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ゴードンの考えによる看護の展開

脳梗塞患者の看護過程をゴードンで展開する方法|70代男性の事例で徹底解説

この記事は約10分で読めます。

脳梗塞患者の看護過程作成に悩んでいる看護学生の皆さん、こんにちは。

ゴードンの11の機能的健康パターンを使った脳梗塞の看護過程は、麻痺の程度や合併症のリスク、リハビリテーションの進行状況など、多角的な視点でのアセスメントが求められるため、多くの学生が難しく感じるテーマです。

本記事では、右片麻痺を呈する70代男性の架空事例を用いて、ゴードンの各パターン別にアセスメントのポイントと看護問題の導き方を具体的に解説します。

この記事を読むことで、脳梗塞患者の全体像把握から看護計画立案までの流れが理解でき、実習記録作成の参考になるはずです。

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事例紹介|左中大脳動脈梗塞で右片麻痺を呈する70代男性

患者プロフィール

C氏、72歳男性、元会社員(退職済み)

診断名:左中大脳動脈領域の脳梗塞、高血圧症、脂質異常症

既往歴:高血圧症(10年前から内服治療中)

家族構成:妻(69歳)、長男夫婦と孫(車で30分の距離に在住)

入院の経緯

朝食後、突然右手が動かなくなり、呂律が回らなくなったため、妻が救急車を要請しました。

病院到着時、右上下肢の麻痺と軽度の構音障害が認められ、頭部MRIにて左中大脳動脈領域の脳梗塞と診断されました。

発症から4時間以内であったため、血栓溶解療法を施行し、現在は急性期治療を終えリハビリテーション目的で入院中です。

入院時データ(発症3日目)

身長168cm、体重72kg(BMI 25.5)

意識レベル:JCS 0、GCS 15点

血圧158/92mmHg、脈拍76回/分、体温36.7℃

右上肢MMT 2/5、右下肢MMT 3/5、左上下肢MMT 5/5

軽度の構音障害あり、嚥下機能は保たれている

検査データ

総コレステロール235mg/dL、LDL-C 155mg/dL

血糖値102mg/dL、HbA1c 5.8%

BUN 16mg/dL、Cre 0.9mg/dL

生活習慣

喫煙:40年前に禁煙

飲酒:晩酌にビール350ml/日

食事:妻が調理、塩分やや多め

運動:週2回の散歩(30分程度)

ゴードン11パターン別アセスメントのポイント

健康知覚-健康管理パターン

主観的データ(S情報)

突然手が動かなくなって、言葉も出にくくなった

高血圧の薬は毎日飲んでいたんだけどな

リハビリで良くなるんですよね

妻に迷惑をかけて申し訳ない

客観的データ(O情報)

10年前から高血圧で内服治療中

朝食後に突然発症、発症から4時間以内に来院

血栓溶解療法を施行済み

右上下肢に麻痺あり、軽度の構音障害あり

血圧158/92mmHgとやや高値

アセスメントの要点

C氏は10年間高血圧治療を継続していましたが、脳梗塞を発症しました。

服薬アドヒアランスは良好でしたが、食事の塩分が多めであったことや、脂質異常症の管理が不十分であった可能性があります。

現在は急性期治療を終え、右片麻痺と軽度の構音障害が残存している状態です。

リハビリテーションへの期待を示しており、回復への意欲は高いと考えられます。

妻への負担を気にする発言から、家族関係は良好であり、退院後のサポート体制も期待できます。

再発予防のため、血圧管理と脂質管理の徹底、生活習慣の改善が必要です。

栄養-代謝パターン

主観的データ(S情報)

食事は妻が作ってくれていました

味の濃いものが好きで、醤油をかけることが多かったです

病院の食事は薄味ですね

食欲はあります

客観的データ(O情報)

BMI 25.5とやや肥満傾向

総コレステロール235mg/dL、LDL-C 155mg/dL

入院後は減塩食(塩分6g/日)を提供

食事は全量摂取、自力で摂取可能だが右手使用困難

嚥下機能検査では問題なし

皮膚の状態は良好、浮腫なし

アセスメントの要点

やや肥満傾向にあり、脂質異常症も認められることから、長年の食生活が脳梗塞の危険因子となっていた可能性があります。

入院前は塩分の多い食事を好んでおり、これが高血圧の管理を困難にしていたと考えられます。

現在は嚥下機能に問題なく、食欲も良好で病院食を全量摂取できています。

右片麻痺により右手での食事摂取が困難ですが、左手を使用して自力摂取が可能です。

退院後も減塩食を継続する必要があるため、妻を含めた栄養指導が重要です。

脂質管理のため、コレステロールを多く含む食品の制限も必要です。

排泄パターン

主観的データ(S情報)

トイレに行きたいけど、うまく歩けなくて

尿意はちゃんとわかります

便通は普段から規則的でした

客観的データ(O情報)

排尿回数:6〜8回/日、夜間1回

排便:1回/日(普通便)

尿意・便意ともに保たれている

ポータブルトイレ使用、移乗に一部介助が必要

失禁なし

BUN 16mg/dL、Cre 0.9mg/dLと腎機能正常

アセスメントの要点

尿意・便意ともに保たれており、排泄機能そのものに問題はありません。

腎機能も正常範囲内であり、泌尿器系の合併症は見られていません。

しかし、右片麻痺によりトイレまでの移動や便座への移乗に困難があり、現在はポータブルトイレを使用しています。

移乗動作には一部介助が必要ですが、失禁は見られておらず、排泄のタイミングを適切に伝えることができています。

今後のリハビリテーションにより下肢筋力が改善すれば、トイレでの排泄が可能になると期待されます。

夜間の転倒リスクを考慮し、現時点ではポータブルトイレの使用継続が適切です。

活動-運動パターン

主観的データ(S情報)

右手も右足も力が入りにくいです

リハビリを頑張れば歩けるようになりますか

前は毎日のように散歩していたんです

早く歩けるようになりたい

客観的データ(O情報)

右上肢MMT 2/5、右下肢MMT 3/5

左上下肢MMT 5/5、筋力正常

ベッド上での寝返りは自力可能

起き上がりは柵を使用して自力可能

端座位保持可能だが、バランスやや不安定

立位・歩行は全介助、平行棒内で数歩可能

理学療法開始、1日2単位実施中

血圧158/92mmHg、脈拍76回/分

アセスメントの要点

右片麻痺により右上下肢の筋力低下が著明で、ADLに大きな制約があります。

しかし、左上下肢の筋力は正常であり、ベッド上での動作は比較的自立しています。

現在は立位・歩行に全介助が必要ですが、理学療法が開始されており、徐々に機能回復が期待できます。

リハビリテーションへの意欲が高く、早期の歩行獲得を希望しています。

血圧がやや高値であり、リハビリテーション中の血圧変動や過度な負荷による再発リスクに注意が必要です。

廃用症候群予防のため、早期離床と積極的なリハビリテーションの継続が重要です。

睡眠-休息パターン

主観的データ(S情報)

夜は眠れています

ポータブルトイレで夜中に1回起きます

リハビリの後は疲れますが、休めば大丈夫です

客観的データ(O情報)

就寝時刻:22時頃

起床時刻:6時頃

夜間排尿1回

睡眠薬の使用なし

日中の傾眠なし

アセスメントの要点

現在の睡眠パターンは比較的良好で、約8時間の睡眠時間が確保されています。

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夜間排尿は1回のみで、睡眠を大きく妨げるほどではありません。

睡眠薬を使用せず自然な睡眠が得られており、日中の傾眠も見られないことから、睡眠の質は保たれていると考えられます。

リハビリテーション後の疲労感はありますが、適度な休息により回復できています。

入院環境への適応も良好で、睡眠に関する大きな問題は見られていません。

認知-知覚パターン

主観的データ(S情報)

話しにくさはありますが、言いたいことは伝えられます

右手の感覚が少し鈍い気がします

視野は問題ありません

客観的データ(O情報)

意識レベル:JCS 0、GCS 15点

見当識良好、人・場所・時間の認識正確

軽度の構音障害あり、発語はゆっくりだが理解可能

言語理解良好、指示動作可能

右上肢に軽度の感覚鈍麻あり

視野欠損なし、複視なし

高次脳機能障害の明らかな徴候なし

アセスメントの要点

意識レベルは清明で、見当識も保たれています。

軽度の構音障害がありますが、コミュニケーションは可能であり、言語理解にも問題ありません。

右上肢に軽度の感覚鈍麻が見られますが、日常生活に大きな支障をきたすほどではありません。

視野欠損や複視などの視覚障害は認められていません。

高次脳機能障害の明らかな徴候はなく、認知機能は保たれています。

リハビリテーションの内容を理解し、積極的に取り組める認知能力があります。

自己知覚-自己概念パターン

主観的データ(S情報)

まさか自分が脳梗塞になるとは思わなかった

妻に迷惑をかけて申し訳ない

リハビリを頑張って、また散歩できるようになりたい

右手が使えないのが情けないです

客観的データ(O情報)

病状の理解良好

リハビリテーションに意欲的

妻への配慮を示す発言あり

右片麻痺に対する戸惑いの表現あり

アセスメントの要点

C氏は脳梗塞の発症を受け入れつつありますが、右片麻痺に対する戸惑いや情けなさを感じています。

妻への負担を気にする発言から、家族への配慮と自立への強い思いが伺えます。

リハビリテーションへの意欲が高く、回復への期待を持っていることは、自己効力感を維持する上で重要な強みです。

突然の発症により自己概念に揺らぎが生じている可能性がありますが、前向きな姿勢も示しています。

小さな改善を積み重ね、成功体験を得ることで自己効力感を高める支援が必要です。

役割-関係パターン

主観的データ(S情報)

妻には本当に世話になっています

息子夫婦も心配してくれています

早く家に帰りたいです

妻の負担を減らしたい

客観的データ(O情報)

妻(69歳)との2人暮らし

長男夫婦と孫は車で30分の距離に在住

妻は毎日面会に来ている

家族は協力的で、退院後のサポート体制あり

元会社員、退職後は趣味の園芸を楽しんでいた

アセスメントの要点

C氏は妻との良好な関係を築いており、家族のサポート体制も整っています。

妻は毎日面会に来ており、C氏の回復を支える重要な存在です。

退院後は妻が主な介護者となる可能性が高く、妻への介護指導が必要です。

長男夫婦も近隣に住んでおり、必要時のサポートが期待できます。

家族への負担を気にする発言があり、できるだけ自立したいという思いが強いです。

家族を含めた退院指導と、社会資源の活用についての検討が必要です。

セクシュアリティ-生殖パターン

主観的データ(S情報)

特記すべき訴えなし

客観的データ(O情報)

72歳男性

2児の父

特記すべき問題なし

アセスメントの要点

セクシュアリティに関する特別な問題は見られていません。

現時点で看護問題はありません。

コーピング-ストレス耐性パターン

主観的データ(S情報)

突然のことで戸惑っています

でも、リハビリを頑張るしかないですね

妻がいつも励ましてくれます

散歩ができないのがストレスです

客観的データ(O情報)

発症に対する戸惑いを表現

前向きな発言もあり

妻のサポートを受け入れている

入院前の趣味:園芸、散歩

入院により趣味活動が制限されている

アセスメントの要点

C氏は突然の脳梗塞発症に戸惑いを感じていますが、リハビリテーションに取り組むという前向きな姿勢も示しています。

妻の励ましを心の支えとしており、家族のサポートがストレス対処に有効に機能しています。

入院前は園芸や散歩を楽しんでおり、これらの活動ができないことがストレスとなっています。

病棟内でできる軽い活動や、リハビリテーションの進行に応じた趣味活動の再開が、ストレス軽減につながる可能性があります。

健康的なコーピング方法を維持しながら、入院生活に適応できるよう支援が必要です。

価値-信念パターン

主観的データ(S情報)

家族のために元気でいたい

妻に頼ってばかりはいられない

自分のことは自分でできるようになりたい

また散歩や園芸を楽しみたい

客観的データ(O情報)

家族を大切にする価値観

自立を重視

趣味活動への意欲

リハビリテーションへの前向きな姿勢

アセスメントの要点

C氏は家族を大切にし、家族のために健康でいたいという価値観を持っています。

自立を重視しており、妻への依存を避けたいという思いが強いです。

散歩や園芸といった趣味活動を再開したいという目標は、リハビリテーションへの動機づけとなります。

これらの価値観を尊重しながら、現実的な目標設定と段階的なリハビリテーション計画を立てることが重要です。

家族のため、趣味のために健康を取り戻すという価値観を軸に、治療への意欲を維持する支援が効果的です。

看護問題の優先順位と看護計画の立案

ゴードンの11パターンでアセスメントを行った結果、以下の看護問題が抽出されます。

優先度の高い看護問題

右片麻痺に関連した身体可動性障害

右片麻痺に関連したセルフケア不足

脳梗塞再発に関連した健康管理能力の低下

看護目標の例

退院時までに、歩行器を使用して病棟内を歩行できる

退院までに、左手を使用して食事・整容が自立する

退院までに、脳梗塞の再発予防方法を理解し実践できる

看護計画(OP・TP・EP)の例

OP:麻痺の程度、筋力、バイタルサイン、血圧、ADL状況、リハビリテーションの進行状況、意欲の観察

TP:理学療法・作業療法への参加支援、ADL訓練の実施、安全な環境整備、転倒予防対策

EP:脳梗塞の病態と再発予防について説明、服薬の重要性の説明、減塩食の必要性の説明、家族を含めた退院指導の実施

まとめ|脳梗塞看護過程のポイント

脳梗塞患者の看護過程をゴードンで展開する際は、麻痺の程度だけでなく、患者の回復意欲、家族のサポート体制、再発予防のための生活習慣改善を総合的にアセスメントすることが重要です。

本事例のC氏のように、リハビリテーションへの意欲が高く家族のサポートも得られる場合、段階的な目標設定により着実な機能回復が期待できます。

看護学生の皆さんは、このような架空事例を参考にしながら、実際の患者さんの個別性を大切にした看護過程を展開してください。

脳梗塞看護は急性期から回復期、そして在宅復帰まで長期的な視点が必要であり、患者さんと家族が退院後も継続できる現実的な目標設定が成功の鍵となります。

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