膀胱留置カテーテル患者のケアで困っていませんか?
「カテーテルがあると陰部洗浄が難しい…」
「感染リスクが心配で手技に自信がない…」
「患者さんに負担をかけずに清潔ケアを行いたい…」
このような悩みを抱えている看護学生の方は非常に多いのではないでしょうか。
膀胱留置カテーテルを使用している患者様への陰部洗浄やオムツ交換は、通常のケアとは異なる注意点があり、適切な知識と技術が必要です。
実際に、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)は院内感染の中でも発生頻度が高く、適切な清潔ケアが行われていないことが主な原因の一つとされています。
厚生労働省の調査によると、カテーテル留置患者の約10-15%が尿路感染を起こしているというデータもあります。
しかし、正しい手技を身につければ、感染リスクを大幅に減らし、患者様の快適性を保ちながら安全にケアを提供することができます。
この記事では、2人で行う膀胱留置カテーテル患者の陰部洗浄・オムツ交換について、実践的で安全な方法を詳しく解説します。
看護実習や新人看護学生の方、またはスキルアップを目指すベテラン看護学生の方にとって、必ず役立つ内容となっています。
ぜひ最後まで読んで、明日からの実践に活かしてください。
なぜ膀胱留置カテーテル患者の陰部洗浄は重要なのか
尿路感染症予防の最前線
膀胱留置カテーテルは、患者様の排尿管理において不可欠な医療器具ですが、同時に細菌感染の入り口にもなり得ます。カテーテル挿入部位や周辺の清潔を保つことは、以下の重要な効果をもたらします。
感染予防効果
- 尿道口周辺の細菌増殖を抑制
- カテーテル挿入部位の炎症予防
- 逆行性感染のリスク軽減
- 敗血症などの重篤な合併症予防
患者QOLの向上
- 不快感や違和感の軽減
- 皮膚トラブルの予防
- 精神的な安心感の提供
2人で行うメリットとは
1人でのケアと比較して、2人で行う陰部洗浄には以下のような利点があります。
安全性の向上
- カテーテルの固定と洗浄を同時に行える
- 患者の体位変換時の転落リスク軽減
- 緊急時の迅速な対応が可能
効率性の追求
- 作業時間の短縮
- 患者への負担軽減
- より丁寧なケアの実現
質の確保
- ダブルチェック体制による安全確認
- 見落としの防止
- 標準化されたケアの提供
膀胱留置カテーテル患者の陰部洗浄で押さえるべき重要ポイント
事前準備:成功の鍵は準備にあり
必要物品チェックリスト
- 陰部清拭用タオル(1枚)
- 清拭用タオル(1枚)
- シャワーボトル(38~40℃のお湯入り)
- ガーゼ(7~8枚)
- 石鹸(中性またはpH5.5前後推奨)
- 使い捨て手袋(4ペア)
- 新しいオムツ
- 尿取りパッド
- 水温計
- 医療用テープ
- 汚物入れ用ビニール袋(1枚)
環境整備のポイント
- 室温を24-26℃に調整
- プライバシーの確保(カーテンやパーティション)
- 十分な照明の確保
- 必要物品の配置確認
カテーテル管理の基本原則
膀胱留置カテーテルを使用している患者様のケアでは、以下の原則を必ず守りましょう。
カテーテルの取り扱い注意点
- 不要な動きを最小限に抑制
- 屈曲や圧迫の回避
- 清潔操作の徹底
- 固定位置の適切な確認
感染予防対策
- 手指衛生の徹底
- 適切な個人防護具の使用
- 清潔→不潔の原則遵守
- 使用器具の適切な処理
実践!2人で行う陰部洗浄・オムツ交換の完全手順
【基本手順】排便がない場合の標準的な方法
ステップ1:患者への説明と同意
まず患者様に「陰部の清拭とオムツ交換を行わせていただきます」と丁寧に説明し、同意を得ます。この際、プライバシーへの配慮と安全性について説明することで、患者様の不安軽減につながります。
ステップ2:環境準備
ベッドを平らにし、膝下の枕を外して布団を足元まで下げます。この時、カテーテルラインが絡まらないよう注意深く確認しましょう。
ステップ3:体位調整
患者様の殿部を両側から支えながら軽く挙上してもらい、ズボンを膝下まで下ろします。この際、カテーテルの位置を常に確認し、引っ張られないよう注意が必要です。
ステップ4:オムツ・パッドの除去
オムツのテープを外し、尿取りパッドを慎重に取り除きます。鼠径部にガーゼを当て、カテーテル固定用テープを丁寧に剥がします。皮膚への負担を軽減するため、テープは皮膚に平行に剥がすことがポイントです。
ステップ5:洗浄実施
- 看護学生A:シャワーボトルでぬるま湯をかける
- 看護学生B:石鹸を泡立てたガーゼで陰部を優しく洗浄
洗浄は尿道口から肛門方向へと一方向に行い、使用したガーゼは使い回さず、清潔なものに交換します。
ステップ6:すすぎと乾燥
十分にぬるま湯で泡を洗い流し、陰部用タオルで水分をしっかりと除去します。この間に、もう一人の看護学生が新しいオムツに尿取りパッドをセットして準備します。
ステップ7:体位変換とオムツ交換
患者様に左側臥位になっていただき、使用済みオムツを除去します。殿部と背部をタオルで清拭した後、新しいオムツを当てて殿部下に挿入し、右側臥位で反対側を引き出します。
ステップ8:最終調整
仰臥位に戻り、カテーテルをテープで適切に固定します。オムツの位置を整え、殿部を支えながらズボンを元の位置に戻します。
ステップ9:ポジショニング調整
患者様の体位が下方にずれている場合は、安全にベッド上方へ移動させます。
ステップ10:環境復元と観察
布団と枕を元に戻し、患者様の表情、呼吸状態、皮膚の状態を観察して記録します。
【応用手順】排便がある場合の対応方法
排便がある場合は、基本手順に以下の工程を追加します。
追加ステップA:便の除去
オムツを開けた際に便が付着している場合は、まず陰部に付着した便をティッシュで肛門方向に向かって除去します。その後、左側臥位で肛門部の便も丁寧に取り除きます。
追加ステップB:予備洗浄
仰臥位に戻り、鼠径部にガーゼを当ててカテーテル固定テープを外します。シャワーボトルで大きな汚れを流してから、石鹸での本格的な洗浄に移ります。
安全管理:中止基準と緊急時対応
ケア中止の判断基準
以下の症状が見られた場合は、直ちにケアを中止し医師に報告します。
バイタルサイン異常
- 発熱:37.5℃以上
- 頻呼吸:25回/分以上
- 頻脈:100回/分以上
- 低血圧:収縮期血圧100mmHg以下
- 不整脈の出現
呼吸器症状
- 呼吸困難の訴え
- チアノーゼの出現
- 爪床色・口唇色の異常
- 四肢の冷感
- 咳嗽の増強
緊急時の対応手順
- 即座の中止:ケアを直ちに中断
- 安全確保:患者の安全な体位の確保
- バイタル測定:詳細な状態把握
- 医師報告:速やかな状況報告
- 記録作成:正確な経過記録
感染予防とトラブル回避のポイント
手指衛生の徹底
WHO推奨の5つのタイミングで手指衛生を実施します。
- 患者接触前
- 清潔・無菌操作前
- 体液曝露リスク後
- 患者接触後
- 患者周辺環境接触後
カテーテル関連感染症の予防策
日常的な予防策
- 適切な挿入部位の清潔保持
- カテーテルバッグの適切な位置管理
- 尿流の逆流防止
- 不必要な操作の回避
定期的な評価
- カテーテル留置の必要性評価
- 感染徴候の早期発見
- 皮膚トラブルの予防と対処
まとめ:安全で質の高いケアの実現に向けて
膀胱留置カテーテル患者の陰部洗浄・オムツ交換は、適切な知識と技術があれば安全に実施できるケアです。2人で行うことにより、患者様の安全性と快適性を確保しながら、感染リスクを最小限に抑えることができます。
重要なポイントの再確認
- 事前準備の徹底
- カテーテル管理の基本原則遵守
- 感染予防対策の実践
- 安全管理体制の確立
この記事で紹介した手順を参考に、日々のケア実践に活かしていただければと思います。患者様の尊厳を守りながら、質の高い看護ケアを提供していきましょう。
看護技術の向上は継続的な学習と実践の積み重ねです。今回学んだ内容を同僚とも共有し、チーム全体のケアの質向上に貢献してください。









