今回はPOS (問題解決型思考) (問題解決型思考)と看護過程の違いを説明していきます。
POS (問題解決型思考)と看護過程
看護師が看護活動をより科学的に実践するために用いる思考過程です。
この思考は、すべての人間が生活するうえで用いる問題解決型思考をもとに構築されたものです。
医療の世界ではこの思考をPOS (問題解決型思考)とよんでいます。
以下で看護過程とPOS (問題解決型思考)を比較しながらその特徴を述べていきましょう。
看護過程には、観察、看護診断、目標・看護計画、実施、評価の5つがあります。
いっぽうでその基盤思考であるPOS (問題解決型思考)は、観察する、問題を明らかにする、計画する、実施する、の4段階しかありません。
以下、それぞれの違いと特徴を思考の段階ごとに説明をしていきます。
違いと特徴①:科学的な考え方
1つ目の違いと特徴は、「科学的な考え方」についてです。
ただし、ここでいう「科学的」とは、自然科学のような「科学」のことではありません。
看護過程思考は、 自然科学ではありません。
具体的に言うと、ある患者の状態から10人の看護師が10人とも同じ看護問題を導き出すわけではありません。
ですが、この思考を訓練することによって、結果を100%同じにすることはできないまでも、
その確率を60%~90%くらいまで上げられるようです。
私たち看護師の目的は、適切な看護問題を導き、それぞれの看護問題に対して、
一貫した適切な看護治療や看護ケアを患者さんに提供することです。
要するに、そのための科学的な考え方が看護過程というわけです。
POS (問題解決型思考)では科学的な考え方に基づいた客観性に欠け、看護過程の看護診断のようなはっきりとした指標がありません。
この点が看護過程と一般人にも使われているPOS (問題解決型思考)との大きな違いです。
違いと特徴②:観察
2つ目の違いと特徴は「観察」です。
アセスメントは、「査定」「評価」とも訳されていますが、看護でも対象を観察し、評価するという意味で用いられています。
また、アセスメント用紙は、看護診断を導くための道具です。
よって、この観察の枠組みの大元になるのは、看護診断です。
一方、POS (問題解決型思考)には、看護過程のような、看護理論などを基にした観察の枠組みがなく、一貫性がありません。
違いと特徴③:看護問題
3つ目の違いと特徴は「看護問題」です。
これまでは「患者のニード」「患者の問題」とよばれていました。
それは現在、看護診断と呼ばれています。
たとえば医学なら「胃がん」といった疾病の診断をし、刑事なら「犯罪者」であると判断をし、機械の専門家であれば、「部品の取れた車」を欠陥を指摘するところです。
つまり、「診断」の部分はそれぞれの専門分野の責任範囲や役割を明確にするところであり、それぞれの専門家の治療方法をはっきりさせるものということになります。
ですが、看護は、まだまだ未発達な部分を残す学問であり、患者のすべての看護範囲である健康問題に対して看護診断が開発されているわけではありません。
さらに、 医学での「疾病」の診断に用いられている「診断検査や診断機器」のような診断機器は、まだ十分に開発されていません。
それでも、看護診断の診断指標や関連因子、 危険因子に関する開発は、徐々に進んできています。
違いと特徴④:専門技術
4つ目の違いと特徴は、実施および援助に用いる「専門技術」です。
看護では、看護技術および医療技術を看護ライセンスの範囲で、また看護業務法や医療法に基づいて看護の患者さんに用います。