分娩第2期とは
分娩第2期は、子宮口全開大から胎児娩出までの期間を指します。
この時期の陣痛発作は、期間が長くなり、間欠は短くなり、腹圧も加わって、胎児の下降を促進します。
分娩が進むと、胎児の先端部が下降し、陣痛発作時に膣口に現れるようになります。
しかし、間欠時には後退してしまいます。このような状態を排臨という。
さらに先端部が下降すると、間欠時にも現れたままになります。
この状態を発露といい、まもなく児頭が、次いで体幹が娩出されます。
分娩第2期は初産婦で約1-3時間、経産婦で約30分-1時間程度の期間とされています。
この時期は母児ともに最も負担が大きく、合併症のリスクも高いため、細心の注意を払った看護が必要です。
産婦にとっては最も体力を消耗する時期であり、精神的にも不安や恐怖が高まる時期でもあります。
🎯 看護目標
第一目標:安全な分娩の実現
母児が安全・安楽に分娩を進めることができる
母体の生命徴候の安定を保ち、胎児の健康状態を継続的に監視することで、安全な分娩環境を提供します。
異常の早期発見と迅速な対応により、母児の生命を守り、合併症を予防します。
産婦の疼痛軽減と快適性の向上を図り、可能な限り安楽な分娩体験を提供します。
第二目標:主体的な分娩の支援
産婦が主体的に分娩を進めることができる
産婦の意思を尊重し、自らの力で分娩を進められるよう精神的・技術的支援を提供します。
適切な情報提供と励ましにより、産婦の自信と協力を引き出します。
産婦の体位や呼吸法の選択を支援し、個別性に応じた分娩スタイルを実現します。
第三目標:継続的なモニタリング
分娩進行状況を観察し、異常の予防と早期発見をすることができる
系統的な観察により分娩の進行状況を正確に把握し、適切なタイミングでの介入を行います。
母児の状態変化を敏感に察知し、医師との連携により迅速な対応を実現します。
予防的ケアにより、可能な限り正常分娩を維持できるよう努めます。
👀 OP(観察ポイント)
胎児の状態監視
児心音の継続的監視
母児ともに危険が起こりやすいため、経過を十分に観察し、異常の早期発見に努めます。
児心音の聴取は10~15分ごとに行い、陣痛との関連性を詳細に評価します。
分娩監視装置を装着し、連続的な胎児心拍数モニタリングを実施します。
胎児機能不全の徴候
遅発性または変動性の胎児心拍数低下の有無を確認します。
羊水混濁(胎便混濁)の有無を観察し、胎児ジストレスの兆候を見逃さないよう注意します。
胎動の減少や異常な胎位・胎向の変化についても観察します。
分娩進行の評価
胎児下降度の確認
内診により胎児先端部の下降度を定期的に評価します。
排臨から発露への移行過程を詳細に観察し、分娩の進行速度を把握します。
回旋異常や胎位異常の有無を確認し、必要に応じて医師に報告します。
陣痛の性状評価
陣痛の強度、持続時間、間隔を正確に測定し、記録します。
陣痛の効果的な強さと産婦の協調性を評価します。
微弱陣痛や過強陣痛の兆候を早期に発見し、適切な対応を検討します。
産婦の状態観察
バイタルサインの監視
血圧、脈拍、呼吸、体温を定期的に測定し、母体の状態を評価します。
産科出血や感染症の兆候を見逃さないよう注意深く観察します。
水分バランスや尿蛋白の有無についても確認します。
精神的状態の評価
産婦の不安レベル、疲労度、協力度を総合的に評価します。
痛みの程度と対処能力を確認し、適切な支援方法を検討します。
パニック状態や極度の疲労による意識レベルの変化にも注意を払います。
🛠️ TP(産婦のケア)
いきみの指導と技術支援
基本的ないきみの姿勢
下肢を曲げて膝を立て、かかとに力を入れて踏ん張るよう指導します。
両手は分娩台に装着されている持ち手をしっかりとつかむよう支援します。
顎を引いて胸につけ、背中を浮かさないように床につけるよう指導します。
効果的ないきみの方法
大きく深呼吸を1~2回して息を止め、硬い便を出すような感じでいきむよう指導します。
15~20秒を2回繰り返すと効果的であることを説明し、実践を支援します。
陣痛が終わったら深呼吸をして全身を弛緩させ、普通の呼吸に戻すよう指導します。
個別性に応じた指導
産婦の体格、疲労度、理解力に応じて指導方法を調整します。
初産婦と経産婦の違いを考慮し、それぞれに適した指導を提供します。
文化的背景や価値観を尊重した指導方法を選択します。
呼吸法の指導
短息呼吸の技術
胸の上に両手を組み合わせ、短く迫った呼吸をするよう指導します。
児頭娩出時の会陰保護のため、いきみを控える必要がある場面で実施します。
呼吸のリズムを一緒に行い、産婦がパニックにならないよう支援します。
呼吸法の使い分け
陣痛の強度と分娩の進行段階に応じて、適切な呼吸法を選択できるよう指導します。
疼痛軽減効果のある呼吸法の実践を支援し、産婦の自己コントロール能力を高めます。
パートナーや家族も一緒に呼吸法を学び、協力体制を構築します。
産婦への精神的支援
励ましと心理的サポート
産婦は精神的、肉体的に疲労が見られ、不快と心配によって取り乱すような精神的反応が見られます。
清拭や冷たい水を与える、励ましの言葉をかけるなどして勇気づけます。
産婦の努力を認め、進歩を具体的に伝えることで自信を回復させます。
情報提供と説明
分娩の進行状況を分かりやすく説明し、産婦の不安を軽減します。
次に起こることを予告し、心の準備ができるよう支援します。
医療処置が必要な場合は、その理由と方法を丁寧に説明します。
環境整備と快適性の向上
分娩環境の調整
室温、照明、音響環境を産婦の希望に応じて調整します。
プライバシーの保護と、産婦が安心できる環境作りを心がけます。
必要な物品を手の届く場所に配置し、効率的なケアを提供します。
体位の工夫
産婦が最も楽に感じる体位を見つけ、可能な限り希望に沿った体位での分娩を支援します。
クッションや枕を活用し、体圧分散と快適性の向上を図ります。
定期的な体位変換により、疲労の軽減と血流の改善を促進します。
🏥 分娩進行に応じた段階別ケア
排臨期のケア
胎児下降の促進
効果的ないきみの指導により、胎児の下降を促進します。
産婦の疲労度を考慮し、休息と努力のバランスを調整します。
会陰部の観察を継続し、裂傷予防のための準備を行います。
発露期のケア
会陰保護と児頭娩出
会陰保護の手技を適切に実施し、裂傷の予防に努めます。
短息呼吸の指導により、急激な児頭娩出を防ぎます。
臍帯巻絡の有無を確認し、必要に応じて処置を行います。
体幹娩出期のケア
肩甲難産の予防
体幹娩出時の適切な介助により、肩甲難産を予防します。
新生児の気道確保と初回呼吸の確認を行います。
母体の安全を確保しつつ、新生児の健康状態を迅速に評価します。
👨👩👧👦 家族への支援
パートナーシップの促進
パートナーの参加支援
パートナーが分娩に積極的に参加できるよう指導と支援を提供します。
産婦への励ましの方法や、効果的なサポートの仕方を教育します。
パートナー自身の不安や恐怖にも配慮し、心理的支援を提供します。
家族全体への配慮
きょうだいや祖父母への説明
年齢に応じた説明により、家族全体の理解と協力を促進します。
分娩の進行状況を適切に伝え、家族の不安を軽減します。
新しい家族の迎え方について、事前の準備を支援します。
🚨 緊急時の対応
異常の早期発見
胎児機能不全への対応
胎児心拍数の異常を発見した場合、直ちに医師に報告し、適切な処置を実施します。
産婦の体位変換、酸素投与、輸液管理などの保存的治療を行います。
緊急帝王切開の準備を迅速に整え、母児の安全を最優先に対応します。
分娩停止への対応
遷延分娩の管理
分娩の進行が停止した場合、原因を迅速に評価し、適切な対応を検討します。
産婦の疲労度と協力度を評価し、必要に応じて休息や栄養補給を提供します。
医学的介入の必要性を判断し、吸引分娩や鉗子分娩の準備を行います。
🎉 分娩完了時のケア
新生児の初期ケア
新生児の健康評価
Apgarスコアによる新生児の状態評価を実施します。
体温保持、気道確保、感染予防などの基本的ケアを提供します。
母子の早期接触(skin-to-skin contact)を促進し、愛着形成を支援します。
産婦への賞賛と説明
努力への賞賛
産婦は胎児娩出と同時に満足感と安心感を得ます。
「よく頑張った」と心からの賞賛を伝え、産婦の達成感を共有します。
分娩第3期(胎盤娩出)がまだ残っていることを優しく説明し、継続的な協力を求めます。
📊 継続的な評価と記録
分娩記録の作成
詳細な経過記録
分娩の進行状況、実施したケア、産婦と胎児の反応を詳細に記録します。
時系列での変化を明確に記載し、次の段階への引き継ぎ情報を整理します。
異常所見や特記事項については、特に詳細に記録します。
ケアの効果評価
看護目標の達成度評価
設定した看護目標に対する達成度を客観的に評価します。
実施したケアの効果と課題を分析し、今後の改善点を明確にします。
産婦と家族の満足度も含めて、総合的な評価を行います。
まとめ
分娩第2期は母児にとって最も重要で危険な時期であり、看護師の専門的な知識と技術が求められます。
継続的な観察と適切な支援により、安全で満足度の高い分娩体験を提供することができます。
産婦の主体性を尊重しながら、医学的な安全性を確保するバランスの取れたケアが重要です。
また、家族全体への支援を通じて、新しい生命の誕生を温かく迎える環境作りにも貢献できます。
個々の産婦の特性や希望を理解し、柔軟で個別性のある看護を実践することが、質の高い周産期ケアの実現につながります。











