看護学生の皆さん、小児ネフローゼ症候群の看護過程に悩んでいませんか。
この記事では、1歳4か月の男児Aちゃんの症例を通じて、ネフローゼ症候群の病態生理から看護アセスメント、実際の看護実践まで、看護師国家試験対策にも役立つ内容を詳しく解説します。
ネフローゼ症候群とは:基礎知識の整理
ネフローゼ症候群は腎臓の糸球体に障害が生じ、尿中に大量のタンパク質が漏出する疾患です。
血液中のアルブミン値が低下し、全身にむくみが現れるのが特徴的な症状となります。
小児の場合、微小変化型ネフローゼ症候群が最も多く、ステロイド治療により良好な予後が期待できます。
主な病態生理として、糸球体基底膜の透過性が亢進し、血漿タンパク質が尿中に漏出することで低アルブミン血症を引き起こします。
その結果、血漿膠質浸透圧が低下し、毛細血管から間質への水分移動が促進されてむくみが生じるメカニズムがあります。
症例紹介:1歳4か月男児Aちゃんの病状
今回の事例は、微小変化型ネフローゼ症候群と診断された1歳4か月の男児Aちゃんです。
身長77.7cm、体重10.2kgで、双子の兄弟がいる4人家族の環境で生活しています。
入院2日前からまぶたの腫れと活気の低下が見られ、両眼瞼浮腫、陰嚢浮腫、腹水などの典型的なネフローゼ症候群の症状が確認されました。
既往歴には生後8か月での突発性発疹があり、感染症ワクチンは年齢相応に接種済みで、アレルギー歴はありません。
発達状態については、歩行可能で積み木遊びができ、簡単な発声も見られるなど、1歳4か月の標準的な発達レベルに達しています。
ゴードン機能的健康パターンによるアセスメント
健康知覚-健康管理パターンの評価
Aちゃんの健康管理に関して、母親の健康認識は適切であると評価できます。
予防接種の実施状況、定期健診の受診歴、今回の症状出現時の適切な受診行動など、健康管理への意識の高さが伺えます。
ネフローゼ症候群の症状に対する初期対応も適切で、症状悪化前の早期受診により重篤化を防ぐことができました。
母親は症状の変化を的確に観察し、医療機関への相談を迅速に行っており、健康管理能力は高いと判断されます。
ただし、疾患に対する理解はこれから深める必要があり、治療方針や家庭での注意点について継続的な指導が必要です。
栄養-代謝パターンの課題
栄養面では離乳食が完了しているものの、野菜の摂取が少ないという課題があります。
ネフローゼ症候群では低タンパク血症により栄養状態の悪化が懸念されるため、質の良いタンパク質の摂取が重要になります。
現在は母乳も継続摂取しており、栄養源の確保は一定程度できている状態です。
入院中は食事療法として塩分制限が実施されており、むくみの軽減と病状安定化を図っています。
水分バランスの管理も重要で、体重測定による水分貯留の評価と適切な水分摂取量の調整が必要です。
急性期における看護実践のポイント
症状観察と全身状態の把握
急性期においては強い倦怠感、活気の低下、むくみの程度を継続的に観察することが最重要です。
特に体重の急激な増加は水分貯留の指標となるため、毎日同じ条件での体重測定が欠かせません。
呼吸状態の観察も重要で、腹水や胸水による呼吸困難の出現に注意深く観察します。
血圧測定、尿量測定、浮腫の部位と程度の評価を定期的に実施し、病状の変化を早期に発見する体制を整えます。
バイタルサインの変動パターンを把握し、異常の早期発見に努めることで、適切な治療介入につなげることができます。
ステロイド治療における看護管理
プレドニゾロンによるステロイド治療では、副作用の観察が重要な看護実践となります。
感染予防対策として、手洗いの徹底、清潔な環境の維持、面会者の制限などを実施します。
血糖値の上昇、血圧の変動、消化器症状の出現など、ステロイドの副作用を系統的に観察し記録します。
また、ステロイドの免疫抑制作用により易感染状態となるため、発熱や感染徴候の早期発見に努めます。
薬剤の正確な投与と効果判定のための検査データの評価も、看護師の重要な役割です。
回復期における看護の着眼点
利尿期への移行と水分管理
回復期に入ると利尿が始まり、むくみの改善が見られますが、この時期の水分管理も重要な看護実践です。
急激な利尿による脱水や電解質バランスの崩れに注意し、適切な水分摂取量を調整します。
尿量の正確な測定と記録、体重の変化の観察を継続し、水分出納バランスを評価します。
患児の活動量の回復に合わせて、段階的な離床と日常生活動作の拡大を支援します。
食欲の改善とともに、年齢に応じた栄養摂取の確保と、継続的な食事指導が必要になります。
家族への指導と退院準備
母親の不安軽減のため、疾患に対する正しい知識の提供と、家庭での観察ポイントの指導を行います。
特に双子の兄弟への感染リスクや、同じ疾患の発症可能性について、科学的根拠に基づいた説明が必要です。
退院後の生活指導として、感染予防策、食事管理、症状観察のポイント、定期受診の重要性を詳しく説明します。
緊急時の対応方法や連絡先の確認、症状再燃時の早期受診の重要性についても指導します。
ネフローゼ症候群の特徴的症状と看護のポイント
浮腫の観察と管理
眼瞼浮腫は朝に顕著に現れ、疾患の重症度を示す重要な指標となります。
下肢の浮腫は圧痕性であることが多く、浮腫の程度を定量的に評価し記録します。
陰嚢浮腫は男児に特徴的な症状で、皮膚の清潔保持と観察が重要です。
腹水による腹部膨満は呼吸や食事摂取に影響するため、腹囲測定と症状の観察を継続します。
体位変換により浮腫の分布が変化するため、安楽な体位の工夫と褥瘡予防対策も必要です。
易感染性への対応
ネフローゼ症候群では免疫機能の低下により、感染症にかかりやすい状態となります。
手洗いやうがいの徹底、清潔な環境の維持、適切な栄養摂取による免疫力の維持が重要です。
発熱時の対応や、感染症状出現時の早期受診について、家族への指導を行います。
ワクチン接種のスケジュール調整や、感染予防に関する生活指導も継続的に実施します。
看護過程における評価の視点
短期目標の設定と評価
急性期においては、むくみの軽減、呼吸困難の改善、感染徴候の予防を短期目標として設定します。
ステロイド治療の効果判定として、尿蛋白の減少、血清アルブミン値の改善、体重減少を評価指標とします。
患児の活気や食欲の回復、睡眠パターンの改善なども重要な評価項目です。
家族の不安レベルの軽減と、疾患理解の向上も看護成果として評価します。
長期目標と継続的なケア
長期目標として、疾患の再発予防、正常な成長発達の促進、家族の疾患管理能力の向上を設定します。
定期的な外来受診の継続、適切な感染予防行動の実践、栄養状態の維持改善を評価します。
兄弟への影響や家族全体の生活の質の向上も、長期的な看護成果として重要です。
患児の心理社会的発達への影響を最小限に抑え、正常な成長を支援することが最終的な目標となります。
まとめ:小児ネフローゼ症候群看護の要点
小児ネフローゼ症候群の看護実践では、病態生理の理解に基づいた系統的なアセスメントが基盤となります。
急性期の症状観察、ステロイド治療の管理、感染予防、水分・栄養管理など、多角的な看護介入が必要です。
また、患児だけでなく家族全体を対象とした包括的なケアの提供が重要で、退院後の生活指導と継続的な支援が治療成功の鍵となります。
看護学生の皆さんは、この事例を通じて小児看護の特殊性と、慢性疾患管理の重要性を理解していただけたでしょうか。
実際の臨床現場では、個別性を重視したアセスメントと、エビデンスに基づいた看護実践の組み合わせが求められます。
継続的な学習と実践経験を通じて、質の高い小児看護を提供できる看護師を目指していきましょう。
看護過程の立案や疾患理解でお困りの際は、カンサポまでお気軽にご相談ください。
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