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周手術期

手術当日の看護|準備から手術室移送まで看護師がやること

この記事は約6分で読めます。

手術当日は、患者さんにとって緊張と不安が頂点に達する日です。

手術前の限られた時間の中で、看護師は全身状態の把握から術前処置の確認、手術室への安全な移送まで、多岐にわたる業務を正確かつ迅速にこなす必要があります。

この記事では、手術当日の看護師の役割と具体的な業務内容を、実習や国家試験の学習にも役立つよう詳しく解説します。


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全身状態の観察

手術当日の朝、まず行うのが患者さんの全身状態の観察です。

バイタルサイン(体温・脈拍・呼吸数・血圧)に異常が認められないかを確認し、前夜の睡眠が十分に得られていたかどうかも確認します。

発熱や血圧の異常値が認められた場合には、速やかに医師へ報告する必要があります。

このとき気をつけたいのが、患者さんや家族への言動です。

手術当日は患者さんの精神的な緊張が高く、看護師の表情・声のトーン・行動のひとつひとつに敏感に反応することがあります。

「何か問題があるのでは」と誤解されないよう、冷静で穏やかな言葉がけと態度を心がけ、精神面への細やかな配慮が大切です。

全身状態の観察では、バイタルサインだけでなく、皮膚の状態・呼吸音・浮腫の有無・排泄の状況なども総合的に確認することが重要です。


早期処置の実施と確認

浣腸の目的と注意点

手術当日の早期処置として代表的なものに、**浣腸(グリセリン浣腸)**があります。

浣腸の目的は、手術中の便失禁予防と、術後に起こりやすい**腸管麻痺(イレウス)**の予防です。

消化器系の手術だけでなく、婦人科・泌尿器科・整形外科など消化器以外の手術でも早期浣腸が行われるのはこのためです。

浣腸を実施する際には、患者さんが腹痛や腹部不快感を訴えることがあります。

これは浣腸液が腸管を刺激することで起こるもので、一定程度は生理的な反応として許容されますが、看護師は常に患者さんの顔色・表情・バイタルサインを観察しながら進める必要があります。

まれに**迷走神経反射(血管迷走神経性失神)**によるショック様症状が現れることもあるため、注意が必要です。

浣腸液の注入速度が速すぎると腸管への刺激が強くなり、腹痛やショックのリスクが高まります。

適度なスピードでゆっくりと注入しながら、随時患者さんの状態を確認することが重要です。

実施後の観察と記録

浣腸実施後は、以下の点を観察して記録に残します。

反応便の有無は術前状態の把握に役立ちます。 便の量・性状(硬便・軟便・水様便など)・色調・臭気なども記録の対象です。 排便が得られなかった場合には、医師や先輩看護師に報告し、追加処置の必要性を検討します。

記録は電子カルテまたは看護記録に正確に残し、手術室への申し送りにも活用します。


必要物品と術前処置の確認

手術に向けて、必要なものがすべてそろっているかの確認作業も看護師の重要な役割です。

この確認はチェックリストを使って行うのが一般的で、漏れのない確実な確認が求められます。

確認すべき書類・物品

確認すべき書類や物品には主に以下のものがあります。

検査データ(血液検査・凝固検査・感染症検査など)は術前の状態を把握するための基本情報です。 X線フィルム(胸部X線・骨格X線など)も手術室に持参します。 カルテ(診療録)に記載内容の不備がないかを確認します。 **手術承諾書(インフォームド・コンセントの記録)**は法的にも重要な書類のため、署名・日付が正確に記入されているかを確認します。 IDカード(患者識別バンド)は本人確認のために欠かせないものです。

チェックリストを用いた二重確認は、手術室とのトラブル防止にも有効です。

手術開始直前に書類の不備が発覚すると、手術が延期になるケースもあるため、前日からの準備と当日の再確認を徹底することが大切です。


貴重品の保管

手術当日は患者さんが持参している貴重品の管理も行います。

貴重品は原則として家族に渡し、自宅に持ち帰ってもらうのが基本です。

特に、義歯(入れ歯)やコンタクトレンズは全身麻酔中に誤嚥や気道閉塞の原因となるリスクがあるため、手術前に必ず外してもらう必要があります。

外した義歯やコンタクトレンズは破損しないよう専用のケースで保管し、できる限り家族に渡すようにします。

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やむを得ず病棟で保管する場合は、患者氏名・病室番号・日時を記入した上で、病院の規定に沿った方法で保管します。

アクセサリー類(指輪・ネックレス・ピアスなど)も外してもらいます。 これは手術中の電気メスによるやけどや、皮膚損傷を防ぐためです。


前与薬の実施

前与薬(術前投薬・プレメディケーション)は、麻酔の効果を高めたり、麻酔導入をスムーズにしたりする目的で手術室入室前に投与される薬剤です。

前与薬を実施する前に、排尿を済ませてもらうことが大切です。

前与薬には抗コリン薬(アトロピンなど)が含まれることがあり、投与後は尿閉が起こりやすくなるためです。

また、前与薬によって鎮静・鎮痛効果が現れるため、転落・転倒のリスクが高まります。

投与後はストレッチャーに移動してもらい、ベッドサイドレールを上げるなど安全への配慮を徹底します。

前与薬実施前には必ずバイタルサインを測定し、異常がないことを確認した上で実施します。

実施後は手術室への**申し送り書(サマリー)**に必要事項を記入し、施行者のサインを忘れずに行います


手術室への移送

患者さんを手術室へ移送する際は、静かに・ゆっくりと移動することが基本です。

ストレッチャーでの移動中に過度な振動や急な刺激が加わると、患者さんの不安が高まるだけでなく、バイタルサインへの影響も懸念されます。

廊下の段差やエレベーター乗り換えの際には特に注意が必要です。

手術室看護師への申し送り

手術室に到着したら、手術室看護師への申し送りを行います。

まず手術室看護師の自己紹介を促し、患者さんが安心できる環境を整えます。

その後、手術室看護師に対して申し送り書にしたがって必要な情報を簡潔・明瞭に伝えます。

申し送り内容には以下のものが含まれます。

患者氏名・病室番号・手術名は基本情報として必ず伝えます。 アレルギーの有無は薬剤や材料の選定に直結する重要情報です。 バイタルサインの直近値・全身状態も報告します。 前与薬の実施状況・時刻・施行者名も伝えます。 術前処置の実施状況(浣腸・除毛・臍処置など)も申し送ります。

必要な書類(手術承諾書・カルテ・X線フィルムなど)を手術室看護師に手渡して申し送りを完了します。


病室の準備

患者さんが手術室へ移送されたあとは、帰室に備えた病室の準備を行います。

手術患者用ベッドの準備

術後の患者さんはドレーン・点滴ライン・尿道カテーテルなど複数のルートが挿入された状態で帰室することがほとんどです。

各チューブ類がスムーズに管理できるよう、**手術患者用ベッドメイキング(OPベッド・術後ベッド)**を行っておきます。

シーツのしわが少なく、患者さんの皮膚を圧迫しない状態を保つことが大切です。

ベッド柵・サイドレールの位置を確認し、転落防止の準備も整えます。

環境の調整

室温・照明・プライバシー確保のための間仕切りを調整し、帰室後すぐに対応できる環境を整えます。

術後に必要な医療機器(心電図モニター・パルスオキシメーター・酸素投与の準備など)もあらかじめセッティングしておくと、帰室後のスムーズな対応につながります。

吸引器の準備と動作確認も忘れずに行います。


まとめ

手術当日の看護は、患者さんの安全を守るための確認と準備の連続です。

バイタルサインの観察・浣腸の実施・必要書類の確認・貴重品の管理・前与薬の実施・手術室への安全な移送・帰室に備えた環境準備と、それぞれの業務が密接に連動しています。

看護師としてひとつひとつの手順を正確に行いながら、患者さんの精神面への配慮も忘れないことが手術当日の看護の本質です。

実習や国家試験の勉強でこの領域を学んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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