが身につきます。
まとめ:学生時代の私から後輩看護学生へ
看護過程の参考書は、入門として読んだり試験勉強に使うには本当に良い教材です。
この『基礎と臨床がつながる疾患別看護過程』も、看護過程の基本を学ぶには優れた一冊だと思います。
しかし、実習記録を完成させるには明らかに不足しているのです。
4,730円の本を買って結局使えなかったという私と同じ失敗をしてほしくありません。
あなたの学校、あなたの実習先、あなたの患者さんに合わせた看護過程を一緒に作り上げていく。
そんな伴走型のサポートこそが、実習を成功させる最短ルートだと、卒業した今だからこそ断言できます。
参考書では解決できない悩みを抱えているなら、今すぐ個別サポートの利用を検討してみてください。
実習で評価される記録が書けるようになり、自信を持って患者さんと向き合えるようになります。
記録に追われて睡眠不足になり、患者さんとの関わりが疎かになる前に、効率的な学び方を選択することが大切です。
学生時代の私が一番欲しかったのは、参考書ではなく、私の学校の記録用紙に合わせた具体的なアドバイスだったのです。
あなたには、私のような遠回りをしてほしくありません。







