こんにちは！今日は、統合失調症についてのヘンダーソンアセスメント（看護過程・紙上事例）を解説していきます。

事例紹介

【患者概要】

名前：太郎さん

年齢：25歳

性別：男性

病名：統合失調症

【家族構成】

母親（50歳）：吉野家でバイトしている。母もうつ病。

兄弟はいるが、遠くに住んでいる。

母親と2人暮らし。

【性格】

大人しいがキレたら手が付けられないタイプ。

【生育歴】

発達に関して異常が指摘されたことはない。

大人しく目立たないタイプで、友人関係も特にトラブルなし。

母親は太郎さんを出産後からうつ病の診断にて精神科で治療を受けている。

父親はパチンコの借金があり、国内のどこかに逃亡している。離婚

【学歴】

灘高校卒業後、ニートとなる。

【既往症】

身体的疾患による既往症はなし。

発達に関して異常が指摘されたことはない。

【経済面】

母親の扶養になっている。

社会保険（家族）

【飲酒・喫煙】

ウォッカを少々飲む。

【入院までの経過】

太郎さんは中学生の時に突然、被害的発言があった。

さらに高校3年生になった頃から、「誰かに狙われている」と被害関係妄想が生じ、不登校となった。

自宅では聴覚過敏となり、サランラップを頭に巻いて生活するなどしていた。

担任の勧めもあり、母親同伴で近所の病院を受診した。

その際にジプレキサザイディスの内服が開始された。

どうにか出席日数はクリアし、高校を卒業するが、本人も母親も病気を受け入れることができず、やがて服薬と通院を中断してしまう。

卒業後、自室に引きこもる生活が続いたが、不眠が続き、「鉄砲を持ったレンジャーたちが俺を狙っている」と恐怖に怯えるようになり、大声を出したり、ベランダから使用済みティッシュを捨てるといった行動が見られるようになった。

また、「あの子の家にはぼくのお守りがあるんだ」と、夜中に見知らぬ女性の家に押しかけ、警察に呼ばれるという事件を起こした。

保健師が介入し、精神科病院を受診することになった。

診察時、太郎さんは、どんな質問にも「怖い・・・」としか答えず、震えながら周りをうかがい、挙動不審で、病的体験に強く左右され、十分な休息がとれない状態であった。

母親も、「もう心中します」と話すなど、疲弊しており、自宅での治療は困難と判断され、急性期閉鎖病棟に母親の同意による医療保護入院となる。

呼吸・循環・体温についてのアセスメント

入院時のバイタルサインでは、体温：36.7度、脈拍：120回/分、血圧：112/70mmHgであり、頻脈が見られている。

今回は幻聴・妄想による夜間の不適切な行動からの入院となっており、太郎さんは入院時、「怖い・・・」とあたりを見回し、そわそわしていた。

また、発汗もあり、不安が強い様子があった。

これらのことから、不安による自律神経症状によって頻脈となっていたことが考えられる。

しかし、入院8日目には、体温：36.4度、脈拍：85回/分、血圧：98/58mmHgとなっており、異常なく経過している。

これは入院し、薬剤治療を受け、睡眠・休息が取れたことで、幻聴・妄想の症状が落ち着いてきたことが理由であると考えられる。

今後も幻聴や妄想の影響を受け、興奮状態などの精神状態の不安定さが呼吸・循環・体温に影響を与えていないか、継続した観察が必要である。

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