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ゴードンの考えによる看護の展開

脳梗塞患者のゴードンアセスメント完全ガイド:看護過程における実践的評価方法と事例解説

この記事は約10分で読めます。

脳梗塞患者さまの看護において、ゴードンの11項目機能的健康パターンを用いたアセスメントは非常に重要です。

脳梗塞は突然発症し、片麻痺や言語障害など多様な症状を引き起こすため、包括的な評価が不可欠です。

本記事では、実際の症例を基に、脳梗塞患者さまに対するゴードン11項目アセスメントの具体的な書き方を詳しく解説します。

看護学生の方から臨床現場の看護師まで、すぐに実践できる内容となっています。

アセスメントの視点や情報の解釈方法、看護問題の抽出プロセスまで、実例を交えながら分かりやすく説明します。

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脳梗塞患者のアセスメントの特徴

脳梗塞は脳の動脈が閉塞し、血液供給が停止することで脳組織が壊死する疾患です。

突然の発症により、患者さまとそのご家族は大きな不安を抱えます。

症状は片麻痺、言語障害、視野欠損、めまい、意識障害など多岐にわたります。

症状の程度は個人差が大きく、後遺症が残ることも少なくありません。

そのため、身体的側面だけでなく、心理社会的側面も含めた全人的なアセスメントが求められます。

ゴードンの11項目を用いることで、漏れなく系統的に患者さまの状態を評価できます。

症例紹介:A氏の基本情報

今回は75歳女性のA氏を例に解説します。

主訴は左半身麻痺で、アテローム血栓性脳梗塞と診断されました。

夫75歳との二人暮らしで、娘43歳は徒歩15分の場所に居住しています。

入院前は主婦として家事一切を自分で行っていました。

入院14日目の時点で、回復リハビリテーション病棟に転棟しています。

健康知覚-健康管理パターン

このパターンでは、患者さまの健康に対する認識と管理状況を評価します。

A氏は突然左半身に力が入らなくなり、夫が救急車を呼び病院に搬送されました。

起きたら身体に力が入らなくなっていたという突然の発症でした。

2年前に高血圧を指摘されてから、定期的に健康診断を受けていました。

タバコやアルコールの摂取はなく、高血圧診断後は減塩を心がけていました。

以前は味の濃い食事を好んでいましたが、診断後は健康管理への意識が向上しています。

入院後は減塩食を摂取しており、退院後も継続する必要があります。

高血圧は頭蓋内出血や再梗塞のリスクを高めるため、血圧管理が重要です。

人に迷惑をかけたくないという意識から、介助を遠慮しやすい傾向があります。

これが転倒や転落のリスクを増す可能性があるため、スタッフへの依頼を促す必要があります。

看護問題:転倒転落リスク状態

関連因子として、左半身麻痺、筋力低下、バランス喪失、介助を遠慮する傾向があります。

高血圧によるめまいやリハビリテーションによる疲労も要因です。

栄養-代謝パターン

栄養状態と代謝機能を詳しく評価します。

身長158cm、体重45kgで、BMIは18.0から18.4と算出されます。

基準値18.5から24.9より低く、やせの状態にあります。

血清総蛋白は6.2から6.4g/dlで正常範囲よりやや低値です。

アルブミンは3.9g/dlと正常範囲の下限に近い値です。

入院後は減塩食を毎食8割程度摂取しています。

嚥下機能検査では特に問題は認められていません。

食事は配膳後、スプーンで自力摂取できています。

水分摂取量は1日1200から1500mlで、適切な範囲を維持しています。

高齢者では口渇中枢の機能が低下するため、口渇を訴えない場合も多いです。

水分摂取不足は血液の粘性を高め、再梗塞の要因となるため注意が必要です。

高齢者に見られる皮膚の萎縮や皮下脂肪の減少により、皮膚弾力性が低下しています。

オムツ着用により尿や汗による湿潤環境が生じています。

仙骨部に骨の突出があり、褥瘡発生のリスクが高い状態です。

看護問題:皮膚統合性障害リスク状態

加齢による皮膚の萎縮、オムツ使用による湿潤環境、低体重、骨突出が関連因子です。

排泄パターン

排尿と排便の状況を詳細に評価します。

1日の排尿回数は入院前後ともに5回から6回で正常範囲内です。

血液検査データでは、BUNとクレアチニンともに正常範囲内で、腎機能に問題はありません。

昼間は車いすトイレで排尿排便できることもありますが、大部分は失禁しています。

そのため、オムツを着用せざるを得ない状況です。

脳梗塞による左片麻痺により、トイレへの移動や便座に座るまでに時間がかかります。

特に夜間は暗闇の中での移動となり、安定した動作が困難です。

人に迷惑をかけたくないという思いから、排泄の介助を医療者に依頼できません。

これが失禁を助長している要因と考えられます。

失禁はA氏の自尊心を低下させる可能性があります。

昼間のトイレ移乗介助や下肢筋力の強化が必要です。

尿意を感じた際は、気兼ねなくスタッフへ介助要請するよう説明することが重要です。

排便も1日1回と正常範囲ですが、活動量低下により便秘傾向となる可能性があります。

看護問題:排尿障害

脳梗塞、左片麻痺によるADL低下、介助依頼の困難が関連因子です。

活動-運動パターン

日常生活活動能力と運動機能を総合的に評価します。

入院前はADLが完全に自立していました。

入院時、右上下肢は指示動作に応じることができましたが、左上下肢の麻痺を認めました。

左上下肢の触覚は鈍く、知覚障害があります。

左上肢の肘関節に拘縮が見られますが、左下肢に関節拘縮はありません。

血圧は140/82mmHgと若干高めですが、脳梗塞急性期においては適切な範囲です。

日中はリハビリ時や食後1から2時間、車いすに座って過ごしています。

初めは疲労感があり早くベッドに戻りたいとの訴えがありました。

現在はデイルームでテレビを見て、患者さま同士で会話をして過ごしています。

理学療法士によるリハビリでは、筋力増強訓練、各関節可動訓練、座位立位バランス保持訓練を中心に行っています。

寝返りや起き上がり動作の訓練は介助が必要です。

ベッド上では自力で身体の向きを変えることはできません。

端座位、立位バランスが不安定なため、車いす移乗は全面介助です。

車いすの駆動は右半身を使用して移動可能です。

リハビリ後、病棟に戻ると疲れたと言って動きたがらないことがあります。

徒手筋力テストでは、左側の全ての関節の筋力が低く1/5または2/5です。

右側の全ての関節は完全に機能しており5/5です。

脳梗塞の後遺症として脳血流量の低下が生じ、再梗塞や頭蓋内出血のリスクがあります。

リハビリテーションにより活動量が増加すると循環状態に変動が生じます。

血圧管理には特別な注意が必要で、薬の服用状況を定期的に確認します。

入院後の安静状態は活動量の低下を招き、廃用症候群の発生が懸念されます。

早期離床を進め、廃用症候群の予防が必要です。

A氏はリハビリの効果を期待し、前向きな意欲を見せています。

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人に迷惑をかけたくないという自立性の高さは、セルフケア行動を進める上で強い利点です。

看護問題:身体可動性障害

脳梗塞の後遺症による左片麻痺、左上肢の肘関節拘縮、高齢が関連因子です。

セルフケア能力の低下や疲労による活動意欲の低下が徴候として現れています。

睡眠-休息パターン

睡眠の質と休息の状況を評価します。

入院前は22時過ぎに就寝し、朝6時頃に覚醒する健全な睡眠パターンでした。

約8時間の睡眠時間を確保していたと推定できます。

入院後も22時に就寝し、良好な熟睡感を得ています。

睡眠薬の使用はなく、自然な状態で睡眠が維持されています。

夜間に看護師が体位変換を行うことで、深い睡眠が何度か中断されている可能性があります。

骨突出と栄養状態の低下があり、体位変換の必要性から避けられません。

この中断が睡眠の質にどれ程影響しているか、詳細な観察と評価が必要です。

入院により友人との交流が困難になっています。

他者に迷惑をかけたくないA氏が、他者の介助に依存せざるを得ない状況です。

心理的ストレスが生じている可能性があり、睡眠への影響を評価する必要があります。

認知-知覚パターン

感覚機能と認知機能を詳細に評価します。

意識レベルはJCS0、GCS15点で意識障害は認められません。

入院時GCSは14点でしたが、翌日には15点に改善しています。

自分の名前と年齢をはっきりと答えることができています。

言語障害、視覚障害、聴覚障害は認められていません。

左半身麻痺の影響で触覚が鈍感になり、左側への感覚情報の処理に問題があります。

しかし、患側身体失認や患側空間失認などの認識障害の徴候は見受けられません。

医師からの説明を適切に理解し、リハビリへの積極的な意欲を示しています。

前のように家事ができるようになって退院したいという希望を述べています。

リハビリの必要性と目的を理解し、自身の回復に向けて積極的です。

75歳ですが、十分な理解力を有していると判断できます。

リハビリ後に疲れたと言って動きたがらないことがあります。

この疲労感は突然の左片麻痺によって身体バランスのとり方が分からないことで生じている可能性があります。

A氏の訴えを傾聴し、解決策を考え、リハビリへの意欲を維持できるよう関わる必要があります。

自己知覚-自己概念パターン

自分自身をどう捉えているか、自己イメージを評価します。

A氏は人に迷惑をかけたくないという強い自己概念を抱いています。

自分のことは自分でやるという信念を持っています。

アテローム血栓性脳梗塞による左半身麻痺という困難に直面しながらも、リハビリの効果を期待しています。

リハビリを通じて自力で家事ができるようになることを願っています。

早期の自立への願望と現在の制限された生活の間に葛藤が存在していると推測できます。

リハビリテーションによる改善を期待しつつも、現状を焦らないことが重要です。

前向きにリハビリテーションに取り組むことの重要性を説明する必要があります。

A氏の自己概念と価値観、自尊心を尊重し、やる気を失わせないよう関わることが大切です。

役割-関係パターン

社会的役割と人間関係を評価します。

夫75歳、娘43歳で、娘は徒歩15分のところに住んでいます。

夫は60歳で退職し、現在は週2日仕事をしています。

経済的な問題はなく、キーパーソンは夫です。

主婦として家事一切を行っていましたが、現在は左片麻痺により困難です。

退院後の自宅生活において、自分自身での家事再開を望んでいます。

現状では日常生活動作の多くに介助が必要で、失禁の問題もあります。

退院後に自宅に戻っても、左片麻痺の残存から住宅改修や介護の必要性は避けられません。

夫は毎日面会に訪れ、介護への協力体制があります。

娘も徒歩圏内に住んでおり、必要に応じて支援が可能です。

しかし、夫も75歳と高齢で、今後の介護に対する緊張があります。

多少の介護は仕方がないと理解を示す一方で、ある程度は身の回りのことはできるようになって欲しいと期待しています。

夫はA氏の回復を期待する傍らで、自分ができるかどうか分からず不安を感じています。

看護問題:介護者役割緊張

今後増加する役割責任、介護に不慣れ、加齢による身体機能の低下が関連因子です。

コーピング-ストレス耐性パターン

ストレスへの対処方法と適応能力を評価します。

A氏はストレスはあまりたまらない方だと思うと述べています。

以前の生活では、友人とのお茶会を楽しんでおり、それがストレス対処法でした。

現在は入院生活により友人との交流が途絶えています。

左半身の麻痺によりセルフケアが難しい状況です。

以前のような生活が続けられないことが新たなストレスとなっている可能性があります。

入院による友人との交流の制限は、社会的孤立感を生じさせる可能性があります。

しかし、入院したことを友達が心配してくれるのはうれしいと発言しています。

友人との絆が一定の安心感や自己肯定感を提供していることがうかがえます。

現在は大きなストレスを感じている様子はありません。

今後入院が長期化すれば、生じてくるストレスが増えると予測できます。

必要に応じてA氏の訴えを傾聴し、ストレスの評価を行っていく必要があります。

価値-信念パターン

人生の価値観や信念を評価します。

リハビリを頑張って、前のように家事ができるようになって退院したいと希望しています。

他者に迷惑をかけたくないという意識が強く見られます。

自分のことは自分でやっていましたとの発言から、自立した生活を重視しています。

その維持に大きな価値を置いていることが分かります。

退院のためには自己管理とリハビリテーションへの積極的な取り組みが重要だと認識しています。

友人との社会的交流を楽しみとし、その存在を心強い支えとしています。

これらの価値観は、病状に対する対応やリハビリへの意欲、将来への希望に大きく影響しています。

今後入院が長期化すればA氏の価値観に揺らぎが生じる可能性があります。

リハビリテーションへの意欲低下などにつながるおそれがあります。

A氏の価値信念について今後も聴取し、生活に与える影響について評価する必要があります。

まとめ

脳梗塞患者さまのゴードンアセスメントは、包括的な患者理解の基盤となります。

身体的な麻痺や機能障害だけでなく、心理社会的側面も含めた全人的な評価が重要です。

11項目それぞれを丁寧に評価することで、個別性のある看護問題を抽出できます。

患者さまの発言や行動から、価値観や信念、生活背景を読み取ることが大切です。

抽出された看護問題に対して、優先順位を考慮しながら看護計画を立案します。

本記事で紹介した実例を参考に、患者さまに合わせたアセスメントを実践してください。

継続的な評価と計画の見直しにより、質の高い看護を提供していきましょう。

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