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ゴードンの考えによる看護の展開

COPD患者の看護:ゴードン11項目によるアセスメントと看護過程の実践

この記事は約7分で読めます。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)は進行性の疾患で、患者の生活全般にわたって影響を与える複雑な病態です。

今回は76歳女性のCOPD患者を事例に、ゴードン11項目を用いたアセスメント方法と包括的な看護過程について詳しく解説していきます。

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COPDの病態生理と看護の重要性

COPDは主に有害物質の長期吸入により引き起こされる不可逆的な気流制限を特徴とする疾患です。

肺の炎症と破壊により、末梢気道の狭窄、肺胞の破壊、ガス交換機能の障害が生じます。

疾患は進行性で、初期は無症状のまま経過し、症状が現れた時には既に相当な肺機能低下が生じています。

全身性炎症、栄養障害、筋力低下、心血管疾患、抑うつなどの併存症も高頻度で認められ、包括的なアプローチが必要です。

事例紹介:A氏の病歴と現状

今回検討する事例は、76歳女性のA氏です。

COPD病期V、在宅酸素療法中で、要介護2の認定を受けています。

20歳時の結核、41歳時の気管支喘息、夫の喫煙による受動喫煙が発症要因として考えられます。

現在は息子夫婦と同居していますが、以前の一人暮らしから環境変化によるストレスを抱えています。

表情は落ち込み気味で、デイサービス参加を拒否し、社会的な孤立傾向が見られます。

ゴードン11項目による包括的アセスメント

マージョリー・ゴードンの機能的健康パターンは、COPD患者の複雑な病態と生活への影響を体系的に評価するための有効なフレームワークです。

健康知覚-健康管理パターン

A氏の疾患に対する理解と健康管理行動の評価が重要です。

在宅酸素療法の効果を実感しており、SpO2測定も記録していることから、基本的な疾患管理は良好です。

しかし、機械操作への不安や昼食後の服薬忘れが時々見られ、安全で確実な自己管理への支援が必要です。

昼食を抜くことがあるという発言は、疾患による食欲低下と活動量減少の影響を示しています。

家族への感謝を示しながらも故郷を懐かしむ発言は、現在の生活への適応困難を表しています。

栄養-代謝パターン

COPD患者特有の栄養問題への包括的アプローチが必要です。

A氏は昼食を摂らないことがあり、その理由として活動量低下による食欲不振と満腹感による呼吸困難の増悪を挙げています。

COPD患者は呼吸仕事量の増加により基礎代謝が亢進する一方、食事摂取困難により低栄養状態に陥りやすい特徴があります。

少量頻回摂取、高カロリー食品の活用、食事環境の改善などの栄養介入が重要です。

水分摂取状況も評価し、痰の排出促進と適切な水分バランス維持を図る必要があります。

排泄パターン

活動量低下と薬物療法による排泄機能への影響を評価します。

COPD患者は活動量減少により便秘になりやすく、排便時の努責は呼吸困難を増悪させる可能性があります。

利尿剤や気管支拡張薬の副作用による排尿パターンの変化にも注意が必要です。

適切な水分摂取、可能な範囲での活動促進、必要に応じた緩下剤の使用を検討します。

活動-運動パターン

呼吸機能低下による活動耐性の評価が重要な項目です。

A氏は大半の時間をソファーで過ごし、テレビ観賞が主な活動となっています。

活動量の著しい低下は筋力低下、廃用症候群、心肺機能のさらなる低下を招く悪循環を形成します。

息切れのない範囲での適度な運動の継続、日常生活動作の維持、段階的な活動量増加が必要です。

呼吸法の指導と組み合わせた運動療法の導入も効果的です。

睡眠-休息パターン

呼吸困難による睡眠の質への影響を評価します。

COPD患者は夜間の呼吸困難、咳嗽、痰により睡眠が障害されやすい特徴があります。

適切な体位(起坐位、前傾側臥位)の工夫、寝室環境の調整、必要に応じた睡眠薬の検討を行います。

日中の過度な臥床は夜間睡眠に悪影響を与えるため、適度な活動との バランスが重要です。

認知-知覚パターン

慢性疾患による認知機能と疼痛への影響を評価します。

慢性的な低酸素血症は認知機能に影響を与える可能性があります。

A氏は機械操作に苦手意識を持っており、認知機能の評価と適切な指導方法の検討が必要です。

胸部の圧迫感や呼吸困難感などの身体的苦痛の程度も評価し、適切な症状緩和を図ります。

自己知覚-自己概念パターン

疾患による自尊心と役割変化への影響を評価します。

A氏の発言からは、現在の状況を受け入れつつも自己効力感の低下が感じられます。

故郷への思いと現在の生活との間で葛藤を抱えており、アイデンティティの再構築が必要です。

できることに焦点を当てた肯定的な関わりにより、自己価値感の向上を支援します。

役割-関係パターン

家族関係と社会的役割の変化に対する適応を評価します。

息子夫婦への感謝を示しながらも、依存的な関係に対する複雑な感情を抱いています。

以前の独立した生活から介護を受ける立場への変化は、役割喪失感をもたらしています。

家族内での新たな役割の発見と、可能な範囲での自立性の維持を支援します。

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デイサービス参加拒否は社会的孤立のリスクを高めるため、段階的な社会参加の促進が必要です。

セクシュアリティ-生殖パターン

夫との死別による心理的影響を考慮します。

慢性疾患と配偶者の死別は、親密性や女性としてのアイデンティティに影響を与える可能性があります。

この分野での支援は微妙な配慮が必要で、患者の価値観と準備性を尊重したアプローチが重要です。

コーピング-ストレス耐性パターン

環境変化と疾患進行に対するストレス対処能力を評価します。

A氏は故郷から息子宅への転居という大きな環境変化に直面しています。

話題によって会話が活発になることから、回想法や思い出の共有がストレス軽減に効果的と考えられます。

現在のストレス対処方法は主にテレビ観賞という受動的なものであり、より建設的な対処方法の開発が必要です。

価値-信念パターン

人生観と死に対する価値観の理解が重要です。

A氏の発言には人生の終末期に対する受容的な態度が見られます。

患者の価値観を尊重しながら、生きる意味や希望を見出せるよう支援します。

故郷や過去への愛着は、現在の生活に意味を見出すための重要な資源となり得ます。

看護診断と看護計画

主要な看護診断

非効果的呼吸パターン:気道閉塞と肺胞破壊に関連した呼吸機能障害。

活動耐性低下:慢性的な酸素化障害に関連した易疲労性。

栄養摂取不足:食欲不振と満腹感による呼吸困難に関連した栄養不良リスク。

社会的孤立:環境変化とデイサービス拒否に関連した社会参加の制限。

短期目標と長期目標

短期目標として、呼吸困難の軽減、栄養摂取の改善、安全な自己管理の確立を設定します。

長期目標として、QOLの向上、社会参加の促進、家族関係の改善を目指します。

個別性を重視し、患者の価値観と希望に沿った目標設定が重要です。

具体的な看護介入

呼吸ケア

効果的な呼吸法の指導と環境調整を実施します。

口すぼめ呼吸、腹式呼吸の練習により呼吸効率を改善します。

在宅酸素療法の適切な使用方法と機器管理について継続的に指導します。

栄養管理

摂食環境の改善と栄養価の高い食事の提案を行います。

少量頻回摂取のメリットを説明し、実践しやすい方法を具体的に示します。

息子夫婦と連携し、A氏の好みや食べやすさを考慮した食事計画を立案します。

活動促進

段階的な活動量増加と呼吸リハビリテーションを実施します。

室内でできる簡単な運動から開始し、徐々に活動範囲を拡大します。

息切れのない範囲での活動継続の重要性を説明し、動機づけを行います。

心理社会的支援

回想法を活用した心理的支援を提供します。

故郷の思い出や人生の振り返りを通じて、自己価値感の向上を図ります。

段階的なデイサービス参加に向けた準備と動機づけを行います。

家族支援と多職種連携

息子夫婦への支援

介護負担の軽減と適切なサポート方法について指導します。

A氏の病状理解と日常生活での注意点を説明します。

介護者の健康管理と休息の重要性についても配慮します。

多職種チームとの連携

医師、理学療法士、栄養士、ソーシャルワーカー等との連携により包括的支援を提供します。

定期的なカンファレンスにより情報共有と支援方針の統一を図ります。

継続看護と予後管理

定期的な評価と調整

呼吸機能、栄養状態、精神状態の継続的評価により適切な支援を提供します。

症状の変化に応じた治療調整と生活指導を実施します。

急性増悪時の対応

症状悪化時の早期発見と適切な初期対応について指導します。

緊急時の連絡体制を整備し、家族にも対応方法を説明します。

まとめ

COPD患者の看護において、ゴードン11項目を用いた包括的アセスメントは患者の全体像把握に極めて有効です。

疾患の進行性という特徴を踏まえ、身体的ケアだけでなく心理社会的支援を含めた全人的アプローチが重要です。

患者の価値観と生活背景を理解し、個別性に応じた看護計画を立案することで、QOLの向上と疾患との共存を支援できます。

家族支援と多職種連携により、患者が安心して療養生活を継続できる環境づくりが看護師の重要な役割です。

カンサポでは、COPD患者の複雑な看護過程について専門的な学習支援を提供しています。

ゴードン11項目の実践的活用方法や呼吸器疾患の看護について、経験豊富なスタッフが個別指導いたします。

理論と実践を結びつけた質の高い学習支援により、看護学生の皆様の理解を深め、実習や国家試験対策に役立つサポートをお届けしています。

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